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大分地方裁判所 昭和45年(行ウ)6号 判決 1971年2月24日

大分市中央町一丁目三番一〇号

原告

三和商事株式会社

右代表者代表取締役

高崎三男

右訴訟代理人弁護士

河野春馬

熊本市二の丸一

被告

熊本国税局長

猪股正博

右指定代理人

検事

川井重男

法務事務官

中島享

北野辰男

岡野陽一

大蔵事務官

三宅克己

田川修

村上久夫

右当事者間の法人税更正処分審査請求棄却裁決取消請求事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実および理由

一、原告訴訟代理人は、

「被告が原告に対して、昭和四四年一二月二六日付をもつてした、昭和四一年七月一日から昭和四二年六月三〇日までの事業年度分(以下、第一期分という。)、および昭和四二年七月一日から昭和四三年六月三〇日までの事業年度分(以下、第二期分という。)の各法人税審査請求棄却決定は、いずれもこれを取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」

との判決を求め、請求の原因として、

「1. 原告が訴外大分税務署長に対し、原告の第一期分、および第二期分の各所得について確定申告をしたところ、訴外大分税務署長は昭和四四年五月二七日付で右を次のように更正した。すなわち、原告が前期において未収収益として計上していた訴外園田喜平に対する家屋賃貸料収入金七二〇、〇〇〇円を、当期(第一期)において特別損失であると考えてその旨を計上したところ、大分税務署長はこれを否認するのみならず、右園田に対する当期の賃貸料収入金五四〇、〇〇〇円が計上漏れであつたとして、所得金額を合計金一、二六〇、〇〇〇円加算する更正をした。第二期についても、大分税務署長は当期における右園田に対する未収家賃金五四〇、〇〇〇円の計上漏れ等があつたとする更正をした。

2. そこで、原告は 右更正処分を不服として、被告に対し昭和四四年六月一九日付で審査請求をしたところ、被告は同年一二月二六日付で各審査請求を棄却する旨の決定をした。

3. しかし、原告は従前から原告と右園田との間の家屋賃貸借関係および賃料債権の存在を否定し、昭和四〇年四月三日には該家屋の明け渡し等を求める訴訟を提起して、第一、二期の各期間中とも現に抗争中であり、もちろんいかなる名目でも該家屋使用の対価を右園田から受領したことはなかつた。このような事情のもとでは、原告の右園田に対する賃貸料債権は発生しているのか否か不明の状態であつたから、原告が右賃貸料債権を未収収益として計上しなかつたことは相当であるといわなければならない。したがつて、右更正処分を相当として維持した右各審査請求棄却決定は違法である。よつて、その取り消しを求める。」

と述べ、証拠として、甲第一号証の一、二、第二ないし第一七号証、第一八号証の一、二、第一九、第二〇号証を提出した。

二、被告指定代理人は、主文同旨の判決を求め、答弁として、

「1. 請求原因1.2.は認めるが、同3.は争う。

2. 行政事件訴訟法一〇条二項によれば、処分取消の訴とその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消の訴とを提記することができる場合には、裁決取消の訴においては、処分の違法を理由として裁決の取り消しを求めることはできないとされている。すなわち、原処分を正当として審査請求を棄却した裁決取消の訴においては、裁決の手続上の違法その他裁決固有の違法についてのみ主張することができるのである。

ところで、原告は、法人税に係る更正処分に対する原告の審査請求について、被告がなした裁決の取り消しを請求しているものであるが、法人税に係る更正処分については、法人税法はいわゆる裁決主義をとつていないから、原告は更正処分そのものの取り消しの訴を提起することもできると解される。

そうすると、原告は、本件裁決取消の訴においては、裁決固有の違法についてのみ主張することが許されるところ、前記原告の主張するところは、要するに、違法な更正処分を正当として認容した裁決は違法であるというのであるから、裁決固有の違法についての主張があるとみることはできず、原告の本件請求は主張自体理由がない。」

と述べ、甲第五号証、第一七号証の成立については知らないが、その余の甲号各証の成立は認めると述べた。

三、当裁判所は、原告の本件取消請求は、主張自体理由がないので失当として棄却をまぬがれないと考えるが、その理由は前記被告の主張2.に説示するところと同様である。

よつて、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高石博良 裁判官 阿部功 裁判官 浜井一夫)

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