大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成元年(わ)3086号 判決 1990年4月23日

本籍

大阪府泉大津市北豊中町二丁目一九番

住所

同市北豊中町二丁目九番一八号

会社役員

田中敏朗

昭和二三年一二月一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件にき、当裁判所は、検察官梶山雅信出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金四八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金一五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪府泉大津市旭町一番三号等において、不動産売買仲介業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和六〇年分の実際総所得金額が一億九一八万二二五五円あつた(別紙(一)修正貸借対照表対照)のにかかわらず、事業に係る実際の所得金額とは関係なく、ことさら過少な所得金額を記載した所得税確定申告書を作成して所得を秘匿した上、昭和六一年三月一五日、大阪府岸和田市土生町二丁目二八番一号所在の所轄岸和田税務署において、同税務署長に対し、昭和六〇年分の総所得金額が八四〇万二五〇〇円で、これに対する所得税額が一三四万五一〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額六二六一万二四〇〇円と右申告税額との差額六一二六万七三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第二  昭和六一年分の実際総所得金額が七五一六万六九一五円あつた(別紙(二)修正貸借対照表参照)のにかかわらず、前同様の方法により所得を秘匿した上、昭和六二年三月一六日、前記岸和田税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年分の総所得金額が二六五万九五〇〇円で、これに対する所得税額が一一万五八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額三九四二万五九〇〇円と右申告税額との差額三九三一万一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第三  昭和六二年分の実際総所得金額が一億七五四〇万五四二三円あつた(別紙(三)修正貸借対照表参照)のにかかわらず、前同様の方法により所得を秘匿した上、昭和六三年三月一五日、大阪府泉大津市二田町一丁目一五番二七号所在の所轄泉大津税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年分の総所得金額が一〇八六万五〇〇〇円で、これに対する所得税額が二一八万四〇〇〇円(ただし、申告書では誤つて所得税額二一七万八七〇〇円と記載。)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額九七三九万四八〇〇円と右申告税額との差額九五二一万八〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人作成の確認書二通

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書二三通

一  田中義克及び尾崎晴子各作成の確認書

一  田中利江、尾崎晴子(一二通)、川橋常吉(二通)、山元朝英、西川豊光、山田建一、中村善孝、寺島万里、本田博信、中濱功、安村精一、古川賢一、田中義克(二通)、前田雅生、黒木典子、崎山雅士、山下宗久(二通)、木下広見及び尾崎久江に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(7ないし18、20、22ないし37、39ないし41、43、44)

判示第一、第二の事実につき

一  八木恵美子に対する収税官吏の質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書(19)

一  検察事務官作成の電話聴取書

判示第一の事実につき

一  泉大津税務署長作成の証明書(4)

判示第二、第三の事実につき

一  佃稔、佐賀喜八及び吉川順太郎に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書(21、38)

判示第二の事実につき

一  泉大津税務署長作成の証明書(5)

判示第三の事実につき

一  向田登に対する収税官吏の質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書(42)

一  泉大津税務署長作成の証明書(6)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれも所定の懲役刑と罰金刑とを併科し、かつ、各罪につき情状により同条二項を適用し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金四八〇〇万円に処し、同法一八条により、右罰金を完納することができないときは金一五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 三好幹夫)

別紙(一)

修正貸借対照表

田中敏朗

昭和60年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

田中敏朗

昭和61年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正貸借対照表

田中敏朗

昭和62年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(四)

税額計算書

田中敏朗

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例