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大阪地方裁判所 平成7年(ワ)13273号 判決 1997年9月30日

大阪市北区本庄西三丁目九番三号

原告

株式会社ニッショー

右代表者代表取締役

佐野實

右訴訟代理人弁護士

小野昌延

小松陽一郎

右訴訟復代理人弁護士

池下利男

村田秀人

大阪府豊中市庄内宝町三丁目二番七-二〇三号

(送達先・大阪府箕面市半町四丁目三番四〇号)

被告

ニッショーこと

山下政也

右訴訟代理人弁護士

大園重信

主文

一  被告は、別紙目録二及び三記載の場所において使用するその営業活動又は営業設備の表示から「ニッショー」の表示を抹消せよ。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求の趣旨

主文と同旨の判決及び仮執行の宣言

第二  事案の概要

本件は、スーパーマーケットの経営をその業種の一つとする原告が、そのスーパーマーケット営業にかかる営業表示である「ニッショー」「ニッショーストア」「スーパーストアニッショー」は大阪府北部及びその隣接地域において原告の経営するスーパーマーケットの営業を表示するものとして著名性ないし周知性を獲得したところ、被告がその仏壇、家具、唐木等の販売にかかる営業表示として使用している「ニッショー」は、原告の営業表示である「ニッショー」「ニッショーストア」「スーパーストアニッショー」と同一又は類似するものであり、原告の営業との混同を生じさせている(不正競争防止法二条一項一号、予備的に同項二号)と主張して、同法三条に基づき、被告が現に使用している営業活動又は営業設備の表示から「ニッショー」の表示を抹消するよう求める事案である。

一  基礎となる事実

1  原告は、昭和二三年七月に設立された大阪証券取引所市場第一部上場の株式会社であるが、その事業内容の一つとしてスーパーマーケットを多数経営しており、右各スーパーマーケット(以下「本件各店舗」という)には、いずれも「ニッショー」「ニッショーストア」「スーパーストアニッショー」の営業表示(以下「本件営業表示」という)を看板その他の広告物等に表示している(甲一、二の1・2)。

本件営業表示のうち、「ニッショー」の文字の形態は、別紙目録一記載のとおりである(甲一、二の1、五の2~5)。

2  被告は、大阪府箕面市半町四丁目三番四〇号において、仏壇、家具、唐木等の販売業を営み、その営業表示として別紙目録二及び三記載の表示(以下「被告営業表示」という)を使用している(争いがない)。

二  争点

1  本件営業表示は、大阪府北部及びその隣接地域において、原告の営業表示として著名性又は周知性を獲得しているか。

2  被告は被告営業表示を使用することにより、原告の営業との混同を生じさせているか。

3  被告は、被告営業表示につき不正競争防止法一一条一項三号所定のいわゆる先使用権を有するか。

第三  争点に関する当事者の主張

一  争点1(本件営業表示は、大阪府北部及びその隣接地域において、原告の営業表示として著名性又は周知性を獲得しているか)について

【原告の主張】

原告は、以下のとおり、昭和三八年から主として大阪府北部に本件各店舗を次々と開設して、その売上げを伸ばし、多大の費用をかけて広告宣伝を行った結果、本件営業表示は、スーパーマーケットの部門で遅くとも昭和六〇年までには、少なくとも大阪府北部及びその隣接地域、すなわち大阪府豊中市、箕面市、池田市、吹田市、茨木市、高槻市、枚方市、摂津市、兵庫県宝塚市、川西市において周知性を獲得しており(不正競争防止法二条一項一号)、「ニッショー」の表示自体は著名性をも獲得している(同項二号)。

1 原告は、次のとおり、本件営業表示を付した本件各店舗を開設している。

(一) 昭和三八年一一月 豊中市服部(服部店)

(二) 昭和四一年五月 豊中市新千里東町(千里東店)

(三) 昭和四二年四月 池田市呉服町(池田店)

(四) 昭和四五年六月 池田市石橋(石橋店)

(五) 昭和四九年三月 宝塚市南口(宝塚南口店)

(六) 昭和五〇年三月 吹田市千里山東一丁目(関大前店)

(七) 昭和五〇年一〇月 茨木市西中条町(茨木駅前店)

(八) 昭和五一年一一月 茨木市東奈良(南茨木店)

(九) 昭和五二年七月 京都市上京区千本通(千本店)

(一〇) 昭和五二年一二月 豊中市岡上ノ町(豊中店)

(一一) 昭和五三年七月 茨木市竹橋町(茨木店)

(一二) 昭和五四年三月 神戸市灘区水道筋(水道筋店)

(一三) 昭和五四年五月 尼崎市東園田町(園田店)

(一四) 昭和五四年八月 国鉄高槻駅前(高槻店)

(一五) 昭和五七年三月 茨木市橋の内(総持寺店)

(一六) 昭和五七年八月 京都市左京区一乗寺(白川通店)

(一七) 昭和五九年八月 豊中市北条町(小曽根店)

(一八) 昭和六一年八月 吹田市五月ケ丘南(五月が丘店)

(一九) 平成元年五月 寝屋川市対馬江東町(寝屋川店)

(二〇) 平成元年八月 枚方市楠葉並木(くずは店)

(二一) 平成元年八月 大阪市淀川区三国本町(三国店)

(二二) 平成三年四月 姫路市東郷町(姫路店)

(二三) 平成四年一〇月 摂津市千里丘(千里丘店)

(二四) 平成六年九月 兵庫県川西市見野(山下店)

右の本件各店舗のうち、(五)、(九)、(一二)、(一三)、(一六)、(二二)、(二四)を除く合計一七店舗は、大阪府北部に集中している。

2 本件各店舗における大阪府下の売上状況の推移(一部)は次のとおりである。

(一) 昭和五五年 合計一四一億一〇二二万九〇〇〇円

(二) 昭和五六年 合計一四七億二〇八八万一〇〇〇円

(三) 昭和五七年 合計一五五億五一九三万八〇〇〇円

(四) 昭和五八年度(一月から翌年三月まで)

合計一九九億九四三五万一〇〇〇円

(五) 昭和五九年度(四月から翌年三月まで。以下同じ)

合計一六九億〇三三九万四〇〇〇円

(六) 昭和六〇年度 合計一七二億一八二二万七〇〇〇円

(七) 昭和六一年度 合計一七七億〇七〇八万四〇〇〇円

(八) 昭和六二年度 合計一九七億〇九二五万三〇〇〇円

(九) 昭和六三年度 合計二〇四億五六〇七万五〇〇〇円

(一〇) 平成元年度 合計二三〇億一一〇七万四〇〇〇円

(一一) 平成二年度 合計二七四億二二八九万二〇〇〇円

(一二) 平成三年度 合計三〇四億八六七一万三〇〇〇円

(一三) 平成四年度 合計三三六億三九七六万四〇〇〇円

(一四) 平成五年度 合計三三一億二七八二万八〇〇〇円

(一五) 平成六年度 合計三二三億二七四九万四〇〇〇円

原告の事業全体の売上げは、ここ数年は年間一〇〇〇億円を超えており、そのうちストア部門の売上比率は約四二%である。

3 原告は、多大の費用をかけて本件営業表示を含む広告宣伝を行ってきた。

(一) 平成六年度の広告宣伝費は総額約一二億円、平成七年度のメディア関係のみの広告宣伝費の予算は約八億三五〇〇万円である。

(二) 本件各店舗では、大手新聞紙への折込みチラシを多量かつ日常的に行っている。

(三) 本件各店舗については、新聞や雑誌等でたびたび紹介されている。

(四) また、原告のイメージ広告的なテレビコマーシャルは特に有名である。新聞広告もたびたび行っている。

4 被告は、本件営業表示は大阪府北部において周知性を獲得していないとし、その理由として、<1>被告の店舗がある箕面市には原告の店舗は存在しない、<2>大阪府下にはダイエー等まさに著名なスーパーマーケットの店舗が多数あり、地域住民は必ずしもその営業表示によって購買の意思決定をしているわけではない、<3>原告は、スーパーマーケット業界の売上げ規模で大きなシェアを持つ大手業者ではなく、その規模は小さく知名度も低いと主張する。

しかし、<1>の点については、ある営業表示が周知性を獲得するためには、それがある一地方において広く知られていれば足りると解されているところ、原告は、箕面市に隣接する豊中市に四店舗、池田市に二店舗、川西市に一店舗、茨木市に三店舗、吹田市に二店舗、高槻市に一店舗等と多数の店舗を有し、いずれも本件営業表示を用いて営業活動を行い、多大の費用をかけて本件営業表示を含む広告宣伝を行っており、更に、池田市にある石橋店の大手新聞紙への折込みチラシは箕面市にも配付され(甲五の1~3)、右石橋店と被告の店舗とは、直線距離で一キロメートル余りと極めて近い(甲一三)。これらの事実からすれば、箕面市内に原告の店舗が存在しないことは、原告の本件営業表示が大阪府北部(及びその隣接地域)において周知性を獲得していることの妨げになるものではないことが明らかである。

<2>の点については、大阪府及び兵庫県下に名の通ったスーパーマーケットが存在することは事実であるが、原告も本件営業表示が周知性を獲得した周知、著名なスーパーマーケットである。他に名の通ったスーパーマーケットが複数あることと本件営業表示が周知性・著名性を獲得していることとは何ら相反するものではない。

<3>の点については、前記のとおりある営業表示が周知性を獲得するためにはある一地方において広く知られていれば足りるところ、原告は、豊中市を中心とする周辺地域のみでも一〇以上の店舗数を数え、大阪府下だけでも昭和六二年度以降は毎年一九〇億円以上(平成六年度で約三二三億円)の売上げを上げており、大阪府北部を中心とする地域において周知性を獲得するに十分な規模というべきである。

加えて、原告は大阪証券取引所市場第一部の上場会社であり、東洋経済新報社の「会社四季報」(一一〇万部発行)、日本経済新聞社の「日経会社情報」に登載され、その他毎日のように各種日刊紙にその名称が登載されている。

5 更に、本件営業表示中の「ニッショー」の表示は、全国紙、業界紙、テレビ等において繰り返し広告宣伝され、あるいは採り上げられており(甲六の1~14、七、八の1~3)、被告のいう「通常の経済活動において、相当の注意を払うことによりその表示の使用を避けることができる程度にその表示が知られている」表示に該当するのであって、不正競争防止法二条一項二号にいう著名性をも獲得している。

【被告の主張】

本件営業表示は、大阪府北部において周知性を獲得していない。

1 本件営業表示は、被告の店舗のある箕面市周辺地域においては周知性を獲得していない。原告は、本件各店舗のうち一七店舗は大阪府北部に集中していると主張するが、被告の店舗がある箕面市には原告の店舗は存在しない。

2 大阪府下には、ダイエー、イズミヤ、ジャスコ、ニチイ(マイカル)等まさに著名なスーパーマーケットの店舗が多数あり、地域住民は、スーパーマーケットの識別は重要な問題ではなく、そこで販売される商品の種類、価格、品質、販売手法などに着目しているのであって、必ずしもその営業表示によって購買の意思決定をしているわけではない。

3 原告は、スーパーマーケット業界の売上げ規模で大きなシェアを持つ大手業者ではなく、前記各スーパーマーケット各社に比べればその規模は小さく、知名度も低い。

4 なお、原告は、本件営業表示のうち「ニッショー」という表示自体は著名性をも獲得していると主張するが、不正競争防止法二条一項二号にいう「著名」とは、「通常の経済活動において、相当の注意を払うことによりその表示の使用を避けることができる程度にその表示が知られていることが必要であり、具体的には全国的に知られているようなものを想定している」(通商産業省知的財産政策室監修「逐条解説不正競争防止法」三四~三五頁)のであり、右表示がこれに該当しないことは明白である。

二  争点2(被告は被告営業表示を使用することにより、原告の営業との混同を生じさせているか)について

【原告の主張】

1 被告営業表示は、本件営業表示のうち「ニッショー」の表示と称呼が同一であり、外観についても書体まで同一でおる。そして、本件営業表示のうち「ニッショーストア」「スーパーストアニッショー」の要部は「ニッショー」にあり、被告営業表示「ニッショー」は、他の表示と独立して表示されている。

したがって、被告営業表示は、本件営業表示と同一であり、又はその要部において同一であり類似する。

2 原告は、本件各店舗で食料品等とともに日用雑貨や家具類もその一部で販売しており(甲五の2~5〔原告の石橋店、姫路店、千里丘店のチラシ〕)、被告の前記営業内容と一部が共通しているから、原告の営業との混同を生じさせている。被告は、原告が販売している「家具類」とは収納用品と表示されており、いずれも雑貨類であって、家具とはいえないものばかりである旨主張するが、原告の販売している収納用品等の家具類は、被告が販売している仏壇等と商標法上の商品区分が同一(第二〇類)であり、同種の商品であって、混同のおそれは十分に生じうるものである。

加えて、名刺、チラシ等によって、少なくとも原告と何らかの関係のある会社ではないかという広義の混同が生じていることは明らかである。

3 また、本件営業表示のうち「ニッショー」の表示は著名ですらあるから、この場合は営業の混同の有無を問題にする必要はない。

平成五年の不正競争防止法改正において著名表示冒用行為が新たに不正競争行為として付け加えられた趣旨の一つは、著名表示を冒用することにより、冒用者は、自らが行うべき営業上の努力を払うことなく著名表示の有している顧客吸引力に「ただ乗り」することができる一方、永年の営業上の努力により高い信用、名声、評判を有するに至った著名表示とそれを使用してきた者との結びつきが薄められてしまう「希釈化」が生じるため、それを防止しようとすることにある。被告は、原告が永年営業努力を重ね多大の広告宣伝費用をかけて顧客に浸透させるに至った「ニッショー」という表示をその字体まで酷似した形態で用いて原告の本件各店舗のごく近くで営業活動を行っているのであるから、まさに「ニッショー」の顧客吸引力に「ただ乗り」し、原告と「ニッショー」という表示との結びつきを「希釈化」しているのみならず、その営業活動によって「ニッショー」という表示を「汚染」する行為を行っているものである。

【被告の主張】

被告は、これまで一貫して家具類、仏壇の販売をしてきているのに対し、原告は、主に食料品、雑貨類を販売しており、家具類、仏壇は販売していない。原告が本件各店舗二四店舗のわずか八分の一である三店舗において販売していると主張する「家具類」とは、原告の援用する甲第五号証の2~5(チラシ)によれば、「クリア収納ケース、キャスター付ラック、ストッカー、傘立て、シューズラック」であると思われるが、これらは殆どがプラスチック製のもので、右チラシには「インテリア・収納用品」あるいは「収納用品」と表示されており、いずれも雑貨類であって、箪笥、机、椅子、書棚、ベッド等の家具とは決していえないものばかりである。

このように、原告は、被告の販売する家具類、仏壇を販売してはいないから、被告の営業と原告の営業との混同のおそれはない。

三  争点3(被告は、被告営業表示につき不正競争防止法一一条一項三号所定のいわゆる先使用権を有するか)について

【被告の主張】

仮に本件営業表示が周知性を獲得しているとしても、被告は、以下のとおり、本件営業表示が周知性を獲得する前から不正の目的なくして「ニッショー」という表示を使用しているから、不正競争防止法一一条一項三号所定の先使用権を有している。

1 被告は、昭和四二、四三年頃から昭和五二年まで、兵庫県尼崎市内で「ニッショー」という名称で家具類、仏壇の販売をしており、その後は奈良市内に店舗を移転して、右店舗での販売の傍ら日本各地で家具の展示販売をし、その展示販売の際にも「ニッショー」という表示を使用していた。

被告は、昭和六二年三月二日に訴外有限会社ニッショー家具(以下「訴外会社」という)を設立し、右設立後は被告と訴外会社とで家具類、仏壇の販売業を行うようになり、平成二年四月からは大阪府池田市木部町八五に「ニッショー家具」という名称で店舗を設け、「ニッショー」又は「ニッショー家具」の名称で家具類、仏壇の販売を行ってきたものであり、平成七年一月の阪神・淡路大震災の後は、大阪府箕面市内の現在の店舗で同様に訴外会社とともに家具類、仏壇の販売をしているものである。

2 原告の主張・立証によれば、原告は、昭和三八年一一月に「スーパーストアニッショー」の名称で初めて食品スーパーマーケットを開設し、その後店舗を増設している、とのことであるが、被告が池田市木部町で家具類、仏壇の販売をするようになった平成二年四月には同市や箕面市では未だ本件営業表示が原告の営業表示として周知性を獲得していたとはいえず、また被告は「ニッショー」又は「ニッショー家具」という表示の使用を継続しているから、被告営業表示の使用は、不正競争防止法一一条一項三号にいう先使用に該当するものである。

【原告の主張】

被告の主張は、原告の本件営業表示が周知性を獲得した後に右地域において「ニッショー」という表示を使用しはじめたというものであるか、本件営業表示が周知性を獲得した地域外で使用していたというものであるから、本件において先使用の抗弁が成り立たないことは明らかである。

1 前記一【原告の主張】のとおり、本件営業表示は、遅くとも昭和六〇年までには、少なくとも大阪府北部及びその隣接地域、すなわち大阪府豊中市、箕面市、池田市、吹田市、茨木市、高槻市、枚方市、摂津市、兵庫県宝塚市、川西市において周知性を獲得しているところ、被告の主張によれば、被告が右地域内である大阪府池田市木部町八五で「ニッショー」又は「ニッショー家具」の名称で家具類、仏壇の販売を開始したのは、本件営業表示が周知性を獲得した後の平成二年四月からである。しかも、被告が同所に設けたという店舗の名称は「ニッショー家具」ではなく、「日昇家具」であった(甲一二)。

2 また、被告は、昭和四二年、三年頃から昭和五二年まで、兵庫県尼崎市内で「ニッショー」という名称で家具類、仏壇の販売をしており、その後は奈良市内で「ニッショー」という表示を使用して家具類、仏壇の販売をしていた(そのうち昭和六二年三月二日からは訴外会社が併存している)旨主張するが、右主張の事実については全く立証がない上、仮に真実であったとしても、本件営業表示が周知性を獲得した地域外である尼崎市内や奈良市内での使用である。

なお、被告は、昭和六二年三月二日に訴外会社を設立したと主張するが、閉鎖商業登記簿謄本(甲一一)によれば、訴外会社は、同日に「有限会社奈良三菱家具」として設立されたものであり、平成八年二月五日(登記は同月一九日)にその商号を変更して現在の「有限会社ニッショー家具」としたのである。

第四  争点に対する判断

一  争点1(本件営業表示は、大阪府北部及びその隣接地域において、原告の営業表示として著名性又は周知性を獲得しているか)について

1  証拠(甲一、二の1・2、三の1~10、四の1・2、五の1~5、六の1~14、七、八の1~3、一〇、一八、検甲一、証人西江満男)及び弁論の全趣旨によれば、次の(一)ないし(五)の事実が認められる。

(一) 原告は、昭和二三年に設立された資本金の額二二五億六三六九万七九二三円(平成七年七月一七日現在)の株式会社であり、その株式は、昭和六二年二月大阪証券取引所市場第二部に、平成二年三月同第一部に、平成八年一二月東京証券取引所市場第一部にそれぞれ上場された。原告は、日本電気硝子株式会社の西日本地区総代理店として発足したため、各種ガラス管の製造販売業を始めたものであり、現在も器材事業としてアンプル管等の医療用ガラス製品、魔法瓶中瓶等のガラス器材製品等の製造販売も行っているが、事業多角化の一環として、昭和三八年からストア事業(スーパーマーケット等の経営)を、昭和四〇年からは医療事業(輸液セット等の注射・輸液関連製品、個人用人工透析装置等の人工透析関連製品の製造販売等)をそれぞれ営むようになった。

(二) 原告は、右のとおり昭和三八年からストア事業に進出し、同年一一月に大阪府豊中市服部に「ニッショーストア」との名称で第一号店を開設したのを皮切りに、前記第三の一【原告の主張】1の(一)ないし(二四)のとおり、「ニッショー」又は「ニッショーストア」との名称の店舗を合計二四店(本件各店舗)相次いで開設した。すなわち、これら本件各店舗は、大阪府豊中市(服部店、千里東店、豊中店、小曽根店)及び茨木市(茨木駅前店、南茨木店、茨木店、総持寺店)に各四店、大阪府池田市(池田店、石橋店)及び吹田市(関大前店、五月が丘店)に各二店、大阪府高槻市(高槻店)、寝屋川市(寝屋川店)、枚方市(くずは店)、大阪市淀川区(三国店)、摂津市(千里丘店)、兵庫県宝塚市(宝塚南口店)、神戸市灘区(水道筋店)、尼崎市(園田店)、姫路市(姫路店)、川西市(山下店)、京都市上京区(千本店)及び同市左京区(白川通店)に各一店所在しており、そのうち水道筋店(神戸市灘区)、園田店(兵庫県尼崎市)、姫路店(兵庫県姫路市)、千本店(京都市上京区)及び白川通店(同市左京区)の五店舗を除く一九店舗は、いずれも大阪府北部(一七店舗)及びその隣接地域(宝塚南口店及び山下店の二店舗)に位置している。

なお、原告は、かつては本件営業表示のうちの「スーパーストアニッショー」との名称を一部で使用していた時期もあったが、現在では全く使用していない。

(三) 本件各店舗のうち、大阪府北部に位置する店舗の昭和五五年から平成六年度までの間の各年間売上高の合計額の推移は、前記第三の一【原告の主張】2のとおりであり(昭和五五年及び五六年は、服部店、千里東店、池田店、石橋店、関大前店、茨木駅前店、南茨木店、豊中店、茨木店、高槻店の一〇店舗の合計であり、昭和五七年及び五八年度は総持寺店を加えた一一店舗、昭和五九年度及び六〇年度は小曽根店を加えた一二店舗、昭和六一年度ないし六三年度は五月が丘店を加えた一三店舗、平成元年度は寝屋川店、くずは店を加えた一五店舗、平成二年度は三国店を加えた一六店舗、平成三年度ないし六年度は千里丘店を加えた一七店舗の合計である)、昭和五五年には合計一四一億円余りであったが、徐々に増大し、平成元年度には約二三〇億円、平成二年度には約二七四億円となり、平成三年度以降は、三〇〇億円以上に達している。

原告の事業全体の売上額は、平成四年以降年間一〇〇〇億円を超えており、そのうちストア事業の売上額が約四〇%を占めている。

(四) 原告は本件営業表示について、次のとおり広告宣伝を行っている。平成六年四月一日から平成七年三月三一日までの広告宣伝費は、合計一二億〇二八七万七四八一円(その内訳は、テレビコマーシャル放映料二億一六五四万一二九九円、新聞広告掲載料二八三一万七八〇〇円、ストア事業部の折込みチラシ等七億五五四四万六八九七円など)であり、平成七年度(同年四月一日から平成八年三月三一日まで)のメディア関係(テレビコマーシャル、新聞広告)のみの広告宣伝費の予算は、八億三五〇〇万円である。

(1) 折込みチラシ(甲五の1~5)

原告は、販売促進を目的として、年間九五回(一週間に二回程度)、各店舗毎に店舗を中心とする半径約二キロメートルの範囲の地域内において、セールス商品等を掲載したチラシを大手新聞紙への折込みにより配布している。

例えば、平成七年九月二七日から二九日までの間に合計五三万八二〇〇枚を、同年一〇月二五日から二八日までの間に合計五七万九〇〇〇枚をそれぞれ朝日、毎日、読売、産経、神戸、京都の各新聞紙に折り込んで兵庫県姫路市、宝塚市、尼崎市、大阪府池田市、豊中市、吹田市、茨木市、摂津市、高槻市、寝屋川市、枚方市、大阪市、京都市の各店舗所在地で配布した。

このうち、石橋店地域(池田市石橋・豊島北・豊島南・住吉・天神・荘園・井口堂・鉢塚・旭丘・緑丘、豊中市清風荘・蛍池北・宮山町、箕面市瀬川・半町・桜井・桜ヶ丘)における配布枚数は、それぞれ二万九〇〇〇枚である。

このような折込みチラシの配布状況は、昭和六二年以前から現在まで大きな変化はなく、その費用として売上額の一・五%程度をかけている。

(2) 新聞広告等

原告は、医療事業に属する製品を子会社の株式会社ニプロを通じて全国に販売しており、例えば、平成七年一一月二四日付朝日新聞夕刊(甲八の1)、同年九月二三日付読売新聞(甲八の2)及び同年九月二八日付日本経済新聞(甲八の3)に「信頼の医療器NIPRO先端技術で未来を創る ニプロ」との広告を掲載しているが、右広告にはロゴマークとともに別紙目録一記載の書体の「ニッショー」との表示も記載している。

また、平成二年以降の日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞、読売新聞等の各紙には、原告のスーパーマーケットの開店等に関する記事が掲載され、その他流通サービス新聞等の業界各紙には原告のストア事業の内容を紹介する記事等が掲載されている(甲六の1~14)。

(3) テレビコマーシャル(甲七、検甲一)

原告は、いずれも平成五年四月から現在まで、TBS系列で毎日曜日午後六時から五四分間放映される「報道特集」において三〇秒間、NTV系列で毎日曜日午後九時から五四分間放映される「知ってるつもり!」において六〇秒間、NTV系列で毎月曜日午後一〇時から五四分間放映される「びっくりトークハトがでますよ!」において三〇秒間、いずれも働く看護婦の姿を描いたテレビコマーシャルを放映して(但し、「びっくりトーク ハトがでますよ!」は平成五年九月末まで)、原告のイメージアップを図っているところ、そのテレビコマーシャルにおいて別紙目録一記載の書体の「ニッショー」との表示を使用している。

(五) 原告が、平成八年六月、原告石橋店に実際に来店してレジを通過した客(来店客)の居住地域毎に、当該来店客の数が当該居住地域の全世帯数に占める割合について調査をしたところ(当日の居住地域毎の来店客数は、来店客のうち無作為に抽出した約一〇〇名に対する聴取り調査により、居住地域別の来店客数の構成比を算出し、これを当日の全来店客数に乗じて算出したもの)、右割合が二〇%以上である地域が前記石橋店地域の約三分の一を占めている(甲一八)。

2  右認定事実によれば、原告は、(1)もともとは各種ガラス管の製造販売会社として出発したが、昭和三八年一一月にスーパーマーケットの経営に進出し、「ニッショーストア」との名称で豊中市服部に第一号店を開設し、以来平成六年九月までの間に前記第三の一【原告の主張】1の(一)ないし(二四)のとおり、本件営業表示のうちの「ニッショー」又は「ニッショーストア」との名称の店舗を合計二四店(本件各店舗)相次いで開設しているところ、そのうち一七店は大阪府北部に集中し、他の二店(宝塚南口店及び山下店)もその隣接地域に位置している、(2)本件各店舗のうち大阪府北部に位置する店舗の昭和五五年から平成六年度までの間の各年間売上高の合計額の推移は前記第三の一【原告の主張】2のとおりであって、昭和五五年には合計一四一億円余りであったが、徐々に増大し、平成元年度には約二三〇億円、平成二年度には約二七四億円となり、平成三年度以降は三三〇億円以上に達しており、その株式は、昭和六二年二月大阪証券取引所市場第二部に、平成二年三月同第一部に、平成八年一二月東京証券取引所市場第一部にそれぞれ上場されるに至っている、(3)本件各店舗の広告宣伝として、年間九五回(一週間に二回程度)、各店舗毎に店舗を中心とする半径約二キロメートルの範囲の地域内において、セールス商品等を掲載したチラシを大手新聞紙への折込みにより配布しており、例えば、平成七年九月二七日から二九日までの間に合計五三万八二〇〇枚を、同年一〇月二五日から二八日までの間に合計五七万九〇〇〇枚を、それぞれ朝日、毎日、読売、産経、神戸、京都の各新聞紙に折り込んで本件各店舗の所在地で配布し、このうち石橋店地域(池田市石橋・豊島北・豊島南・住吉・天神・荘園・井口堂・鉢塚・旭丘・緑丘、豊中市清風荘・蛍池北・宮山町、箕面市瀬川・半町・桜井・桜ヶ丘)における配布枚数は二万九〇〇〇枚であり、このような折込みチラシの配布状況は昭和六二年以前から現在まで大きな変化はなく、その費用として売上額の一・五%程度をかけている、(4)医療事業に属する製品を子会社の株式会社ニプロを通じて全国に販売するにつき朝日新聞等に新聞広告を掲載しているが、その広告にはロゴマークとともに別紙目録一記載の書体の「ニッショー」との表示も記載しており、また、平成二年以降の日本経済新聞等の各紙や流通サービス新聞等の業界各紙に原告に関する記事が掲載されており、平成五年四月からはテレビコマーシャルを放映して原告のイメージアップを図っているところ、そのテレビコマーシャルにおいて、別紙目録一記載の書体の「ニッショー」との表示を使用している、というのであって、これによれば、本件営業表示(のうちの「ニッショー」及び「ニッショーストア」との表示)は、遅くとも、本件各店舗のうち大阪府北部に位置する店舗の売上額が約二三〇億円となり、寝屋川店、くずは店、三国店と相次いで開設し、その株式が翌年三月に大阪証券取引所市場第一部に上場されるに至った平成元年中には、大阪府北部及びその隣接地域、すなわち大阪府豊中市、箕面市、池田市、吹田市、茨木市、高槻市、枚方市、摂津市、兵庫県宝塚市、川西市において、原告のスーパーマーケット営業を表示するものとして周知性を獲得しているというべきである。

3  被告は、本件営業表示は大阪府北部において周知性を獲得していないとし、その理由として、<1>被告の店舗がある箕面市には原告の店舗は存在しない、<2>大阪府下にはダイエー等まさに著名なスーパーマーケットの店舗が多数あり、地域住民は、スーパーマーケットの識別は重要な問題ではなく、そこで販売される商品の種類、価格、品質、販売手法などに着目しているのであって、必ずしもその営業表示によって購買の意思決定をしているわけではない、<3>原告は、スーパーマーケット業界での売上規模で大きなシェアを持つ大手業者ではなく、前記各スーパーマーケット各社に比べればその規模は小さく知名度も低いと主張するが、以下のとおりいずれも失当というべきである。

<1>の点については、確かに被告の店舗がある箕面市自体には原告の店舗は存在しないものの、箕面市は、その西側に池田市、南側に豊中市及び吹田市、東側に茨木市がそれぞれ隣接しており、これら箕面市を囲むいずれの市にも原告の店舗が存在するのであり、とりわけ池田市に存する石橋店は、箕面市との境界のごく近くに位置し(被告の店舗との距離は約一・五キロメートル。甲一三)、前認定のとおり原告は箕面市内の地域をも対象として新聞折込みチラシを配布していることに照らせば、本件営業表示(のうちの「ニッショー」及び「ニッショーストア」との表示)は、箕面市をも含めた大阪府北部において周知性を獲得しているといえるのである。

<2>及び<3>の点については、大阪府下には原告よりも営業規模の大きい著名なスーパーマーケット(ダイエー、イズミヤ等)が少なからず存在することは公知の事実であるが、そのことから直ちに本件営業表示が原告のスーパーマーケット営業を表示するものとして周知性を獲得していると認定することの妨げとなるものでないことは明らかであり、前認定のとおりの原告のスーパーマーケット営業における本件各店舗の数・所在位置、売上高、その広告宣伝の方法等に鑑みれば、本件営業表示が周知性を獲得していることを優に認めることができるのである。<2>の点のうち、地域住民は、スーパーマーケットの識別は重要な問題ではなく、そこで販売される商品の種類、価格、品質、販売手法などに着目しているのであって、必ずしもその営業表示によって購買の意思決定をしているわけではないとの点については、まさに右被告の主張の商品の種類、価格、品質、販売手法などが各スーパーマーケットの特徴をなすものであって、営業表示は、これらの特徴を総合した営業全体を表示し、その信用を化体しているものといわなければならない。

二  争点2(被告は被告営業表示を使用することにより、原告の営業との混同を生じさせているか)について

1  被告が大阪府箕面市半町四丁目三番四〇号において、仏壇、家具、唐木等の販売業を営み、その営業表示として被告営業表示(別紙目録二及び三記載の表示)を使用していることは、前記第二の一2のとおり当事者間に争いがない。

2  被告営業表示を本件営業表示のうちの「ニッショー」及び「ニッショーストア」との表示と対比するに、被告営業表示は、本件営業表示のうちの「ニッショー」との表示及び「ニッショーストア」との表示中の「ニッショー」の部分(「ニッショーストア」中の「ストア」の部分は、商店ないし小売店を表す英語であり、スーパーマーケットを表示するものとしてきわめてありふれたものであって営業主体の識別機能を有しないから、「ニッショー」の部分が識別機能を有するものと認められる)と称呼が同一であり、外観についても書体まで同一であるから、本件営業表示のうち「ニッショー」との表示とは全く同一であり、「ニッショーストア」との表示とは類似するものであることが明らかである。

もっとも、被告は、仏壇、家具、唐木等の販売を業とするものであり、証拠(甲五の2~5〔原告の石橋店、姫路店、千里丘店のチラシ〕及び証人西江満男)によれば、本件各店舗においては、収納ケース、キャスター付ラック、ストッカー等の収納用品及び日用雑貨は販売しているものの、被告が販売しているような仏壇、家具、唐木等は販売していないことが認められる。しかしながら、スーパーマーケット営業の取扱品目は多種多様であるのが通例であり(右甲五の2~5)、スーパーマーケットが一般に仏壇、家具、唐木等を商品として取り扱うことはないとはいえず(証人西江満男は、ダイエーでは仏壇を販売していると証言する)、前記一1認定の原告の営業規模に照らしても、仮に原告がこれらを取り扱っていたとしても一般消費者にさほど奇異な念を抱かせるものとは考えられないから、被告が本件営業表示のうちの「ニッショー」及び「ニッショーストア」との表示と同一又は類似の被告営業表示を使用することにより、需要者たる一般消費者をして、原告の営業そのものであるとの誤認混同を生じさせるものであり、あるいは少なくとも原告と何ちかの緊密な営業上の関係がある企業の営業であるとの誤認混同を生じさせるものといわなければならず、これにより原告が営業上の利益を侵害されるおそれがあることは明らかである。右説示に反する被告の主張は採用できない。

三  争点3(被告は、被告営業表示につき不正競争防止法一一条一項三号所定のいわゆる先使用権を有するか)について

前示のとおり原告の本件営業表示(のうち「ニッショー」及び「ニッショーストア」との表示)が周知性を獲得したのは遅くとも平成元年中であるところ、被告は、昭和四二、四三年頃から昭和五二年まで、兵庫県尼崎市内で「ニッショー」という名称で家具類、仏壇の販売をしており、その後は奈良市内に店舗を移転して、右店舗での販売の傍ら日本各地で家具の展示販売をし、その展示販売の際にも「ニッショー」という表示を使用していたものであり、昭和六二年三月二日の訴外会社設立後は被告と訴外会社とで家具類、仏壇の販売業を行うようになり、平成二年四月からは大阪府池田市木部町八五に「ニッショー家具」という名称で店舗を設け、「ニッショー」又は「ニッショー家具」の名称で家具類、仏壇の販売を行ってきたものであり、平成七年一月の阪神・淡路大震災の後は、大阪府箕面市内の現在の店舗で同様に訴外会社とともに家具類、仏壇の販売をしているものであるとして、被告営業表示につき不正競争防止法一一条一項三号所定の先使用権を有する旨主張するが、本件営業表示が周知性を獲得した平成元年より前の時期において被告が「ニッショー」という表示を被告の営業表示として使用していたと認めるに足りる証拠はなく、本件営業表示が周知性を獲得した平成元年より後の平成二年四月の時点においてすら被告が「ニッショー」又は「ニッショー家具」の表示を被告の営業表示として使用していたと認めるに足りる証拠はない(被告提出の乙第二ないし第八号証は、「ニッショー」の表示を使用した被告のチラシであるが、最近のものであると認められる。当裁判所は、被告訴訟代理人の申請に基づき被告本人尋問を採用し、尋問期日を二回〔平成九年六月一〇日と七月一五日〕指定し、正式の呼出手続をしたが、被告は二回とも出頭しなかった)。

なお、被告は、昭和六二年三月二日に訴外有限会社ニッショー家具(訴外会社)を設立した旨主張し、あたかも訴外会社の商号が昭和六二年三月二日の設立時から「有限会社ニッショー家具」であったかのごとく主張するが、甲第一一号証によれば、訴外会社は商号を「有限会社奈良三菱家具」とし、本店を奈良市鳥見町三丁目三番「号として設立されたものであり、本件訴状が平成八年一月一〇日に被告に送達された後の同年二月五日に商号を「有限会社ニッショー家具」に変更した上(同月一九日登記)、同月一五日に本店を現在の所在地(被告の送達先であり、被告の店舗の所在地である大阪府箕面市半町四丁目三番四〇号)に移転した(同月二三日登記)ことが認められる。

したがって、被告の右先使用の抗弁は、採用することができない。

第五  結論

以上によれば、原告は、不正競争防止法三条一項に基づき、被告が別紙目録二及び三記載の場所において使用するその営業活動又は営業設備の表示から「ニッショー」の表示の抹消を請求することができることは明らかであり、原告の本件請求は理由がある。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 水野武 裁判官 田中俊次 裁判官 小出啓子)

目録

一、別紙表示のとおり。

二、所在 大阪府箕面市半町四丁目三番四〇号

別紙写真1の建物の入口上部及び壁面に付されている「ニッショー」の表示

三、所在 右同所付近

別紙写真1、2の立看板下部に付されている「ニッショー」の表示

<省略>

写真1

<省略>

写真2

<省略>

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