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大阪地方裁判所 平成2年(わ)1785号 判決 1991年10月18日

本店所在地

大阪府寝屋川市川勝町九番一四号

ニコニコ観光株式会社

(右代表者代表取締役 卞長一)

本店所在地

大阪府寝屋川市音羽町三番三号

音羽観光株式会社

(右代表者代表取締役 田中幸光)

国籍

朝鮮(慶尚北道大邱府下洞町四四番地)

住居

大阪府枚方市香里園町六番八号

会社役員・パチンコ業

卞長一

一九四〇年一月二〇日生

被告人ニコニコ観光株式会社、同音羽観光株式会社に対する各法人税法違反、被告人卞長一に対する法人税法違反、所得税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官宮下準二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人ニコニコ観光株式会社を罰金六五〇万円に、被告人音羽観光株式会社を罰金六五〇万円に、被告人卞長一を懲役二年及び罰金六五〇〇万円に処する。

被告人卞長一においてその罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人卞長一に対し、この裁判が確定した日から三年間その懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告人ニコニコ観光株式会社(以下、「被告会社ニコニコ観光」という。)は、大阪府寝屋川市川勝町九番一四号に本店を置き、パチンコ業を営むもの、被告人卞長一(以下、「被告人」という。)は、被告会社ニコニコ観光の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社ニコニコ観光の業務に関し、法人税を免れようと考え、

一  昭和五九年一〇月一八日から昭和六〇年九月三〇日までの事業年度における実際所得金額が三五九万二五一九円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、売上の一部を除外し、よって得た資金を代表者の個人資産である仮名預金及び関連法人に対する貸付金等として留保するなどの方法により、所得を秘匿したうえ、同年一一月二八日、大阪府枚方市大垣内町二丁目九番九号所在の所轄枚方税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が二一二七万八一二六円で、これに対する法人税額がない旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社ニコニコ観光の右事業年度における正規の法人税額九四万九七〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を全部免れた。

二  昭和六〇年一〇月一日から昭和六一年九月三〇日までの事業年度における実際所得金額が七一五九万六八一二円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、前同様の方法により、所得を秘匿したうえ、同年一一月二八日、前記枚方税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一五九万四三二四円で、これに対する法人税額が三九六万六五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社ニコニコ観光の右事業年度における正規の法人税額二九九四万七四〇〇円と右申告税額との差額二五九八万九〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れた。

第二  被告人音羽観光株式会社(以下、「被告会社音羽観光」という。)は、大阪府寝屋川市音羽町三番三号に本店を置き、パチンコ業を営むもの、被告人は、被告会社音羽観光の実質的経営者としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社音羽観光の業務に関し、法人税を免れようと考え、

一  昭和六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が一四三七万四七六二円(別紙(四)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、売上げの一部を除外し、よって得た資金を被告人の個人資産である仮名預金及び関連法人に対する貸付金等として留保するなどの方法により、所得を秘匿したうえ、昭和六一年二月二八日、前記枚方税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が二五四三万八二一八円で、これに対する法人税額がない旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社音羽観光の右事業年度における正規の法人税額四六八万三八〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を全部免れた。

二  昭和六一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が五、一四三万七、四八五円(別紙(五)修正貸借対照表参照)、課税土地譲渡利益金額が二二〇八万四〇〇〇円あったのにかかわらず、前同様の方法により、所得を秘匿したうえ、昭和六二年二月二八日、前記枚方税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が二四二六万七四四五円、課税土地譲渡利益金額が二二〇八万四〇〇〇円で、これに対する法人税額が三七七万五二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社音羽観光の右事業年度における正規の法人税額二五六一万九五〇〇円と右申告税額との差額二一八四万四三〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を免れた。

第三  被告人は、大阪府寝屋川市川勝町一三番一号所在のパチンコ店「寝屋川店」(実弟下正男名義)を実質的に経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと考え、

一  昭和六〇年分の総所得金額が二億三二九四万五二六九円(別紙(七)修正貸借対照表、(九)税額計算書参照)あったのにかかわらず、売上げの一部を除外し、よって得た資金を仮名預金金及び関連法人に対する貸付金等として留保するなどの方法により、所得を秘匿したうえ、昭和六一年三月一四日、前記枚方税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四、九七二万五八〇〇円で、これに対する所得税額が二二九九万五八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億四、九五五万三五〇〇円と申告税額との差額一億二四三一万七五〇〇円(ただし、下正男名義で二二四万二〇〇円の所得税を申告しているため、これを被告人の申告税額とみなして控除した、別紙(九)税額計算書参照)を免れた。

二  昭和六一年分の総所得金額が二億四〇二七万二五五五円(別紙(八)修正貸借対照表、(九)税額計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の方法により、所得を秘匿したうえ、昭和六二年三月一四日、前記枚方税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が三九一三万二三五五円で、これに対する所得税額が一六五四万三七〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億五四五八万四九〇〇円と申告税額との差額一億三六一三万二五〇〇円(ただし、下正男の名義で一九〇万八七〇〇円の所得税を申告しているため、これを被告人の申告税額とみなして控除した、別紙(九)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注)括弧内の算用数字は証拠関係等関係カードの検察官請求分の番号を示す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通(216ないし219)

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書三七通(179ないし215)

一  証人金在順の当公判廷における供述

一  豊永和幸(115)、金洙飛(124)、内田博(138)、李昭子(141)、田中幸光(144)、渡邊紀久男(149)の検察官に対する各供述調書

一  豊永和幸(二通、113、114)、金洙飛(八通、116ないし123)、内田博(一三通、125ないし137)、李昭子(二通、139、140)、田中幸光(二通、142、143)、渡邊紀久男(四通、145ないし148)、金在順(三通、150ないし152)、卞正男(二通、153、154)、三宅敬二(155)、金明東(156)、松本重継(二通、157、158)、國本欣男(159)、鴨井義美(160)、康盛久(161)、岡崎秀夫(162)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書(24)

一  検察事務官作成の報告書(20)

判示第一の一、二の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書五通(21、22、25、27、29)

一  枚方税務署長作成の証明書(5)

一  被告会社ニコニコ観光代表者作成の証明書(167)

一  登記簿謄本(163)、閉鎖した役員欄の用紙の謄本(三通、164ないし166)

判示第一の一の事実について

一  枚方税務署長作成の証明書(3)

判示第一の二の事実について

一  枚方税務署長作成の証明書(4)

判示第二の一、二の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書五通(23、31、33、35、37)

一  被告会社音羽観光代表者作成の証明書(174)

一  登記簿謄本(171)、閉鎖した役員欄の用紙の謄本(二通、172ないし、173)

判示第二の一の事実について

一  枚方税務署長作成の証明書(8)

判示第二の二の事実について

一  枚方税務署長作成の証明書(9)

判示第三の一、二の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書八一通(26、28、30、32、34、36、38ないし112)

一  枚方税務署長作成の証明書三通(14、15、19)

判示第三の一の事実について

一  枚方税務署長作成の証明書三通(12、16、18)

判示第三の二の事実について

一  枚方税務署長作成の証明書二通(13、17)

(法令の適用)

被告人の判示第一の一、二及び第二の一、二の各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中はいずれも懲役刑を選択し、また、判示第三の一、二の各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑と罰金刑を併科し、かつ、判示第三の一、二の各罪については、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の二の罪の刑に法定の加重をし、また、罰金刑については同法四八条二項により所定の金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役二年及び罰金六五〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

また、被告人の判示第一の一、二の各所為は被告会社ニコニコ観光の業務に関してなされたものであるから、同被告会社については、法人税法一六四条一項により判示第一の一、二の各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、判示第一の二の罪については、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社ニコニコ観光を罰金六五〇万円に処することとする。

更に、被告人の判示第二の一、二の各所為は被告会社音羽観光の業務に関してなされたものであるから、同被告会社については、法人税法一六四条一項により判示第二の一、二の各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、判示第二の二の罪については、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社音羽観光を罰金六五〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 仙波厚)

(別紙一)

修正貸借対照表

<省略>

(別紙二)

修正貸借対照表

<省略>

(別紙三)

税額計算書

<省略>

(別紙四)

修正貸借対照表

<省略>

(別紙五)

修正貸借対照表

<省略>

(別紙六)

税額計算書

<省略>

(別紙七)

修正貸借対照表

<省略>

(別紙八)

修正貸借対照表

<省略>

(別紙九)

税額計算書

<省略>

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