大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岡山地方裁判所 昭和44年(ワ)88号 判決 1971年3月31日

原告

平井艶子

ほか一名

被告

高塚薬品株式会社

ほか一名

主文

一、被告らは、各自、原告平井艶子に対し、三一五万円およびそのうち二八五万円に対する昭和四四年二月二八日から支払済みにいたるまで年五分の割合による金員、原告藤原精一に対し、二〇六万円およびそのうち一八六万円に対する昭和四四年二月二八日から支払済みにいたるまで年五分の割合による金員を各支払え。

二、原告両名のその余の請求をいずれも棄却する。

三、訴訟費用中、原告平井艶子と被告らとの間に生じたものは、これを四分し、その一を被告らの、その余を右原告の、原告藤原精一と被告らとの間に生じたものは、これを五分し、その一を被告らの、その余を右原告の、各負担とする。

四、本判決は、第一項に限り、仮りに執行することができる。

事実

第一、当事者の求める裁判

(原告ら)

被告らは、各自、原告平井艶子に対し、一五〇一万六〇四二円およびうち一三六五万〇九四八円に対する昭和四四年二月二八日から支払済にいたるまで年五分の割合による金員、原告藤原精一に対し、一二〇五万六〇四二円およびうち一〇九五万〇九四八円に対する昭和四四年二月二八日から支払済にいたるまで年五分の割合による金員を各支払え。

訴訟費用は被告らの連帯負担とする。

との判決ならびに仮執行宣言。

(被告ら)

原告らの請求を棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

との判決。

第二、当事者の主張

(原告ら)

一、被告山本克己は、昭和四二年一二月二五日午後四時一五分頃、岡山市津島地内の通称岡山大学南北道路を軽四輪自動車を運転して時速四〇キロメートルで北進中、岡山大学法文学部前の交差点に差しかかつたが、同所は、左右の見通しのきかない交通整理の行なわれていない交差点であるから、極力減速徐行し左右の安全を確認すべき注意義務があるのに、これを怠り、同交差点の手前付近で時速約三五キロメートルに減速したのみで左右の安全を確認することなく漫然同交差点を直進通過しようとした過失により、折から同交差点に東方より進入して来た平井智正(以下、単に、被害者という。)運転の自動二輪車を、その直前に接近してはじめて気付き、しかもろうばいして急制動の措置をとることができず、自車前部を自動二輪車前部に衝突させ、よつて、被害者に頭蓋骨骨折、脳挫傷等の傷害を負わせ、同月二七日、岡山市内山下八九番地川崎病院において死亡するにいたらしめた。

二、被告高塚薬品株式会社は、本件加害車両を所有し、これを自己のために運行の用に供していたもので、本件事故は、右被告会社の従業員である被告山本が、被告会社の業務執行として本件加害車両を運転中惹起したものである。

三、被害者および原告らが本件事故により蒙つた損害は次のとおりである。

(一) 被害者の逸失利益 二〇九〇万一八九七円

被害者は、昭和二一年一月一日生れの極めて健康な男子で、事故当時岡山大学農学部四年に在学中で、昭和四三年三月に卒業予定であつたところ、同人は、勉強態度が極めて真摯でその成績は岡山大学農学部開設以来の抜群の優秀なものであり、昭和四二年度国家公務員上級試験甲種(農業工学)に合格し、同年九月五日採用候補者名簿に登載されたが、岡山県に就職すべく希望を申出て同県土木課の採用者名簿に登載され、昭和四三年四月一日から岡山県職員として勤務することは確実であつた。しかるところ、岡山県における退職年令は、慣例上満五五才であるから就職後三四年間県職員として勤務可能であつたところ、その間の給与は、岡山県給与条例における行政職給料表(昭和四二年条例五五号によるもの。以下、単に、給料表という。)の第六等級第一ないし第八号給、第五等級第七ないし第九号給、第四等級第七、八号給、第三等級第五ないし第一二号給、第二等級第九号給、第一等級第六ないし第一五号給等と毎年順次昇給するはずであり、また退職時には所定の退職金も受給しうるから、被害者の生活費を月一万五〇〇〇円として逸失利益総額を計算すると四三二一万二六八三円となり、これをホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除すると、本件事故当時の被害者の逸失利益は一七八九万四八四七円となる。

更に、被害者は平均余命から勘案して六九才まで生存しえたと考えられるところ、満五五才による退職後は、地方公務員共済組合から月五万円の割合で年金が支給され、また、満六〇才までは稼働して少なくとも月五万円の収益を挙げえたはずであるから、前記同様生活費を月一万五〇〇〇円とし、前記同様に中間利息を控除すると、満五六才から満六九才までの期間に挙げうる収益についての本件事故当時の逸失利益額は、三〇〇万七〇五〇円となる。

(二) 被害者の慰謝料 三〇〇万円

被害者は、性格温順かつ学業成績優秀な前途有為の青年であつたが、本件事故により全身に致命傷を受け、事故翌々日の二七日まで生命を保ちえたものの治療の方法もないまま同日午後二時に死亡したものであり、本件事故により蒙つた肉体的、精神的苦痛を慰謝するに金銭をもつてするとすれば三〇〇万円が相当である。

(三) 原告らの慰謝料

原告 平井 三〇〇万円

原告 藤原 五〇万円

原告らは、昭和二〇年三月一四日婚姻し、昭和二一年一月一日被害者をもうけたものであるが、昭和二四年六月六日離婚するにいたり、爾来原告平井は被害者に格別の愛情を注ぎ、同人の成長を生甲斐としていた。それだけに被害者も原告平井に対する親愛の情は深く、母親の愛情に応えるべく真面目に勉強し、在学中は家庭教師のアルバイトをし、農繁期には家事である農作業を率先して手伝う等文字どおりの模範的青年であつた。ところが、被害者は本件事故により無惨な全身傷害を負い死亡するにいたつたもので、右姿を目のあたりにした原告平井の悲痛は筆舌に尽しがたく、また、原告藤原は昭和三〇年三月三〇日再婚し被害者と同居してはいなかつたが、再婚後は子供もなく、被害者を本件事故により失つた精神的苦痛は深刻なものがあり、原告らの右精神的苦痛を慰謝するに金銭をもつてするとすれば、原告平井において三〇〇万円、原告藤原において五〇万円が相当である。

(四) 被害者の葬儀費用 二〇万円

原告平井は、被害者の葬儀費用として少なくとも二〇万円を出捐した。

(五) 弁護士費用

原告 平井 一三六万五〇九四円

原告 藤原 一〇九万五〇九四円

原告らは被告らに対し、本件事故による損害について交渉をなしたが、被告らが誠意をみせないため、原告らはやむなく原告ら訴訟代理人に依頼して本訴を提起したもので、そのため、原告らは右費用として、請求損害額の一割、すなわち、原告平井において一三六万五〇九四円、原告藤原において一〇九万五〇九四円支払う旨約した。

四、原告らは被害者の父母であり、被害者の共同相続人として、前記三の(一)、(二)の損害賠償債権を、その相続分に従い一一九五万〇九四八円宛相続した。

五、以上により、原告平井は、被告らに対し、前記相続した損害賠償債権、慰謝料、葬儀費用および弁護士費用合計一六五一万六〇四二円のうち、自動車損害賠償保障法所定の責任保険より支払を受けた部分を除く一五〇一万六〇四二円およびそのうち一三六五万〇九四八円に対する本件事故後であり、かつ出捐後である昭和四四年二月二八日から支払済みにいたるまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、原告藤原は、被告に対し、前記相続した損害賠償債権、慰謝料および弁護士費用合計一三六五万〇九四八円のうち、自動車損害賠償保障法所定の責任保険より給付を受けた部分を除く一二〇五万〇九四八円およびそのうち一〇九五万〇九四八円に対する本件事故後である昭和四四年二月二八日から支払済みにいたるまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

六、被告主張の二の事実は争う。

本件交差点は南北道路のほうが幅員が広いとはいえ、同道路は岡山大学構内道路であるのに比し、被害者進行の道路は、定期バスの路線となつている車両の通行の頻繁な道路であるから、被告山本に優先通行権があると言うことはできないし、しかも、本件交差点は左右の見通しがきかないのであるから運転者は交差点に進入する際には徐行して左右の安全を十分に確認すべき注意義務があるにもかかわらず、被告山本は左右の安全を確認しなかつたか、もしくは不十分なまま時速三五キロメートルで交差点に進入し、被害者が至近距離に接近してはじめて気付いたものであり、その過失は重大である。被告は被害者が右側通行していたと主張するが、右事実を認めるに足る証拠はないし、仮りにそうであるとしても、被告山本の注意義務違反が重大なことに変りない。

七、被告主張の三、四の事実は認める。

(被告ら)

一(一)  原告主張の一の事実中、その主張の日時に本件事故が発生し被害者が死亡したことは認めるが、その余の事実は争う。

(二)  同二の事実は認める。

(三)  同三の事実は争う。

逸失利益の算定に関しては、所得税を控除し、生活費として少なくとも収入の二分の一を控除し、中間利息の控除はライプニッツ式計算法によるべきであり、また、被害者のように未就職者について昇給、退職金、年金を逸失利益に含めるべきではない。更に、死者に慰謝料請求権を認めるべきではない。

(四)  同四の事実中、原告らが被害者の父母であることは不知、その余の事実は争う。

二、本件事故は、被害者が交差点に進入する際に、自己の進路幅員が七メートルであるのに対し、被告山本の進路(南北道路)幅員は車道部分だけでも九メートルあり、被告山本に優先通行権があるにもかかわらず、道路右側を徐行することなく、漫然交差点に進入したために発生したもので、ほとんど被害者の一方的ともいうべき重大な過失によつて惹起されたものである。しかも、被害者は道路交通法第七一条の二に規定するヘルメツトを着用しなかつたため、頭に致命傷を受けたものである。

本件損害賠償額の算定にあたつては、かかる事情が斟酌されるべきであり、損害額のうち八割が控除されるべきである。

三、原告両名は、本件事故による損害につき、自動車損害賠償保障法所定の責任保険から一五〇万円宛受給している。

四、被告山本は、原告平井に対し、本件事故による損害の内入弁済として一万円支払つた。

第三、証拠〔略〕

理由

一、原告主張の日時に、本件事故が発生し、被害者が死亡したこと、被告会社は本件加害車両を所有し、これを自己のために運行の用に供するもので、本件事故は、被告会社の従業員である被告山本が、被告会社の業務の執行として加害車両を運転中に惹起したものであることは、当事者間に争いがない。

また、〔証拠略〕によれば、次の事実が認められる。

本件事故現場は、岡山大学の間を東西に通ずる市道(幅員七メートル)と岡山大学構内を南北に通ずる通称南北道路(車道部分幅員九メートル)および岡山大学法文学部正門にいたる道路(幅員一〇メートル)とが交差する交通整理の行なわれていない交差点で、被告山本は、南北道路を北進し交差点を直進しようとしたのであるが、同交差点は、南北道路の幅員のほうが市道より広いとはいえ、南北道路は構内道路で市道のほうが交通量が多く、しかも市道南側には鉄柵、植込み等があつて見通しがよくないのであるから、運転者としては、交差点の手前で減速し、左右の道路を注視してその安全を確認して通過すべき注意義務があるのにこれを怠り、交差点の手前で時速を三五キロメートル程度に減速したのみで、漫然と交差点を通過しようとした過失により、折から、市道を西進し交差点に進入して来た被害車両に、右方直前に接近してはじめて気付いたが、急制動の措置をとる間もなく、被害車両左前部に自車右前部を衝突させ、被害車両もろとも被害者を転倒させ、よつて同人を死亡するにいたらしめたものである。

右のように認められ、これに反する被告山本克己本人尋問の結果は措信しがたく、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。

そうすると、本件事故は、被告山本の右過失に起因するものと言わなければならないから、本件事故によつて生じた損害につき、被告山本は民法第七〇九条により、被告会社は自動車損害賠償保障法第三条により、これを賠償すべき義務がある。

二、〔証拠略〕を総合すれば、原告らは本件事故により次の損害を蒙つたことを認めることができる。

(一)  被害者の逸失利益

被害者は、昭和二一年一月一日生れ、事故当時岡山大学農学部農業工学科四年に在学中の健康な男子学生で、学業態度も真面目で優秀な成績を挙げており、昭和四二年度国家公務員上級試験甲種(農業工学)に合格し、岡山県土木課の採用者名簿にも登載され、昭和四三年四月一日付で岡山県職員として採用される予定であつた。

ところで岡山県においては、岡山県職員給与条例(昭和二六年条例第一八号)、職員の任用に関する規則(昭和三〇年人事委員会規則第三号)、初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則(昭和三二年人事委員会規則第七号)等に従つて昇給、昇格するのであるが、昇格については、勤務成績、職務に対する適応性および役付職員の必要性等に左右されるものであり、しかも被害者は就職前であつたのであるから、その点につき控え目にして逸失利益を算定すべきところ、被害者の学歴、性格等を勘案して、被害者は少なくとも、前述の給料表第六等級第一号給で採用されて後、同等級第二ないし第九号給、第五等級第七ないし第二〇号給、第四等級第一四ないし第一九号給、第三等級第一三ないし第一六号給と、順次、岡山県の慣例上の退職(勧しよう退職)年令である満五五才までの三三年間、毎年昇給していき、更に、期末手当および勤勉手当に関する規則(昭和三八年人事委員会規則第二三号)に規定する期末手当、勤勉手当として少なくとも年間合計四ケ月分を受給しえたとするのが相当であり、また、前記退職の際には、岡山県職員の退職手当に関する条例第五条に規定する退職金を貰いえたといわなければならない。しこうして、被害者の生活費については、事故当時被害者は独身であり、その後家族構成に変動をみるであろうことや、職場における役職の向上、給与の増額等に伴ない増加するであろうことなどの事情も考慮し、また被害者は自宅から通勤しえたことをも考慮すると、被害者の生活費は前記給料表六等級九号給にいたるまで、月一万八〇〇〇円、五等級七号給以降は給与の二分の一として、前記給与額から控除するのが相当である。そうすると、被害者が退職するにいたるまでの逸失利益からホフマン式計算法による年五分の割合による中間利息を控除した本件事故当時の逸失利益は別表記載のとおり一〇三七万七九〇〇円となる(一〇〇円未満切捨、以下同様)。

また、被害者は、右退職後満六〇才にいたるまでは、退職の際の役職、年令、学歴等からして少なくとも退職の際の給与の約二分の一の四万円の収益は挙げえたと解するのが相当であり、更に、右退職後は、地方公務員等共済組合法第七八条、第四四条の規定に基づき、退職前三年間の平均給与額の一〇〇分の五九・五に相当する金額を、当裁判所に顕著な厚生省第一〇回生命表の記載により被害者が生存しえたと推認される満六八才までの一三年間受給しえたと言わなければならない。そして、右収入から控除すべきその間の被害者の生活費を前記同様収入の二分の一とし、前記同様ホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除して事故当時の被害者の逸失利益を算出すると、別表記載のとおり、満六〇才までが九二万六〇〇〇円、それ以降が七一万三三〇〇円となる。

(二)  慰謝料

原告らは昭和二〇年三月に婚姻し、被害者および長女をもうけて後、事情あつて離婚するにいたつたものであるが、その後子供二人を原告平井が養育し、子供の成長を生甲斐としていたものであり、被害者においても前途ある青年で、原告平井の期待に応えるべく勉学にいそしみ就職も決めていたものであり、本件事故によりその生命を絶たれるにいたつた無念さは甚大なものであり、その他本件事故の態様等諸般の事情を斟酌すると、その肉体的精神的苦痛あるいは精神的苦痛を慰謝するに金銭をもつてするとすれば、被害者において一〇〇万円、原告平井において二〇〇万円、原告藤原において二〇万円とするのが相当である。

(三)  葬儀費用

原告平井は、被害者の葬儀費用として相当と認められる二〇万円を出捐した。

(四)  弁護士費用

被告らは原告らに対して、本件事故による損害の賠償につき、誠意ある態度を示さないため、原告らはやむなく原告ら訴訟代理人に本訴の提起を依頼し弁護士費用の支払を約したが、そのうち、前記損害額等から相当と認められる原告平井において六〇万円、原告藤原において四〇万円をもつて原告らが蒙つた損害額とするのが相当である。

三、さきにみたように、本件事故は、被告山本の過失に起因するものであるが、前頭各証拠によれば、被害者においても、前述のごとき本件交差点を進行する際には、左方は見通しがよくなく、しかも、左方の道路(南北道路)の幅員のほうが明らかに広いうえ、構内道路とはいえ一般人にも利用される比較的交通量の多い道路であるから、減速して左方の安全を確認してから進行すべき注意義務があるにもかかわらず、漫然と交差点に進入したうえ何ら制動措置をとることなく衝突した過失があることが認められ、他に右認定に反する確証はないから、被害者の右過失は、本件損害の賠償額を算定するに際し斟酌されるべきであり、その程度は約五割の控除をもつて相当とする。したがつて、前記二の(一)の損害については六〇二万円、同(二)の損害については被害者において五〇万円、原告平井において一〇〇万円、原告藤原において一〇万円、同(三)の損害については一〇万円、同(四)の損害については原告平井において三〇万円、原告藤原において二〇万円をもつて各賠償相当額であるということになる。

四、しかるところ、原告らが被害者の父母であること前述のとおりであるから、同人の死亡にともない、その損害賠償債権につき、法定相続分の割合に応じて、いずれもこれが二分の一にあたる三二六万円宛を相続したことが認められるから、原告らは、右相続債権分および前記各自が請求しうべき損害額との合計額、すなわち、原告平井において四六六万円(三〇一万円+二五万円+一〇〇万円+一〇万円+三〇万円)、原告藤原において三五六万円(三〇一万円+二五万円+一〇万円+二〇万円)の各給付を被告ら各自に対して求めうるというべきところ、原告らが、自動車損害賠償保障法所定の責任保険の給付金を一五〇万円宛受給し、原告平井が被告山本より内入弁済として一万円の支払を受けたことおよびその充当関係について、前記損害中弁護士費用を除いた賠償債権に対してなされたものであることは当事者間に争いがない。

そうすると、原告らの本訴請求は、原告平井において三一五万円およびそのうち二八五万円に対する本件事故後でありかつ出捐後である昭和四四年二月二八日から支払済みにいたるまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、原告藤原において二〇六万円およびそのうち一八六万円に対する本件事故後である昭和四四年二月二八日から支払済みにいたるまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を求める部分に限つて理由があるから、右限度において認容することとし、その余は失当であるから棄却すべきものである。

よつて、民訴法九二条、九三条、一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 裾分一立 米澤敏雄 近藤正昭)

(別紙)

6等級9号給まで

(給与額×16ケ月-18,000円×12ケ月)×ホフマン係数=

5等級7号給以降

(給与額×16ケ月-給与額×1/2×12)×ホフマン係数=

結局 給与額×10ケ月×ホフマン係数となる。

<省略>

退職金 80,092×54.45×0.3774≒1,645,800

退職年金等

56才~60才 (40,000+46,380)×1/2×12×(20.9702-19.1834)≒926,000

61才~68才 46,380×1/2×12×(23.5337-20.9702)≒713,300

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例