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大阪高等裁判所 昭和41年(ネ)1249号 判決 1968年4月18日

理由

先ず職権により控訴代理人の代理権の有無を考察する。同代理人が原審において提出した手形控訴判決異議申立書には「本件手形は被告Bの亡夫Aの債務であり、Cは息子の名義である。Cは現在一六才の未成年者である。」との記載があり、記録添付の戸籍謄本によると、Cの生年月日は昭和二四年一一月二五日であり、Aの死亡により親権者は母である控訴人Bであること明らかである。ところで原審において控訴人Bは被告本人尋問のため四回呼出を受けて出頭せず、当審においても控訴代理人は六回にわたる口頭弁論期日のうち第一、二回以外は全く出頭せず、同代理人選任の経緯について調査し得る範囲が限られているのであるが、右選任の各委任状を見ると、原審答弁書に添付分の委任者欄には、右側にB左側にCの各記名押印があり、前記異議申立書添付の分と当審提出の分は、いずれも右側にC左側にBの各記名押印がある。これらの筆蹟を比較してみても、控訴人両名の記名押印を何人がなしたか容易に判定し難いが、少くとも控訴人Bが同Cの法定代理人兼本人として自己の署名捺印をしたか、或いはCの法定代理人として同人の記名捺印を代行したかのいずれかであると考えられるので、これらの委任状は控訴人両名のための代理権を証するに十分である。

進んで本案につき考察する。控訴人らは原審及び当審を通じ本訴請求原因事実を明らかに争わないので、これを自白したものとみなすべきであるが、本件約束手形(甲第一号証)を見ると、振出人欄には控訴人Cの記名押印があるにすぎず、未成年者の手形行為としての方式に違反していること勿論である。しかしその受取人及び第一裏書人が母であるBであり、しかも前記異議申立書の記載その他本件口頭弁論の全趣旨から見て控訴人両名の間には利益の相反があることは認定できないこと、並に先きに認定した訴訟代理人選任の状況等を考えあわせると、右Cの振出行為もまた控訴人Bが代理して行なつたものと解するか、或いは少くとも右Bが未成年者の振出行為に同意を与えたものとして、完全に有効であり、民法第八二六条適用の余地もないものと解するのが相当である。

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