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大阪高等裁判所 昭和32年(ラ)171号 決定 1957年9月19日

抗告人 高山幸太郎(仮名)

主文

原決定を取消す。

抗告人がその名を公三と変更することを許可する。

理由

抗告人及びその実父高山友一の各審問の結果、戸籍抄本二通並に高山幸太郎(同名異人)作成の嘆願書を総合すれば、抗告人は○○○市において右高山友一の二男として生れ同市に成長して現在父と共に○○○布教師をしている者であつて、肩書現住地にはすでに二十数年間引続き居住するのであるが、同市字○○○○番地に本籍及び住所を有する同名異人があつて、同人は○○○市長の子で現に市会議長その他の要職にあり、抗告人の住所とは僅か四町を隔てるのみであるばかりでなく年令においても僅か二年の差があるにすぎないため、しばしば互に人違をされ、郵便物等についても誤配の迷惑を蒙ることが少くないのみならず、抗告人もまた教団より推されて次期市会議員選挙に出馬の準備中であつて、もし立候補のあかつきには、全市一選挙区の関係上、同じく立候補確実の右同名異人との間に選挙運動並に得票計算上困難を来す恐れあり、右同名異人においても抗告人の名の変更を熱望していること、抗告人及びその家族は正業に従事し負債もないこと並に変更許可を求めようとする新しい名は抗告人の名の通称を他の漢字を以て表したものにすぎないことが認められ、名の変更を以て他の不正意図に利用しようとするものであることを疑うこともできない。

右の事実に徴すれば、抗告人の名の変更は正当の事由によるものというを妨げず、これと所見を異にする原決定は結局取消を免れない。よつて戸籍法第一〇七条第一一九条家事審判規則第一九条に則り主文のように決定をする。

(裁判長判事 沢栄三 判事 井関照夫 判事 坂口公男)

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