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名古屋高等裁判所 平成7年(ネ)206号 判決 1995年7月21日

第二〇六号事件控訴人、第一一三号事件被控訴人

(一審原告、同参加被告、以下「一審原告」という。)

林博史

第二〇六号事件控訴人、第一一三号事件被控訴人

(一審原告、同参加被告、以下「一審原告」という。)

林浩子

右両名訴訟代理人弁護士

戸野部勝司

第一一三号、第二〇六号両事件被控訴人

(一審被告、同参加被告、以下「一審被告」という。)

古居裕章

右訴訟代理人弁護士

山本一道

井上利之

第一一三号事件控訴人、第二〇六号事件被控訴人

(一審参加原告、以下「一審参加原告」という。)

興亜火災海上保険株式会社

右代表者代表取締役

辰馬輝彦

右訴訟代理人弁護士

大脇保彦

鷲見弘

相羽洋一

谷口優

原田方子

原田彰好

杉山修治

神谷明文

主文

一  一審原告ら及び一審参加原告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。

二  一審被告は、一審原告博史に対し一六九二万六八二〇円、一審原告浩子に対し一六一五万六八二〇円及びこれらに対する平成三年一二月一六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

三  一審原告らの一審被告に対するその余の請求を棄却する。

四  一審参加原告の一審原告ら及び一審被告に対する別紙事故目録記載の交通事故に基づく自動車損害賠償責任保険(平成元年一一月一四日付け第三二七〇二五三七四四号)の保険金支払債務が存在しないことを確認する。

五  訴訟費用は、第一、二審を通じて、一審原告らと一審被告との間に生じた分は、これを五分し、その三を一審被告の、その二を一審原告らの各負担とし、一審参加原告と一審原告ら及び一審被告との間に生じた分は、一審原告ら及び一審被告の負担とする。

六  この判決二項は、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  一審原告ら

1  原判決を次のとおり変更する。

2  一審被告は、一審原告林博史に対し、金二七八四万〇七九三円、一審原告林浩子に対し、金二五五〇万三七〇〇円及びこれらに対する平成三年一二月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  一審参加原告の一審原告らに対する請求を棄却する。

4  訴訟費用は第一、二審とも一審被告及び一審参加原告の負担とする。

5  仮執行宣言

二  一審参加原告

1  原判決中、一審参加原告の敗訴部分を取り消す。

2  一審参加原告の一審被告に対する別紙事故目録記載の交通事故に基づく自動車損害賠償責任保険(平成元年一一月一四日付第三二七〇二五三七四四号)の保険金支払債務が存在しないことを確認する。

3  訴訟費用は第一、二審とも一審被告の負担とする。

三  一審被告

1  一審原告ら及び一審参加原告の控訴をいずれも棄却する。

2  控訴費用は一審原告ら及び一審参加原告の負担とする。

第二  事案の概要

事案の概要は、原判決の事実及び理由の「第二事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  証拠関係

証拠の関係は、本件記録中の証拠目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四  争点に対する当裁判所の判断

一  一審原告らは、一審被告が自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条の運行供用者であり、亡昌史は同法条の「他人」であると主張し、一審参加原告は、一審被告及び亡昌史が同法条の共同運行供用者であり、亡昌史は同法条の「他人」に該当しないと主張する。

よって、検討するに、当事者間に争いのない事実に、成立に争いのない甲第一ないし第三号証、第六号証の一ないし七、原本の存在及び成立に争いのない乙第一号証、丙第三、第四号証、原審証人森本ひろ美(後記認定に反する部分を除く。)、当審証人伊藤俊樹の各証言、原審及び当審における一審被告本人の尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の事実を認めることができ、この認定に反する原審証人森本ひろ美の供述は前掲各証拠に照らしにわかに措信し難く、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

1  一審被告(昭和四二年八月二一日生)は、平成元年に訴外リンナイ株式会社に入社し、その大口工場(愛知県丹羽郡大口町に所在する。)に勤務していたものであり、一審原告ら長男である亡昌史(昭和四七年九月二一日生)も、平成三年四月に右訴外会社に入社し、同大口工場に勤務し、一審被告と亡昌史は、同工場の同じ職場で稼働していた。

一審被告及び亡昌史らが稼働する職場の従業員二〇数名は、平成三年一二月一三日、勤務終了後の午後七時頃から、江南市赤童子町に所在する「ことぶき」で、同僚同志の忘年会を開催することになっていた。

2  亡昌史は、平成三年九月三日、普通自動車運転免許証を取得し、同年九月二五日頃、加害車(ニッサン・シルビア)を購入し、その頃からこれを通勤に使用していた。また、一審被告も、普通乗用自動車(ニッサン・スカイラインRS、以下「被告車」という。)を所有し、これを通勤に使用していた。

そして、一審被告は、被告車を下取りに出し、新車両を購入する予定であったところ、同年一二月一三日頃までに、このことを知った亡昌史は、加害車と同じスポーツタイプ車である被告車に装着されているアルミホィールの譲り受けを一審被告に申し込み、一審被告と亡昌史との間には、右アルミホィールを有償で譲渡する旨の合意が成立していた。

3  一審被告と亡昌史は、右合意を実行すべく、平成三年一二月一三日の勤務終了後、被告車及び加害車を各自が運転し、小牧市内にある自動車用品店「オートバックス」に赴き、被告車のアルミホィールを取り外し、これに亡昌史において購入する新タイヤを装着した上、これを加害車に取り付けること、加害車のタイヤ付きホィールを取り外し、これを被告車に取り付けることを同店に依頼したが、同店では、右交換作業を直ちに行うことはできず、予約が必要であり、一週間程度先でないと交換作業に応じられないとのことであった。

そこで、一審被告及び亡昌史は、同日における同店での交換作業を断念したが、亡昌史は、被告車のアルミホィールの早期取得を望んだため、一審被告と亡昌史は、被告車のタイヤ付きアルミホィールと加害車のタイヤ付きアルミホィールとを取り換えることとし、前記忘年会終了後、大口工場に戻った上、右交換作業を行うこととした。

4  そして、一審被告及び亡昌史は、各自の車両を運転して一旦大口工場に戻った上、被告車を同工場に残し、一審被告が加害車に同乗し、亡昌史の運転で、前記忘年会場へ向かい、午後七時三〇分頃同会場へ到着した。

5  一審被告及び亡昌史が忘年会場へ到着すると、宴会は、二〇数名が参加して既に始められており、右両名は、当初、隣り合って着座した。

亡昌史は、着座後、同僚からビールを勧められたが、宴会終了後、大口工場へ戻ってタイヤ交換作業を行う手筈になっていたことから、右勧めを断っていたけれども、宴会が進むに連れて、飲酒した。しかし、亡昌史の飲酒量は不明である。

一方、一審被告は、肝臓の疾患で、医師から酒等を控えるようにとの指導を受けていたため、当初、ビールで乾杯したが、その後は飲酒しなかった。

なお、一審被告及び亡昌史らが勤務する職場は、女子職員が男子職員より多い職場であり、忘年会出席の二〇数名も、女性の割合の方が多く、宴会での飲物は、ビールとジュース類であったが、その飲まれた量は不明である。

6  右忘年会は、午後九時過ぎ頃終了し、その頃までに、気の合った一二名程度の者が二次会としてカラオケへ行く合意が成立しており、その中に亡昌史及び一審被告も加わっていた。

そして、右二次会へ行くことを同意した一二名は、同僚が運転してきていた車三ないし四台に分乗して、江南市高屋町に所在するカラオケ「コロナ」に赴くことになった。

7  一審被告は、加害車に分乗して二次会場へ行くこととされたので、加害車が駐車されていた場所まで行くと、先着していた亡昌史は、加害車のエンジンを始動させ、その助手席に着座しており、飲酒の影響で眠そうにしていたが、亡昌史が宴会場から右駐車場所まで約五〇メートルの距離を移動した際、亡昌史が同僚の介添え等を受けた形跡はない。

そして、一審被告は、亡昌史から依頼を受け、加害車を運転して二次会場へ赴くことになり、助手席に亡昌史を、後部座席に西村ひろ美及び伊藤俊樹を同乗させ、一次会場を出発し、約一五分で前記二次会場へ到着した。

8  加害車が二次会場であるカラオケ「コロナ」に到着した際、亡昌史は、助手席で眠っていたが、一審被告に起こされると、亡昌史は、一人でドアーを開けて降り、駐車場から右店舗まで約二〇メートル程の距離を一人で歩いて行き、店内に入った。なお、降車後、一審被告は、亡昌史に対し、エンジンキーを渡した。

9  前記一二名が午後九時半頃二次会場に揃うと、飲物として、ウーロン茶、ジュース類が注文されたが、アルコール類は注文されなかった。

二次会は、平成三年一二月一四日午前零時過ぎ頃まで続けられたが、二次会場では、他の者がカラオケ曲を歌ったりして、陽気に楽しみ騒いでいたのに対し、亡昌史は、カラオケ曲を歌うこともなく、床等の上に寝そべって眠ったりしていたので、同僚達も、亡昌史をそのまま放置しており、その間に、亡昌史が飲酒した形跡はない。

10  二次会が終了し、参加者は、二次会場へ来た時と同様、同僚の車に分乗して帰ることになり、一審被告は、眠っていた亡昌史に対し、「行くぞ」と声をかけて起こすと、亡昌史は、「ああ、はい」と返事し、一人で起き上がり、店を出て、加害車が駐車してある場所までの約二〇メートルの距離をうつむき加減に一人で歩いて行った。

一審被告は、タバコを購入した後、先を行く亡昌史に追いつき、「大丈夫か」と声をかけると、亡昌史は、「先輩、すみませんけれどもお願いします」と言って、加害車のエンジンキーを一審被告に手渡して、その運転を依頼した。そして、一審被告と亡昌史は、加害車が駐車してあるところまで一緒に歩いて行き、途中まで帰りを共にすることになった伊藤俊樹及び西村ひろ美を後部座席に乗せた上、亡昌史は助手席に、一審被告は運転席に着座した。その際、亡昌史は、背もたれを後に倒し、寝るような態勢をとり、半眼状態であった。

11  一審被告は、伊藤俊樹が前記「ことぶき」に同人の車を駐車してきていたので、同人を「ことぶき」まで送り届けた(西村ひろ美は、同所から、伊藤に自宅まで送り届けてもらうことになっていた。)後、宴会前に亡昌史と計画していたタイヤ等の交換を大口工場で行う予定で、平成三年一二月一四日午前零時四五分頃、加害車を運転して、前記「コロナ」の駐車場を出発した。

そして、一審被告は、同日午前零時五五分頃、江南市高屋町から同市赤童子町へ向けて、同市古知野町塔塚一一一番地先の道路(幅員約九メートル)を時速約八〇ないし九〇キロメートル(制限速度時速四〇キロメートル)で進行中、対向車のライトを気にして、不用意にハンドルを左に切ったため、加害車を道路左側の電柱に激突させ、かっ、加害車を大破させ、同乗者が倒れた電柱で車内に閉じ込められるという事故を惹起させた。なお、右事故発生時には、一審被告及び亡昌史の両者共に、シートベルトを着用していなかった。また、一審被告が進行していた道路には、追い越しのため右側部分はみ出し禁止の交通規制があり、道路中央線が黄色に着色されているが、加害車のタイヤすべり痕は右中央線付近から電柱との衝突地点まで約37.3メートルにもわたって残されていた。

12  一審被告は、右事故により、自己も受傷したが、同乗者伊藤俊樹及び西村ひろ美にも負傷を負わせたほか、亡昌史に対し脳挫傷の傷害を負わせた。そして、亡昌史は、救急車で病院に運ばれたが、平成三年一二月一五日午前二時一五分頃、同病院で右傷害により死亡した。

二 右認定事実によれば、本件事故は、一審被告及び亡昌史らが職場の同僚と忘年会を催し、その二次会場から一次会場の駐車場まで同僚二名を送り届けた後、一次会の前に、一審被告と亡昌史との間で合意されていた加害車と被告車とのタイヤ等の交換を被告車の駐車してあった勤務先の大口工場へ戻って行うという約束を実行するため、亡昌史が自己と一審被告らのために自己所有の加害車を提供して一審被告にその運転を依頼したものであり、その過程で、一審被告が、加害車の助手席に亡昌史を、その後部座席に同僚二名を同乗させて、加害車を運転し、二次会場から一次会場の駐車場へ向けて進行する中に生じたものであるから、亡昌史は、一審被告と共に加害車の運行による利益を享受し、これを支配していたものであって、単に便乗していたものではないと解するのが相当であり、また、亡昌史が、一次会で飲酒した影響で注意力が低下していることを慮り、ほとんど飲酒していなかった一審被告自身の判断で加害車を運行することを許していたとしても、亡昌史は事故の防止につき中心的な責任を負う所有者として同乗していたのであって、更に、亡昌史は、一次会で飲酒した後、二次会では飲酒せず、二次会が終了するまでほとんど寝ており、飲酒後二次会を終了し大口工場へ向かうべく、二次会場を出発するまで約三時間以上経過していたというのであるから、右出発時点までには飲酒の影響も薄れ、一審被告の運転につき「スピードを落とせ」「中央線をはみ出すな」などと具体的に指示することができる立場にあったものというべきであるから、一審被告が亡昌史の運行支配に服さず同人の指示を守らなかった等の特別の事情がある場合は格別、そうでない限り、加害車の具体的運行に対する亡昌史の支配の程度は、運転していた一審被告のそれに比し優るとも劣らなかったものというべきであって、かかる運行支配を有する亡昌史はその運行支配に服すべき立場にある一審被告に対する関係において自賠法三条の他人に当たるということはできないものというべきである。なお、前記認定事実によれば、一審被告は、亡昌史より五歳年長で、職場の二年先輩であるが、前記一3のとおり忘年会終了後におけるタイヤ等の交換を一審被告に承諾させた亡昌史の行動に照らすと、右年齢差等の故に、亡昌史が一審被告に対して従属的な立場にあり、加害車の運行を支配、管理することができる地位になかったと評価することはできず、また、亡昌史における飲酒の影響についても、同人が泥酔状態に陥るなど、前後不覚の状況にあったことを認めるに足りる証拠もないから、右支配、管理が不可能であったということもできない。

そうすると、自賠法三条にいう他人とは、自己のために自動車を運行の用に供する者及び当該自動車の運転者を除くそれ以外の者をいうものであるところ、本件事故の被害者である亡昌史は、本件事故当時、加害車の共同運行供用者の一人であったのであるから、亡昌史の両親である一審原告らは、亡昌史が他人であることを主張して、一審被告に対し同条による損害賠償を請求できないといわなければならない。

ところで、一審参加原告は、平成元年一一月一四日、訴外オブチマサカズとの間に、自賠法に基づき加害車に責任保険契約(保険期間平成元年一一月一五日から平成四年一二月一五日)を締結し、加害車が平成三年九月二五日右オブチから亡昌史に譲渡されていることから(この事実は弁論の全趣旨により認められる。)、一審原告ら及び一審被告を相手方として、本件事故に関して、自動車損害賠償責任保険金の支払義務が存在しないことの確認を求めているが、右債務は、一審被告が亡昌史に対し、自賠法三条の責任がある場合に発生するものであるところ、前記のとおり亡昌史は自賠法三条の他人であることを主張して一審被告に対し同条による損害賠償を請求できないのであるから、右一審参加原告の請求は理由があるものとして認容されるべきである。

三  次に、本件事故に関して、一審原告らは、一審被告に対し、民法七〇九条に基づく責任を追及しているので、これについて検討するに、本件事故は、一審被告が、制限速度(時速四〇キロメートル)を超える時速八〇キロメートル以上の速度で走行し、ハンドル操作を誤り、前方不注視、安全運転義務違反の過失を犯したことにより惹起されたものであることは当事者間に争いがない。

そこで、本件事故と相当因果関係のある損害について検討する。

1  葬儀費用

弁論の全趣旨及びこれにより成立を認める甲第五号証の一ないし一九(ただし、第五号証の二の成立は当事者間に争いがない。)よると、一審原告博史は、亡昌史の死亡に伴う葬儀費として、通夜、葬式、法要、墓碑等に要する費用合計二一三万七〇九三円を出損したことが認められるが、そのうち本件事故と相当因果関係のある費用としては一〇〇万円と認めるのが相当である。

2  得べかりし利益の喪失

前記一1認定の事実に、成立に争いのない甲第四号証の一ないし一〇及び弁論の全趣旨によると、亡昌史は、本件事故当時、一九歳の健康な男子で、勤務先のリンナイ株式会社から年額二三五万四九二〇円相当の収入を得ており、四四年間は稼働可能と認められるので、右の額から同人の生活費としてその五割を控除し、更に年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して、亡昌史の逸失利益の本件事故当時における現価を求めると、合計二六九九万〇九一五円となることは計数上明らかである。

3  慰謝料

前記のとおり、亡昌史は本件事故により死亡したのであり、その過程で被った肉体的、精神的苦痛は多大であり、これを慰謝するための慰謝料としては一五〇〇万円が相当である(ただし、本件事故に至る経緯、過失内容等の事故の態様については、後記において過失相殺等の事情として別途斟酌するのでこれを除く。)。

4  過失相殺

前記一認定の本件事故に至る経緯、事故の態様、亡昌史が加害車の所有者として事故の防止に責任を負う立場にあったこと、亡昌史が事故時にシートベルトを着用していなかったこと等を考慮すると、亡昌史ら一審原告側の損害賠償額の算定に際して過失相殺するに当たり、その三割を減額するのが相当である。

5  相続等

前記認定のとおり、亡昌史は一審原告らの長男であり、同人の死亡に伴って、一審原告らが同人を相続したことは明らかであるから、一審原告らは、亡昌史の損害額二九三九万三六四〇円の二分の一宛を相続したことになる。また、一審原告博史は、過失相殺後の葬儀費用として七〇万円の損害を被っていることになる。

6  弁護士費用

本件紛争の経緯、特に事案の難易、請求額、認容額その他諸般の事情を総合すると、一審原告らの要する弁護士費用のうち一審被告に負担せしむべき相当性の範囲の額は、一審原告博史につき一五三万円、一審原告浩子につき一四六万円と認めるのが相当である。

四  そうすると、一審原告らの一審被告に対する本訴請求は、一審原告博史において一六九二万六八二〇円、一審原告浩子において一六一五万六八二〇円及びこれらに対する本件不法行為の後である平成三年一二月一六日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、これを正当として認容すべきであるが、その余の請求は理由がないから棄却されるべきである。

五  結論

以上により、一審原告らの一審被告に対する本訴請求は四説示の限度で理由があり、一審参加原告の一審原告ら及び一審被告に対する本訴請求は二説示のとおり全部理由があるところ、これと結論を異にする原判決は不当であるから、一審原告ら及び一審参加原告の各控訴に基づき原判決を主文のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法九六条、八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言につき、同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官塩崎勤 裁判官玉田勝也 裁判官岡本岳)

別紙事故目録

一 日時 平成三年一二月一四日午前零時五五分頃

二 場所 江南市古知野町塔塚一一一番地先道路上

三 加害車 普通乗用自動車(尾張小牧○○は第五九四八号)

右運転者 一審被告

四 被害者(同乗者) 訴外亡林昌史

五 態様 加害車が電柱に激突

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