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大阪地方裁判所 昭和31年(ワ)4723号 判決 1959年4月06日

理由

証拠によると、本件手形の受取人欄及び第一裏書人欄には、A、第一裏書の被裏書人欄には合資会社和加恵商会と記載せられており、そのうち合資会社の四字に棒線が引かれ、その部分に第一裏書人A名下の印影と同一の印影が押捺されて抹消せられていることが認められる。そして原告は和加恵商会の屋号で個人営業をしていたのであるが、本件手形の裏書譲渡をうける当時(昭和三一年六月四日)合資会社組織にしようと準備していたので、被裏書人欄に合資会社和加恵商会と記載してもらつたのである。しかし実際には合資会社は設立されずにいたので、後日になつて合資会社という記載は訂正する旨を第一裏書人Aに告げその同意を得て同人の印を預かり来つて第一裏書の被裏書人欄の記載のうち合資会社なる四字に棒線を引き、同印を押捺して同部分を適法に抹消したものであることが認められる。従つて和加恵商会は原告の個人営業の屋号であるから、本件手形の裏書はその連続を欠くことなく、原告は正当な所持人であるというべきである。そうだとすると、本件手形金と支払命令送達の翌日以降の年六分の金員を求める原告の本訴請求は理由がある。

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