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岡山地方裁判所 平成8年(ワ)1191号 判決 1997年7月17日

原告

山本博宣

ほか一名

被告

遠矢敏道

主文

被告は、原告らに対し、各金三五〇九万六〇〇〇円及び内金三三五九万六〇〇〇円に対する平成七年一〇月四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は原告ら勝訴の部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

被告は、原告らに対し、各金三七三四万六〇〇〇円及びこれに対する平成七年一〇月四日から支払済みまで年五分の割合による各金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  交通事故

日時 平成七年一〇月四日午後九時二〇分頃

場所 大阪市東住吉区矢田一丁目一七番二五号先国道四七九号線上

加害車両 大型貨物自動車(名古屋一二き二九九五)

右運転者 被告

被害車両 原動機付自転車(長船町き七七六)

右運転者 訴外亡山本起子(以下「亡訴外人」という)

事故態様 被告運転の加害車両(大型トレーラー)が併進していた亡訴外人運転の被害車両に接触し、これを転倒させたもの

2  責任

被告は本件事故当時加害車両を自己のために運行の用に供し、並進する車両に対する注視を怠らないなどの安全運転義務に反し、運転操作を誤った過失があるから、運行供用者責任乃至不法行為責任を負う。

3  権利侵害

亡訴外人は、本件事故により骨盤骨折等の傷害を負い、大阪市内の大阪市立総合医療センターにおいて加療を受けたものの、事故当日午後一〇時二三分骨盤内外の出血に基づく外傷性ショックにより死亡した。

4  損害額

<1> 葬儀費用 金二〇〇万円

<2> 逸失利益 金四五九九万二〇〇〇円

亡訴外人は、本件事故当時二二歳の健康な女子であり、桃山学院大学経営学部の四年生であったから、その逸失利益は、少なくとも平成五年度大学卒女子労働者の全年齢賃金センサス年間金四三一万二七〇〇円に就労可能年数四五年(二二歳から六七歳まで)に対応するライプニッツ係数一七・七七四を乗じ、生活費控除率を四〇%として算出した金四五九九万二〇〇〇円となる。

<3> 慰謝料 金二〇〇〇万円

<4> 小計 金六七九九万二〇〇〇円

5  弁護士費用 金六七〇万円

6  相続

原告らは亡訴外人の両親であり、同人の死亡により相続が開始し、それぞれ相続分二分の一の割合で亡訴外人の権利義務一切を承継した。

7  結論

よって、原告らは、被告に対し、それぞれ損害小計金と弁護士費用との合計金の相続分二分の一に当たる三七三四万六〇〇〇円及びこれに対する事故発生日である平成七年一〇月四日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因1乃至3は認める。

請求原因4乃至6は争う。葬儀費用は一〇〇万円が相当である。亡訴外人が大阪在住で両親が岡山在住であることからすると、逸失利益は、いわゆる大阪方式により、二二歳の大卒女子平均賃金三〇五万五九〇〇円を基礎とし、就労可能年数四五年(二二歳から六七歳まで)に対応する新ホフマン係数二三・二三〇七を乗じ、生活費控除率を四〇%として算出した金四二五九万四四一七円とするが相当である。慰謝料は一八〇〇万円が相当である。弁護士費用は、損害賠償総額を基準に算定すべきではなく、右額から原告らが自賠責保険に被害者請求をすれば得られる筈の三〇〇〇万円を控除した残額を基準に算定すべきである。

第三証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

理由

一  交通事故

請求原因1は当事者間に争いがない。

二  責任

請求原因2は当事者間に争いがない。

三  権利侵害

請求原因3は当事者間に争いがない。

四  損害額

1  葬儀費用 一二〇万円

亡訴外人の年齢、立場等を総合考慮すると、葬儀費用は一二〇万円と認めるのが相当である。

2  逸失利益 四五九九万二〇〇〇円

甲第二、第三号証、第六乃至第二八号証、原告山本博子本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、亡訴外人は昭和四八年九月一九日原告らの長女として出生し、平成四年三月岡山県立岡山城東高等学校を卒業し、同年四月桃山学院大学経営学部経営学科に入学し、本件事故当時二二歳の健康な女子学生であり、平成八年三月には卒業し就職する予定(この時点でも二二歳)であったことが認められる。

したがって、亡訴外人の逸失利益は、死亡した平成七年度賃金センサス第一巻第一表産業計企業規模計大卒女子労働者全年令平均の年間給与額四四一万一六〇〇円から生活費控除割合の四〇%を控除し、これに死亡時の年令二二歳から就労終期の年令六七歳までの年数四五年に対応するライプニッツ係数一七・七七四より死亡時の年令二二歳から就労開始の二二歳までの年数〇に対応するライプニッツ係数〇を控除して得た数値一七・七七四を乗じた四七〇四万七〇六七円と算出されるから、原告ら主張の金四五九九万二〇〇〇円を下回ることはないものというべきである。

なお、被告は、請求原因に対する認否のとおり、亡訴外人の逸失利益の算定について大阪在住等を理由にいわゆる大阪方式により二二歳の大卒女子平均賃金を基礎にして新ホフマン係数によるべきである旨主張するが、昨今の社会情勢に鑑み、大卒女子の年収が生涯にわたって卒業時の初任給額に固定されるものとは考えられないことや、初任給の平均値と全年令平均値との差額等をあわせ考慮すると、本件においては右認定のとおり全年令平均の年間給与額を基礎としライプニッツ係数により逸失利益を算定する方がより実態に沿うものと認める。

3  慰謝料 二〇〇〇万円

本件事故状況、亡訴外人の年齢、立場、家族状況等を総合考慮すると、慰謝料は二〇〇〇万円と認めるのが相当である。

4  合計 六七一九万二〇〇〇円

五  相続

甲第二号証、原告山本博子本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、請求原因6の事実が認められる。

したがって、原告らは、それぞれ前項の損害賠償債権額六七一九万二〇〇〇円の相続分二分の一である三三五九万六〇〇〇円を相続取得したものと認められる。

六  弁護士費用

本訴の内容、審理の経緯、争点の内容(実質的に損害額の算定額の一部に限定されている事実)、認容賠償損害額等を総合考慮すると、弁護士費用は原告らについて各一五〇万円と認めるのが相当である。

七  結論

以上によれば、原告らの本訴請求は、被告に対し、それぞれ損害賠償債権額の相続分三三五九万六〇〇〇円と弁護士費用一五〇万円との合計三五〇九万六〇〇〇円及びうち弁護士費用を除く三三五九万六〇〇〇円に対する本件事故の日である平成七年一〇月四日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条を、仮執行宣言の申立について同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 矢延正平)

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