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大阪地方裁判所 昭和58年(わ)29号 判決 1983年5月11日

本籍

大阪府八尾市南木の本七丁目四五番地

住居

同市陽光園一丁目六番一五号

歯科医師

清水秀一

昭和一〇年八月五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官鞍元健伸出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

一  被告人を懲役一〇月及び罰金九〇〇万円に処する。

一  右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

一  この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、肩書住居地において、清水歯科医院の名称で歯科医業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、自由診療収入の一部を除外し、架空給料を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五四年分の実際総所得金額が四三七四万六六四九円(別紙(一)修正損益計算書等参照)あったのにかかわらず、同五五年三月一三日、大阪府八尾市本町二丁目二番三号所在の所轄八尾税務署において、同税務署長に対し、同五四年分の総所得金額が一八五八万四四二二円でこれに対する所得税額が四九〇万三六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一七八八万三四〇〇円と右申告税額との差額一二九七万九八〇〇円を免れ、

第二  昭和五五年分の実際総所得金額が四三五二万三一三一円(別紙(二)修正損益計算書等参照)あったのにかかわらず、同五六年三月一二日、前記税務署において、同税務署長に対し、同五五年分の総所得金額が二〇〇六万八五六八円でこれに対する所得税額が五二三万二三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一七三〇万九六〇〇円と右申告税額との差額一二〇七万七三〇〇円を免れ

第三  昭和五六年分の実際所得金額が四〇三四万五〇六九円(別紙(三)修正損益計算書等参照)あったのにかかわらず、同五七年三月一一日、前記税務署において、同税務署長に対し、同五六年分の総所得金額が二〇五〇万三〇三六円でこれに対する所得税額が五五四万七一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一四六五万一二〇〇円と右申告税額との差額九一〇万四一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の被告人に対する質問てん末書一六通

一  収税官吏の清水明美(二通)、清水浪夫、清水量二、志水幸男、藤井和彦に対する各質問てん末書

一  大東良一、加藤浩三郎各作成の「確認書」と題する書面

一  収税官吏作成の査察官調査書二三通

一  収税官吏作成の現金預金有価証券等現在高確認書二通

一  収税官吏作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書二通

一  被告人作成の所得税確定申告書謄本三通

一  収税官吏作成の脱税額計算書三通

(法令の適用)

被告人の判示第一、第二の各所為は、いずれも行為時においては、昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の所得税法二三八条一項に、裁判時においては、改正後の所得税法二三八条一項に、該当するが、犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第三の所為は、改正後の所得税法二三八条一項に該当し、いずれも所定の懲役と罰金を併科し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罪金刑については、同法四八条二項により罰金額を合算し、加重をした刑期及び合算した金額の範囲内で被告人を懲役一〇月及び罰金九〇〇万円に処し、同法一八条により右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 金山薫)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月31日(総所得金額)

<省略>

修正貸借対照表

昭和54年12月31日 現在

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日(総所得金額)

<省略>

修正貸借対照表

昭和55年12月31日 現在

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和56年1月1日

至 昭和56年12月31日(総所得金額)

<省略>

修正貸借対照表

昭和56年12月31日 現在

<省略>

<省略>

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