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富山地方裁判所 平成8年(わ)236号 判決 1997年3月18日

本店所在地

富山市横越一六八番地

被告人

ジャパンメディック株式会社

(右代表者代表取締役 前田秀政)

本籍

富山市浜黒崎九一五番地

住居

右同

職業

会社役員

被告人

前田秀政

昭和二年三月一八日生

主文

被告人ジャパンメディック株式会社を罰金四〇〇〇万円に、被告人前田秀政を懲役一年六月に処する。

被告人前田秀政に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人ジャパンメディック株式会社(平成七年一〇月二日以前の商号は株式会社前田模範堂。以下「被告会社」という。)は、富山市横越一六八番地(同日以前は同市栄町三丁目二番二号)に本店を置き、医薬品、家庭薬の製造販売等を目的とする資本金三五〇〇万円の株式会社であり、被告人前田秀政は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人前田は、被告会社の業務に関し、法人税を逃れようと企て、売上げを除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成四年三月一日から平成五年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億〇二一〇万円一七七二円(別紙1修正損益計算書及び同2修正製品製造原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成五年四月二八日、富山市丸の内一丁目五番一三号所在の所轄富山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二三八万〇八九五円で、これに対する法人税額が三四八万九三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七四六三万四七〇〇円と右申告税額との差額七一一四万五四〇〇円(別紙7ほ脱税額計算書参照)を免れ、

第二  平成五年三月一日から平成六年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九八三九万四四八〇円(別紙3修正損益計算書及び同4修正製品製造原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成六年四月二八日、前記富山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二五三三万九三一五円で、これに対する法人税額が八二二万七六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三五六二万三三〇〇円と右申告税額との差額二七三九万五七〇〇円(別紙7ほ脱税額計算書参照)を免れ、

第三  平成六年三月一日から平成七年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億三二四四万三三五三円(別紙5修正損益計算書及び同6修正製品製造原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成七年四月二八日、前記富山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六六五五万三一〇〇円で、これに対する法人税額(同族会社の留保金課税額を除く)が二三八五万三七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額八六〇六万二四〇〇円と右申告税額との差額六二二〇万八七〇〇円(別紙7ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠)

(括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)

全事実について

・被告人の公判供述及び検察官調書(乙九)

・田上陽子、護摩堂満知子、前田邦子、前田康博、前田教雄、大田喜代士の各検察官調書

・捜査報告書(甲九)

・査察官調査書(甲二〇ないし三五)

・登記簿謄本及び閉鎖登記簿謄本(甲三)

第一事実について

・証明書(甲六)

第二事実について

・証明書(甲七)

第三事実について

・証明書(甲八)

(適用法令)

被告人について

罪条 いずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択 いずれも懲役刑を選択

併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予 刑法二五条一項

被告会社について

罪条 いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

併合罪加重 刑法四五条前段、四八条二項

(量刑の事情)

本件は、医薬品、家庭薬の製造販売等を目的とする被告会社が、新薬の開発、販売により飛躍的に売り上げを伸ばし、多額の利益を得たにもかかわらず、売上除外、架空仕入の計上、期末棚卸高の減額などの方法により法人税を脱税したという事案である。その脱税額は総額で約一億六〇〇〇万円と多額であり、ほ脱率も最高九五・三パーセントと高く、かつ、脱税の動機は、多額の納税を先送りにすることで新工場建設の資金を確保しようというものであって酌むべき点はない。脱税の態様も、取引先に架空の請求書、納品書の作成を依頼するなど第三者を巻込んだ悪質なものである。これらの事実を総合考慮すると本件犯行は悪質であり、これらを率先して指示して行わせた被告人の刑事責任は重い。

しかし、各年度分について修正申告がなされ、本税、重加算税、延滞税のいずれも納付済みであること、会社の経理体制を改善するなどして反省の態度が窺われること、被告人、被告会社ともにこれまで前科前歴のないことなど有利な事情もあるので、これらの事情を考慮して主文の刑を相当と判断した。

(裁判官 堀内照美)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

別紙2

修正製品製造原価報告書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

別紙4

修正製品製造原価報告書

<省略>

別紙5

修正損益計算書

<省略>

別紙6

修正製品製造原価報告書

<省略>

別紙7

ほ脱税額計算書

(1) 自 平成4年3月1日

至 平成5年2月28日

ジャパンメディック株式会社

<省略>

(2) 自 平成5年3月1日

至 平成6年2月28日

ジャパンメディック株式会社

<省略>

(3) 自 平成6年3月1日

至 平成7年2月28日

ジャパンメディック株式会社

<省略>

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