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大阪高等裁判所 昭和42年(ウ)500号 決定 1967年10月12日

申立人 久保田鉄工株式会社

右代表者代表取締役 小田原大造

右申立代理人弁護士 加藤澄蔵

同 田中正雄

同 金光邦三

同 小長谷国男

被申立人 福元一夫

<ほか一名>

右両名代理人弁護士 深田和之

同 松本健男

主文

被申立人福元一夫に対する申立を却下する。

大阪地方裁判所が昭和三七年(ヨ)第四八三号労働仮処分事件について、昭和四一年七月八日言渡した判決主文第二項中、被申立人高橋昭次に関する部分は、昭和四二年六月一日以降の支払額のうち月額金一〇、〇〇〇円をこえる部分にかぎり、申立人において金三〇〇、〇〇〇円の保証を供託するときは、右事件の控訴事件の判決言渡までその執行を停止する。

申立人の被申立人高橋昭次に対するその余の申立を却下する。

理由

申立の趣旨および理由は、別紙記載のとおりである。

一、被申立人福元一夫に対する申立について。

疎明によると、被申立人福元一夫は、昭和四二年四月奈良県立医科大学に入学し在学中であることが認められるが、同人がそのために申立人との雇傭契約上の地位ないし権利を放棄したことを認めるにたりる疎明はなく、被申立人福元一夫審尋の結果によれば、申立人が同人の就労を認めるならば、学業をやめ職場に復帰する意思のあることが認められる以上被保全権利がないということはできない。

よって、同人に対する仮処分執行停止申立は理由がない。

二、被申立人高橋昭次に対する申立について。

疎明ならびに被申立人高橋昭次審尋の結果によると、被申立人高橋昭次は、昭和三八年一月から東尼崎診療所に勤務し、毎月一二、五〇〇円の給与を受け、昭和四二年一月からは手どり月二〇、〇〇〇円の収入をえていること、同人は、昭和四〇年五月結婚し、妻と子供一人で妻の収入が月一七、〇〇〇円あること、生活費として月四〇、〇〇〇円から四五、〇〇〇円を支出していることが認められる。ところで、他に勤務し継続的収入がある場合は、本来の業務以外の一時的収入とは認められないので、被申立人が就労を免れたことによってえられたものというべきであり、したがって、この部分については生活費の補填がなされていて仮処分の必要性はないわけである。そうすると、被申立人高橋昭次については、本件申立のあった月である昭和四二年六月一日以降は月額一〇、〇〇〇円をこえる部分は、仮処分の必要性はないものと認めるのを相当とする。

よって、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 岡野幸之助 裁判官 宮本勝美 菊地博)

<以下省略>

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