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大阪地方裁判所 平成元年(わ)1525号 判決 1990年3月08日

本店所在地

大阪府守口市佐太中町七丁目三〇番地の一

株式会社二十一世紀

(右代表者代表取締役 宮村収こと李治)

国籍

韓国(慶尚南道咸陽郡安義面校北里四四七番地の三)

住居

大阪市天王寺区北河堀町七番一六号

グランカサ天王寺七〇一一号

会社役員

宮村収こと

李治

一九五五年六月一五日生

国籍

韓国(慶尚南道咸陽郡安義面校北里四四七番地の三)

住居

大阪市浪速区恵美須東三丁目一番一五号

会社役員

宮村俊生こと

李潤壽

一九三〇年七月二七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官山田廸弘出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社二十一世紀を罰金四〇〇〇万円に、被告人李治及び被告人李潤壽をそれぞれ懲役二年に処する。

被告人李治及び被告人李潤壽に対し、この裁判確定の日から三年間それぞれその刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社二十一世紀(以下、被告会社という。)は、大阪府守口市佐太中町七丁目三〇番地の一に本店を置き、パチンコ店「二十一世紀」等の経営を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人李治は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたもの、被告人李潤壽は被告会社の取締役であつたものであるが、被告人李治及び被告人李潤壽は、共謀の上、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、

第一  売上の一部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和五九年五月一日から昭和六〇年四月三〇日までの事業年度における実際所得金額が一億二二八六万一三六〇円であつた(別紙(一)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年七月一日、大阪府門真市殿島町八番一二号所在の所轄門真税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九七七万五四二円で、これに対する法人税額が七〇五万四一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額五一六九万二五〇〇円と右申告税額との差額四四六三万八四〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第二  前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六〇年五月一日から昭和六一年四月三〇日までの事業年度における実際所得金額が一億三三八八万四八五四円あつた(別紙(二)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年六月三〇日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七三〇万五四三九円で、これに対する法人税額が六〇七万四一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額五六五五万二八〇〇円と右申告税額との差額五〇四七万八七〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第三  前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六一年五月一日から昭和六二年四月三〇日までの事業年度における実際所得金額が一億五四三五万六八五三円あつた(別紙(三)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年六月二七日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三〇四三万二五七〇円で、これに対する法人税額が一一三二万七〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額六三三七万五一〇〇円と右申告税額との差額五二〇四万八一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

判示全事実につき

一  被告人李治及び被告人李潤壽の当公判廷における各供述

一  被告人李治及び被告人李潤壽の検察官に対する各供述調書

一  被告人李治(二一通)及び被告人李潤壽(一一通)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  内匠幸男の検察官に対する供述調書

一  内匠幸男(四通)、鈴木二郎(三通)、徳原こと宋信勝(二通)、後藤智子(三通)、瀧井秋男、吉田一夫、渡部英敏、藤崎寛、相守正蔵、矢井輝雄(58)、中河芳昭、岡延迂、萩田良太、石附哲雄、井上勝、上田哲也(二通)、小野田博之及び龍崎俊朗に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(9、10、13ないし27、31、32、35、36)及び各調査報告書(47、69)

一  大阪法務局守口出張所登記官作成の商業登記簿謄本

判示第一、第二の事実につき

一  収税官吏作成の各査察官調査書(33、34)

判示第一の事実につき

一  門真税務署長作成の証明書(4)

判示第二、第三の事実につき

一  収税官吏作成の各査察官調査書(30、38)

判示第二の事実につき

一  門真税務署長作成の証明書(5)

判示第三の事実につき

一  門真税務署長作成の証明書(6)

一  収税官吏作成の各査察官調査書(11、12、28、29、37)

一  矢井輝雄に対する収税官吏の質問てん末書(67)

(法令の適用)

被告人李治及び被告人李潤壽の判示各所為はいずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人李治及び被告人李潤壽をそれぞれ懲役二年に処し、右被告人両名に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間それぞれの刑の執行を猶予することとする。

さらに、右被告人両名の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罪金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金四〇〇〇万円に処することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 三好幹夫)

別紙(一)

修正損益計算書

(株式会社二十一世紀)

自 昭和59年5月1日

至 昭和60年4月30日

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

(株式会社二十一世紀)

自 昭和60年5月1日

至 昭和61年4月30日

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

(株式会社二十一世紀)

自 昭和61年5月1日

至 昭和62年4月30日

<省略>

別紙(四)

税額計算書

株式会社二十一世紀

<省略>

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