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名古屋高等裁判所 昭和63年(行コ)8号 判決 1989年11月30日

岐阜市藪田二五四番地の七

控訴人

吉田繁政

右訴訟代理人

古田友三

岐阜市清水町四丁目二二番地の二

被控訴人

岐阜南税務署長

平石金吾

右指定代理人

天野登喜治

山下純

木田正喜

遠藤次男

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取消す。被控訴人が昭和五九年七月九日付で控訴人の昭和五七年分の所得税についてした更正及び過少申告加算税の賦課決定を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上、法律上の主張及び証拠関係は、左に付加訂正する他は原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

一  原告判決四丁表二行目の「三七条一項」の後に「五号」を挿入する。

二  原判決五丁表九行目の「いつまで」とあるのを、「いつで」と改める。

三  原判決九丁裏一一行目の後に改行して次のとおり挿入する。

「甲第一〇号証の一は岐阜市農業委員会の、また甲第一〇号証の二は羽島市農業委員会のそれぞれ作成に係る書面であるところ、右甲第一〇号証の一、二は農林水産省農林経済局長通達に基づき、各農業委員会が自ら判断して発行したものであって、これらが被控訴人指示によるなどとのこの点に関する控訴人の主張は全く根拠のないものである。」

四  原判決一三丁表四行目を次のとおり改める。

「されていなくても、控訴人は本件農地だけでなく、ほかに三四九七平方メートルの農地を耕作しており、これら全体の控訴人の農業の全体との関係で判断すれば、本件農地は、」

五  原判決一六丁裏二行目に次のとおり挿入する。

「控訴人は右の証明書を取得しようと努力したが取れなかった。農業委員会が控訴人に対して右の証明書を交付しなかったのは、これが本来の証明業務と関係のないことを理由とするものであった。農業委員会は、本来、買換後取得すべき農地が適当であることの証明業務を行なうとされていることを理由として「譲渡土地が保全管理水田になっていたのでこの証明に該当しません。」との趣旨の甲第一〇号証の一、二の書面を作成しているが、これらは明らかに被控訴人の指示によるものである。したがって本件においては右の証明書がなくても措置法の適用をうけることができるものである。」

六  証拠関係は、当審記録中の書証目録、証人等目録記載のとおりである。

理由

当裁判所も控訴人の本訴請求は失当であり、棄却すべきものと判断する。

その理由は左の付加、訂正をし、かつ、当審で新たに取調べた証拠を参酌しても原審の認定、説示を動かすに足りないと付加するほかは、原判決の理由と同一であるからここにこれを引用する。

一  原判決一八丁二行目の「この点」から「根拠として」までを次のとおり改める。

「そして、右の譲渡資産の現況は控訴人の営む農業全体との関連の下で判断をなすべきである。控訴人は、」

二  同丁末行の「右の例も、」の次に「事業全体の関連の下で」を挿入する。

三  同丁裏一行目の「に他ならない。」を「のあることは否定しえない。」と改める。

四  同丁裏一〇行目の「割合」を「割当」と改める。

五  同二〇丁裏末行の「以上のとおりであるから、」から同二一丁表二行目の「認められる。」までを次のとおり改める。

「当審における控訴人本人の供述によると、本件農地を他に譲渡した当時、控訴人は本件農地の他に三〇〇〇平方メートル程度の農地を所有し、これの耕作をしていたことを認定できるが、このことを考慮に入れても右の(一)(二)(三)の認定、説示を左右するに足りない。

右の次第で、控訴人が事実欄(引用の原判決事実欄)四で主張している事由は、これらを個々的にみても、又はこれらを総合して判断しても、水田預託契約に基づき預託されていた本件譲渡資産たる本件農地は措置法三七条一項にいう「事業の用に供しているもの」に該当しないとみざるをえない。

また、右判断のとおりである以上農業委員会の証明書の提出がないことに関する被控訴人の主張については判断する要をみない。」

以上の次第で、右と同旨の原判決は相当であるから、本件控訴は理由がない。

よって、民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判所裁判官 海老原和衛 裁判官 水野祐一 裁判官 高橋爽一郎)

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