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富山地方裁判所 昭和57年(わ)225号 判決 1983年5月06日

本籍

富山市西番九六六番地

住居

富山市秋吉一〇番地

医師

金山典央

大正一四年八月一〇日生

本店所在地

富山市秋吉一〇番地

商号

株式会社若杉屋

右代表者代表取締役

安井二郎

本店所在地

富山市秋吉一〇番地

商号

エス・ケイ企画株式会社

右代表者代表取締役

安井二郎

右三名に対する法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は検察官森川大司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人金山典央を懲役一年に、同株式会社若杉屋を罰金一、三〇〇万円に、同エス・ケイ企画株式会社を罰金七〇〇万円に処する。

被告人金山典央に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社若杉屋は、昭和四六年一二月一〇日に設立され、富山市秋吉一〇番地に本店を置き、医療品・医療機械器具の販売、不動産業等を営むもの、同エス・ケイ企画株式会社は、昭和五五年二月二五日に設立され、右同所に本店を置き、医療施設の清掃業務、洗濯業務等の受託、一般食料品の販売等を営むもの、被告人金山典央は、右株式会社若杉屋の代表取締役、かつ右エス・ケイ企画株式会社の取締役として両社の業務全般を統括掌理しその業務に従事していたものであるが、被告人金山典央は、

第一  被告人株式会社若杉屋の業務に関し、その法人税を免れようと企て

一  昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの同被告会社の事業年度における所得金額が一億五、六三三万三、八六七円で、これに対する法人税額は六、一六七万六〇〇円であるのに、別紙1の修正損益計算書のとおり公表帳簿に施設利用料等の収入を記帳せず、架空又は水増しの役員報酬、給与手当等を計上するなどの不正手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五五年二月二六日、富山市丸の内一丁目五番一三号所在の富山税務署において、同税務署長に対し、同被告会社の同事業年度の所得金額が一億一、〇一〇万三、六九二円で、これに対する法人税額は四、三一七万八、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同被告会社の法人税額一、八四九万二、〇〇〇円を免れ、

二  同五五年一月一日から同年一二月三一日までの同被告会社の事業年度における所得金額が一億七、〇三二万五、七〇九円で、これに対する法人税額は六、七二四万六、五〇〇円であるのに、別紙2の修正損益計算書のとおり、前同様の不正手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五六年二月二七日、前記富山税務署において、同税務署長に対し、同被告会社の同事業年度の所得金額が九、八七二万九、四二四円で、これに対する法人税額は三、八六〇万八、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同被告会社の法人税額二、八六三万八、四〇〇円を免れ

第二  被告人エス・ケイ企画株式会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、同五五年二月二五日から同年一二月三一日までの同被告会社の事業年度における所得金額が八、〇七六万五、六四〇円であるのに、別紙3の修正損益計算書のとおり、前同様の不正手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五六年二月二七日、前記富山税務署において、同税務署長に対し、同被告会社の同事業年度の所得金額が一、四七一万六一五円で、これに対する法人税額は、五一〇万六、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同被告会社の法人税額二、六四二万二、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示各事実について、被告人金山典央の当公判廷における供述のほか、記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)に記載されている次の番号の各証拠

判示の全事実について

甲の14、19、31ないし50、53、56ないし59、73、76並びに78ないし83(昭和五八年押第三号の2ないし7)

乙の一ないし5、7ないし15

判示冒頭の事実について

甲の7、8、12、13

判示第一の一の事実について

甲の1、2、4、15、16、20ないし23、27、29、30、54、71、84、85(昭和五八年押第三号の8)、87(同号の10)

判示第一の二の事実について

甲の1、3、5、15、16、20ないし22、24、25、27、29、30、54、60ないし62、66、68ないし71、74、75、84、85(昭和五八年押第三号の8)、86(同号の9)、90、91、93(同号の14)

判示第二の事実について

甲の10、11、17、18、26、28、63、65、67ないし69、72、84、88(昭和五八年押第三号の11)、89(同号の12)、90、91、93(同号の14)乙の6

(法令の適用)

一  被告人金山典央の判示第一の一、二及び第二の所為は、いずれも行為時においては昭和五六年法律第五四号(脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律)による改正前の法人税法一五九条一項に、裁判時においては右改正後の法人税法一五九条一項に該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条、一〇条により犯情の最も重い第一の二の罪に法定の加重をし、その刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予することとする。

二  判示第一の一、二の所為は、いずれも被告人株式会社若杉屋の代表者である金山典央が同被告会社の業務に関して犯したもの、判示第二の所為は、被告人エス・ケイ企画株式会社の従業者である金山典央が同被告会社の業務に関して犯したものであるから、いずれも行為時においては昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項により、各被告会社にも右改正前の同法一五九条一、二項所定の罰金刑が適用され、裁判時においては右改正後の法人税法一六四条一項により、各被告会社にも同法一五九条一、二項所定の罰金刑が適用されるが、右新旧法令の間には刑の変更がないから、いずれも行為時法によることとし、被告人株式会社若杉屋に関する判示第一の一、二の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項によるところ右各罪につきいずれも情状により改正前の法人税法一五九条二項所定の罰金の合算額の範囲内で被告人株式会社若杉屋を罰金一、三〇〇万円に処することとし、被告人エス・ケイ企画株式会社に関する判示第二の罪については、情状により改正前の法人税法一五九条二項所定の金額の範囲内で被告人エス・ケイ企画株式会社を罰金七〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 大山貞雄)

別紙1

修正損益計算書

株式会社若杉屋

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月31日

<省略>

<省略>

別紙2

修正損益計算書

株式会社若杉屋

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日

<省略>

<省略>

別紙3

修正損益計算書

エス・ケイ企画株式会社

自 昭和55年2月25日

至 昭和55年12月31日

<省略>

<省略>

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