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大阪地方裁判所 平成2年(わ)737号 判決 1990年10月01日

本店所在地

大阪府吹田市朝日町三-三〇七

三田商事 株式会社

右代表者代表取締役 三田武雄こと金漢翊

国籍

韓国(京畿道廣州郡廣州面松亭里三八七番地)

住居

大阪市東淀川区瑞光三丁目九番三二号

会社役員

三田武雄こと

金漢翊

一九三七年二月一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官梶山雅信出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人三田商事株式会社を罰金三八〇〇万円に、被告人金漢翊を懲役一年六月に処する。

被告人金漢翊に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人三田商事株式会社(以下、「被告会社」という。)は、大阪府吹田市朝日町三-三〇七に本店を置き、不動産売買等を業とするもの、被告人金漢翊は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人金漢翊は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、

第一  昭和六〇年五月一日から昭和六一年四月三〇日までの事業年度における実際所得金額が二一五三万一四二四円(別紙(一)修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が三八四〇万九〇〇〇円あつたのにかかわらず、架空仕入れ及び架空給与を計上するなどの方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年六月三〇日、大阪府吹田市片山町三丁目一六番二二号所在の所轄吹田税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額がなく、課税土地譲渡利益金額が一四四五万五〇〇〇円で、これに対する法人税額が二六〇万九〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一五七三万八七〇〇円と右申告税額との差額一三一二万九七〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第二  昭和六一年五月一日から昭和六二年四月三〇日までの事業年度における実際所得金額が二億二五二三万二一四九円(別紙(二)修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が一億一九〇九万二〇〇〇円あつたのにかかわらず、前同様の方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年六月三〇日、前記吹田税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一二四三万五九三二円で、課税土地譲渡利益金額がなく、これに対する法人税額が四二〇万一四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億一七三九万四五〇〇円と右申告税額との差額一億一三一九万三一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第三  昭和六二年五月一日から昭和六三年四月三〇日までの事業年度における実際所得金額が八八八七万八五〇八円(別紙(三)修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が五六三三万四〇〇〇円あつたのにかかわらず、前同様の方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年六月三〇日、前記吹田税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一〇七五万一八三七円、課税土地譲渡利益金額が一二一〇万八〇〇〇円で、これに対する法人税額が六四六万八七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五〇七一万八〇〇円と右申告税額との差額四四二四万二一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カードの検察官請求分の請求番号を示す。

判示事実全部について

一  被告人金漢翊の当公判廷における供述

一  被告人金漢翊の検察官に対する供述調書(94)

一  被告人金漢翊に対する収税官吏の質問てん末書二六通(67ないし89、91ないし93)

一  宋英春の検察官に対する供述調書(31)

一  周国夫(23)、立田博久(24)、宋英春(六通、25ないし30)、横山明美(三通、32ないし34)、安藤千冬(二通、35、36)、梅地高明(48)、武中孝治(49)、富田喜一(50)、野田昭夫(51)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(9ないし11、14、15、18ないし20、22)

一  吹田税務署長作成の証明書(7)

一  被告会社作成の証明書(64)

一  大阪法務局吹田出張所登記官作成の法人登記簿謄本(61)閉鎖法人登記簿謄本二通(62、63)

一  検察事務官作成の報告書(95)

判示第一、第二の各事実について

一  車大善に対する収税官吏の質問てん末書(52)

判示第一の事実について

一  吹田税務署長作成の証明書(4)

判示第二、第三の各事実について

一  洪昌男(37)、金景文(56)の収税官吏に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(8、12、13、16、17、21)

判示第二の事実について

一  松井ヤス子(38)、新谷貞雄(39)、高橋毅(二通、40、41)、寺岡嘉昭(二通、42、43)、幸数馬(44)、増田潔(45)、洪性貞(二通、53、54)、山田一夫(55)、李鎮男(57)、洪亨杓(二通、58、59)、山木清(60)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  吹田税務署長作成の証明書(5)

判示第三の事実について

一  中山勝富(46)、高橋純一(47)の収税官吏に対する各質問てん末書

一  吹田税務署長作成の証明書(6)

(法令の適用)

被告人金漢翊の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中それぞれ懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人金漢翊を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

更に、被告人金漢翊の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金三八〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 仙波厚)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和60年5月1日

至 昭和61年4月30日

(三田商事株式会社)

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和61年5月1日

至 昭和62年4月30日

(三田商事株式会社)

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和62年5月1日

至 昭和63年4月30日

(三田商事株式会社)

<省略>

別紙(四)

税額計算書

三田商事株式会社

<省略>

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