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大阪高等裁判所 平成10年(ネ)860号 判決 1998年12月21日

呼称

控訴人(一審原告)

氏名又は名称

野崎繊維工業株式会社

住所又は居所

新潟県加茂市新町一丁目四番二一号

代理人弁護士

中根宏

代理人弁護士

亀井正照

呼称

被控訴人(一審被告)

氏名又は名称

野▲崎▼善弘

住所又は居所

京都府京都市右京区梅津南広町八一番地の三 ユニハイム四条梅津五〇二

呼称

被控訴人(一審被告)

氏名又は名称

野▲崎▼隆司

住所又は居所

京都府京都市右京区梅津南広町二五番 コープ野村四条五一一

呼称

被控訴人(一審被告)

氏名又は名称

やまの株式会社

住所又は居所

京都府京都市中京区室町錦小路上ル山伏山町五五八番地 三洋室町ビル六〇一

代理人弁護士

山名隆男

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人野▲崎▼隆司は、控訴人に対し、金六七〇万二六〇五円及びこれに対する平成四年一月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  被控訴人野▲崎▼善弘は、控訴人に対し金八四七万八〇一九円及びこれに対する平成四年二月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

4  被控訴人野▲崎▼隆司及び同野▲崎▼善弘は、控訴人に対し、各自金三〇〇万円及びこれに対する平成四年一月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

5  被控訴人らは、控訴人に対し、各自金三〇〇〇万円及びこれに対する平成四年一一月三日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

6  被控訴人らは、原判決別紙目録記載の商標及びシール等を使用し、又はこれらを付した繊維製品若しくは販売元を控訴人と誤認させる一切の製品を販売してはならない。

7  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

8  仮執行宣言

二  被控訴人

主文と同旨

(以下の文中、控訴人を「原告」又は「原告会社」、被控訴人を「被告」という。)

第二  事案の概要

一  次に付加、訂正するほか、原判決の「第二 事案の概要」のとおりであるからこれを引用する。

二  原判決の訂正等

1  原判決九頁七行目の「写真10」の次に「、20」を加える。

2  原判決一〇頁一行目の「、50」を「ないし51」と改め、同頁四行目の「3、30」の次に「、32」を、同「検甲六の2」の次に「、検証調書写真26」を各加える。

3  原判決一三頁一〇行目の「同事件原告らの」の次に「保有株式の合計数は、新株発行、減資前においても原告会社の発行済株式総数の過半数に達しないため、」を加える。

4  原判決一八頁九行目の「被告」の次に「善弘」を加える。

5  原判決二二頁五行目の「(一)ないし(八)」を「(一)ないし(七)」と改める。

6  原判決二四頁一行目から二行目の「小熊機業株式会社」を「小熊機業有限会社」と、同頁二行目の「精織され」を「製織され」と各改め、同頁七行目の「原告」の次に「会社」を加える。

7  原判決二六頁一行目の「登録商標以外の」を「登録商標だけでなく、その」と改める。

第三  当裁判所の判断

一  当裁判所も、原判決と同じく、原告の本訴請求を棄却すべきものと考える。

その理由は、次に付加、訂正するほか、原判決の「第三 当裁判所の判断」に説示するとおりであるから、これを引用する。

二  原判決の訂正等

1  原判決三二頁六行目の「甲」の次に「一一、」を、同頁八行目の「ように示す)」の次に「及び弁論の全趣旨」を各加える。

2  原判決三七頁九行目の「一月から」の次に「被告らの退職届が提出された」を加える。

3  原判決三七頁末行の「右のような」の前に、「他方、これらの値引販売が、特に不当な目的のもとになされた形跡もない以上、」を加える。

4  原判決三八頁四行目の末尾に「原告会社は、当審において、売上が減少したのは、被告隆司が在職中の値引き販売を利用して顧客を退職独立後の被告やまのとの取引に誘引したからであると主張するが、これを認めるに足る証拠はなく、右グラフによると、被告隆司が退職する以前から売上が減少しており、前記認定に沿う、厳しい市況であったことが窺われる。」を加える。

5  原判決三八頁五行目冒頭から同頁一一行目末尾までを、次のとおり改める。

「 原告会社は、製造原価を下回る価額での販売を行う場合は、理由を付して本社の事前の承認を要する内規となっていたと主張し、甲四〇の3にはこれに沿う記載もあるが、これには『理由を社長宛報告するよう定めてあったはずである』とのみ記載されており、右は事前の報告を意味するとは限らず、事前の承諾を得なければならなかったとまで認めることはできない。」

6  原判決四〇頁五行目の次に行を改め、次の文を加える。

「 なお、原告会社は、当審において、平成三年一〇月末までに詳細な報告がなされておれば、甲五二の10のように『報告を受けてきたが、その内容について今一つ明快な答えが帰ってこない』という記載の書面が同年一〇月三〇日付で送信されることはあり得ないと主張するが、右記載によっても一応の報告がなされたことは認められ、また、それまでになされた被告善弘の報告の具体的内容が明らかでない以上、原告会社の主張は採用できないし、原告会社としては、三共生興の担当者名の告知も受けていたのであるから、いつでも直接事情を聞くこともできたのであるから、ことさらに被告善弘が三共生興との交渉内容を秘匿したとも考えにくい。」

7  原判決四一頁九行目の次に行を改め、次の文を加える。

「 なお、原告会社は、当審において、遅くとも平成二年九月までには先方へ着荷開梱されているから、その時点で直ちに規格違いを報告されていれば、無駄な製造を中止できたと主張するが、右日時までに着荷開梱されたことを認めるに足る証拠はなく、仮に、平成二年九月までに着荷していたとしても、相手方が、規格違いであるか否かを判断し、その後、三共生興を通じて報告するのであった、その報告が原告会社の製造中止を可能とする時点までにあったと認めるに足る証拠もないから、これに関する被告善弘の責任を認めるに足りない。」

8  原判決四二頁一二行目の「商品として」の次に「<本>岩崎の」を加

9  原判決四三頁三行目の「には」を「によれば、和己は」と、同頁四行目の「いうが」を「供述するが」と、同頁五行目の「あるうえ」を「ある。また、和己は」と、同頁八行目の「の供述が存するが」を「と供述するが」と各改める。

10  原判決四五頁六行目の「五〇万円台」の次に「(平成五年二月)」を、同頁七行目の「越えている」の次に「(平成四年六月)」を各加える。

11  原判決四六頁三行目冒頭の「のではない」の次に「。」を加え、同行の「上、」から同頁四行目末尾までを削除し、同頁一一行目の「ピュアドブラック駒絽反物」を「駒絽ピュアドブラック」と改める。

12  原判決四七頁末行の「認められる」の次に「(和己一四回、検甲一の2、七の2、七の3、一二、一四の2、一四の3)」を加える。

13  原判決四八頁末行の次に行を改め、次の文を加える。

「 また、証人野崎圭三は、平成三年一二月七日、原告会社京都店に赴いたところ、もぬけの殻で、製品が多少あったが、品質保証シールなどもなかったと供述するが(証人野崎一九回=七頁以下)、和己は盗まれたシールは平成三年一〇月二二日分(品質保証五八九〇〇一から五九四〇〇〇シール、甲二七)であり、一一月三〇日分(同五九四〇〇一から五九九〇〇〇のシール、甲二八)は京都店から持ち出されていないと供述していることや(甲七八=一六丁以下)、前記事情に照らすと、右供述はにわかに採用し難く、平成三年一一月に多量に仕入れた文庫、シール類を被告善弘及び同隆司が横領したと直ちに認めることはできない。

さらに、原告会社は、当審において、五八九〇〇一番から五九四〇〇〇番までの品質保証シールを商品に貼付使用した記録もないと主張するが、常に、シールの貼付を記録していたと認めるに足る証拠はなく、前同様、これのみによって、シール類を被告善弘及び同隆司が横領したと認めることはできない。」

14  原判決四九頁二行目の「業務に使用しない目的で」を「業務に使用する目的もなく」と改める。

15  原判決五二頁三行目の「御所ちりめん」を削り、同頁七行目の「駒絽」の次に「石持」を加える。

16  原判決五四頁二行目の「駒絽」の次に「石持」を加える。

17  原判決五七頁九行目の「不十分であるとして」を削り、同頁一〇行目の「証拠として」の次に「不十分であると考え」を加える。

18  原判決五八頁一行目の「そして、右仕切書」を「しかし甲八七の1ないし5(『買取・委託』両用の仕切書)、八八(『買取』のみの場合の仕切書)、右甲八五の仕切書(『買取』の場合のみの仕切書)」に改め、同頁二行目の「によれば、」の次に「『買取』の場合の仕切書の綴りのうち仕入先(本件の場合、被告やまの)の手許に残る分(乙三八)には、『単価上代』の欄及びその右欄の『金額』欄は設定されておらず、」を加え、同頁五行目の「認められるが」を「認められる。もっとも」と改める。

19  原判決五九頁二行目の「三五」の次に「、ほかにもその後の同年一〇月八日付で同種旅行バッグが単品被告やまのから同店に販売されている乙三四の2」を、同頁一一行目の「可能性も」の次に「十分に」を各加え、同頁一一行目の次に行を改め、次の文を加える。

「なお、原告会社は、武生店の店長である佐々木博之が、被告やまのから武生店セット商品を仕入れたことを認めていると主張して甲一四九を提出し、さらに、当審において、武生店と原告会社との取引は、平成六年二月二二日以降であるから、武生店が平成五年中に原告会社から武生店セット商品を仕入れることはあり得ず、セット商品の中身を入れ替えることもしないと主張して甲一六一、一六二の1、2を提出する。

しかし、佐々木博之が、甲一四九に印鑑を押捺したのは、原告会社が本訴を提起した平成四年一〇月二六日から五年近くも経過した平成九年六月二六日であり、甲一六一(右佐々木の陳述書、ただしワープロ文書に署名押印したもの)を作成したのは平成一〇年一〇月一日であり、当時の状況についてどの程度正確な記憶を有していたか疑問であり、かつ、当裁判所が佐々木博之を証人として採用したが出廷せず、原告がこれに代わるものとして右甲第一六一号証を提出したものであって、被告の反対尋問を経ておらず、にわかにその陳述内容や右甲第一四九号証の記載内容を措信することは困難である。また、被告やまのが、原告会社と取引のあった丸進織物から売り場の入れ替えのために原告会社の商品を買い取ったこともあるとの被告善弘の供述(一七回=六四頁)に徴すると、被告やまのが、原告会社の商品を扱うこと自体全くないわけではないことによると、被告善弘及び同隆司による横領や商標権等の侵害を認めることができない。」

20  原判決五九頁一二行目の「検甲三六」を「甲三六」と、同六〇頁二行目の「検甲三七」を「甲三七」と各改める。

21  原判決六〇頁五行目の「御所ちりめん」を削る。

22  原判決六三頁一二行目の「甲五四の8の2」の次に「、右記載が勘違いであった旨の斎藤和良作成の甲一五九が存するが、勘違いである理由を示していないことやその提出時期に照らし、信用できない。」を加える。

23  原判決六四頁三行目の「疑問」の前に「かなりの」を加え、同頁五行目の「(被告善弘及び同隆司)が『京都店に」を「『(被告善弘及び同隆司が)京都店に」と改める。

24  原判決六五頁五行目から六行目の「供述するが」の次に「(和己一五回=一七丁表裏)」を加える。

25  原判決六八頁五行目の「認められ」の次に「(山本=三頁)」を加え、同頁六行目の「と認められる」を「疑いは否定できない」と改める。

26  原判決六九頁一行目の「原告会社」を「被告やまの」に改める。

三  結論

以上のとおりであるから、原告の控訴には理由がないので、これを棄却し、控訴費用の負担につき民事訴訟法六七条、六一条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小林茂雄 裁判官 小原卓雄 裁判官 山田陽三)

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