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大阪高等裁判所 昭和26年(ラ)116号 決定 1952年5月27日

抗告人 佐々木荘敬

主文

原審判を取り消す。

本件を京都家庭裁判所に差し戻す。

理由

抗告人は「原審判を取り消す。抗告人の名「荘敬」を「崇泰」に変更することを許可する」との裁判を求め、その抗告理由は別紙記載のとおりである。

そこで考えてみる。抗告人は抗告人の名「荘敬」は漢読みであるため神道教師としてふさわしからず、且つ布教上差支えがあることを理由と名の変更を求めているのである。僧侶、神道教師等、宗教に従事する者が、いわゆる俗名のままでは、布教伝導上において支障があるとすれば、その名を適当な名に変更することは、社会通念からいつて是認すべきことであり、かような場合には戸籍法第百七条第二項にいわゆる名の変更について正当な理由がある場合にあたるものと解するのが相当である。しかるに原裁判所は、抗告人の名「荘敬」では抗告人の主管する天地教の布教伝導上支障があるかどうかについては何等顧慮を払つた形跡がなく、単に抗告人の名「荘敬」は社会通念からみて神道教師たる抗告人にふさわしくないとはいえない。抗告人の求める名「崇泰」を一般人が抗告人の望む「タカヒロ」と正読し得るかどうか疑わしい、として、たやすく抗告人の本件申立を却下したのは不当であり、本件抗告は理由があるものといわなければならない。

よつて家事審判規則第十九条により主文のとおり決定する。

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