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大阪地方裁判所 昭和48年(ワ)3456号 判決 1975年2月27日

当事者参加人 吉岡ハナエ

<ほか七名>

右当事者参加人八名訴訟代理人弁護士 平木純二郎

原告(当事者被参加人) 六四商事株式会社

右代表者代表取締役 森蔭昭彦

右訴訟代理人弁護士 増井俊雄

同 太田忠義

同 堀弘二

被告 上田正信

右訴訟代理人弁護士 本田武蔵

被告(当事者被参加人) 吉岡哲雄

被告吉岡引受参加人 関西丸泰ゴム工業株式会社

右被告吉岡及び被告吉岡引受参加人訴訟代理人弁護士 筒井貞雄

主文

当事者参加人らの参加の申出はこれを却下する。

被告両名及び被告吉岡引受参加人は、原告が、別紙物件目録記載の各物件につき、大阪法務局中野出張所昭和三五年一〇月二四日受付第三〇七四七号所有権移転請求権保全仮登記に基づく所有権移転本登記手続をすることを承諾せよ。

訴訟費用中、参加費用は参加人らの負担とし、原告と被告両名及び被告吉岡引受参加人との間に生じた費用は、被告両名及び被告吉岡引受参加人の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、当事者参加人の請求の趣旨

1、原告(当事者被参加人、以下単に原告という)は、当事者参加人(以下単に参加人という)らに対し、別紙物件目録記載の物件につきなした、大阪法務局中野出張所昭和四三年五月一六日受付第一九二六六号所有権移転請求権保全仮登記の移転登記の抹消登記手続をせよ。

2、被告(当事者被参加人、以下単に被告という)吉岡は、参加人吉岡ハナエに対し、金一〇〇万円、その余の参加人らに対し、各金二五万円及びこれらの金員に対する昭和四一年一月二六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

3、参加費用は、原告及び被告吉岡の負担とする。

との判決。

二、原告

1、請求の趣旨

主文第二項同旨の判決並びに訴訟費用は、被告両名及び被告吉岡引受参加人(以下単に引受参加人という)の負担とする、との判決。

2、参加人の請求の趣旨に対する答弁

(一)、本案前の申立

参加人らの参加はこれを却下する、参加費用は参加人らの負担とする、との判決。

(二)、本案の答弁

参加人らの請求を棄却する、参加費用は参加人らの負担とする、との判決。

三、被告吉岡及び引受参加人

1、原告の請求の趣旨に対する答弁

原告の請求を棄却する、訴訟費用は、原告の負担とする、との判決。

2、参加人らの請求の趣旨に対する答弁

参加人の請求を棄却する、参加費用は参加人の負担とする、との判決。

四、被告上田の、原告の請求の趣旨に対する答弁

原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする、

との判決。

第二、当事者の主張

一、原告の請求の原因

1、訴外亡吉岡庄一(以下単に庄一という)は、昭和三五年一〇月二〇日、訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元を連帯債務者として、次の約定に基づき金三〇〇万円を貸付けた(以下単に本件消費貸借契約という)。

イ 弁済期 昭和三五年一二月三一日

ロ 利息 日歩四銭

ハ 遅延損害金 日歩八銭二厘

2、亡庄一は、前同日、訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元との間で、次のような代物弁済の予約(以下単に本件代物弁済の予約という)をした。

イ 目的物件

訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元の共有(持分各二分の一)にかかる別紙物件目録記載の各物件(以下単に本件物件という)

ロ 債権

前項の代金債権及び遅延損害金債権(以下単に本件貸金債権という)

ハ 代物弁済完結の条件及び方法

訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元が前項の貸金債務の弁済を遅滞したときは、亡庄一は、右訴外人両名に対する意思表示によって本件物件の価格を相当額に評価の上、本件貸金債権の代物弁済として本件物件の所有権を取得することができる。

3、亡庄一は、前項の代物弁済予約を原因として、本件物件につき大阪法務局中野出張所(以下単に同出張所という)昭和三五年一〇月二四日受付第三〇七四七号所有権移転請求権保全仮登記(以下単に本件仮登記という)を了した。

4、亡庄一は、昭和四一年一月二六日死亡し、被告吉岡及び参加人らが同人を相続し、本件貸金債権並びに本件代物弁済の予約上の権利を承継取得し、同出張所昭和四三年五月一六日受付第一九二六三号をもって本件仮登記の移転の付記登記を了した。

5、原告は、昭和四三年五月一四日、亡庄一の前記相続人らから、本件貸金債権及び本件代物弁済予約上の権利を譲受け、同出張所同年五月一六日受付第一九二六六号をもって、本件仮登記の移転の付記登記をなした。

6、訴外高橋弥儀男は、昭和三八年八月六日死亡し、訴外高橋チヨウ、同穐田恵美子、同高橋祥元、同高橋渉、同今西やす江、同高橋増子及び同木村靖彦(以下これらを総称して高橋らという)が相続したが、訴外高橋弥儀男(同訴外人死亡後は、右相続人ら)及び同高橋祥元(右訴外人の相続人を兼ねる)は、本件貸金債権について弁済期を経過するも全く弁済をしなかった。

7、そのため、原告は、譲受にかかる本件代物弁済予約上の権利に基づき、本件貸金債権の弁済に代えて本件物件を取得すべく、訴外高橋らと協議した結果、昭和四四年五月九日、大要次のような裁判上の和解(大阪簡易裁判所昭和四四年(イ)第三七六号事件)が成立した。

イ 訴外高橋らは、原告が亡庄一の相続人らから本件貸金債権及び本件代物弁済予約上の権利を譲受けたことを承諾する。

ロ 原告は、前同日、訴外高橋らに対し譲受にかかる本件代物弁済予約上の権利に基づき、本件貸金債権のうち元金三〇〇万円及びこれに対する昭和三六年一月一日から前同日までの約定遅延損害金七五〇万五、四六〇円合計金一、〇五〇万五、四六〇円の弁済に代えて本件物件の所有権を取得する旨の代物弁済完結の意思表示をする。

ハ 訴外高橋らは、右完結の意思表示によって本件物件の所有権が原告に移転したことを確認する。

ニ 本件物件の相当価額を金一、五五〇万五、四六〇円と評価し、原告は、訴外高橋らに右評価額と右(ロ)の債権額の差額金五〇〇万円を支払う。

ホ 訴外高橋らは、原告に対し、本件仮登記に基づく所有権移転の本登記手続をする。

8、原告は、右のとおり本件物件の所有権を取得したが、被告両名は、次のような登記を経由している。

イ 被告上田は、同出張所昭和三六年七月一三日受付第二〇〇四七号仮差押登記

ロ 被告吉岡は、同出張所昭和三八年五月一〇日受付第一二〇四六号所有権移転登記

9、よって、原告は、被告両名に対し、本件物件につき、本件代物弁済予約の完結を原因として、本件仮登記の本登記手続をなすことの承諾を求めるため本訴に及んだ。

しかるところ、被告吉岡は、本訴係属中の昭和四九年二月一五日、引受参加人に同出張所同日受付第四八八一号をもって同月九日売買を原因とする所有権移転登記をなしたので、被告吉岡を承継した引受参加人に対しても右承諾を求める。

二、原告の請求の原因に対する被告両名及び引受参加人の答弁並びに抗弁

1、被告上田

原告主張の請求原因事実中、被告上田が、その主張の仮差押登記をなしていること、訴外高橋弥儀男が、昭和三八年八月六日死亡したことは認めるが、その余は全て不知。

2、被告吉岡及び引受参加人

(一)、答弁

請求原因第一ないし第三項の事実は認める。

同第四項の事実中、亡庄一が死亡したこと、その主張の登記のなされていることは認めるが、その余は争う。

同第五項の事実中、その主張の登記のあることは認めるが、その余の事実は否認する。

同第六項の事実は認める。

同第七項は不知。

同第八項の事実中、原告が本件物件の所有権を取得したことは否認し、被告吉岡がその主張のとおりの登記をしていることは認めるが、その余は不知。

(二)、抗弁

(1)、仮に、原告主張のように、亡庄一の相続人らが、本件貸金債権及び本件代物弁済予約上の権利の譲渡をなしたとしても、右は重大な要素の錯誤があるから無効である。その事情は次のとおりである。

被告吉岡の父亡庄一は、生前繁栄市場の名称で市場を所有していたが、これを第三者に売却したものの、その市場に設置されていた電話は売却しなかった。そのうち同人は死亡したが、同人の死亡後、市場の買受人から市場に設置されている電話は顧客に知られているので代りの電話と交換して欲しい旨の申入れを受け、亡庄一の相続人らはこれを承諾し、原告代表者の実父訴外森蔭彬韶(以下単に訴外森蔭という)が、亡庄一の登記手続等を一手に引受けていた関係から、右両電話の名義書替を同訴外人に依頼した。そして、昭和四三年七月二日、亡庄一の相続人の一人である参加人村田アイ子は、右両電話書替に必要な一件書類といわれて、数枚の書類を預って全部電話名義書替のための書類と思って捺印したが、その中に、本件代物弁済予約上の権利とともに本件貸金債権をも譲渡する旨の債権譲渡証書があった。参加人村田は、同日、右債権譲渡証書に自己の印及びたまたま手許にあった参加人吉岡ハナエ、同吉岡仁志、同吉岡二三夫の印を無断で押捺し、参加人吉岡義数については参加人村田が自己の手許にあった認印を無断で押捺したうえ、翌日、訴外森蔭に手渡した。右債権譲渡証書に捺印したその余の者も数日中にすべて同じ事情で捺印した。ただし、被告吉岡については、当時入院中であったので、電話名義書替のための書類といわれて、妻に捺印させた。その際、参加人村田は、印鑑証明用紙を多数所持していたので、それに自己及び預っていた参加人吉岡ハナエ、同吉岡仁志、同吉岡二三夫の印を各数枚押捺し、各委任状も勝手に作成して、訴外森蔭に交付したものである。そのうえ、右債権譲渡証書には、金三〇〇万円を受領した旨の記載があるが、誰れも金三〇〇万円を受領した者はない。被告吉岡は、訴外森蔭から金一〇〇万円を借受けたことはあるが、その他は一銭も借受けたことはない。原告は、用意周到に金一〇〇万円の貸金で、金二千数百万円以上の本件物件を奪取せんとしているものである。

右のとおりの事情で、本件貸金債権並びに本件代物弁済予約上の権利の譲渡は、被告吉岡において、金三〇〇万円の金員の受領がないのにこれあるものと思い込み、また、本件貸金債権譲渡証書は、右電話加入権名義書替の書類と思ってなしたものであるから重大な要素の錯誤があり、右契約は無効である。

(2)、仮に右主張が認められないとしても、右事実関係からすると、原告代表者及びその父訴外森蔭は共謀して、被告吉岡初め亡庄一の他の相続人らを欺罔して前記譲渡契約をなさしめたものであるから、右債権譲渡契約は、これを取消す。

(3)、仮に、右主張が認められないとしても、金一〇〇万円の貸金債権で、二千数百万円以上の本件物件を代物弁済とすることは暴利行為として無効である。

(4)、仮に、右主張が認められないとしても、本件代物弁済予約上の権利は、一度清算が終了し、消滅している。

すなわち、本件代物弁済予約上の権利は、原告が右予約上の権利を譲受ける以前に、訴外高橋弥儀男らと亡庄一との間で清算がなされて終了し、その実体がなくなったのであるから、実体上存在しない権利を譲受けられるわけもなく、原告の主張は失当である。

(5)、仮に、以上の主張が認められないとしても、本件代物弁済の予約は、同じ被担保債権につき、同じ物件に抵当権が設定されていることから考えて、清算型であることが明らかであり、さすれば、本件物件の所有権を取得した被告吉岡には、原告の本件仮登記の本登記手続の承諾に当り、その承諾と引換に清算金の支払を主張しうるところ、本件物件は、時価金三、五〇〇万円であるから、原告の現存債権額金五六九万三、七〇〇円(ただし、金三〇〇万円に、仮に前記債権譲渡証書の日付から昭和四六年五月一四日までの日歩八銭二厘の割合による損害金を加えたもの)を差引いた、金二、九八〇万六、三〇〇円と引換でないと承諾しない。

三、抗弁に対する原告の答弁並びに再抗弁

1、答弁

抗弁第一ないし第三項の事実は否認。

同第四項の事実中、代物弁済の予約の完結がなされたことは認めるが、その余は争う。

同第五項の事実中、被告吉岡が本件物件の所有名義を取得したことは認めるが、その余は争う。

2、再抗弁

被告吉岡が、訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元から本件物件の登記名義を取得したが、その前提となった代物弁済契約は合意解除された。したがって、被告吉岡は、本件物件の所有者ではないし、右登記は、抹消さるべきものである。

その事情は、次のとおりである。

(一)、訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元は、本件物件を所有していたところ、本件貸金債権を整理するため、昭和三八年四月二六日ごろ、亡庄一との間で、次の契約を締結した。

イ、訴外高橋弥儀男は、本件貸金債務の代物弁済として、本件物件を亡庄一に譲渡する。

ロ、亡庄一は、本件物件の価格と前記債務額との差額の清算として、大阪市阿倍野区所在の建物(金一五〇万円相当)を訴外高橋弥儀男に取得させるほか、同訴外人に金三五〇万円を亡庄一振出の約束手形で支払う。

(二)、同訴外人は、右契約に基づき、そのころ、亡庄一の指定した大阪市阿倍野区所在の建物に転居して、本件物件につき、亡庄一の指図に基づいて被告吉岡名義に所有権移転登記手続をなし、亡庄一から同人振出の約束手形一通の交付を受けた。

(三)、ところが、訴外高橋弥儀男の転居後、転居先の建物が第三者の所有で、亡庄一において同訴外人に右建物の所有権を取得させることが到底不可能なことが判明するとともに、右契約は、同訴外人を本件物件から追い出すための方便にすぎないことが明らかとなった。そのため、同訴外人は、転居後、二、三日して本件物件に戻り、亡庄一との間で右契約を合意解除した。

(四)、右のとおり、訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元から被告吉岡への所有権移転登記は、その原因たる代物弁済契約が合意解除されているので、本来抹消さるべきものであり、同被告は、本件物件の第三取得者(所有者)にも当らない。

四、再抗弁に対する被告吉岡及び引受参加人の答弁

再抗弁第一項の事実中、本件物件が、訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元の共有であったこと(ただし、別紙物件目録(三)記載の建物を除く)並びに同項イの事実は認めるが、その余は否認。

同第二項の事実中、訴外高橋弥儀男が、転居したこと及び本件物件が被告吉岡名義に移転登記されたことは認めるが、その余は否認する。

同第三、四項は、全て争う。

五、参加人らの請求の原因

1、亡庄一は、昭和三五年一〇月二〇日、訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元を連帯債務者として、本件消費貸借契約並びに本件代物弁済予約を締結した。

2、亡庄一は、前項の代物弁済予約を原因として、本件物件につき本件仮登記を経由した。

3、訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元は、亡庄一に本件貸金債務を支払わなかったので、亡庄一は、右訴外人らと協議のうえ、昭和三八年四月二六日、本件貸金債権の代物弁済として本件物件の所有権を取得した。亡庄一は、同日、本件物件を息子である被告吉岡に贈与したが、税金対策のため、同被告が、同日、本件物件を訴外高橋両名から買受けたこととし、同年五月一〇日その旨の登記手続を了した。しかし、これは、実質的に相続の前渡のようなものであったから、亡庄一、被告吉岡及び亡庄一の他の相続人である参加人ら(参加人吉岡ハナエは、亡庄一の妻、他の参加人らはその直系卑属)は相寄り協議し、将来、亡庄一が死亡したときは、被告吉岡は、金三〇〇万円を参加人らの相続分に応じて給付する旨の約定がなされた。その後、亡庄一は、昭和四一年一月二六日死亡したので、同日付をもって、参加人吉岡ハナエは相続分により計算した金一〇〇万円、その余の参加人らは、各金二五万円をそれぞれ被告吉岡に請求する権利を有する。

4、しかるに、原告及び被告吉岡は、共謀して参加人らを欺罔し、錯誤に陥らせて参加人らの印鑑証明書を不正に悪用し、もって、本件貸金債権及び本件代物弁済予約上の権利を被告吉岡及び参加人らが亡庄一から相続し、さらに原告に譲渡したという架空の事実を捏造し、本件仮登記につき、相続、譲渡と二回の付記登記を経て原告の名義とした。参加人らは、原告に右の如き譲渡をしたことは勿論ない。また、被告吉岡が原告に加担したのは、参加人らに対する前記債務のため、本件物件を差押えられることを回避するためだと思われる。

5、よって、参加人らは、原告と被告吉岡との馴合訴訟を防止し、前記請求権を確保するため請求の趣旨記載の判決を求める。

六、参加人らの請求の原因に対する原告の答弁並びに主張

1、本案前の主張

参加人らの主張によると、参加人らは、本件物件に対しては、何らの権利を有せず、単に被告吉岡に対する一般の金銭債権者にすぎない。一般の金銭債権者が、訴訟の結果によって権利を害せられる、と主張して当事者参加できるのは、債務者の責任財産に属する財産の帰属が争われている本訴の当事者が、ことさら勝訴または敗訴の結果を招来しようとしているため、参加人の権利が害されるおそれがある場合でなければならない。

ところで、本訴において、被告吉岡は、原告の請求の原因に対する抗弁で主張のとおり、参加人らの主張と符合する主張をして、原告の有する仮登記の有効性を争い、その立証として、参加人ら全員について証人尋問の申出をなし、そのうち参加人吉岡ハナエ、同村田アイ子の証人尋問が実施されている。このような訴訟経過からみて、被告吉岡がことさら敗訴の結果を招来しようとしている形跡は全くない。かえって、勝訴を目的に極力争い、参加人らも被告吉岡の右目的に添って協力していることが認められる。そうだとすると、参加人らの本件参加申出はその条件を欠き、不適法といわねばならない。

2、本案

(一)、答弁

請求の原因第一、二項は認める。

同第三項の事実中、亡庄一がその主張の日に本件物件を代物弁済により取得したこと、本件物件について、その主張の日に訴外高橋両名から被告吉岡へ所有権移転登記がなされたこと、被告吉岡及び参加人らが亡庄一の相続人であること並びに亡庄一がその主張の日に死亡したことは認めるが、その余の事実は否認。

同第四項は否認。

(二)、主張

原告の請求の原因並びに再抗弁事実で主張のとおり、参加人ら主張の代物弁済は、すでに合意解除されているので、本件貸金債権並びに本件代物弁済予約上の権利は、当初から存続しており、原告はこれらの権利を亡庄一の相続人である被告吉岡及び参加人らから譲受けたのであるから、参加人らの原告に対する請求は失当である。

七、参加人の請求の原因に対する被告吉岡の答弁

請求の原因第一、二項は認める。

同第三項の事実中、亡庄一が、その主張のとおり代物弁済により本件物件を取得したこと、被告吉岡が、本件物件につき、その主張のとおり移転登記を受けたこと及び亡庄一が、その主張の日に死亡したことは認めるが、その余の事実は争う。

被告吉岡が本件物件につき有する所有権移転登記は、その登記原因のとおり、被告吉岡の亡庄一に対する貸金と売買代金とを相殺とする真実の売買契約に基づいてなされたものである。

同第四項の事実中、被告吉岡が原告に加担共謀したこと及び参加人らを欺罔したことは争うが、その余は認める。

八、原告の主張に対する参加人らの反論原告の主張事実は争う。

第三、証拠関係≪省略≫

理由

一、まず、初めに、本件当事者参加の適否について検討する。

参加人らは、被告吉岡の一般金銭債権者であるところ、原告及び被告吉岡が相図って、本来、本件物件が被告吉岡の所有であるにもかかわらず、参加人らからの請求を免れるため、馴合によって本件物件を原告名義とする手段として、原告は、被告吉岡及び参加人らから本件物件について設定された本件代物弁済予約上の権利とその仮登記上の権利を譲受け、右予約が完結された結果、本件物件の所有権を取得したとして、本件物件の登記名義人たる被告吉岡に対し、右仮登記の本登記手続をなすにつき承諾を求める旨の訴訟を提起しているので、右馴合訴訟防止を目的として本件参加に及んだ旨主張している。

もとより、一般の金銭債権者といえども、債務者の一般財産が減少すれば、自己の債権の満足が得られないおそれがあるところ、債務者名義の不動産の帰属を争う第三者が提起した訴において、万一債務者がその第三者と馴合う等して敗訴したとすれば、債権者は、事実上、その訴訟の結果を承認しなければならないし、これを承諾すると債務者の財産が減少したのと同じ状態になるから訴訟の結果により権利を害せられる第三者に該当すると解するのが相当であり、したがって、馴合訴訟防止のため、民訴法七一条前段により既に係属中の原被告間の訴訟に当事者として参加しうると解するが、もともと、民訴法七一条の参加の制度は、同一の権利関係について、原被告及び参加人の三者が互に相争う紛争を一の訴訟手続によって、一挙に矛盾なく解決しようとする訴訟形態であって、右三者を互にてい立牽制しあう関係に置き、一の判決により訴訟の目的を全員につき合一にのみ確定することを目的とするものである(最判昭和四二年九月二七日民集二一巻七号一九二五頁参照)。そして、右のような目的のために認められた参加の申出は、既に係属中の原被告間の訴訟に介入する方法をとってはいるが、その申出には、参加人の、裁判所に対する新たな判断を求める自己の主張を含んでいる点に鑑み、その実質は原被告に対するそれぞれの訴であると解するのが相当である。したがって、参加人は、原被告双方に対し、必ずしも同一の趣旨を掲げる必要はないが、原被告間で争われている訴訟の目的に関し、全員につき合一にのみ確定しうる内容の請求の趣旨、すなわち、既に係属中の権利関係そのものないしは、これを論理的前提とした内容の趣旨を掲げて参加しなければならないと解すべきである。

これを本件についてみるに、参加人が、前記参加の理由のもとに原被告間の訴訟に参加するに当っては、本件物件の所有権の帰属を廻る紛争を合一にのみ確定するため、原被告に対し、本件物件の所有権の帰属そのものないしは本件物件が被告吉岡に属することを論理的前提とした参加の趣旨を掲げて参加の申出をなすべきものといわなければならない。しかるに、本件参加人らは、原告に対しては、原告の主張と相反する主張として、本件物件の所有権が被告吉岡に帰属することを前提に、本件物件につきなされた本件仮登記の移転の付記登記の抹消を求めているが、被告吉岡に対しては、本件物件の所有権を論理的前提としないことはもとより、何ら牽連性も認められない、参加人らと被告吉岡との間に締結された金員支払の約定によって生じた金銭債権の支払を求めている。右参加人らの、原告に対する請求と被告吉岡に対する請求とは訴訟の目的を異にし、参加人らの各請求につき区々の判断がなされても、何ら訴訟の結果が互に矛盾することはありえず、かかる観点からすると、参加の趣旨にいう請求と原告の被告吉岡に対する請求とを参加人ら及び原被告の三者で合一にのみ確定する必要もなければ、また、その利益も存しない。

さすれば、参加人らの参加の申出は、その余の点についての判断を待つまでもなく不適法な参加の申出として却下を免れない。

(本件参加の適否については、当事者間の争点の一として争われており、また、既に、本件参加の申出を不適法として却下した裁判につき上級審の判断がなされたことは当裁判所に顕著な事実であるから、当裁判所が釈明権を行使するまでもなく、参加人らにおいて本件参加の適否についての問題点を把握し、その前提のもとに右参加の趣旨を維持しているものと解される。)

もっとも、民訴法七一条前段の参加の申出にあっては、その参加の申出が不適法とされた場合、特段の事情のない限り、これを同法六四条の申出と解し、補助参加としての効力を認めるのを相当と解するところ、参加人らの本件訴訟遂行経過並びに本件弁論の全趣旨に鑑みるときは、参加人らの参加の申出を被告吉岡に対する補助参加の申出としてその効力を認めることは困難である。

二、進んで、原告の被告両名及び引受参加人に対する請求について判断する。

1、原告と被告吉岡及び引受参加人との間において、原告主張の請求原因第一ないし第三項の事実並びに本件物件につき、被告吉岡及び参加人らが亡庄一を相続したとして、同出張所昭和四三年五月一六日受付第一九二六三号をもって本件仮登記の移転の付記登記がなされ、次いで同出張所同年五月一六日受付第一九二六六号をもって、原告名義に本件仮登記の移転の付記登記がなされていることは争いがない。

原告と被告上田との間において、≪証拠省略≫によれば、原告主張の請求原因第一ないし第三項の事実並びに本件物件につき被告吉岡及び参加人らが亡庄一を相続したとして、同出張所昭和四三年五月一六日受付第一九二六三号をもって本件仮登記の移転の付記登記がなされていること、次いで、同出張所同年五月一六日受付第一九二六六号をもって、原告名義に本件仮登記の移転の付記登記がなされていることが認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

2  原告は、本件貸金債権及び本件代物予約上の権利の譲受とともに本件仮登記上の名義の移転を受け、右予約上の権利の完結により、本件物件の所有権を取得した旨主張するので、この点について判断する。

≪証拠省略≫に前項の事実を総合すると、次の事実(ただし、一部争いのない事実を含む)が認められる。

(一)、原告代表者の実父訴外森蔭は、昭和三七年ごろ、被告吉岡の実父亡庄一を知り、親しい間柄であったところから、被告吉岡と知合になったこと、昭和四〇年四月ごろ、訴外森蔭は、被告吉岡から、当時同訴外人が所有していた門真市内の土地を同被告の知人小寺勉に売渡すよう頼まれ、金二〇〇万円で売渡し、その所有権移転登記をなしたこと、その際、被告吉岡は、訴外小寺勉の負担する金二〇〇万円の代金債務について保証することになったが、訴外小寺勉が、売買契約成立と同時に小切手で金五〇万円を支払い、残額を分割して支払うことにしたため、被告吉岡は金一五〇万円の支払のために、金額五〇万円の約束手形三通を訴外森蔭に振出交付したこと、ところが、訴外小寺勉振出の小切手及び被告吉岡振出の約束手形は、いずれも支払がなされず、かつ、主債務者たる訴外小寺の行方も判らなくなってしまったこと、

(二)、ところで、被告吉岡は、昭和四三年四月ごろ、訴外森蔭に対し、金三〇〇万円の融資を依頼したこと、同訴外人は、原告代表者と協議した結果、原告において亡庄一の訴外高橋らに対して有する本件貸金債権をその担保権(本件代物弁済予約上の権利を含む)とも金三〇〇万円で譲受けることにし、その旨被告吉岡に伝えたこと、これより先、被告吉岡は、昭和四一年一月二六日、亡庄一の死亡により参加人らとともに同人を相続したが、右相続開始後間もなく、他の相続人らに対し、本件物件に関する権利を、事実上、同被告一人のものとして自由に処分しうるように頼み、その了解を得ていたことと、本件物件のうち、建物の一棟は共同住宅で数世帯が住居し、また、他の一棟には訴外高橋らが住居し、その権利関係も複雑であったことなどから、右申出を了承したこと、その結果、そのころ、原告と訴外吉岡との間に、本件貸金債権(その担保を含む)の債権譲渡契約が成立したが、右譲渡代金二〇〇万円については、訴外吉岡の承諾のもとに訴外森蔭の被告吉岡に対して有する前記土地代金の保証債務債権と相殺し、残金一〇〇万円は、原告代表者から被告吉岡の妻を介して同被告に交付し、同時に本件貸金債権に関する公正証書並びに本件代物弁済予約上の権利の仮登記済証書の交付を受けたこと、もっとも、本件貸金債権及びこれを担保する本件代物弁済予約上の権利については、形式上、亡庄一名義であったため、右権利の移転には、被告吉岡の外他の相続人らの承諾が必要とされていたので、原告代表者及び訴外森蔭らはその相続人である参加人らに直接あるいは人を介してその承諾を求めたところ、参加人らも、既に、被告吉岡に本件物件に関する権利の処分を委ねており、かつ事前に同被告から右債権譲渡に対する承諾要請を受けていたこともあって、亡庄一の相続人である被告吉岡及び参加人らから原告への右債権譲渡を承認し、その旨の債権譲渡証書を作成し、本件仮登記を原告名義にするに必要な委任状、印鑑証明書等の一切の書類を交付したこと、そして、亡庄一の相続人中もっとも実権を握っていた亡庄一の妻である参加人吉岡ハナエから金三〇〇万円を受領した旨の領収書を徴したこと、原告は、被告吉岡及び参加人らから交付を受けた書類を使用し、昭和四三年五月一六日、同出張所受付第一九二六三号をもって、まず被告吉岡及び参加人らが本件仮登記について相続によりこれを承継した旨の付記登記をなし、次いで同日、同出張所受付第一九二六六号をもって右譲受を原因として原告名義の付記登記を了したこと、さらに、被告吉岡及び参加人らは、同年七月ごろ、原告のために訴外高橋らに対し、原告への右債権譲渡をした旨の通知をしたこと、

(三)、亡庄一は、もと繁栄市場の名称で市場を所有し、これを経営していたが、昭和四二年ごろ、亡庄一の相続人である被告吉岡及び参加人らは、これを第三者に譲渡したこと、その際、同市場に設置されていた電話が、亡庄一名義のままになっていたこともあって、昭和四三年七月ごろ、右市場の買受人から電話加入権を買受人名義にして欲しいとの要求が出され、憩買受人と亡庄一の右相続人らとの間に争いが生じたこと、そこで、訴外森蔭がその仲裁に入って話合った結果、右市場に設置されている亡庄一名義の電話加入権を買受人名義に移転する代償として、右買受人において、新たに電話加入権を右相続人の一人である参加人村田アイ子に贈与することで合意に達したこと、訴外森蔭は、右合意に従い、亡庄一の電話加入権名義を買受人名義にするため、そのころ、亡庄一の相続人ら(被告吉岡及び参加人ら)から、前記原告に対する債権譲渡とは全く別個に、電話加入権譲渡の同意書その他これに必要な印鑑証明書等の交付を受け、これに基づいて、亡庄一名義の電話加入権を前記買受人名義に移転し、その名義変更をしたのと引換に、参加人村田アイ子名義の新たな電話加入権を取得したこと、

(四)、原告は、訴外高橋らが、本件貸金債務を支払わなかったため、昭和四四年五月九日、同訴外人らとの間で、(イ)原告が、本件貸金債権及び代物弁済予約上の権利を亡庄一らの相続人から譲受けたことを確認する、(ロ)原告は、同日、本件代物弁済予約上の権利に基づき、本件貸金債権金一、〇五〇万五、四六〇円(元金三〇〇万円、昭和三六年一月一日から昭和四四年五月九日までの遅延損害金七五〇万五、四六〇円)の弁済に代えて、本件物件の所有権を取得する旨の代物弁済完結の意思表示をする、訴外高橋らは、右意思表示によって、本件物件が原告に移転したことを確認する、(ハ)本件物件の相当価格を金一、五五〇万五、四六〇円と評価するものとし、原告は、訴外高橋らに対し、右評価額と前項の代物弁済された債権額との差額金五〇〇万円を支払うものとする、(ニ)訴外高橋らは、原告に対し、本件仮登記に基づく所有権移転の本登記手続をする、との裁判上の和解が成立し、原告は、本件物件の所有権を取得したこと、

以上の事実が認められ(る。)≪証拠判断省略≫

右事実によれば、原告は、被告吉岡及び参加人らから本件貸金債権及び本件代物弁済予約上の権利を譲受け、かつ、本件仮登記の移転の付記登記を受けた後、右予約上の権利の完結により本件物件の所有権を取得したことが明らかであるから、原告は、訴外高橋らに対し、本件物件につき本件仮登記の本登記手続を求める権利を有するに至ったことが認められる。

3、進んで、被告吉岡及び引受参加人の抗弁について判断する。

(一)、被告吉岡及び引受参加人は、亡庄一の相続人らがなした本件貸金債権及び本件代物弁済予約上の権利の譲渡は、亡庄一の有していた繁栄市場の電話加入権の譲渡と錯誤してなされたものであるから無効である旨主張し、≪証拠省略≫には右主張に副う部分があるが、右は、≪証拠省略≫に照らしてにわかに信用できないし、他に右被告らの主張を認めるに足る的確な証拠はない。

かえって、前認定の事実によれば、本件貸金債権(その担保権をも含む)の譲渡と亡庄一名義の繁栄市場の電話加入権の第三者への譲渡は、時期的にも手続的にも全く別個になされたことが優に推認されるところである。

したがって、右主張は理由がない。

(二)、被告吉岡及び引受参加人は、原告代表者及び訴外森蔭が共謀し、被告吉岡及び参加人らを欺罔し、本件貸金債権譲渡証書であるのにこれを前記電話加入権譲渡書類であると錯誤に陥らせて本件貸金債権譲渡をなさしめたものであるから、これを取消す旨主張し、≪証拠省略≫には右主張に副う部分もあるが、右は≪証拠省略≫に照らしてにわかに信用できないし、他に、右主張を認めるに足る証拠はない。

したがって、右主張は理由がない。

(三)、被告吉岡及び引受参加人は、原告が、被告吉岡に対する金一〇〇万円の貸金の代物弁済として、二千数百万円以上の本件物件を取得することは暴利行為として無効である旨主張するが、本件証拠上、原告が、本件物件を被告吉岡に対する金一〇〇万円の債権の代物弁済として、同被告から取得したことを認めるに足る的確な証拠はない。

かえって、前認定の事実によれば、原告は、亡庄一の相続人らの承諾のもとに被告吉岡から本件貸金債権とその担保権である本件代物弁済予約上の権利を譲受け、その代金の一部として金一〇〇万円を被告吉岡に支払ったにすぎないことが認められるところである。

したがって、右主張は採用し難い。

(四)、次に、被告吉岡及び引受参加人は、原告が本件代物弁済予約上の権利を譲受ける前にその被担保債権が亡庄一と訴外高橋らとの間で清算され、右予約上の権利は消滅している旨主張するので、この点について検討するに、原告が本件貸金債権並びに本件代物弁済予約上の権利を譲受ける以前に、亡庄一と訴外高橋らとの間に、本件代物弁済予約上の権利につき、その完結の意思表示がなされ、一度清算されたことは当事者間に争いがない。

原告は、右代物弁済予約上の権利の完結の意思表示は、合意解除された旨主張するのでこの点について判断する。

≪証拠省略≫に右争いのない事実を総合してあれこれ勘案すると、亡庄一は、昭和三八年四月ごろ、建築ブローカーをしていた訴外松田某を代理人として、当時本件物件の所有者であった訴外高橋弥儀男及び同高橋祥元に対し、本件貸金債務を整理をするように求め、その交渉がなされた結果、同訴外人らと亡庄一の代理人訴外松田との間で、(イ)本件貸金債務の代物弁済として本件物件を亡庄一に譲渡し、これを明渡す、(ロ)亡庄一は、大阪市阿倍野区内で、価格金一五〇万円程度の建物を訴外高橋弥儀男に取得させるほか、金三五〇万円を亡庄一振出の約束手形で同訴外人に支払う、との合意が成立したこと、そこで訴外高橋弥儀男は、右合意に基づき、そのころ、亡庄一の指定した大阪市阿倍野区所在の建物に転居して、本件物件の所有権を亡庄一に譲渡し、本件物件の所有名義については、亡庄一の指図に従って被告吉岡名義に移転登記をなし、亡庄一から同人振出の金三五〇万円の約束手形一通の交付を受けたこと、ところが、亡庄一の指定した建物に訴外高橋弥儀男が転居してみると、右建物には第三者が居住し紛争中の物件であることが判明したので、同訴外人は、一日で本件物件に戻ったこと、そして、亡庄一に対し、訴外高橋祥元を介して右代物弁済契約の解消を求めていたが、その後同訴外人が死亡したため、同訴外人の相続人である訴外高橋祥元が他の相続人らを代表して引き続き亡庄一と交渉した結果、そのころ、亡庄一との間で、(イ)前記代物弁済契約は合意解除し、代物弁済契約のなされた以前の状態に戻す、(ロ)亡庄一は、本件物件の所有権を移転し、登記名義を訴外高橋らに移転する、(ハ)訴外高橋らは、既に受領中の金三五〇万円の約束手形を亡庄一に返還する、との約定が成立したこと、訴外高橋らは右合意成立後間もなく、右約束手形を亡庄一に返還したが、亡庄一は、本件物件の登記名義を被告吉岡名義にしたまま同訴外人らにその移転登記をしないこと、

以上の事実が認められ(る)。≪証拠判断省略≫

右事実によれば、亡庄一は、代物弁済の合意解除により、依然として、訴外高橋らに対して本件貸金債権及び本件代物予約上の権利を有していたことが明らかである。

したがって、原告の再抗弁は理由がある。

(五)、被告吉岡は、本件代物弁済の予約は、同じ被担保債権につき、同じ物件に抵当権が設定されていることから考えて、清算型であることが明らかであり、さすれば、本件物件の所有権を取得した被告吉岡には、本件仮登記の本登記の承諾と引換に清算金の支払を求める権利を有する旨主張するところ、≪証拠省略≫中には、被告吉岡が本件物件の所有権を取得した旨の供述があるが、右は、≪証拠省略≫に照らしてたやすく信用できないし、他に、被告吉岡が本件物件の所有権を取得したことを認めるに足る的確な証拠はない。

かえって、前認定の事実によれば、訴外吉岡の有する本件物件についての登記名義は、実体を伴わない単なる名義のみにすぎないことが明らかである。

さすれば、被告吉岡が本件物件の所有権を取得していない以上、引受参加人もその権利を承継取得できないことは自明のことであるから、被告吉岡及び引受参加人らの、本件代物弁済の予約上の権利行使に伴う仮登記の本登記手続についての承諾と引換に清算金の支払を求める主張は、その余の点についての判断を待つまでもなく理由がない。

三、右説示してきたところによれば、原告は、本件物件につき、本件代物予約上の権利を行使し、その完結によって本件物件の所有権を取得し、訴外高橋らに対し、本件仮登記を本登記にすべき旨を求める権利を有するところ、本件物件につき、被告上田が、同出張所昭和三六年七月一三日受付第二〇〇四七号をもって、仮差押登記を有していること、被告吉岡が、同出張所昭和三八年五月一〇日受付第一二〇四六号をもって所有権移転登記を有していること、引受参加人が、同出張所昭和四九年二月一五日受付第四八八一号をもって被告吉岡から所有権移転登記を受けていることは、原告と各当事者間にそれぞれ争いがないが、右にみてきたところによれば、右各登記は原告の有する本件仮登記後になされたものであることが明らかであるから、被告両名及び引受参加人は、原告の本件仮登記を本登記にするにつき、これを承諾すべき義務があるというべく、したがって、被告両名及び引受参加人に対し、本件仮登記を本登記にするにつきその承諾を求める原告の請求は理由がある。

四、以上のとおり、原告の本訴請求は理由があるのでこれを認容し、参加人らの参加の申出は不適法であるから却下することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 田畑豊)

<以下省略>

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