大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

宇都宮地方裁判所 平成11年(行ウ)5号 判決 1999年11月24日

原告

思川商事株式会社

右代表者代表取締役

福田穂

右訴訟代理人弁護士

大森鋼三郎

被告

宇都宮市長 福田富一

右指定代理人

中垣内健治

牧野広司

藤原一晃

落合三郎

田村一美

津久井文夫

手塚敏男

秋山正美

野沢省一

関哲雄

矢島式雄

室井君夫

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第三 当裁判所の判断

一  法は、市街化調整区域における開発行為について、法二九条ただし書各号に定めるもののほかは、あらかじめ都道府県知事(中核市の指定を受けている宇都宮市においては同市の長。以下同じ。)の許可を受けなければならない旨規定し、開発許可の申請を受けた都道府県知事は、法三三条に定める要件を充足するほか、法三四条各号の一に該当すると認める場合でなければ開発許可をしてはならない旨規定している。そして、同条一〇号ロは、許可することができる開発行為として、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為で、都道府県知事があらかじめ開発審査会の議を経たものと規定している(なお、本件申請に係る開発行為が同条一号ないし九号及び一〇号イの要件を充足しないことは、当事者間に争いがない。)。

二  ところで、前記争いのない事実によれば、本件申請は、市街化調整区域内にあった原告所有の遊技場が収用対象事業の施行により収用されたため、原告がこれに代わる遊技場を市街化調整区域内に建築することを計画して行った開発許可の申請であること、原告が所有していた従前の遊技場の規模は、敷地面積が八四三・八一平方メートル、延床面積が七八三・六八平方メートルであったところ、本件申請に係る遊技場は、敷地面積が四九二七・二八平方メートル、延床面積が八八四・六〇平方メートルというもので、延床面積は従前より若干広い程度であるが、敷地面積は従前の五・八倍以上のものであることが認められる。

このように、本件申請が、公共事業による収用対象となった建築物の移転による再築という目的でなされるものであり、建築物の規模自体は従前とほぼ同一のものであるとしても、建築物の敷地面積(開発区域)の大きさは、建築物自体の規模・用途などと並んで、周辺の市街化を促進するおそれがないか否かを判断するにおいて重要な事項というべきであるところ、本件申請に係る遊技場の敷地面積が四九二七・二八平方メートルと従前の敷地面積の五・八倍以上の広さであることからすると、本件申請に係る開発行為は、開発区域周辺の市街化を促進するおそれがないものとは認められず、法三四条一〇号ロの要件を充足しないものというべきである。

なお、原告は、本件申請に係る開発行為が法三四条一〇号ロの要件を充足するか否かについては、平成元年四月一日改正施行の栃木県開発審査会提案基準によって判断すべきである旨主張するが、右基準は行政内部の運用基準に過ぎず、また、右基準に従って判断してみても、四四年通達及び五七年通達を踏まえて右基準を解釈適用すれば、敷地面積が従前の五・八倍以上とされる本件申請に係る開発行為は右基準に該当するとはいえないものである。

したがって、本件申請に係る開発行為は、法三四条各号のいずれにも該当しないものであるから、本件申請を不許可とした被告の処分は適法である。

三  よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 羽田弘 裁判官 小川浩 中尾佳久)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例