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大阪地方裁判所 昭和61年(ワ)10051号 判決 1988年12月12日

原告 国

代理人 石田浩二 浅利安弘 ほか二名

被告 日本債券株式会社

主文

一  被告は、原告に対し、金一三三三万三三三二円及びこれに対する昭和六〇年七月一日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は、被告の負担とする。

三  この判決は、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

主文同旨。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は、原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  租税債権の存在

原告(所轄奈良税務署長)は、昭和六〇年一月二一日現在、戸田浩司(以下「浩司」という。)に対し、別紙1の租税債権目録(一)記載の租税債権を、戸田怡久恵(以下「怡久恵」という。)に対し、同目録(二)記載の租税債権を、それぞれ有していた。

2  被差押債権の存在

(一) 浩司は、被告に対し、昭和五八年一月一日までに、八一四〇万円を日歩五銭五厘又は日歩六銭の約定で(同日までの利息合計二四万二二三九円)貸渡したほか、別紙2の貸付金一覧表記載のとおり、同年一月二六日から昭和五九年四月二日までの間、二二回にわたり、合計七二一五万八一九円を貸渡し、同年七月二五日現在、被告に対し、消費貸借契約に基づく貸金債権合計八二二三万九三〇二円(元本八一五〇万円、利息七三万九三〇二円)の債権(以下「本件1債権」という。)を有していた。

(二) 怡久恵は、被告に対し、昭和五八年一月一日までに、五六六二万円を日歩六銭の約定で(同日までの利息合計二〇万五四九八円)貸渡したほか、別紙3の貸付金一覧表記載のとおり、同年一月一〇日から昭和五九年四月二日までの間、三二回にわたり、合計二五五八万一六三六円を貸渡し、同年七月二五日現在、被告に対し、消費貸借契約に基づく貸金債権合計七九二一万三六一九円(元本七八五〇万円、利息七一万三六一九円)の債権(以下「本件2債権」という。)を有していた。

3  債権の差押

原告は、浩司及び怡久恵に対する前記1の各租税債権を徴収するため、昭和六〇年一月二一日、国税徴収法六二条に基づき、右両名が被告に対して有する本件1債権及び本件2債権(以下「本件各債権」という。)を差押え、同月二二日、履行期限を同年二月二八日と定めた各債権差押通知書を被告に送達した。

4  被告の和議手続開始と認可

被告は、昭和五九年一二月二七日、和議法による和議手続が開始され(大阪地方裁判所昭和五九年(コ)第三一号和議手続開始申立事件)、昭和六〇年二月二五日、以下のような和議条件をもつて、和議認可決定を受けた。

(一) 申立人(被告会社)は、和議債権者に対し、和議債権元本のうち五〇パーセントを左のとおり支払う。

昭和六〇年六月三〇日から昭和六二年一二月三〇日まで、毎年六月三〇日と一二月三〇日限り、右支払額の六分の一ずつを債権者方に持参又は送金して支払う(但し、端数は最終回に支払う。)。

(二) 和議債権者は、和議債権元本の五〇パーセント及び利息損害金の全額を免除する。

(三)ないし(五)項 省略

5  和議条件による支払と履行催告

原告は、前記3の差押にかかる、本件各債権について、前記和議条件による第一回支払額である、本件1債権については六七九万一六六六円、本件2債権については六五四万一六六六円(いずれも履行期日は昭和六〇年六月三〇日)について、それぞれ被告に対し、履行催告をしたが、被告はこれに応じない。

6  よつて、原告は、国税徴収法六七条一項に基づき、本件各債権のうち、履行期の到来した一三三三万三三三二円及びこれに対する履行期の翌日である昭和六〇年七月一日から支払済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は否認する。

2  同2の(一)の事実は認めるが、(二)の事実は否認する。

3  同3の事実は認めるが、被告が、差押通知を受けたのは、昭和六〇年五月九日である。

4  同4、5の事実はいずれも認める。

三  被告の主張及び抗弁

1  本件2債権の不存在

本件2債権(怡久恵の被告に対する貸金債権)は、当時の被告会社代表者であつた浩司が、家族の名前を用いて節税対策に使つていた、帳簿操作上のものであり、消費貸借契約としての実質はない。なお、怡久恵は、専業主婦で、社会的な経済活動に従事したことはないし、同女が形式上有する役員の地位や、被告会社の独断で作成した同女名義の銀行口座さえ知らず、本件2債権を黙示に追認したり、事前承認したこともなかつた。

2  債権放棄

浩司、怡久恵は、被告会社の和議申立(昭和五九年七月二五日)直後あるいは遅くとも昭和五九年一〇月一七日(レイクによる保証契約作成時)までに、本件各債権を放棄した。もつとも、浩司以外の怡久恵らの家族は、和議管財人から、債権者集会において、議決権行使を認められているが、議決権行使と実体法上の債権の存否とは無関係であり、右家族が債権放棄した事実に変わりはない。なお、本件の和議に限らず、和議手続において、会社代表者やその家族が、自己の和議会社に対する債権を事前に放棄することは、実務上自明の理である。

四  被告の主張に対する認否

1  被告の主張1の事実は否認する。怡久恵は、遅くとも昭和五三年五月ころには、大阪市南区難波二丁目所在の株式会社サラリーローン(昭和五七年四月二日に日本債券株式会社と商号変更。なお、右会社は、被告とは別会社であり、以下、「訴外会社」という。)の代表取締役に就任し、以後引き続き、代表取締役の地位にあつたものであるところ、怡久恵は、昭和五六年八月から同年一二月まで、毎月六九万円余を、昭和五七年一月から昭和五八年四月まで、毎月七五万円余を、同年八月から昭和五九年五月まで、毎月三二万円余を、給料名目の役員報酬として、それぞれ株式会社南都銀行大阪支店の怡久恵名義の普通預金口座に振込入金を受け、それを入金後数日で払い戻しのうえ、訴外会社に貸付けていた。被告は、昭和五八年一二月三一日、訴外会社から、怡久恵に対する右貸金債務を含めて債権・債務関係を承継したものであり、それが本件2債権であつて、怡久恵の被告に対する債権は、真実存在するものといわざるを得ない。

2  被告の主張2の事実は否認する。被告が、浩司、怡久恵の債権放棄書として提出する乙第三号証の一ないし五は、和議認可後に債権を放棄することを担保するものに過ぎず、浩司、怡久恵が、被告会社の和議認可決定以前に債権放棄の意思表示をしていたことを認めるに足るものではない。

五  被告の主張1に対する原告の反論

仮に、被告と怡久恵間に、金銭消費貸借契約についての意思表示が全くなされておらず、被告が一方的に怡久恵から金銭を借りていたかのような外形を作つていたものであるとしても、民法九四条二項の法意及び信義則からして、右仮装の外形を作り出した被告は、これを信頼して差押をすることにより、新たな利害関係に入つた善意の第三者である原告に対し、怡久恵との間の金銭消費貸借契約が仮装であり、無効であることを主張することは許されない。

六  原告の反論に対する被告の認否及び主張

民法九四条二項は、法的三主体を前提とし、禁反言法理を適用しているが、本件は、被告会社の独断で、怡久恵の名義を形式的に使用したという関係であり、法的三主体は存在しないから、九四条二項が類推適用される場合に当たらない。なお、原告は、僅かの調査で、本件2債権が怡久恵に真実帰属しないことが判別できたにもかかわらず、本件の差押を実行したのであつて、かかる場合に安易に外観法理を適用するのは妥当ではない。

第三証拠 <略>

理由

一  請求原因1(租税債権の存在)の事実は当事者間に争いがない。

二1  請求原因2(被差押債権の存在)の(一)の事実、すなわち、本件1債権の存在は、当事者間に争いがない。

2  そこで、同2の(二)の本件2債権の存否について検討する。

(一)  <証拠略>を総合すれば、以下の事実が認められる。

(1) 被告会社の和議申立前の代表取締役であつた浩司は、訴外会社を設立し、昭和五三年五月ころからは、その代表取締役に怡久恵を就任させ、昭和五六年八月ころから、株式会社南都銀行大阪支店の怡久恵名義の普通預金口座に、給料名目で、ほぼ毎月約三二万円から約七五万円の金員を振込入金し、それを入金後すぐ払い戻しのうえ、訴外会社に貸付けていた。なお、怡久恵は、専業主婦であり、訴外会社で現実に働いていたわけではないし、そもそも訴外会社自体、ほとんど営業実績はなく形だけの会社であつたにもかかわらず、右のような給与の支払が行われていた理由は、被告会社の税金対策であり、訴外会社に貸付けた金員は、再び被告会社に還元されていたとみられる。

(2) 怡久恵に対する右給料の支払については、給与所得の源泉徴収がなされており、また、怡久恵の訴外会社に対する貸付けについては、利子等の支払調書も作成されていたが、怡久恵自身は、右代表取締役就任の事実はもちろん、自己名義の預金口座の存在と右口座への給料名目の入金の存在も知らなかつた。もつとも、昭和五八、五九年当時、怡久恵は、前記給与所得について、税理士を通じ、確定申告をしているが、右は、実質的に被告会社の側で行つていたもののようである。

(3) 浩司は、昭和五八年一二月三一日、訴外会社の資産等をすべて被告会社に引き継いで会社を一本化することとし、それに伴つて、帳簿上、存在していた怡久恵の訴外会社に対する債権も被告会社に引き継がれることになつた。それが本件2債権であるが、本件2債権は、被告会社に引き継がれたのちも、それに対する利子等の支払調書が作成されるなど、経理上は、全く通常の債権と同じ処理がなされていた。なお、被告会社が、右和議開始申立時ころ作成した証明書によれば、怡久恵宛の、本件2債権の借入金残高(元本)は七八五〇万円であり、未払利息が七一万三六一九円となつている。

(4) 被告は、昭和五九年七月二五日、大阪地方裁判所に和議開始申立(同裁判所昭和五九年(コ)第三一号事件)をし、同年一二月一七日和議手続が開始され、昭和六〇年二月二五日、和議認可の決定がなされたが、右和議開始の申立から和議認可の決定に至る一連の手続の中で、本件2債権(怡久恵の被告会社に対する債権)は、それを放棄するか否か、また、それについて株式会社レイクが保証するか否かは問題となつたものの、右債権の存在自体については、他の債権者及び和議管財人にも、これを認めた上で、和議手続が進められた。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

(二)  右認定の事実によれば、たしかに本件2債権は、消費貸借契約に基づく債権としての実体を欠く架空のものではあるが、しかし、このような虚偽の債権の外形の存在が、真実の権利者(債権の発生原因となつた金員の出捐者)たる被告会社の意思に基づくものである以上、被告会社は、民法九四条二項の類推適用により、右債権が架空のものであることを、善意の第三者に対抗することができないというべきである。なお、本件では、名義人たる怡久恵は、右架空の債権の作出を承諾していたわけでないことはもとより、その存在も知らなかつたものであるが、そのことが右判断に影響を及ぼすものではない。けだし、このような場合、名義人の承諾の有無あるいは知・不知により、真実の権利者の意思に基づいて表示された債権帰属の外形を信頼した第三者の保護の程度に差等を設けるべき理由はないからである(最判昭和四五年七月二四日、民集二四巻七号一一一六頁参照。)。

(三)  前記(一)認定の諸事実及び<証拠略>に照らせば、原告(所轄奈良税務署長)は、本件2債権が架空のものであることを知らなかつたことが認められ、とすれば、原告が、善意の第三者に当たることは明らかである。なお、この点に関し、被告は、原告が本件2債権が架空のものであることを知らなかつたことにつき、過失がある旨を主張するもののようであるが、民法九四条二項の類推適用に当たり、無過失が必要とされるとは解しがたいし、仮に無過失が必要とされるとしても、前記(一)認定の諸事実に照らせば、原告が、本件2債権が真実存在するものと信じたことにつき、過失があつたとは認めがたいから、いずれにせよこの点に関する被告の主張は理由がない。

(四)  したがつて、被告は、本件2債権の不存在をもつて、原告に主張しえない結果、原告に対する関係では、本件2債権の存在が認められるというほかなく、その金額は、前記(一)の(3)のとおり、債権元本が七八五〇万円であり、昭和五九年七月二五日(被告会社の和議申立時)までの未払利息が七一万三六一九円で、その合計は、七九二一万三六一九円であると認められる。

三  債権放棄の主張について

被告は、浩司、怡久恵は、本件の差押以前に、被告に対する本件各債権を放棄した旨主張するので、この点につき検討する。

1  <証拠略>によれば、以下の事実が認められる。

(一)  被告は、昭和五九年五月頃から資金繰りが悪化し、同業者のアクタスや、レジヤークラブ経営の総合経営等三社に資金参加という形の援助を求めたが、右資金援助の話しは、アクタス自体の資金繰りが悪化したため解消し、被告は、代わつて、株式会社レイク(以下「レイク」という。)に資金参加を求めることになつた。レイクは、援助の条件として、浩司や怡久恵らの戸田フアミリーの債権を放棄すること、総合経営と手を切ること、人員をレイクから派遣すること等の諸条件を出すとともに、各債権者に債権の半額をカツトしてもらうよう要求し、浩司もそれに応ずることとしたが、右債権カツトについては、任意の話し合いで行うことは難しいと考えられたため、同年七月二五日、大阪地方裁判所に和議開始の申立をした。なお、浩司は、右和議開始申立時ころ、レイクに、浩司、怡久恵を始めとする浩司の家族名義の債権や、被告会社の取締役であつた初田進の債権放棄書を作成し、交付している。

(二)  被告会社の当時の代表者であつた浩司は、和議申立直後から、各債権者のもとを訪れ、和議に至る経過を説明するとともに、債権の半額カツトという和議条件に賛同してもらうよう依頼したが、各債権者からも、それについては、浩司や、同人の家族らの債権は全部放棄するよう要求され、浩司は、それに応じることとし、折衝の結果、同年一一月ころまでには、ほとんどの債権者から和議条件についての同意が得られることとなり、また、同年一〇月一七日、レイクから、和議条件の履行についての保証も得られることとなつた。浩司は、右レイクとの保証契約締結のころ、改めて、レイクに、浩司や怡久恵らの債権放棄書を提出しているところ、右各放棄書の日付は空白であるが、それは浩司において、その時点で、確定的に債権を放棄してしまうと、債権者集会において、議決権を行使できなくなり、和議認可に不安が残るとの考慮によるものであり、その背景には、当時の社会情勢からして、裁判所が、いわゆるサラ金会社の和議を認可するか否かは直ちに見通しが立たないという状況があつた。

(三)  昭和六〇年二月二五日、被告会社の和議が認可された。右和議条件の一、二項は、請求原因4記載のとおりであり、その三、四項は、右和議条件が履行されたときは、貸金債権の譲渡担保契約が失効すること及び右譲渡担保権者は、予め債権譲渡通知書を発送しないことを定め、その五項では、レイクが、一項記載の債務について、被告会社と連帯して保証すること、但し、浩司、怡久恵ら浩司の家族に対する債権は、右保証の限りでないことが定められている。なお、右和議の認可に当たり、浩司は、特別利害関係人として議決権の行使が認められなかつたものの、怡久恵らの家族は、議決権の行使が認められており、他の債権者等からの異議もなかつた。

(四)  その後、他の債権者に対する関係では、前記和議条件に従つた履行がなされているが、浩司や、怡久恵ら、浩司の家族の債権については、全く弁済はなされていない。

以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

2  右1認定の事実に照らせば、浩司は、被告会社の和議申立直後に、レイクに浩司、怡久恵ら浩司の家族が、被告会社に対して有するとされる債権の放棄書を提出したほか、被告会社の各債権者にも、右債権を放棄する旨述べて和議への協力を要請したことが明らかであり、これらの事実からすれば、遅くとも二度目に右債権の放棄書をレイクに提出した昭和五九年一〇月ころの時点において、右各債権を確定的に放棄したように思われないでもない。

しかし、他方、右1認定の事実によれば、当時の社会情勢からして、被告会社の和議申立につき、裁判所が直ちに和議を認可するかどうか直ちに見通しが立たない状況にあつたのであり、そのように、将来和議が成立するか否か、不確定な状況の中で、浩司が、和議認可に先立ち、自己及び家族名義の債権を確定的に放棄するとは必ずしも考えにくいこと、また、浩司がレイクに提出した債権放棄書の日付は空白であるが、これは、債権者集会において、議決権を行使する機会を確保したいという考慮によるものであるところ、当時、右放棄書の提出を受けたレイクとしても、被告会社を支援する以上、債権者集会において、和議認可を得る必要があり、浩司らの債権をそれ以前に確定的に放棄させることはできない状況にあつたこと、なお、他の債権者らも、浩司らに同人らの債権の放棄を要求していたとはいえ、あえて、和議認可前に、浩司らの債権を確定的に放棄させるメリツトはさほどなく、要は、右放棄を前提に和議手続を進め、和議が成立した場合、右債権については、実質的に和議条件の履行の対象から外すことによつて、債権放棄の目的を達しうること、そして、現実にも、その後開かれた債権者集会において、レイク及び他の債権者らは、浩司以外の怡久恵ら同人の家族の議決権行使について異議を述べていないこと、また、レイクや他の債権者らにおいて、和議認可前に確定的に浩司らの債権を放棄させる意思であつたとすれば、和議条件の内容も、右放棄を前提とし、それに応じたものになつて然るべきところ、本件で成立した和議条件の内容は、逆に、浩司や怡久恵らの債権の存在を認めた上で、それについてはレイクが保証しないという内容のものであること等を総合考慮すれば、浩司がレイクに提出した債権放棄書をもつて、同人が確定的に、同人や怡久恵ら同人の家族の債権を放棄したものとみることはできず、むしろそれは、将来、和議が認可されることを条件としての放棄の意思表示とみるほかない。

したがつて、本件各債権の放棄の事実が認められるとしても、右放棄の時点は、被告会社の和議が認可された昭和六〇年二月二五日(本件の差押通知後)であるというほかなく、とすれば、右放棄の点も、本訴請求の当否に影響を及ぼすものではない。

四  請求原因3(本件各債権の差押)の事実は当事者間に争いがない。なお、被告は、被告が右差押通知を受けたのは昭和六〇年五月九日である旨主張するが、<証拠略>によれは、本件各債権の差押通知書が被告に送達されたのは、同年一月二二日であることが明らかである。

五  請求原因4(被告の和議手続開始と認可)、同5(和議条件による支払と履行催告)の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

六  以上の次第で、国税徴収法六七条一項に基づき、本件各債権のうち、履行期の到来した一三三三万三三三二円及びこれに対する履行期の翌日である昭和六〇年七月一日から支払済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の本訴請求は、いずれも理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 及川憲夫)

別紙1、2、3 <略>

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