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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和38年(く)11号 決定 1963年9月25日

少年 R(昭二〇・一一・八生)

主文

原決定を取り消す。

本件を原裁判所に差し戻す。

理由

本件抗告の趣意は要するに少年は知能程度低く、学業成績不良ではあるが決して悪質な性格の者ではない。少年は本件の非行につき共犯となつている少年と異なり本件以外に不行跡をしたことなく、殊に本件非行事実中三は附和随行したものであつて、これまでに一度も審判を受けたことがない。共犯者を含む少年等は町のだにと噂されているが、その根拠はなく又不良少年の集りである○○○会結成に参加したことについて少年は極悪人のように看られているが既に右○○○会は解散して存在しないのである。本来青少年の犯行は特別なものを除き早期に補導すれば必ずや成功するものであり、少年の両親、兄弟が少年の更生に努力し、町民も亦これに協力しているから原決定を取り消し、保護観察処分に附するのが相当であるというのである。

よつて記録を精査すると原決定が理由において縷々説示するように少年を中等少年院に送致する決定をしたのは原決定当時としては、まことに相当であり、原決定には何等非難すべき点はない。然しながら当審における証拠調の結果に鑑みれば原決定当時とは少年の補導上の条件が原決定後において変つてきておるから、これを考慮に容れると今直ちに少年を少年院に収容して矯正教育を施すことが必ずしも妥当であると断定できない(少年法第二五条参照)。原審において更に検討を加える必要があるものと思料するから結局原決定は相当でないというべきである。よつて少年法第三三条第二項前段、少年審判規則第五〇条に則り、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 山田義盛 裁判官 堀端弘士 裁判官 松田四郎)

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