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名古屋高等裁判所金沢支部 平成9年(ネ)31号 判決 2000年4月12日

富山県婦負郡婦中町萩島三六九七番地八

控訴人

株式会社ワイ・アイ・シー

右代表者代表取締役

松本巍

香川県大川郡大内町三本松五六七番地

控訴人(附帯被控訴人)

帝國製薬株式会社

右代表者代表取締役

赤澤庄三

滋賀県甲賀郡甲賀町大字大原市場三番地

控訴人(附帯被控訴人)

大正薬品工業株式会社

右代表者代表取締役

増井謙治

滋賀県甲賀郡甲賀町大字大原市場四三番地の一

控訴人(附帯被控訴人)

大原薬品工業株式会社

右代表者代表取締役

大原大

山形県天童市大字情池字藤段一三三一番地

控訴人(附帯被控訴人)

日新製薬株式会社

右代表者代表取締役

大石俊樹

大阪市中央区瓦町三丁目一番四号

控訴人

東亜紡織株式会社

右代表者代表取締役

永峰俊郎

右六名訴訟代理人弁護士

板井一瓏

長野県松本市芳野一九番四八号

被控訴人(附帯控訴人)

キッセイ薬品工業株式会社

右代表者代表取締役

神澤陸雄

右訴訟代理人弁護士

松本重敏

青柳昤子

美勢克彦

同訴訟復代理人弁護士

秋山佳胤

同補佐人弁理士

阿形明

主文

一  控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。

二  被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決を以下のとおり変更する。

1  原判決主文第一項の3を次のとおり変更する。

控訴人大原薬品工業株式会社は被控訴人に対し、金二二一八万一八四一円及び内金二七一万〇七八七円に対する平成三年一月一日から、内金八四八万六二七七円に対する平成四年一月一日から、内金一〇九八万四七七七円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  原判決主文第一項の11を次のとおり変更する。

控訴人日新製薬株式会社は被控訴人に対し、金六四六万〇九八七円及び内金八三万四二九六円に対する平成三年一月一日から、内金四七四万五五一一円に対する平成四年一月一日から、内金八八万一一八〇円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被控訴人の控訴人帝國製薬株式会社及び同大正薬品工業株式会社に対する附帯控訴を棄却する。

四  訴訟費用のうち、控訴人株式会社ワイ・アイ・シー、同帝國製薬株式会社、同大正薬品工業株式会社、同東亜紡織株式会社の控訴費用は右各控訴人の負担とし、被控訴人の控訴人帝國製薬株式会社、同大正薬品工業株式会社に対する附帯控訴費用は被控訴人の負担とし、被控訴人と控訴人大原薬品工業株式会社との間に生じた訴訟費用は、第一・二審を通じてこれを一〇分し、その一を被控訴人の、その余を同控訴人の各負担とし、被控訴人と控訴人日新製薬株式会社との間に生じた訴訟費用は、第一・二審を通じてこれを二分し、その一を被控訴人の、その余を同控訴人の各負担とする。

五  この判決の第二項の1及び2は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人ら

(控訴の趣旨)

1 原判決中、控訴人らの敗訴部分を取り消す。

2 被控訴人の控訴人らに対する請求を棄却する。

3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

(附帯控訴の趣旨に対する答弁)

1 本件附帯控訴を棄却する。

2 附帯控訴費用は被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

(控訴の趣旨に対する答弁)

1 本件各控訴をいずれも棄却する。

2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

(附帯控訴の趣旨)

1 原判決主文第一項の3を次のとおり変更する。

控訴人大原薬品工業株式会社は被控訴人に対し、金二二一八万一八四一円及び内金二七一万〇七八七円に対する平成三年一月一日から、内金八四八万六二七七円に対する平成四年一月一日から、内金一〇九八万四七七七円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2 原判決主文第一項の6を次のとおり変更する。

控訴人帝國製薬株式会社は被控訴人に対し、金二億三六八〇万七九八六円及び内金三七六一万七四一九円に対する平成三年一月一日から、内金一億二七六一万五四九八円に対する平成四年一月一日から、内金七一五七万五〇六九円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3 原判決主文第一項の7を次のとおり変更する。

控訴人大正薬品工業株式会社は被控訴人に対し、金一億〇七九三万七六六八円及び内金一二〇七万〇八二四円に対する平成三年一月一日から、内金五四七二万一五九二円に対する平成四年一月一日から、内金四一一四万五二五二円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

4 原判決主文第一項の11を次のとおり変更する。

控訴人日新製薬株式会社は被控訴人に対し、金一二三二万八八〇一円及び内金八三万四二九六円に対する平成三年一月一日から、内金一〇一六万〇九九〇円に対する平成四年一月一日から、内金一三三万三五一五円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

5 訴訟費用は第一、二審とも右控訴人らの負担とする。

6 仮執行宣言

第二  事案の概要

一  本件は、製薬会社である被控訴人が同業の控訴人らに対し、控訴人らが被控訴人所有に係る原判決別紙記載の特許権(出願昭和四八年一月一八日、登録昭和五七年五月一四日、特許第一〇九六七二四号。以下「本件特許権」という。)を侵害してトラニラスト原末を製造し、このトラニラスト原末を利用してトラニラスト製剤を製造販売することで被控訴人に損害を被らしめたとして、旧特許法一〇二条一項(現特許法一〇二条二項)の規定に従い、控訴人らが本件特許権を侵害してトラニラスト原末を製造し、同原末を利用してトラニラスト製剤を製造販売したことにより得た利益額を被控訴人の被った損害額として損害賠償請求をした事案である。

原審は、控訴人らが本件特許権を侵害したものと認めて、被控訴人の控訴人東亜紡織株式会社及び同ワイ・アイ・シー株式会社に対する請求を全部認容し、他の控訴人らに対する請求を一部認容した。

そこで、控訴人(原審被告)らが原判決を不服として本件控訴を提起し、被控訴人も原判決の敗訴部分を不服として附帯控訴を提起した。

なお、被控訴人は、原審では控訴人らを含めた一四社を被告として損害賠償を請求したが、うち六社については被控訴人の請求を一部認容した原判決が確定し、控訴した八社のうち控訴人らを除く二社については当審で被控訴人が訴えを取り下げた。

二  当事者間に争いのない事実は、原判決「第二 事案の概要」の一のうち控訴人らに関する記載のとおりであるから、これを引用する。

三  本件の争点(争点1―特許権侵害の有無、争点2―被控訴人の損害)及び各争点についての当事者双方の主張は、次に付加するほかは原判決「第二 事案の概要」の二のうち控訴人らに関する記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決三一頁一〇行目「アントラニル酸」の次に「(アミノ安息香酸)」と加入し、三二頁初行目と六行目に「(N・O―イソプロピリデン)アントラニル酸」とあるのをいずれも「アセチルアントラニル」と改め、同頁七行目に「アミノ酸安息香酸」とあるのを「アミノ安息香酸」と改める)。

(控訴人らの控訴理由及び補充主張の骨子)

1 原判決時の特許法一〇二条一項の規定は平成一〇年法律第五一号による改正により特許法一〇二条二項としてそのまま引き継がれたが、この旧特許法一〇二条一項(現特許法一〇二条二項)は、特許権者が当該特許権侵害という不法行為により被った損害額の立証を容易ならしめるためいわば民法七〇九条の不法行為に伴う損害賠償(得べかりし利益)の特則として定められたもので、当該特許権を侵害した者の得た利益額を特許権者の損害額と推定するというものであるから、右解釈上、特許権侵害により損害賠償を請求する者は、「当該特許発明を現に実施していること」が要件とされるべきである(特許発明を自ら実施していない権利者は、自らの実施による得べかりし利益の喪失という損害の発生自体考えられない。もし実施していない場合には、旧特許法一〇二条二項により実施料相当額を請求しうるのみである)。被控訴人は本件特許発明を実施していないのであるから、原判決が被控訴人において本件特許発明を実施しているか否かを考慮もせず、本件につき右推定規定の適用ありとした点は明らかに誤っている。

2 原判決は、控訴人らが主張したトラニラスト製造方法(イ号方法)を実施しているとは認められないと判断したが、右の判断は特許法一〇四条の解釈及び事実の認定を誤っている。

3 原判決は、控訴人らの得た利益額の算出に関しても、「特許法一〇四条の適用の覆滅ができず、控訴人らのトラニラスト原末の製造方法は本件特許権を侵害すると推定せざるをえない。その結果として、控訴人らのトラニラスト原末の製造は本件特許発明の方法を実施したものと推定し」、これを前提として利益額計算をしているが、特許法一〇四条の適用ありとした場合に、控訴人らの製造方法を本件特許発明を実施していたと推定した点、経費の計算において被控訴人の特許課員の提出した原材料費その他の経費の算定推測値をあてた点で誤っている。特許法一〇四条の推定規定の適用は、本件特許発明の方法を実施しているとの具体的推測が法律上働くのではなく、本件特許発明の技術的範囲に属するとの推定即ち本件特許権の侵害が認められるという法律上の推定が働くに過ぎないし、本件特許発明の方法と言っても、具体的には原料を異にする五つの具体的方法があるということで、そのうち如何なる方法が具体的に実施されていたかを特定しなければ、原材料費、その他の経費のめども立たず利益額の算出などできないはずである。また、原判決が認定した控訴人らの得た利益額の認定は、利益率の面からみて異常に高額であって不当である。

(被控訴人の反論の骨子)

1 改正後の特許法一〇二条二項(旧特許法一〇二条一項)は、特許侵害による侵害者の利益を権利者の損害額と推定する規定であるが、特許侵害による損害賠償請求に当たって「当該発明の実施」は必ずしも要件ではないと解すべきである。本件特許権はトラニラストという新規な化学物質の製造方法に関する発明であり、「物を生産する方法の発明」である。本件において被控訴人及び控訴人らの販売するトラニラストは医薬品として全く同一の物質であり、市場において互いに競合関係にある製品であるから、控訴人らのトラニラストの販売行為は、そのまま被控訴人のトラニラストの売上減少として結果する、つまり侵害品が売れれば、その分だけ権利者製品の売上が減少するという関係にある。

してみれば、特許法一〇二条二項(旧一項)の適用において、被控訴人の製造販売するトラニラストが、被控訴人が請求原因とする特許発明の請求範囲記載の方法どおりの方法によって製造されたものであることを要するとみる理由はなく、本件の事情のもとではその適用が肯定されるべきである。ちなみに、被控訴人は、目的物トラニラストについては、本件特許発明にかかる方法特許のみでなく、このトラニラスト製造販売事業を防衛し全うさせるために、また、被控訴人自らの製品開発の技術進歩により、既に他に三件(登録第一一四五五二八号、第一二二六三〇五号、第一一八五一九九号)の新規トラニラスト製造方法特許を得ている。

2 控訴人らは、控訴人らの得た利益額の算出に関して原判決を非難するが、原判決がいうところは、特許法一〇四条の推定覆滅がなされていないとの判断の結果、控訴人らトラニラスト原末の製造は、本件特許発明の方法を実施したものとみて、これを前提として利益額計算をしたというものであって、極めて正当なものである。

控訴人らは、本件特許方法と言っても、具体的に原料を異にする五つの方法があるから、そのいずれであるかを特定しなければ、利益額算出はできないと言うが、控訴人らが自ら主張する製造方法を立証できず、特許法一〇四条の推定を覆滅できない本件において、被控訴人には、損害額の算定のために、本件特許方法のうち最も一般的な酸クロリド方法による場合について、製造原価を計算したのであり、それに基づいて損害額を認定した原判決に誤りはない。

四  証拠関係は、原審の書証目録・証人等目録及び当審の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  当裁判所の判断

一  争点1(控訴人らによる本件特許権侵害の有無)について

右争点についての当裁判所の認定・判断は、原判決「第四 争点に対する判断」の一の説示のとおりであるから、これを引用する。

なお、控訴人らが、その主張に係るトラニラスト製造方法(イ号方法)を実施していたことの裏付けのために当審で提出した乙一四一ないし一四五、一五九、一六〇、一六二、一六三の各試験結果報告書も、それだけでは控訴人大原薬品工業らが本件特許権が消滅した平成五年五月以前において実際に右イ号方法を実施していたことの裏付けとしては十分でないから、この点の控訴人らの主張が認められないとした原判決の判断を左右しない。

その他、控訴人の控訴理由の詳細を踏まえて本件記録を検討しても、結局、原判決の右の点の判断は左右されない。

したがって、控訴人らは、本件特許権以外の方法でトラニラストを製造したことの証明ができなかったことに帰するから、特許法一〇四条により、被控訴人の本件特許権を侵害したものと推定されることになる。

二  争点2(被控訴人の損害)について

右争点についての当裁判所の認定・判断は、次の1ないし6のとおり付加・訂正するほかは原判決「第四 争点に対する判断」の二のうち控訴人らに関する記載のとおりであるから、これを引用する。控訴人らは、原判決がトラニラスト原末の製造経費等の算定を、本件特許方法を控訴人大原薬品工業らが実施しているとの前提で行ったことを非難するが、原判決が指摘するとおり、控訴人大原薬品工業らが本件特許方法を用いてトラニラスト原末を製造しているものと法律上推定される(控訴人らは右推定を破る立証ができなかった)以上は、控訴人らがトラニラスト原末の製造・販売により受けた利益額を算出する上でも、控訴人大原薬品工業らが本件特許方法を用いてトラニラスト原末を製造しているものと判断するのが相当であり、この点の控訴人らの主張は理由がない。その他、控訴人らがトラニラスト原末及び製剤の製造・販売により受けた利益額についての原判決の認定・算出方法に違法・不当な点は見当たらないし、当審においても右の認定・算出方法を変えるに足りる具体的な証拠資料の提出もない(ただし、控訴人大原薬品工業及び日新製薬の賠償すべき金額につき、原判決の判断を一部訂正すべきことは後記4ないし6のとおりである)。

1  原判決七四頁九行目「推定される」の次に「(平成一〇年改正後の特許法一〇二条二項、改正前同法一〇二条一項)」と加入し、同七四頁一〇行目末尾に行を改めて次のとおり付加する。

「 なお、控訴人らは、改正後の特許法一〇二条二項(旧一〇二条一項)が適用されるためには、被控訴人において本件特許発明を自ら実施したことが要件であり、被控訴人は本件特許方法(本件の請求原因とする特許発明の請求範囲記載の方法)を実施してないので本件においては右法条の適用はない旨主張する。そして、右条項が適用されるには、特許権者において「自己が損害を受けた」ことを主張・立証しなければならないことは控訴人ら主張のとおりである。そこで検討するに、被控訴人が本件特許方法そのものを実施していることの主張・立証はないものの、控訴人らがトラニラストの製造・販売について被控訴人の有する本件特許権を侵害したものと推定されることは前記一(原判決引用)のとおりであるところ、弁論の全趣旨によれば、被控訴人及び控訴人らはいずれも本件特許権の目的物質であるトラニラスト(医薬品として同一の物質である。)をそれぞれの商品名をつけて販売しており、医薬品市場において互いに競合関係にあることが十分認められるのであるから、控訴人らの本件特許権の侵害品であるトラニラストの販売行為は、直ちに本件特許権を有する被控訴人のトラニラストの販売を妨げる関係にあることになる。すなわち、控訴人らによるトラニラストの製造・販売(本件特許権の侵害行為)により、被控訴人には自らが販売するトラニストの売上げが減少するという損害(得べかりし利益の喪失)が発生したものと認めることができる。そうすると、このような事実関係のもとにおいては、被控訴人において本件特許方法そのものを実施してトラニラストを製造・販売していないとしても改正後の特許法一〇二条二項(旧一〇二条一項)の適用を肯定するのが相当であって、これに反する控訴人らの主張は採用できない。」

2  原判決七五頁末行目「原告が」とあるのを削除し、同七六頁四行目「原告は、本件特許方法に基づき、」とあるのを「本件特許方法のうち最も一般的な酸クロリド方法では、」と改め、同頁七行目「原末を製造している」とあるのを「原末を製造することになる」と改める。

3  原判決八七頁初行目「いくら信頼性が高いといっても」とあるのを「薬価調査に基づいて厚生大臣の告示によって定められる「使用薬剤の購入価格」であり、保険医療で使用した医薬品の請求価格としての性格を有するものであるが、右の薬価調査の信頼性がいくら高いといっても」と改める。

4  原判決一二八頁末行目から一二九頁六行目までを削除する。

5  原判決一二九頁末行目から一三〇頁四行目までを、次のとおり改める。

「 よって、被控訴人の請求の範囲内で、控訴人大原薬品工業株式会社が賠償すべき金額は、平成三年一月一日を附帯請求の起算日とする分が二七一万〇七八七円、平成四年一月一日を附帯請求の起算日とする分が八四八万六二七七円、平成五年一月一九日を附帯請求の起算日とする分が一〇九八万四七七七円の以上合計二二一八万一八四一円となる。」

6  原判決一三六頁二行目から同六行目までを、次のとおり改める。

「 よって、被控訴人の請求の範囲内で、控訴人日新製薬株式会社が賠償すべき金額は、平成三年一月一日を附帯請求の起算日とする分が八三万四二九六円、平成四年一月一日を附帯請求の起算日とする分が四七四万五五一一円、平成五年一月一九日を附帯請求の起算日とする分が八八万一一八〇円の以上合計六四六万〇九八七円となる。」

三  以上の検討によれば、被控訴人の本訴損害賠償請求は、<1>控訴人大原薬品工業株式会社、同株式会社ワイ・アイ・シー、同東亜紡織株式会社に対し、連帯して金二億九二〇四万一〇〇〇円及び内金九六八三万二〇六八円に対する平成二年一月一日から、内金一億九五二〇万八九三二円に対する平成三年一月一日から各支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払、<2>控訴人大原薬品工業株式会社、同東亜紡織株式会社に対し、連帯して金二億六八九八万二九二八円及び内金一億七五八四万五二八六円に対する平成三年一月一日から、内金三三七六万九〇七七円に対する平成四年一月一日から、内金五九三六万八五六五円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払、<3>控訴人大原薬品工業株式会社に対し、金二二一八万一八四一円及び内金二七一万〇七八七円に対する平成三年一月一日から、内金八四八万六二七七円に対する平成四年一月一日から、内金一〇九八万四七七七円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払、<4>控訴人帝國製薬株式会社に対し、金七七六八万七六七九円及び内金一四四五万一二四三円に対する平成三年一月一日から、内金四〇三七万〇六三六円に対する平成四年一月一日から、内金二二八六万五八〇〇円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払、<5>控訴人大正薬品工業株式会社に対し、金二三二九万四四八〇円及び内金一三九万六四六六円に対する平成三年一月一日から、内金六六五万一八七五円に対する平成四年一月一日から、内金一五二四万六一三九円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払、<6>控訴人日新製薬株式会社に対し、金六四六万〇九八七円及び内金八三万四二九六円に対する平成三年一月一日から、内金四七四万五五一一円に対する平成四年一月一日から、内金八八万一一八〇円に対する平成五年一月一九日から各支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきである。

四  よって、控訴人らの本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却し、被控訴人の附帯控訴に基づき原判決の主文第一項の3及び11を右三の<3>及び<6>の限度で変更することとし、被控訴人の控訴人帝國製薬株式会社、同大正薬品工業株式会社に対する附帯控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 窪田季夫 裁判官 氣賀澤耕一 裁判官 本多俊雄)

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