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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1264号 判決 1950年2月03日

被告人

亀井与四郎

主文

原判決を破棄し、本件を名古屋地方裁判所一宮支部に差戻す。

理由

中沢弁護人の控訴趣意(二)点並に武藤弁護人の同第二点について。

まず原審における証拠調手続に関する各所論につき按ずるに、原審公判調書によれば検察官において最初公訴犯罪事実の立証に供するため、(一)、司法警察員の実況見分調書並に被害現場位置附近見取図三通、(二)、司法警察員作成の被害者西村銀に対する第一回及び第二回供述調書各一通、(三)、検察官作成の右被害者に対する供述調書一通、(四)、裁判官永田国光作成の右被害者に対する証人尋問調書一通につき被告人側にこれを証拠とすることに同意を求めたところ、被告人及び弁護人は右(一)を除き他の(二)(三)(四)につき異議を述べてこれに応じなかつたので、検察官から右公訴事実を証するため右(一)実況見分調書並に見取図の取調を請求すると共に被告人の司法警察員及び検察官に対する所論弁解録取書並に各供述調書についても同時にその取調を請求し、被告人及び弁護人が右請求に異議ない旨述べたので原裁判所は右各書類全部の取調を許容して、その証拠調を行つたものであること、次で検察官より更に公訴事実立証のため被害者西村銀及び同人妻西村すうを証人として取調を求め原裁判所はこれを容れ次回公判に右両名を喚問して行う旨宣し、第二回公判期日に右証人調その他の証拠調を施行したものであることを認めるに足りる。従つて右によれば原裁判所は本件において僅かに前記実況見分調書並に見取図を取り調べただけで、なお公訴犯罪事実に関する他の重要な証拠である右被害者西村銀等の取調をする前に被告人の司法警察員並に検察官に対する各供述書の取調をなしたものというべく、而して右各供述調書によれば同調書における被告人の供述はいずれも右犯罪事実の自白に帰する趣旨のものと認め得るのであるから、結局原裁判所の右各供述調書の取調手続は刑事訴訟法第三百一條の規定に背反して行われた違法のものというべく、而かも該手続が前敍の如き証拠調の段階程度においてなされたものであるから、右は所論の如く判決に影響を及ぼすこと明らかな違法であるとなす外ない。

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