大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和25年(う)559号 判決 1950年5月30日

被告人

島田末春

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役三年に処する。

原審に於ける訴訟費用中被告人の国選弁護人に支給した分並に当審に於ける訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

弁護人西川勝美の控訴趣意について。

原審は原審相被告人永田仁吉、同稻吉兵一の弁護人であつた楠田仙次を被告人島田末春の国選弁護人に選任したこと、及び永田、稻吉両被告人の牙保、收受又は寄藏した贓物は何れも被告人島田末春の窃取に係るものなることは所論の通りである。然しながら原審相被告人両名の贓物罪の成立は被告人の窃盜罪の成立を前提とするけれども被告人の窃盜罪の成立に関しては原審相被告人両名の贓物罪の成否は何等の影響を及ぼされないのである。故に被告人島田末春の立場からすれば原審相被告人両名と利害反する余地はないものといわねばならない。されば被告人島田末春の窃盜罪に関する限りに於ては原審相被告人両名の弁護人と同一弁護人を国選弁護人として選任しても刑事訴訟規則第二九條第二項の趣旨に反するものではない。論旨は理由がない。

(註 原判決は累犯加重擬律錯誤により破棄自判)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例