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広島地方裁判所 平成元年(わ)1127号 判決 1990年4月09日

本籍

広島県呉市本通六丁目二六番地

住居

同市和庄登町六番一六号

会社役員

上瀬正三

昭和一七年八月一六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官吉池浩嗣出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金一六〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、広島県呉市中通三丁目三番一二号において「鳥八茶屋」、同市中通三丁目六番一〇号において「第三鳥八」の名称でそれぞれ飲食店を経営していたものであるが、所得税を免れようと企て、売上金及び不動産の貸付収入金の一部を除外して仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六〇年分の総所得金額が六〇四三万九四三六円、分離課税の短期譲渡所得が六七万三九一〇円で、これらに対する所得税額が合計二七二一万〇二〇〇円であるにもかかわらず、昭和六一年三月一三日、同市西中央二丁目一番二一号所在の呉税務署において、同税務署長に対し、昭和六〇年分のみなし法人損失額が一〇五万五二四九円、総所得金額が一二六五万五〇〇〇円、分離課税の短期譲渡所得が六七万三九一〇円で、これらに対する所得税額は、既に源泉徴収された税額三一九万七五二〇円を控除すると一五万九九二〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額二七二一万〇二〇〇円と右申告税額との差額二七三七万〇一二〇円を免れ

第二  昭和六一年分の総所得金額が六三〇二万一六〇九円で、これに対する所得税額が二八六四万八六〇〇円であるにもかかわらず、昭和六二年三月一三日、前記呉税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年分のみなし法人所得額が〇円、総所得金額が一二六五万五〇〇〇円で、これらに対する所得税額は、既に源泉徴収された税額三一九万七五二〇円を控除すると三八万九四二〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額二八六四万八六〇〇円と右申告税額との差額二九〇三万八〇二〇円を免れ

第三  昭和六二年分の総所得金額が五四三七万四七九〇円、分離課税の長期譲渡所得金額が一八〇万円で、これらに対する所得税額が合計二一七六万五五〇〇円であるにもかかわらず、昭和六三年三月一一日、前記呉税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年分のみなし法人所得金額が六五万七〇〇〇円、総所得金額が一三一一万四九〇〇円で、分離課税の長期譲渡所得金額が一八〇万円で、これらに対する所得税額は合計二五万円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額二一七六万五五〇〇円と右申告税額との差額二一五一万五五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一七通

一  上瀬シズコ(三通)、水野成彦(二通)、塩出啓子、塩出啓子、塩出滋幸、広瀬信男、斉藤勉、堀部泰広(二通)、京極清(二通)、井上数治及び高山秀晴の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官の調書三一通

一  検察事務官作成の報告書

判示第一の事実につき

一  押収してある60年分の所得税の確定申告書(上瀬正三分)一綴(平成二年押第三九号の1)

判示第二の事実につき

一  押収してある61年分の所得税の確定申告書(右同)一綴(同号の2)

判示第三の事実につき

一  押収してある62年分の所得税の確定申告書(右同)一綴(同号の3)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、所得税法二三八条一項にそれぞれ該当するところ、その免れた所得税の額が五〇〇万円をこえるので、情状により同条二項を適用し、所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で、被告人を懲役一年二月及び罰金一六〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文により全部これを被告人に負担させることとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 青柳勤)

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