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広島地方裁判所 平成4年(わ)781号 判決 1993年3月02日

本店の所在地

広島県福山市柳津町二二六二番地の四

東洋木材株式会社

右代表者

高橋治

本籍

広島県福山市柳津町二二六二番地の二三

住居

右同

無職

高橋武春

大正一二年二月一〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官川見裕之出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人東洋木材株式会社を罰金二五〇〇万円に、被告人高橋武春を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人高橋武春に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人東洋木材株式会社(以下「被告会社」という。)は、広島県福山市柳津町二二六二番地の四に本店を置き、木材の製材、販売及び加工等を営むもの、被告人高橋武春は、昭和三九年二月一九日から平成四年一〇月三一日までの間、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人高橋武春は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入を計上して仮名、借名の普通預金口座等を設定するなどの不正の行為により所得の一部を秘匿した上、

第一  昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が九三一二万五四二四円で、これに対する法人税額が三七二九万〇七〇〇円であるにもかかわらず、昭和六三年五月三一日、同市三吉町四丁目四番八号所在の福山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三〇二三万八〇五六円で、これに対する法人税額が一〇八七万八二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当な法人税額との差額である二六四一万二五〇〇円の法人税額を免れ、

第二  昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億三五八七万八六七八円で、これに対する法人税額が五五二三万八七〇〇円であるにもかかわらず、平成元年五月三一日、前記福山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五〇〇九万三二六五円で、これに対する法人税額が一九二〇万九〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当な法人税額との差額である三六〇二万九七〇〇円の法人税額を免れ、

第三  平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億二九五七万五一一七円で、これに対する法人税額が五〇〇八万七九〇〇円であるにもかかわらず、平成二年五月三一日、前記福山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五五三八万八六六五円で、これに対する法人税額が二〇四一万九七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当な法人税額との差額である二九六六万八二〇〇円の法人税額を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示の全事実につき

一  被告人高橋武春及び被告会社代表者高橋治の当公判廷における各供述

一  被告人高橋武春の検察官に対する供述調書(検27号)

一  原田惇(検18号)、高橋敦子(検19号)、山本康人(検20号)、亀井敬緯子(検21号)、三好千鶴子(検22号)、北瀬英夫(検23号)、西口利之(検24号)、山本將(検25号)の検察官に対する各供述調書

一  検察官作成の捜査報告書(検2号)

一  大蔵事務官作成の売上高調査書(検3号)、期首棚卸高調査書(検4号)、仕入高調査書(検5号)、期末棚卸高調査書(検6号)、福利厚生費調査書(検7号)、支払手数料調査書(検8号)、雑費調査書(検9号)、受取利息調査書(検10号)、受取配当金調査書(検11号)、有価証券売却益調査書(検12号)、割引債券償還益調査書(検13号)、減価償却超過額調査書(検14号)、棚卸商品当期認容調査書(検15号)、消費税清算差損調査書(検16号)、事業税認定損調査書(検17号)

一  商業登記簿謄本(検28号)

一  確定申告書写し三通(検31ないし33号)

(法令の適用)

被告人らの判示各所為はいずれも各事業年度ごとに法人税法一五九条(被告会社につき、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人高橋武春については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により判示各罪を合算し、被告人高橋武春については同法四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、右の金額及び刑期の各範囲内で、被告会社を罰金二五〇〇万円に、被告人高橋武春を懲役一年六月にそれぞれ処し、情状により同法二五条一項を適用して、被告人高橋武春に対しこの裁判の確定した日から三年間その懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 野島秀夫)

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