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大阪地方裁判所 平成3年(ワ)316号 判決 1991年10月25日

原告

岡本照

ほか二名

被告

浜崎千代隆

ほか五名

主文

一  被告浜崎千代隆及び同坪本運送株式会社は、各自、原告岡本照に対し、三四四万六二六四円及び内金三一四万六二六四円、原告岡本佐織及び同岡本泰次に対し、各一七二万三一三二円及び内金一五七万三一三二円に対する平成二年二月二三日から支払い済まで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

二  被告上田勝子、同浜崎千代隆及び同坪本運送株式会社は、各自、原告岡本照に対し、一七二万三一三二円及び内金一五七万三一三二円、原告岡本佐織及び同岡本泰次に対し、各八六万一五六六円及び内金七八万六五六六円に対する平成二年二月二三日から支払い済まで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

三  被告上田正志、同浜崎千代隆及び同坪本運送株式会社は、各自、原告岡本照に対し、五七万四三七七円及び内金五二万四三七七円、原告岡本佐織及び同岡本泰次に対し、二八万七一八八円及び二六万二一八八円に対する平成二年二月二三日から支払い済まで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

四  被告上田美由紀、同浜崎千代隆及び同坪本運送株式会社は、各自、原告岡本照に対し、五七万四三七七円及び内金五二万四三七七円、原告岡本佐織及び同岡本泰次に対し、二八万七一八八円及び内金二六万二一八八円に対する平成二年二月二三日から支払い済まで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

五  被告上田純子、同浜崎千代隆及び同坪本運送株式会社は、各自、原告岡本照に対し、五七万四三七七円及び内金五二万四三七七円、原告岡本佐織及び同岡本泰次に対し、二八万七一八八円及び内金二六万二一八八円に対する平成二年二月二三日から支払い済まで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

六  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

七  訴訟費用はこれを五分し、その三を原告らの、その余を被告らの負担とする。

八  この判決は第一項ないし第五項に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告浜崎千代隆(以下、「被告浜崎」という。)及び被告坪本運送株式会社(以下、「被告会社」という。)は、各自、原告岡本照(以下、「原告照」という。)に対し、八〇六万五三七二円及び内金七四六万五三七二円、原告岡本佐織(以下、「原告佐織」という。)及び同岡本泰次(以下、「原告泰次」という。)に対し、各四〇三万二六八六円及び内金三七三万二六八六円に対する平成二年二月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

2  被告上田勝子は、被告浜崎及び被告会社と各自、原告照に対し、四〇三万二六八六円及び内金三七三万二六八六円、原告佐織及び同泰次に対し、各二〇一万六三四三円及び内金一八六万六三四三円に対する平成二年二月二三日から支払い済まで年五分の割合による金員を支払え。

3  被告上田正志は、被告浜崎及び被告会社と各自、原告照に対し、一三四万四二二八円及び内金一二四万四二二八円、原告佐織及び同泰次に対し、六七万二一一四円及び内金六二万二一一四円に対する平成二年二月二三日から支払い済まで年五分の割合による金員を支払え。

4  被告上田美由紀及び同上田純子らの請求はいずれも、前3項と同旨。

5  訴訟費用は被告らの負担とする。

6  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

次の交通事故が発生した(以下、「本件事故」という。)。

(一) 日時 平成二年二月二三日 午前〇時〇分ころ

(二) 場所 兵庫県西宮市山口町下山口一丁目九番地先路上(国道一七六号線、以下、「本件事故現場」という。)

(三) 加害車両 大型貨物自動車(登録番号、奈一一か一九二四号、以下、「浜崎車」という。)

右運転者 被告浜崎

右保有者 被告会社

(四) 加害車両 普通乗用自動車(登録番号、神戸五九る二六〇〇号、以下「上田車」という。)

右運転者 訴外上田長正(以下、「長正」という。)

右保有者 右同

(五) 被害者 訴外岡本政子(上田車の同乗者、以下、「政子」という。)

(六) 事故態様 上田車が転回(Uターン)中、後方から走行してきた浜崎車が上田車へ側面衝突した。

(七) 結果 上田車へ同乗していた政子は本件事故により死亡した。

2  責任原因

(一) 運行供用者責任(自賠法三条)

本件事故当時、被告会社は浜崎車を保有し、また、長正は上田車を保有し、いずれもこれらを自己のために運行の用に供していたものであるから被告会社及び長正は、自動車損害賠償保障法(以下、「自賠法」という。)三条に基づき、本件事故によつて原告らに生じた損害を賠償する責任がある。

(二) 不法行為責任(民法七〇九条)

(1) 被告浜崎は、浜崎車を運転し、本件事故現場の北行車線を三田方面に向かつて北進中、その進路前方にUターン中の上田車を発見し、急制動の措置を執り事故の回避をなさねばならないのに、制限速度(時速五〇キロメートル)を超える時速七〇キロメートルの速度で走行したため、制御措置も及ばず上田車の右側面に衝突した過失がある。

(2) 長正は、北進の後に右へ(西から東へ)車道上をUターンするに当たり後続車の有無動静と安全を確認してこれを行うべきなのに、浜崎車に気付かなかつたか、或いは気付いても衝突を回避できるものと軽信し、漫然とUターンしたために上田車と浜崎車を衝突させた過失がある。

従つて、被告浜崎及び長正は、いずれも民法七〇九条に基づき本件事故によつて原告らに生じた損害を賠償する責任がある。

(三) 長正の債務の承継

長正の原告らに賠償すべき債務額は、その相続人らである被告上田勝子は二分の一、同上田正志、同上田美由紀、同上田純子はそれぞれ各六分の一づつ承継した。

(四) 共同不法行為責任(民法七一九条一項前段)

被告らは、それぞれ本件事故につき共同不法行為責任がある。

3  損害

(一) 政子の損害と相続

(1) 逸失利益 一六五三万二七四四円

政子は、本件事故当時、満五六歳(昭和八年一〇月一九日生れ)の健康な女子であり、パート勤務をするとともに主婦として家事労働に従事していたから、本件事故に遭遇しなければ、満六七歳までの一一年間にわたつて就労することが可能であり、その間、少なくとも昭和六三年度賃金センサス第一巻第一表・産業計・企業規模計・学歴計・五五ないし五九歳の女子労働者の平均給与年額である二七四万九五〇〇円の収入を得ることができたはずであるところ、同人の生活費は収入の三割とするのが相当であるからこれを控除し、ホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除して(一一年の新ホフマン係数は八・五九〇である。)同人の死亡による逸失利益の現価を計算すると一六五三万二七四四円となる。

(算式)

2,749,500×(1-0.3)×8.590=16,532,744

(2) 慰謝料 一八〇〇万〇〇〇〇円

本件事故によつて生命を失われた政子の精神的・肉体的苦痛に対する慰謝料は、一八〇〇万円をもつて相当である。

(3) 相続

原告照は政子の配偶者であり、原告佐織及び同泰次は、いずれも政子の子であり、政子には他に相続人がいないから、原告らは政子の死亡にともない、同人の被告らに対する前記損害賠償請求権を各法定相続分に従つて、原告照は二分の一、同佐織及び同泰次は各四分の一の割合に応じてそれぞれ相続した。

(二) 原告らの固有の損害

(1) 葬儀費用 一三〇万〇〇〇〇円

原告らは、政子の葬儀を執り行い、その費用として、原告照は六五万円を、同佐織及び同泰次は各三二万五〇〇〇円をそれぞれ支出した。

(2) 弁護士費用 一二〇万〇〇〇〇円

原告らは、本訴の提起及び追行を弁護士である原告訴訟代理人らに委任しその費用及び報酬として、原告照は六〇万円を、同佐織及び同泰次らは各三〇万円をそれぞれ支払うことを約した。

4  損害の填補

原告らは、自賠責保険から二〇九〇万二〇〇〇円の支払いを受けた。

5  結論

よつて、原告らは、被告らに対し、本件交通事故の損害賠償として、原告照に対し八〇六万五三七二円及び内金七四六万五三七二円、原告佐織及び同泰次に対し各四〇三万二六八六円及び内金三七三万二六八六円に対する不法行為の日である平成二年二月二三日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は、すべて認める。

2  同2の(一)はすべて認める。

同(二)の(1)中被告浜崎が浜崎車を運転して時速七〇キロメートルで北進していたことは認めるも急制動の措置を執る注意義務の存在及びその余は争う。

同(二)の(2)、同(三)及び(四)は認める。

3  同3の(一)、(二)の事実は、いずれも不知もしくは争う。

4  同4は認める。

三  抗弁(過失及び好意同乗による相殺)

政子は、本件事故の前日の午後九時もしくは九時三〇分ころ、既に飲酒していた長正もしくは訴外柏尾鈴江らに電話で誘われてスナツクに出向き、長正らと約二時間ほどウイスキーの水割を飲み、歌をうたつて楽しんだ後、長正の運転する上田車に同乗して、本件事故現場道路に面するラーメン屋「六甲」に赴き、同店でラーメンを食べた後、さらに長正の運転する上田車に同乗中に本件事故に遭遇したものである。

捜査の結果、長正の本件事故当時の血中アルコール濃度は、血液一ミリリツトル中約〇・六ミリグラムであつたと判断された。

政子は、長正と一緒に飲酒したのであるから、同人がかなりの飲酒をしていること及び同人の運転する車両に同乗することは相当に危険性を伴うものであることは充分承知していたというべきである。

よつて、政子は、いわゆる危険関与型の好意同乗者であるというべきであり原告の損害総額につき過失相殺の法理を適用もしくは類推適用したうえで、五〇パーセントもしくは相当額の減額をするべきである。

尚、好意同乗者であつたことは、本来同乗させた者側との関係で考慮すべきものであるが、被告浜崎らから被告上田らへ求償する場合を考えると、原告らと被告浜崎及び被告会社に対する関係でも考慮されるべきである。

四  抗弁に対する認否

抗弁事実は争う。

第三証拠

証拠関係は、本件記録中の書証及び証人等目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  本件事故の発生

請求原因1の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  責任原因(運行供用者責任もしくは過失責任)

請求原因2は当事者間に争いはないから、被告会社は自賠法三条により、長正は自賠法三条および民法七〇九条により、被告浜崎は民法七〇九条により、いずれも本件事故により原告らに生じた損害を各自賠償する責任があり、長正の債務については、その相続人である被告勝子はその二分の一、同正志、同美由紀、同純子はその六分の一づつ相続した。

そこで、損害について判断する。

1  政子の損害と相続

(一)  逸失利益 一四九九万三一六〇円

成立に争いのない甲第三号証、及び原告照の本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、政子は昭和八年一〇月一九日生れの本件事故当時満五六歳の健康な女子であり、長男の原告泰次は事故以前に既に結婚し独立していたが、配偶者である原告照と美容師である長女の原告佐織の三人家族の主婦として家事労働に従事するとともに、昭和五五年頃より阪神エレクトリツク株式会社にパート勤務をしており、事故当時年収約一〇〇万円程度を得ていたことが認められるから、本件事故に遭遇しなければ六七歳までの一一年間就労可能であり、政子の右就労内容から考えて毎年少なくとも平成二年度賃金センサス第一巻第一表・産業計・企業規模計・学歴計の五五歳ないし五九歳・女子労働者の平均給与年額二九〇万九〇〇〇円程度の収入を得ることができるはずであつたと推認するのが相当であるところ、その間の政子の生活費は家族関係等の事情を考えれば右収入の四割であると認めるのが相当であるから四割を控除することとし、ホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息をそれぞれ控除して政子の死亡による逸失利益の現価を計算すると一四四三万九六一四円となる。

(算式)

2,909,000×(1-0.4)×8.5901=14,993,160

(二) 慰謝料 一八〇〇万〇〇〇〇円

一家の主婦である政子が死亡によつて受けた肉体的・精神的苦痛に対する慰謝料は一八〇〇万円をもつて相当と認める。

(三) 権利の承継

原告照の本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、原告照は政子の配偶者であり、原告佐織及び同泰次はいずれも子であり、政子には他に相続人がいないことが認められるから、原告らは、政子の死に伴い前記の損害賠償請求権を法定相続分に応じて、原告照は二分の一、原告佐織及び同泰次はそれぞれ各四分の一の割合で相続により承継取得したことが認められる。

2  原告らの固有の損害

葬儀費用 一〇〇万〇〇〇〇円

原告照の本人尋問の結果及び同結果により真正に成立したことが認められる甲第四号証、第五号証の一、二、第六号証並びに弁論の全趣旨を総合すれば、原告らが政子の葬儀を執り行い、その費用として一一六万九五五〇円を要したことが認められるが、うち原告照につき五〇万円、原告佐織及び同泰次につき各二五万円をもつて本件事故と相当因果関係にある損害と認める。

3  まとめ(1と2の合計金額)

(一)  原告照の損害 一六九九万六五八〇円

(二)  原告佐織及び同泰次の損害 各八四九万八二九〇円

三  過失及び好意同乗による相殺

当事者に争いのない事実に、成立に争いのない乙第一号証の一ないし六、乙第二、第三号証各一、二、第四号証及び証人柏尾鈴江の証言、原告岡本照の本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると以下の事実が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

1  政子は、昭和五五年頃から、阪神エレクトリツク株式会社(自動車の電気部品製造会社)にパートタイムの勤務を始めたが、政子と長正の訴外柏尾鈴江(以下、「鈴江」という。)とはいずれも同僚の間柄であつた。

政子は、鈴江とは、入社以来一緒に遊びに行つたり、鈴江の離婚の相談にのる等親しく交際をしており、事故前にも長正を含めて三人で年に数回程度スナツクで飲んだり、カラオケで歌つたりしていた。

長正は、平成元年三月頃に右会社を退社し、その頃から鈴江と鈴江の住所地で同棲するようになつた。

2  本件事故発生日の前日である平成二年二月二二日、長正は仕事が休みであつたので鈴江も午後から休みをとり、両名は長正が運転する上田車に同乗して一緒に遊びに行き、午後八時頃に有馬街道沿いの中華料理店「よいよい亭」に行き、食事をし、二人で中瓶のビール二本を飲んだが、ビールについては長正がそのうち一本半位を、鈴江が残り半本位を飲んだ。

午後九時頃、両名は長正運転の上田車に同乗してスナツク「ターゲツト」に飲みに行つた。「よいよい亭」から「ターゲツト」までの所要時間は車で一〇ないし一五分位であつた。

午後九時半頃、長正は政子を呼んで一緒に飲もうと言いだし、鈴江もこれに同意したので、長正が政子を電話で呼び出したところ、政子は午後一〇時頃に徒歩で同店に来たが、政子の自宅から「ターゲツト」まで徒歩で一〇分もかからない距離にある。

同店では、長正はウイスキーの水割り二、三杯位を、政子は二杯弱位を、鈴江は一杯少々位を飲み、また一緒にカラオケを歌つたり、ダンスをするなどして、同店に午後一一時頃までいた。長正は陽気になつていた。

その後、政子と鈴江は長正の運転する上田車に同乗し、「ターゲツト」から車で五分位の距離にあるラーメン店「北甲」へ行き、ラーメシを食べたが、同店では長正がビールを注文しようとするのを鈴江が制したため、結局飲酒はしなかつた。

三名は、ラーメンを食べたのち帰宅途中、本件事故に遭遇したものである。

3  平成二年二月二三日午前〇時〇〇分頃、長正は、「北甲」の前面車道に、駐車車両である大型ダンプカーの前に駐車させていた上田車の助手席に鈴江を、後部座席に政子を同乗させて、上田車を運転し、まず北行車線の外側車線を少々北進したのち南行車線に出ようとしてUターン中に、折から、北行車線の内側車線を上田車の後方から北進してきた浜崎車の左前角部と上田車の右側面部とが衝突し、長正と政子は死亡し、鈴江は負傷した。

事故当時の天候は、激しい雨であつた。

本件事故後の刑事捜査の結果によれば、長正の血中アルコール濃度は血液一ミリリツトル中約〇・六ミリグラムであつたことが認められ、右数値は一般的に酒酔いの程度としては第一度(微酔)に属するとされ、この場合、抑制がとれ、陽気となり、決断が速やかとなるが誤りも起こり、本人はむしろ能力を増している感を持つが、厳密なテストをしてみると運動失調がきているし、作業能力も減退しており、したがつて、運転者としては危険な状態であるとされているから、長正の飲酒によるアルコールの影響が本件事故発生の一因をなしたことが認められる。

以上の認定事実によれば、政子は自ら主導的に長正らを誘つたわけではないものの、長正の電話で呼び出されるままにスナツク「ターゲツト」に赴き、長正や鈴江らと一緒にかなりの時間飲酒したり、カラオケやダンスに興じたのであるから、少なくとも長正が「ターゲツト」において相当程度飲酒していたことを知つていたことはもとより、長正の飲酒運転に加担したものであり、しかも、当時深夜であり、激しく雨の降る悪天候の日に飲酒運転をした場合の危険発生の可能性については充分予測できたのであるから、同乗を見合わせて事故の発生を避けるべき注意義務があつたものというべきである。

しかるに政子には飲酒運転に加担したのみならず、右危険性を知悉しながら軽率にも上田車に同乗した過失が認められること、その他前記認定のとおり、政子と長正及び鈴江との親しい間柄、上田車に同乗するに至るまでの経過及び事故態様等諸般の事情を斟酌すると、過失相殺の法理を適用ないし類推適用して前記認定の損害額から二割を減ずるのが相当である。

よつて、原告照が被告らに請求できる金額は一三五九万七二六四円、同佐織及び同泰次のそれは各六七九万八六三二円となる。

四  損害の填補

原告らが自賠責保険から二〇九〇万二〇〇〇円の支払いを受けたことにつき、当事者間に争いはない。そうすると、原告らの前記損害合計額から、右填補額を法定相続分の割合に応じて原告照は一〇四五万一〇〇〇円、同佐織及び同泰次は各五二二万五五〇〇円をそれぞれ差し引くと、原告照の損害残額は三一四万六二六四円、同佐織及び同泰次のそれは各一五七万三一三二円となる。

五  弁護士費用

弁論の全趣旨によれば、原告らが本訴の提起及び追行を弁護士である原告訴訟代理人らに委任し、その費用及び報酬の支払いを約していることが認められるところ、本件事案の内容、審理の経過、認容額等に照らすと、原告らが被告らに対して、本件事故と相当因果関係にある損害として賠償を求めうる弁護士費用の額は、原告照につき三〇万円、原告佐織及び同泰次につき各一五万円と認めるのが相当である。

六  結論

以上のとおりであるから、原告らの被告らに対する本訴各請求は、原告照につき合計三四四万六二六四円及び内金三一四万六二六四円、原告佐織及び同泰次につき合計各一七二万三一三二円及び内金各一五七万三一三二円に対する本件事故の発生の日である平成二年二月二三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条を、仮執行宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 阿部靜枝)

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