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名古屋高等裁判所金沢支部 平成8年(ネ)120号 判決 1997年3月19日

富山市東老田一一一八番地

控訴人

有限会社古川酒販

右代表者代表取締役

古川義昭

右訴訟代理人弁護士

青山嵩

富山県砺波市中野二二〇番地

被控訴人

立山酒造株式会社

右代表者代表取締役

岡本巌

右訴訟代理人弁護士

島谷武志

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の請求を棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二  事案の概要

本件事案の概要は、原判決の事実及び理由「第二 事案の概要」の記載と同一であるから、これを引用する。

第三  当裁判所の判断

一  当裁判所も被控訴人の本訴請求は理由があるものと判断するところ、その理由は、原判決の事実及び理由「第四 争点に対する判断」の記載と同一であるから、これを引用する。右認定判断は、控訴人が当審で提出した乙第六ないし第二一号証、第二二号証の1・2、第二三号証の1ないし4によっても左右されない。

二  なお、控訴人は、「越乃」を冠した商標を有する清酒とこれを冠しない同様の商標の清酒とが出所を異にするものであることは清酒の購買者の常識である上、今日、地酒ブームが全国に及んでいて全国を一市場として全国各地の清酒が容易に入手できるという現実の取引実情があり、商標権自体が全国に及ぶことからして、富山県だけの狭い範囲で誤認混同の有無を判断することは本末転倒である旨主張する。しかしながら、控訴人の右主張事実を認めるに足りる証拠がないばかりか、弁論の全趣旨によると被控訴人も控訴人も主として富山県内を営業地域とする企業であること及び控訴人は本件商標を付した商品(清酒)を同県下で販売しようとしていることが認められ、この事実からすると、本件商標による商品主体についての誤認混同の有無の判断は、先ず同県内の需要者の認識を基礎とすべきことは当然であるから、控訴人の右主張は採用できない。

三  よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 窪田季夫 裁判官 宮城雅之 裁判官 氣賀澤耕一)

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