大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

奈良地方裁判所 昭和55年(わ)173号 判決 1980年11月26日

本店所在地

奈良県大和高田市大字藤森二一三番地

大和プラスチック株式会社

代表者代表取締役吉村定雄

本籍

奈良県大和高田市大字藤森二七五番地

住居

右同所 二一三番地

会社役員

吉村定雄

大正一五年九月五日生

出席検察官

宮下準二

主文

被告人大和プラスチック株式会社を罰金三、〇〇〇万円に処する。

被告人吉村定雄を懲役二年に処する。

被告人吉村定雄に対しこの裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人大和プラスチック株式会社は肩書地に本店を置き、園芸用プラスチック製品の製造・販売を目的とするもの、同吉村定雄は右会社の代表取締役として業務全般を統轄しているものであるが、被告人吉村は、被告人会社の業務に関し、その所得を隠匿して法人税を免れようと企て、

第一  昭和五一年五月二一日から同五二年五月二〇日までの事業年度における所得金額は一億四、四二七万四、七〇〇円で、これに対する法人税額は五、五六六万八、九〇〇円であるのに、公表経理上架空の仕入を計上するほか売上の一部を除外し、よって得た資金を仮名定期預金等として留保するなどの不正手段により、所得金額のうちから六、七二二万七二三円を秘匿したうえ、同五二年七月二〇日、同市三和町二番地の一七所在の葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が七、七〇五万三、九七七円で、これに対する法人税額が二、八七九万七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって前記右事業年度の正規の法人税額との差額二、六八七万八、二〇〇円をほ脱し、

第二  同五二年五月二一日から同五三年五月二〇日までの事業年度における所得金額は一億五、四四七万六、〇四三円で、これに対する法人税額は五、九五六万四、九〇〇円であるのに、前同様手段により所得金額のうちから九、四六四万七、一二三円を秘匿したうえ、同五三年七月一九日前記葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が五、九八二万八、九二〇円でこれに対する法人税額が二、一七二万三、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって前記事業年度の正規の法人税額との差額三、七八四万一、五〇〇円をほ脱し、

第三  同五三年五月二一日から同五四年五月二〇日までの事業年度における所得金額は二億六、七二一万五、三六〇円で、これに対する法人税額は一億四九二万四、五〇〇円であるのに前同様手段により所得金額のうちから九、七〇二万五、三一三円を秘匿したうえ、同五四年七月二〇日前記葛城税務暑において、同暑長に対し、所得金額が一億七、〇一九万四七円で、これに対する法人税額が六、六一一万八、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて前記事業年度の正規の法人税額との差額三、八八〇万六、四〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実を通じ

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  古村英子、今井嘉弘の各検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書

一  松浦俊明(昭和五五年四月一四日付)、森田進、高木克三の各大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  高原圭太郎(二通)、古川和夫(昭和五五年四月二四日付)、宮崎安一、小林一仁、鎌田豊(同年四月二五日付)各作成の査察官調査書

一  古川和夫、宮崎安一各作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書

一  山内国輔、松浦俊明各作成の確認書

一  金澤徳昭作成の現金預金有価証券等現在高確認書

一  被告人会社作成の証明書(定款)

一  登記官稲田伊佐男作成の登記薄謄本

判示第一、第二の事実につき

一  原田隆三郎作成の各確認書

判事第一、第三の事実につき

一  杉原義人の検察官に対する供述調書

一  松浦俊明(昭和五五年一月二九日付)、杉原義人の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一  松井精朗作成の確認書

判事第二、第三の事実につき

一  小林三郎の大蔵事務官に対する質問てん末書

判事第一の事実につき

一  宮崎諦玉作成の証明書(昭和五二年七月二〇日付確定申告書、検一号証)

一  宮崎安一作成の脱税額計算書(検四号証)、脱税額計算書説明資料(検七号証)

一  古川和夫作成の昭和五五年四月二五日付査察官調査書

一  長谷川陽一作成の確認書

判事第二の事実につき

一  宮崎諦玉作成の証明書(昭和五三年七月一九日付確定申告書検二号証)

一  宮崎安一作成の脱税額計算書(検五号証)、脱税額計算書説明資料(検八号証)

一  中村照男こと権寧寅の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  鎌田豊作成の昭和五五年四月二一日付査察官調査書(検四五号証)

判事第三の事実につき

一  宮崎諦玉作成の証明書(昭和五四年七月二〇日付確定申告書、検三号証)

一  宮崎安一作成の脱税額計算書(検六号証)、脱税額計算書説明資料(検九号証)

一  大神忠良作成の供述書

一  鎌田豊作成の昭和五五年四月二一日付(検四六号、四七号証)、古川和夫作成の同年三月二九日付各査察官調査書

一  藤岡速男作成の取引内容の照会に対する回答書

(法令の適用)

一  被告人吉村定雄に対し

1  判示各事実につき

法人税法一五九条一、二項(各懲役刑選択)

2  併合罪加重につき

刑法四五条前段、四七条、一〇条

(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重する。)

3  刑の執行猶予につき

刑法二五条一項

二  被告人会社につき

1  判示各事実につき

法人税法一五九条一、二項、一六四条一項

2  併合罪加重につき

刑法四五条前段、四八条二項

昭和五五年十二月五日

(裁判官 管納一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例