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名古屋地方裁判所 昭和55年(わ)974号 判決 1989年11月30日

右Y1、同Y2、同Y3、同Y4、同Y5、同Y6、同Y7に対する各詐欺被告事件について、当裁判所は、検察官保倉裕、同宇井稔出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人Y1を懲役五年に、同Y2及び同Y3をいずれも懲役三年に、同Y4を懲役二年に、同Y5及び同Y6をいずれも懲役一年六月に、同Y7を懲役一年にそれぞれ処する。

未決勾留日数中、被告人Y1に対しては二四〇日を、同Y2に対しては一二〇日を、それぞれの刑に算入する。

この裁判確定の日から、被告人Y3については四年間、同Y4、同Y5、同Y6及び同Y7についてはそれぞれ三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用のうち、別紙訴訟費用負担表(一)の証人欄記載の各証人に支給した分は、対応する被告人欄記載の各被告人の連帯負担とし、同表(二)記載の各証人に支給した分は、被告人Y1の単独負担とする。

被告人Y1について別紙一覧表番号66記載のA1に対する詐欺の点は無罪。

理由

(認定した事実)

第一株式会社aの概要

株式会社a(以下「a社」という。)は、宝石貴金属の売買及び仲介並びに輸出入業等を目的として昭和五二年三月二九日設立登記された会社で、名古屋市<以下省略>に本店(以下「本社」という。)を構え、昭和五三年末までには、大阪市<以下省略>に大阪支店(以下「大阪支社」という。)を、東京都新宿区<以下省略>に東京支店(以下「東京支社」という。)を、金沢市<以下省略>に金沢支店(以下「金沢支店」という。)を、福井市<以下省略>に福井支店(以下「福井営業所」という。)を置き、他に岡山、宮崎にもそれぞれ営業所を設け、その業務を行っていた。

第二各被告人らの経歴及びa社での地位等

一  被告人Y1

被告人Y1(以下「Y1」という。)は、昭和四四年ころから昭和四七年ころまでの間、商品先物取引関連会社あるいは証券会社で営業活動に従事し、その後、昭和四九年ころから各種国家試験受験者を対象に講習会等の開催を事業内容とする株式会社b協会に勤務し、昭和五〇年にはその名古屋地区における営業権を取得して翌年一二月に新たに同名の会社を名古屋市内に設立してその経営に乗り出す一方、昭和五二年三月二九日a社を設立し、その代表取締役となり、事業経営の最高責任者として、a社の全職員を監督指揮するとともに、その対内的対外的業務全般を統轄し、実際上営業全般について最終的な決定権限を有する地位にあった。

二  被告人Y2

被告人Y2(以下「Y2」という。)は、昭和三八、九年ころ商品先物取引関連会社で営業係員として約一年間稼働し、その後長らく飲食業関係の仕事に従事していたが、この間に知り合ったY1に誘われ、前記a社の設立に参画してその専務取締役に就任し、以降a社ではY1に次ぐ要職にあってY1を補佐し、以下の被告人らを含む部下職員を率先指導監督して、特に国内営業全般を掌握する立場にあった。

三  被告人Y3

被告人Y3(以下「Y3」という。)は、昭和五一年兄Y1が実質的な経営者であった株式会社b協会に入社し、翌年六月a社に移って営業課長、以降大阪支社営業次長、福井営業所所長を勤めた後昭和五三年六月からは大阪支社営業部長として、Y1、Y2のもと大阪支社、金沢支店、福井営業所、岡山営業所の営業全般を掌握する重要幹部の地位にあったが、さらに一部顧客との折衝にも当たっていた。

四  被告人Y4

被告人Y4(以下「Y4」という。)は、昭和四〇年ころ商品外務員の登録を受け、商品先物取引の営業活動に従事するようになり、その後昭和五三年一二月ころまでは商品先物取引関連会社を転々としたが、同年一二月Y2を頼ってa社に入社し、大阪支社、岡山営業所勤務を経て、昭和五四年七月に大阪支社へ戻り、Y3のもと実質的には営業課長としての仕事を担当し、同年一〇月一日正式に営業課長となったが、大阪支社に戻ってからは部下営業課員らを指揮監督するとともに顧客との折衝にも当たっていた。

五  被告人Y5

被告人Y5(以下「Y5」という。)は、昭和五二年一〇月Y1が設立した株式会社b協会に入社し、昭和五四年八月Y2の依頼を受けa社本社管理部長としてa社へ移り、顧客の管理・苦情処理のほか、営業部門を除く一般事務の総括的責任者として稼働し、昭和五五年一月一六日ころからは、増員された管理部職員らを指揮監督して、従来営業部門に属した業務の一部をも担当するとともに、顧客との折衝にも当たっていた。

六  被告人Y6

被告人Y6(以下「Y6」という。)は、昭和五二年一〇月ころa社に入社し、福井営業所、金沢支店勤務を経て、東京支社営業課長(代理)となり、昭和五五年一月一六日からは本社管理部員として、Y5の指示のもと前記管理部に属する業務に従事し、顧客との折衝にも当たっていた。

七  被告人Y7

被告人Y7(以下「Y7」という。)は、昭和五二年六月a社に入社し、東京支社営業課長を経て、昭和五四年一月から、本社営業課長となり、部下営業課員らを指揮監督するとともに、顧客との折衝にも当たっていた。

第三a社の営業実態

一  顧客に対するa社の説明

a社の各営業課員らは、遅くとも昭和五三年五月以降、Y1、Y2からの直接の、あるいは同人らの指図を受けたその余の被告人らを介しての指導に基づき、顧客に対して、

1 a社は、顧客から金地金の先物取引に関する売買委託注文を受けると、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本店を置く子会社のc社(以下「c社」という。)を介して、アメリカ合衆国の商品先物取引委員会によって金地金の先物取引を認可されている商品取引所であるコモディティエクスチェンジインコーポレーテッド(以下「コメックス」という。)の金市場に対し、右委託どおりの買建・売建、買落し・売落しの各注文を出して先物取引を行うこと(a社、c社及び顧客の三者関係については、顧客〔注文者〕がc社〔仲買人〕に取引委託をする〔貴金属売買約定書・商品取引に関する協定参照〕について、a社が顧客のためにこれを代行する〔貴金属取引代行委託契約書参照〕旨の法形式が採られていた。)

2 注文は一キログラム単位(昭和五五年一月ころからは三〇〇キログラム単位でも注文を受けるようになった。)で、また、いわゆる委託本証拠金の性質を有する保証金(a社では、取引保証金、証拠金などと称していたが、以下「委託本証拠金」という。)は一キログラムについて二〇万円(昭和五四年九月二二日以降は、順次五五万円、八〇万円、一二〇万円と値上げされた。)で、一年以内のいずれかの月を限月とすること。

3 限月には金地金の現物及びその代金の授受による決済をしなければならないが、限月前の何時でも転売、買戻しによる差金決済ができること(昭和五四年八月一二日以降、後記のとおり、この点は、一方的に一部変更された。)

などを説明し、世界的な金市場で、信用も厚いコメックスでの公正な価格による取引を標榜・強調して顧客の注文を得ていた。

二  顧客から受けた注文のa社における処理方法

1 顧客からの注文は、本社営業部門・各支社・各営業所の責任者らから、毎日本社の一般事務部門へその内容(顧客の氏名等、注文年月日、売買の別、限月、数量、成行・指値の別、担当者の氏名等)が連絡され、一般事務部門ではその連絡に基づいて伝票を作成し、昭和五三年五月ころからは常務取締役B1、昭和五四年八月ころからは管理部長Y5の監督のもと注文の翌日、取引成立価格を決定して右伝票に記入していた。

2 その価格決定方法は、昭和五三年五月ころ、Y1、Y2の指示のもと、

① a社本社には、後記メリルリンチ社から毎朝テレックスによって、前日のアメリカの金地金先物取引市場における取引成立値が、各限月ごとに、始値(a社における呼称に従い、以下「オープニング値」という。)、終値もしくは帳入値(a社における呼称に従い、以下「クロージング値」という。)、さらには高値、安値も併せて、一トロイオンス当たりのドル価で連絡されてきたので、事務職員は、その値を一グラム当たりの円価に換算し、

② その上で本社に連絡のあった顧客の注文のうち、まず、買建・売建の成行注文で、前日午前一〇時までに連絡があったものは、その注文限月のオープニング値を、以後前日午後二時までに連絡のあったものは注文限月のクロージング値を、また、売落しは注文限月の安値を、買落しは注文限月の高値を、それぞれ顧客の委託注文のコメックス金市場における成立価格とし、次に指値注文の場合はその指値が高値と安値の間であればその価格を同市場における成立価格とし、その範囲内になければ取引が成立しなかったこととする

という恣意的操作を原則とするものであって、顧客の委託注文を、a社を介して受託したc社が、顧客の注文内容どおり、メリルリンチ社を通じてコメックスの金市場に対して売買注文を出し、その結果同市場で実際に成立した売買価格を顧客の注文の成立価格とするものではなかった。

3 以上の方法によって、顧客の価格が決定されると、本社一般事務部門では成立単価及び取引金額合計等を記入した御取引明細計算書を作成して、「今回お取引を願いました市場は、世界でも有数のニューヨークCOMEX、シカゴIMM、または、シカゴCBTでございます」等と記載した書面と共に顧客に送付し、価格変動に伴い日ごとにいわゆる値洗いをして顧客の損益を計算し、商品売買損益の勘定科目に、顧客の損失はa社の利益に、顧客の利益はa社の損失に計上していた。

4 その後、顧客が転売買戻しによる差金決済を希望した場合、当初は前記方法により取引価格を定めてこれに応じ、損益計算の上利益の支払い等をしてきたものの、ある時期から、Y1、Y2の指示のもと、限月までは決済できないとか、決済はできるが利益金の現実の支払いは限月までできないという方針に変更したが、この方針の変更は遅くとも昭和五四年八月一二日大阪観光ホテルで開催された営業幹部会議の席上、Y1の指示を受けたY2からY3、Y4、Y5、Y6、Y7等に伝えられ、さらに同人等を介して各社員にも伝えられ、以後原則として顧客からの限月前の決済には応じないこととされたが、右会議においてY2から、限月前に差金決済して顧客に損金が出る場合はもとより、顧客に利益が出ていても顧客がこの利益金の支払い請求を留保したまま、あるいは利益金を委託証拠金にして新規の注文を出すいわゆる利増玉を行う場合については例外とする旨の説明があり、実際にはこれに則して差金決済を行って損金を請求し、また利増玉がされていたのであって、結局a社から現実に金員が支出されない範囲では差金決済をしていたものである。

5 以上にように、a社内においては、顧客の売買委託注文について、その都度コメックスの金市場で、少なくともアメリカの金地金先物取引市場で、右委託どおりの売買取引を成立させているかのごとき帳簿上の処理を行って、勧誘時の説明どおり顧客の注文を執行している旨顧客に連絡していた。

三  c社のアメリカにおける取引状況の実態

1 Y1は、昭和五三年春ころ、コメックスの金市場で金地金の先物取引を行うことを企図し(我国で、金が商品取引所法二条二項の政令指定を受けたのは、昭和五六年九月である。)、同年四月ころc社を設立してその代表取締役に就任し、メリルリンチピアースフェナーアンドスミスインコーポレーテッド(以下「メリルリンチ社」という。)に対し金地金の先物取引の委託をすることとし、昭和五三年四月一〇日メリルリンチ社にそのための商品取引口座を設け、同年五月ころからその取引を開始したが、メリルリンチ社への注文は、ほとんどY1がa社本社から係員にテレックスを打たせるという方法でされていて、また、注文の結果も、メリルリンチ社からテレックスによってc社宛てにa社本社へ連絡されていた。

ちなみに、c社のニューヨーク市内の事務所は、昭和五四年八月までは、ガスレーグリーンエンドキャプラン法律事務所内にあり、その後、同市第一世界貿易センター内八一二九号室に移ったものの、日本から社員二名が派遣されたのは同年一二月ころからで、しかも両社員とも商品取引実務の知識経験の乏しい者であった。

2 しかしながら、

① まず右商品取引口座は、投機取引を行うことを目的とするものではなく、いわゆるヘッジ取引のための口座であって、投機目的の顧客の売買委託を執行する際に利用することはできないこと(むしろ相場変動によりc社自身が負担する財政的危険をヘッジするためのものであること)

② さらに、c社がメリルリンチ社に出した金地金先物取引の注文はそのほとんどがコメックスの金市場に対するものであって他の金市場に対するものは限られており、偶数月の売買限月しかないコメックス市場への注文ばかりでは、奇数月限月の売買委託もあるa社の顧客の注文をその委託の趣旨どおりに処理することはできない筋合いであること

等の点からみて、右商品取引口座を利用する取引は、a社が委託を受けた多数の顧客の莫大な売買注文を実行するためのものではなかった。

3 それのみならず、c社が昭和五四年九月一四日に出した注文に対するメリルリンチ社からの結果報告が翌一五日になされて以降、メリルリンチ社からc社に対して新規建玉に関する結果報告はなく、既存の建玉の決済も同年一〇月中には終了し、前記商品取引口座は閉鎖されていたのであって、本件起訴にかかる最初の犯行時(Y1に対する別紙一覧表番号1の昭和五四年九月二一日ころ)以降c社からメリルリンチ社を介してコメックスの金市場に出された新規注文は存しなかった。

4 また、c社とa社相互間の送金・入金状況及び金地金の送受状況は、到底顧客の売買委託による取引結果に見合うものではない上、Y1がc社名義でメリルリンチ社を介しコメックスの金市場に注文を出していた時期においても、その各注文については、注文内容・注文結果ともa社、c社のいずれにおいても帳簿等による管理はされていなかった。

四  以上のように、a社は、顧客に対して、勧誘の際に説明したとおり誠実に受託した取引を実現しているかのような報告を行っていたが、顧客の注文に対するa社での価格決定方法、a社における顧客の損益の帳簿上の処理方法、c社がメリルリンチ社を介してコメックスの金市場で行っていた取引口座の種別、その取引内容、その期間等に徴すれば、a社は、顧客の委託どおりの売買取引をc社及びメリルリンチ社を介してコメックスの金市場に対して全く出しておらず、したがって、顧客から右取引委託を前提とする各種委託証拠金は、その名称のいかんを問わず、これを徴収する根拠が全くなかった。

五  委託臨時増証拠金徴収について

1 昭和五四年九月、金相場の高騰に伴いコメックスはマージン、すなわち売買証拠金の性質を有する保証金の増額を決定し、この情報はメリルリンチ社からc社やa社へも連絡されたので、同月二〇日、Y1はY2と図り、これまでの委託本証拠金一キログラム当たり二〇万円を五五万円と改め、これまで注文を受けた分についても新旧証拠金の差額三五万円をいわゆる委託臨時増証拠金の性質を有する保証金(以下「増証金」という。)の名目で顧客から徴収することに決め、この連絡のため、同月二二日に本社で幹部会議を開催した。

2 右会議にはY4を除く各被告らを含め一〇数名が出席したが、その席上、Y1、Y2は、委託本証拠金の増額、増証金の徴収を指示し、さらに、増証金を支払わない場合、本来ならば、手仕舞いされるだけで、それまでに生じた利益金までも没収されるいわれはないにもかかわらず、あえて、顧客には、増証金の支払いに応じないときは計算上生じている利益金は放棄して貰うことになる旨説明するよう指導し、出席者らは、Y1、Y2の指示に従って、以後、請求する根拠のない増証金を顧客から徴収することを承知した。

3 この会議に欠席したY4は、同月二五日ころ大阪支社においてY3から右会議の内容についての説明を受け、以後顧客から増証金を徴収することとした。

六  詐欺の犯意及び共謀

以上に認定したa社の営業実態、とくに、根拠のない増証金の徴収等について、Y1及びY2は、昭和五四年九月二二日開催の前記幹部会議開催前の同月二〇日ころに、その他の被告人は、前記地位、担当職務、幹部会議への出席の有無等により若干時期の先後はあるものの、右幹部会議終了のころ(Y3、Y5、Y6、Y7につき)または同月二五日ころ(Y4につき)までに、一切の事情を認識しながら、あえて一体となって互いに他の関与被告人の行為を利用し、a社の不法な利潤を追求するため、各自の犯意を実現すべく相協力することを通謀(順次通謀を含む。)し、もって、以下の各犯行を敢行した。

(罪となるべき事実)

第一  Y1、Y2、Y3、Y4は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、

一  Y3において、昭和五四年九月三〇日ころ、前記大阪支社の応接室で、顧客A23(以下「A23」という。)に対して、先にA23からa社が受けた金地金合計一〇〇キログラムの先物取引にかかるA2名義の買付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA23に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、引続き同年一〇月一日ころ、Y3において、大阪支社から大阪市<以下省略>所住のA23方に架電し、A23の増証金として九〇四万一〇〇円を請求し、A23をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月四日ころ、A23方において、A23から大阪支社営業係長B3を介し、増証金名下に現金九〇四万九一〇〇円の交付を受けてこれを騙取し、

二  Y3において、同年一一月一三日ころ、大阪支社から前記A23方に架電し、第一の一記載のとおり誤信しているA23に対し、前記注文についてなおA23の支払うべき増証金が一六〇〇万円ある旨嘘を言ってその支払いを請求し、A23をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月一五日ころ、Y3において、大阪支社で、A23から増証金名下に現金一六〇〇万円の交付を受けてこれを騙取し、

第二  Y1、Y2、Y3、Y4は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、

一  Y4において、昭和五四年一〇月初旬ころ、奈良県五条市<以下省略>所在の顧客A3(以下「A3」という。)方で、A3に対して、先にA3からa社が受けた金地金合計二六キログラムの先物取引にかかる買付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA3に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、引続き同日ころ、同所で、Y4において、A3に増証金の一部として一億円を請求し、A3をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月八日ころ、A3から大阪市内所在の住友銀行備後町支店の前記大阪支社の預金口座に右増証金の一部として七八三〇万円の振込入金を受けてこれを騙取し、

二  Y4において、同月九日ころ、大阪支社からA3方に架電し、第二の一記載のとおり誤信しているA3に対し、前記注文について増証金が前記一億円のほかさらに一七〇〇万円必要である旨嘘を言って、その支払いを請求し、A3をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同日ころ、A3方において、A3から大阪支社営業係長B4を介し、第二の一の請求にかかる増証金の不足分として小切手一通(額面二一七〇万円)と、右増証金一七〇〇万円の支払いとして有価証券(大和ファミリーファンド五二六口分、日興バランスファンド九〇〇口分、日興ファミリーファンド一〇〇口分、時価合計一五二六万円相当)の各交付を受けると共に、同日ころ、A3から前記預金口座に五九〇万円の振込入金を受けてこれを騙取し、

第三  Y1、Y2、Y5、Y6は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、昭和五五年一月二五日ころ、顧客A4(以下「A4」という。)から前記本社に電話があった際、その電話を通じて、さらに同年二月二日ころ、前記東京支社において、いずれも東京支社営業係員B5を介しA4に対して、先にA4からa社が受けた金地金合計二七キログラムの先物取引にかかる買付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA4に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金として一八五九万一二五〇円を請求し、A4をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月七日ころ、東京支社において、A4から右B5を介して、増証金名下に現金一八五九万一二五〇円の交付を受けてこれを騙取し、

第四  Y1、Y2、Y7は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、Y7において、昭和五四年一一月一四日ころ、前記本社から岐阜県美濃加茂市<以下省略>所在の医療法人d病院で勤務中の顧客A5(以下「A5」という。)に架電し、次いで同日ころ、同美濃加茂市<以下省略>所在のA5方で、部下の本社営業係員B6を介しA5に対し、先にA5からa社が受けた金地金二〇キログラムの先物取引にかかるA6名義の売付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA5に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金として七〇〇万円を請求し、A5をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月二一日ころ、A5方において、A5から右B6を介して、増証金名下に現金五〇〇万円、利付国庫債券一〇口券二〇枚(額面合計二〇〇万円)及びA6名義の国債貯蓄国債共同買付通帳一冊(額面五〇万円)の各交付を受けてこれを騙取し、

第五  Y1、Y2、Y3、Y4は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、Y4において、昭和五四年一二月中旬ころ、大阪市<以下省略>所在のA7(以下「A7」という。)方で、A7に対して、先にA7からa社が受けた金地金合計四〇キログラムの先物取引にかかるA8名義の買付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA7に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金として一三五〇万円を請求し、A7をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月二〇日ころ、A7から、増証金名下に名古屋市内所在の東京銀行笹島支店の本社預金口座に一三五〇万円の振込入金を受けてこれを騙取し、

第六  Y1、Y2、Y5は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、昭和五五年三月初旬ころ、前記本社管理部係員B7を介し、本社から福井県勝山市<以下省略>所在の顧客A9(以下「A9」という。)方に架電し、A9に対し、先にA9からa社が受けた金地金一キログラムの先物取引にかかるA10名義の買付委託注文について、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA9に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金として六八万八〇〇〇円を請求し、A9をしてその支払いをなべきものと誤信させ、よって、同年三月一二日ころ、A9から増証金名下に福井市内所在の住友銀行福井支店の前記福井営業所の預金口座に六八万七七〇〇円の振込入金を受けてこれを騙取し、

第七  Y1、Y2、Y5、Y6は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、

一  Y6において、昭和五五年二月四日ころ、前記本社で、顧客A11(以下「A11」という。)に対し、先にA11からa社が受けた金地金五キログラムの先物取引にかかる買付注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA11に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金として、A11に代金受領済みで引渡未了の金地金一キログラムを右増証金の一部に充当してもなお不足するなどと申し向けて増証金六九万円を請求し、A11をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、即時同所で、Y6において、A11から現金六九万円の交付を受けてこれを騙取し、

二  Y6において、同月二七日ころ、本社で、第七の一記載のとおり誤信しているA11に対し、先に増証金の一部に充当を予定した右金地金一キログラムを結局引き渡した際、その引き換え分として増証金五〇〇万円を請求し、A11をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、即時同所で、Y6において、A11から増証金名下に現金五〇〇万円の交付を受けてこれを騙取し、

第八  Y1、Y5、Y6は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、Y5、Y6において、昭和五五年三月五日ころ、前記本社で、顧客A12(以下「A12」という。)に対し、先にA12からa社が受けた金地金四キログラムの先物取引にかかる買付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA12に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金として三八九万七〇〇〇円を請求し、A12をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、即時同所で、Y5において、A12から増証金名下に現金三八九万七〇〇〇円の交付を受けてこれを騙取し、

第九  Y1、Y2、Y3は共謀の上、増証金あるいは代金名下に金員等を騙取しようと企て、

一  昭和五四年一二月一七日ころ、石川県小松市<以下省略>所在の顧客A13(以下「A13」という。)方において、前記金沢支店営業係員B8を介しA13に対して、先にA13からa社が受けた金地金合計七六グラムの先物取引にかかる買付委託注文(その一部はA14名義)については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA13に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金として六九三万円を請求し、A13をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって同月一九日ころ、A13方において、A13から右B8を介して、増証金名下に現金六九三万円の交付を受けてこれを騙取し、

二  昭和五五年一月三一日ころ、前記A13方において、前記B8を介し、第九の一記載のとおり誤信しているA13に対して、さらに前記買付委託注文のうちA13名義の同年二月を限月とする金地金一五グラムについて増証金として九七五万円を請求し、A13をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同年二月一日ころ、同所において、A13から右B8を介して、増証金名下に現金一七五万円及び金地金二キログラム(時価合計約一〇〇〇万円相当)の各交付を受けてこれを騙取し、

三  Y3において、同年二月下旬ころ、前記大阪支社から前記A13方へ架電し、次いで同年三月七日ころ、大阪支社において、第九の一、二記載のとおり誤信しているA13と面談した際、真実はA13の買付委託注文に基づく第九の二記載の金地金一五キログラムについて、その現物を引き渡す意思及び能力がないのに、これあるように装い、A13にその引取方を勧めてその代金として二〇二五万一〇〇〇円を請求し、A13をして確実に金地金一五キログラムの引渡しを受けるものと誤信させ、よって、同年三月一〇日ころ、前記A13方において、Y3に受領方依頼されただけで事情を十分知らないY4を介し、A13から、右代金名下に現金二〇二五万一〇〇〇円の交付を受けてこれを騙取し、

第一〇  Y1、Y2、Y3は共謀の上、増証金等名下に金員等を騙取しようと企て、

一  昭和五四年一二月中旬ころ、前記福井営業所から同営業所営業係員B7を介して、福井県鯖江市<以下省略>所在の顧客A15(以下「A15」という。)方に架電し、さらにそのころA15方において、右B7を介しA15に対して、先にA15からa社が受けた金地金合計五キログラムの先物取引にかかるA16名義の買付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金及び委託本証拠金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金及び委託本証拠金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA15に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金及び不足とする委託本拠金合計二七五万円を請求し、併せて、A15から同年九月等を限月とする金地金合計三八キログラムの先物取引にかかるA16名義の委託注文についても、右同様取引が成立していないのであるから、計算上の反対売買によって発生した損金を請求する根拠がないのに、あたかも反対売買を行った結果損金が発生したように装って損金四六万円をいずれも請求し、A15をしてそのいずれの支払いもなすべきものと誤信させ、よって、同年一二月二六日ころ、同鯖江市<以下省略>所在のe農業協同組合駐車場において、A15から右B7を介して、増証金等名下にe農業協同組合長振り出し名義の小切手一通(額面三二一万円)の交付を受けてこれを騙取し、

二  昭和五五年二月六日ころ、前記A15方において、福井営業所営業係員B2を介し、第一〇の一記載のとおり誤信しているA15に対して、先にA15からa社が受けた金地金合計六キログラムの先物取引にかかるA16、A17及びA18名義の各買付委託注文に対して、前同様増証金として一九〇万円を請求し、A15をしてその支払いなすべきものと誤信させ、よって、同月七日ころ、前記e農業協同組合前路上において、A15から右B2を介して、増証金名下にe農業協同組合長振り出し名義の小切手一通(額面一九〇万円)の交付を受けてこれを騙取し、

第一一  Y1、Y2、Y3は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しょうと企て、Y3において、昭和五五年一月中旬ころ、前記大阪支社から大阪市<以下省略>所在の顧客A19(以下「A19」という。)方に架電し、先にA19からa社が受けた金地金一〇キログラムの先物取引にかかる買付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が同市場で既に成立しているように仮装して増証金を請求すると共に、右請求にかかる増証金を支払わなければそれまでA19に計算上生じている利益を受領できなくなる旨嘘を言い、増証金として三六五万円を請求し、A19をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月三〇日ころ、大阪支社で、Y3において、A19から増証金名下に現金三六五万円の交付を受けてこれを騙取し、

第一二  Y1、Y2、Y3は共謀の上、増証金名下に金員等を騙取しようと企て、

一、Y3において、昭和五四年一二月一二日ころ、大阪府泉市<以下省略>所在のf旅館(経営者は顧客A20、以下「A20」という。)において、大阪支社営業係長B4を介しA20に対して、先にA20からa社が受けた金地金一キログラムの先物取引にかかるA21名義の買付委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出していないのであるから増証金の支払いを求める根拠がないのに、右注文に基づく取引が市場で既に成立しているように仮装して、増証金として三五万円の支払いを請求し、A20をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月一四日ころ、同所において、A20から右B4を介し、増証金名下に現金三五万円の交付を受けてこれを騙取し、

二  昭和五五年一月二一日ころ、前記f旅館において、前記大阪支社営業係長B3を介し、第一二の一記載のとおり誤信しているA20に対して、前記注文に対しさらに増証金として二五万円の支払いを請求し、従前a社の営業係員らより増証金を支払わなければ取引上不利益を受ける旨説明を受けていたA20をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって、同月二五日ころ前記f旅館において、A20から右B3を介して、増証金名下に現金二五万円の交付を受けてこれを騙取し、

三  同年二月二日ころ、前記f旅館において、前記B3を介し、第一二の一、二記載のとおり誤信しているA20に対し、前同様増証金四〇万円の支払いを請求し、A20をしてその支払いをなすべきものと誤信させ、よって同月四日ころ、前記f旅館において、A20から右B3を介し、増証金名下に現金四〇万円の交付を受けてこれを騙取し、

第一三  Y1は、委託証拠金名下に金員等を騙取しようと企て、別紙一覧表番号1ないし65、67ないし95記載のとおり、昭和五四年九月二一日ころから昭和五五年四月一〇日ころまでの間前後九四回にわたり、神奈川県川崎市<以下省略>所在のA22方他五七か所において、a社営業係員らを介し、右A22他六一名に対し、真実は同人らから受ける金地金の先物取引にかかる委託注文については、前記のようにその委託どおりの注文をコメックスの金市場に対して出す意思など全くないのに、あたかも、委託どおりにコメックスの金市場にその注文を出し、同市場で注文に基づく取引を成立させるように装って、右取引を勧誘し、右A22らをしてその旨誤信させて金地金合計五二一・九キログラムの先物取引の委託注文をさせ、よって、昭和五四年九月二六日ころから昭和五五年四月一六日ころまでの間、前後九四回にわたり、前記A22方ほか五七か所において、右A22等からa社の営業係員を介して、若しくは、大阪市内所在の住友銀行備後支店の前記大阪支社の預金口座への振込入金の方法により、右先物取引の委託証拠金名下に現金及び小切手一二通合計九四七七万円、西濃運輸株式会社等発行の株券合計六万三六六三株分(時価合計約二五七一万七五九円相当)、ダイワファミリーファンド二〇〇万口分(額面二〇〇万円)及び金地金合計一〇・五キログラム(時価合計三四三七万五〇〇〇円相当)の各交付を受けてそれぞれこれらを騙取した

ものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  Y1の当公判廷における供述

一  Y1の第二回ないし第五回、第八回、第一〇回、第二四回、第三〇回ないし第四五回、第四七回、第四九回、第五二回、第五三回、第五六回、第五八回、第六六回、第八〇回ないし第八四回、第八七回、第九五回及び第九六回公判調書中の各供述部分

一  Y1の検察官(昭和五五年六月二六日付、、同年八月一四日付二通)及び司法警察員(同年六月九日付二通、同月一六日付、同月一七日付、同月二〇日付、同月二一日付、同月二二日付、同月二四日付、同年七月一八日付、同月一九日付、同月二一日付、同月二二日付、同月二六日付、同月二八日付、同年八月六日付、同月八日付、同月一一日付、同月一四日付、同年一〇月二日付、同月七日付、同月一五日付、同月一七日付、同月二〇日付、同年一一月一三日付、同月一七日付二通、同年一二月五日付、同月一五日付)に対する各供述調書

一  Y1の検察官(昭和五五年一二月三日付、同月二四日付、昭和五六年四月一六日付、同月二〇日付、同月二二日付)及び司法警察員(昭和五五年七月一四日付、同月二五日付、同年八月一三日付)に対する各供述調書(Y1関係)

一  Y2の第二回、第四回、第五回、第八回、第七三回ないし第七六回、第九三回及び第九四回公判調書中の各供述部分

一  Y2の検察官に対する昭和五五年六月二六日付、同月二七日付、同年八月一二日付、同月一三日付(二通)及び同年一二月一七日付各供述調書

一  Y2の検察官(昭和五五年六月一八日付)及び司法警察員(同月九日付、同月一七日付、同月一八日付、同月二〇日付、同月二一日付二通、同月二四日付、同月二七日付、同月二八日付で六項のもの、同月三〇日付、同年七月三日付、同月九日付、同月一〇日付で二八枚綴りのもの、同月一四日付、同月一八日付、同月二四日付で六枚綴りのもの、同年八月五日付、同月一四日付、同年一〇月一日付、同月一五日付)に対する各供述書(Y2関係)

一  Y3の第二回、第五回、第八回、第七二回、第九二回及び第九三回公判調書中の各供述部分

一  Y3の検察官に対する昭和五五年六月一八日付、同月二三、二四日付、同月二五日付、同月二八日付(四項のもの)、同年一二月八、九日付及び同月一〇日付各供述調書

一  Y3の検察官に対する昭和五五年六月二八日付(七項のもの)供述調書(Y3関係)

一  Y4の第二回、第五回、第七〇回、第九一回及び第九二回公判調書中の各供述部分

一  Y4の検察官に対する昭和五五年六月一八日付、同月二六日付(二通)、同月二七日付及び同年一二月一三日付(一二枚綴りのもの)各供述調書

一  Y5の第二回、第五回、第七一回、第九〇回及び第九一回公判調書中の各供述部分

一  Y5の検察官に対する昭和五五年六月二四日付、同年八月二六日付(一一枚綴りのもの)、同月二八日付、同月二九日付及び同年一二月一八日付(二通)各供述調書

一  Y5の検察官に対する昭和五五年八月二六日付(六枚綴りのもの)供述調書(Y5関係)

一  Y6の第二回、第五回、第六九回、第八九回及び第九〇回公判調書中の各供述部分

一  Y6の検察官に対する各供述調書

一  Y7の第二回、第六八回、第八八回及び第八九回公判調書中の各供述部分

一  Y7の検察官に対する各供述調書

一  C1の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  C2の検察官及び司法警察員(昭和五五年六月一二日付、同月一八日付、同月二五日付)に対する各供述調書

一  C3の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  第六五回公判調書中証人C4の供述部分

一  C4の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  第一〇回及び第一一回公判調書中の証人B1の供述部分

一  B1の検察官(被告人全員関係で六丁裏八行目から七丁表一〇行目まで、九丁表七行目から一一丁表十二行目までを、Y1関係ではさらに一五丁裏八行目から一六丁裏九行目までを除く。)及び司法警察員(昭和五五年六月二七日付で二一枚綴りのものについては、Y1関係では八丁表四行目から同丁裏三行目まで、一三丁裏五行目から二〇丁裏三行目までを除き、その余の被告人関係では八丁表四行目から同丁裏三行目まで、一三丁裏五行目から一五丁裏一三行目まで、一八丁表一行目から一二行目まで、二〇丁裏四行目から八行目までを除く。同日付で一一枚綴りのものについては、Y1を除くその余の被告人関係に限り、さらに六丁裏一行目から九丁裏七行目までを除く。同月二八日付のものについては、一丁表一行目から四丁表九行目まで、八丁裏六行目から一〇丁裏一行目までを除く。)に対する各供述調書

一  司法警察員作成の捜査報告書(昭和五五年二月一一日付、同月一二日付、同月一四日付、同月一五日付でC5作成のもの、同月一六日付二通、同月二〇日付、同年三月二七日付、同月四月二六日付、同月五月八日付、同月二六日付でC6作成のもの、同年六月一七日付、同月二〇日付でC7作成のもの、同月二一日付でC8作成のもの、同年七月一日付、同月二五日付でC5作成のもの、同年一二月六日付、同月九日付、昭和五六年八月一一日付、昭和五七年一二月二三日付)、捜査報告書謄本(昭和五四年一二月一七日付)及び本文が「株式会社a社(社長Y1)による」で始まる文書

一  検察官作成の捜査関係事項照会書謄本

一  東京銀行名古屋支店支店長代理C9作成の捜査関係事項照会回答書

一  A3作成の任意提出書

一  司法警察員作成の領置調書(昭和五五年四月一二日付)及び捜索差押調書(昭和五五年一月九日付)

一  「COMEX」と題する書籍及び「コメックス清算会社定款及び規約」と題する書籍の各写し一冊

一  「海外商品取引所関係資料集第3集」と題する書籍

一  押収してある海外商品取引所関係資料集第2集(昭和五七年押第二〇九号の三)、東京ゴム取引所月報三冊(同押号の四ないし六)、パンフレット三冊(同押号の七ないし九)、テレックス綴り一綴り(同押号の二四)

判示第一の一、二、第二の一、二、第五、第九の一ないし三、第一〇の一、二、第一一、第一二の一ないし三の事実について

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年六月九日付、同月一六日付、同月一七日付、同月二〇日付、同年七月二五日付、同月二八日付、同年九月五日付及び同年一〇月九日付各供述調書(Y3関係)

判示第一の一、二、第二の一、二、第五の事実について

一  Y4の司法警察員に対する昭和五五年六月九日付、同月一六日付、同月一七日付、同月二〇日付、同年七月二三日付(一六枚綴りのもの)及び同年八月六日付各供述調書(Y4関係)

判示第一の一、二、第一二の二、三、第一三別紙一覧表番号(以下「番号」という。)14、62、78

一  第七回及び第九回公判調書中証人B3の各供述部分判示第一の一、二、第二の二の事実について

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年六月一六日付、同月二三日付及び同月二八日付(五項のもの)各供述調書(Y2関係)

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年六月二七日付及び同年七月一日付各供述調書(Y3関係)

一  C10の検察官に対する供述調書

一  C2の司法警察員に対する昭和五五年六月一九日付供述調書

一  司法警察員作成の昭和五五年六月三日付、同月五日付、同月二一日付(C11作成のもの)同年七月三日付各捜査報告書

判示第一の一、二の事実について

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年六月一九日付及び同月二二日付各供述調書(Y3関係)

一  Y4の司法警察員に対する昭和五五年六月二三日付(二九枚綴りのもの)供述調書(Y4関係)

一  証人A23に対する当裁判所及び受命裁判官の各尋問調書

一  A23の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

判示第二の一、二の事実について

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年一一月五日付供述調書(Y2関係)

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年六月二六日付及び同年九月一六日付各供述調書(Y3関係)

一  Y4の司法警察員に対する昭和五五年六月二二日付、同月二三日付(八枚綴りのもの)、同月二五日付、同月二七日付、同年七月一〇日付、同月一一日付及び同年一〇月一四日付各供述調書(Y4関係)

一  証人小廷知暉に対する当該裁判所及び受命裁判官の各尋問調書

一  小廷知暉の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  B4の検察官に対する昭和五五年六月二三日付及び同月二四日付各供述調書

一  C12、C13、C14及びC15の司法警察員に対する各供述調書

一  司法警察員作成の各捜査報告書(昭和五五年六月二〇日付でC16作成のもの、同月二一日付でC17作成のもの二通、同月二五日付、同月二六日付)及び捜査関係事項照会書謄本(同月一八日付)

一  日興証券株式会社阿倍野支店支店長C18作成の捜査関係事項照会回答書

判示第三、第六、第七の一、二、第八の事実について

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年八月二〇日付(五枚綴りのもの)供述調書(Y2関係)

一  Y5の司法警察員に対する昭和五五年六月二〇日付、同月二五日付、同年八月一六日付、同月二二日付、同月二三日付、同月二四日付(二通)、同年九月二日付及び同月三日付各供述調書(Y5関係)

判示第三、、第七の一、二、第八の事実について

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年七月二二日付供述調書(Y2関係)

一  Y6の司法警察員に対する昭和五五年七月二八日付(二通)、同月三一日付、同年八月二日付、同月三日付、同月四日付(一二枚綴りのもの)、同月八日付、同月一二日付及び同月一四日付(七枚綴りのもの)各供述調書(Y6関係)

判示第三の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年八月一六日付供述調書(Y1関係)

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年七月二一日付、同年八月一六日付及び同月二八日付各供述調書(Y2関係)

一  Y6の司法警察員に対する昭和五五年八月四日付(一四枚綴りのもの)、同月五日付及び同月一四日付(八枚綴りのもの)各供述調書(Y6関係)

一  Y5の司法警察員に対する昭和五五年八月二六日付供述調書(Y5関係)

一  証人A4に対する受命裁判官の尋問調書

一  A4の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  B5の検察官に対する昭和五五年八月四、五日付供述調書

一  司法警察員作成の昭和五五年七月二五日付(C19作成のもの二通)各捜査報告書

判示第四、第七の一、二の事実について

一  第一六回公判調書中の証人B6の供述部分

判示第四の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年八月一九日付供述調書

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年七月一〇日付(七枚綴りのもの)、同月一五日付、同月一九日付(四枚綴りのもの)及び同年八月一九日付(四項のもの)各供述調書(Y2関係)

一  Y7の司法警察員に対する各供述調書(Y7関係)

一  第六二回公判調書中の証人A5の供述部分

一  A5の検察官(謄本)及び司法警察員に対する各供述調書

一  B6の検察官に対する供述調書謄本(ただし、Y2、Y7関係では一六丁裏八行目から一七丁裏七行目まで、二〇丁表三行目から五行目まで、二七丁表八行目から二八丁表二行目まで、三〇丁裏五行目から八行目までを、Y1関係ではさらに一九丁表四行目から八行目までを除く。)

一  司法警察員作成の謄本作成報告書及び各捜査報告書(同年八月二五日付三通、ただし、甲第一〇六号証は、同第一一四号証の謄本)

一  検察事務官作成の昭和五五年八月一五日付電話聴取書

判示第五の事実について

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年七月二三日付及び同年八月一九日付(三項のもの)各供述調書(Y2関係)

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年七月一八日付供述調書(Y3関係)

一  Y4の司法警察員に対する昭和五五年七月九日付及び同月二三日付(一〇枚綴りのもの)各供述調書(Y4関係)

一  証人C20に対する受命裁判官の尋問調書

一  C20の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  C21の司法警察員に対する昭和五五年七月一五日付(二一枚綴りのもの)供述調書

一  C22の司法警察員に対する供述調書謄本

一  司法警察員作成の昭和五五年七月一四日付(四枚綴りのもの)及び昭和五六年一月九日付(一二枚綴りのもの)各捜査報告書

判示第六、第一〇の一の事実について

一  B7の検察官に対する各供述調書

判示第六の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年九月一九日付供述調書

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年九月一九日付及び同月二四日付(一六枚綴りのもの)各供述調書(Y2関係)

一  Y5の司法警察員に対する昭和五五年九月五日付、同月八日付、同月九日付(六枚綴りのもの)及び同月一九日付各供述調書(Y5関係)

一  証人A9に対する受命裁判官の尋問調書

一  A9の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  B7の司法警察員に対する昭和五五年八月一一日付(ただし、八丁表五行目から八行目までを除く。)及び同月一二日付各供述調書

一  C23及びC24の司法警察員に対する各供述調書

一  司法警察員作成の捜査報告書(昭和五五年八月一九日付で五枚綴りのもの、同年九月二七日付)及び被害状況報告書謄本

判示第七の一、二の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年九月一八日付供述調書

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年九月八日付(一〇枚綴りのもの)、同月一六日付及び同月二四日付(二項の初めが「本社の客」で始まるもの)各供述調書(Y2関係)

一  Y5の司法警察員に対する昭和五五年九月九日付(二〇枚綴りのもの)、同月一六日付及び同月二四日付各供述調書(Y5関係)

一  Y6の司法警察員に対する昭和五五年八月二五日付、同月二八日付、同年九月一日付及び同月二日付各供述調書(Y6関係)

一  第六一回公判調書中証人A11の供述部分

一  A11の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  B6の司法警察員に対する昭和五五年八月二二日付(ただし、五丁裏一〇行目から九丁裏七行目までを除く。)及び同月二三日付(ただし、四丁裏二行目から一一行目、五丁裏一一行目から六丁表九行目、六丁裏一三行目から七丁表五行目までを除く。)各供述調書

一  C25の司法警察員に対する各供述調書

一  司法警察員作成の昭和五五年八月一九日付(三枚綴りのもので、被害者A11関係分)及び昭和五六年一月九日付(一一枚綴りのもの)各捜査報告書

判示第八の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年九月一七日付供述調書

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年九月四日付(二通)及び同月二四日付(二項の初めが「宮崎支店の」で始まるもの)各供述調書(Y2関係)

一  Y5の司法警察員に対する昭和五五年九月一二日付供述調書(Y5関係)

一  Y6の司法警察員に対する昭和五五年八月二一日付及び同月二二日付各供述調書(Y6関係)

一  証人A12に対する受命裁判官の尋問調書

一  A12の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  C26の司法警察員に対する各供述調書

一  C27の司法警察員に対する各供述調書(ただし、一二丁裏四行目から一四丁裏二行目までを除く。)

一  司法警察員作成の各捜査報告書(昭和五五年八月一九日付で三枚綴りのもので、被害者A12関係分、同年九月二〇日付)及び捜査関係事項照会書謄本(昭和五五年八月二三日付)

一  株式会社百五銀行名古屋支店長C28作成の捜査関係事項照会回答書

判示第九の一ないし三の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年九月一日付及び同月二日付(二通)各供述調書

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年八月六日付、同月二一日付(一七枚綴りのもの)、同月二五日付、同月二六日付及び同年九月八日付(三枚綴りのもの)各供述調書(Y2関係)

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年八月五日付、同月七日付、同月九日付、同月一四日付(二五枚綴りのもの)及び同月二六日付各供述調書(Y3関係)

一  A13の司法警察員に対する昭和五五年七月一五日付及び同年八月二七日付各供述調書

一  C29及びC30の司法警察員に対する各供述調書

一  司法警察員作成の昭和五五年九月六日付及び同月一六日付各捜査報告書

判示第九の一、二の事実について

一  A13の検察官(昭和五五年一一月一九日付)及び司法警察員(同年七月二一日付)各供述調書

一  第一八回公判調書中証人B8の供述部分

一  B8の検察官(昭和五五年一二月一五日付)及び司法警察員(同年七月二二日付、ただし、二丁裏一一行目から七丁裏一行目までを除く。)

一  C31の司法警察員に対する供述調書

判示第九の一、三の事実について

一  A13の司法警察員に対する昭和五五年七月二二日付供述調書

一  B7の司法警察員に対する昭和五五年七月二三日付(一三枚綴りのもの)供述調書

判示第九の二の事実について

一  B8の検察官(昭和五五年一二月二四日付)及び司法検察員(同年七月二三日付)各供述調書

判示第九の三の事実について

一  Y4の検察官に対する昭和五五年一二月一三日付供述調書(五枚綴りのもの)

一  A13の検察官に対する昭和五五年一一月二六日付供述調書

判示第一〇の一、二の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年九月四日付、同月五日付及び同月一二日付各供述調書

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年八月二九日付、同年九月一日付及び同月二日付各供述調書(Y2関係)

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年七月三一日付、同年八月一四日付(一一枚綴りのもの)、同月二〇日付、同月二二日付及び同月二五日付(一七枚綴りのもの)各供述調書(Y3関係)

一  証人A15に対する受命裁判官の尋問調書

一  A15の検察官及び司法警察員(昭和五五年七月一一日付、同月一九日付、同月二二日付)各供述調書

一  司法警察員作成の電話通信書

一  司法警察員作成の昭和五五年八月一一日付、同年九月一〇日付(C32作成のもの)及び同月一二日付捜査報告書

判示第一〇の一、番号46の事実について

一  第一五回公判調書中証人B7の供述部分

判示第一〇の一の事実について

一  A15の司法警察員に対する昭和五五年七月二五日付供述調書

一  B7の司法警察員に対する昭和五五年七月二一日付(ただし、六丁表五行目から同丁裏一〇行目まで、七丁裏一行目から一〇丁表一〇行目までを除く。)、同月二二日付(ただし、五丁裏九行目から六丁裏四行目まで、一三丁裏六行目から一六丁裏一〇行目までを除く。)、同月二三日付(二三枚綴りのもの、ただし、四丁裏一二行目から五丁表四行目まで、一七丁表三行目から同丁裏一二行目まで、二一丁表二行目から一〇行目までを除く。)及び同年八月五日付各供述調書

判示第一〇の二の事実について

一  C33の司法警察員に対する昭和五五年七月二三日付供述調書

一  第一八回公判調書中証人B2の供述部分

一  B2の検察官(ただし、一〇丁裏一行目から一一丁表五行目までを除く。)並びに司法警察員(昭和五五年七月二一日付で九丁裏二行目から一〇丁表一一行目までを除くもの、同月二二日付、同月二九日付で一三丁表八行目から同丁裏七行目まで及び一八丁表四行目から同丁裏七行目までを除くもの、同年八月五日付)に対する各供述調書

判示第一一の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年八月二七日付(二〇枚綴りのもの)供述調書

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年七月二四日付(一〇枚綴りのもの)、同年八月二一日付(七枚綴りのもの)及び同年九月六日付各供述調書(Y2関係)

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年八月二五日付(三〇枚綴りのもの)及び同月二七日付各供述調書(Y3関係)

一  証人A19に対する受命裁判官の尋問調書

一  A19の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  C21の司法警察員に対する昭和五五年七月一五日付供述調書(一九枚綴りのもの)

一  司法警察員作成の昭和五五年七月一四日付(三枚綴りのもの)及び同年八月二八日付各捜査報告書

判示第一二の一ないし三の事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年八月二七日付(一四枚綴りのもの)及び同月二八日付各供述調書(Y1関係)

一  Y2の司法警察員に対する昭和五五年七月一六日付、同月一九日付(一七枚綴りのもの)及び同年八月二〇日付(一〇枚綴りのもの)各供述調書(Y2関係)

一  Y3の司法警察員に対する昭和五五年七月一一日付、同年八月二八日付及び同年九月九日付各供述調書(Y3関係)

一  A20の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  C21の司法警察員に対する昭和五五年七月一五日付(一〇枚綴りのもの)供述調書

一  B4の検察官(昭和五五年一二月一一日付)及び司法警察員(同年七月一二日付)各供述調書

一  司法警察員作成の昭和五五年七月一四日付(謄本)及び同年九月一〇日付(C34作成のもの)各捜査報告書

判示第一二の二、三、番号14,62,78の事実について

一  第一九回の公判調書中証人B3の供述部分

判示第一二の二、三の事実について

一  B3の検察官及び司法警察員(同年九月五日)に対する各供述調書

判示第一三の全事実について

一  Y1の司法警察員に対する昭和五五年一二月一七日付供述調書

一  司法警察員作成の昭和五五年一一月二八日付、同年一二月二日付、同月二三日付各捜査報告書

番号1

一  証人A22に対する受命裁判官の尋問調書

一  A22の検察官に対する供述調書

一  検察事務官作成の証拠品謄本作成報告書

番号2

一  C35の司法警察員に対する供述調書

番号3

一  証人C36に対する受命裁判官の尋問調書

一  C36の司法警察員に対する供述調書

番号4、7、13

一  証人C37に対する受命裁判官の尋問調書

一  C37の司法警察員に対する供述調書

番号5

一  C38の司法警察員に対する供述調書

番号6

一  証人C39に対する受命裁判官の尋問調書

一  C39の司法警察員に対する供述調書

番号8

一  第五八回公判調書中証人C40の供述部分

一  C40の司法警察員に対する供述調書

番号9

一  証人C41に対する受命裁判官の尋問調書

一  C41の司法警察員に対する供述調書

番号10、20、25、64

一  証人C42に対する受命裁判官の尋問調書

一  C42の司法警察員に対する供述調書

番号11、14、30、31、88

一  第一七回公判調書中証人C43の供述部分

番号11、14

一  C43の司法警察員に対する昭和五五年一〇月二日付供述調書(ただし、四丁裏三行目から八丁表一二行目まで、一〇丁裏一一行目から一一丁表二行目まで、一二丁裏三行目、一六丁表一〇行目から同丁裏二行目まで、一九丁表四行目から裏五行目までを除く。)

番号11、14、42

一  証人C44に対する受命裁判官の尋問調書

一  C44の司法警察員に対する供述調書

一  B4の司法警察員に対する昭和五五年一〇月九日付(二三枚綴りのもの)供述調書

一  司法警察員作成の昭和五五年一〇月一四日付捜査報告書

番号12

一  第六〇回公判調書中証人C45の供述部分

一  C45の司法警察員に対する供述調書

番号15、77、85、92

一  第五五回及び第五七回公判調書中証人C46の各供述部分

一  C46の司法警察員に対する供述調書

番号16、73

一  第五五回公判調書中証人C47の供述部分

一  C47の司法警察員に対する供述調書

番号17

一  証人C48に対する受命裁判官の尋問調書

一  C48の司法警察員に対する供述調書

番号18、57

一  第六〇回公判調書中証人C49の供述部分

一  C49の司法警察員に対する供述調書

番号19、22、26、30、31、40、45、47、67、71

一  第一七回公判調書中証人B4の供述部分

一  B4の司法警察員に対する昭和五五年一〇月九日付(一七枚綴りのもの)供述調書(ただし、一丁裏八行目から二丁表三行目までを除く。)

番号19、22、40

一  証人C50に対する受命裁判官の尋問調書

一  C50の司法警察員に対する供述調書

番号21

一  証人C51に対する受命裁判官の尋問調書

一  C51の司法警察員に対する供述調書

一  司法警察員作成の平成元年三月一三日付捜査報告書

番号23、38

一  C52の司法警察員に対する供述調書

番号24、29

一  C53の司法警察員に対する各供述調書

番号26

一  C54の司法警察員に対する供述調書

番号27、54

一  第五九回公判調書中証人C55の供述部分

一  C55の司法警察員に対する供述調書

番号28

一  C56の司法警察員に対する供述調書

番号30、31、88

一  C43の司法警察員に対する昭和五五年一〇月三日付供述調書(ただし、五丁裏一一行目から六丁表四行目までを除く。)

番号30

一  証人C57に対する受命裁判官の尋問調書

一  C57の司法警察員に対する供述調書

番号31

一  証人C58に対する受命裁判官の尋問調書

一  C58の司法巡査に対する供述調書

番号32、61

一  証人C59に対する受命裁判官の尋問調書

一  C59の司法警察員に対する供述調書

番号33

一  C60の司法警察員に対する供述調書

番号34

一  第五六回公判調書中証人C61の供述部分

一  C61の司法警察員に対する供述調書

番号35

一  C62の司法警察員に対する供述調書

番号36

一  C63の司法警察員に対する供述調書

番号37

一  第五六回公判調書中証人C64の供述部分

一  C64の司法警察員に対する供述

調書番号39

一  証人C65に対する受命裁判官の尋問調書

一  C65の司法警察員に対する供述調書

番号41

一  証人C66に対する受命裁判官の尋問調書

一  C66の司法警察員に対する供述調書

番号43、51

一  C67の司法警察員に対する供述調書

番号44

一  証人C68に対する受命裁判官の尋問調書

一  C68の司法警察員に対する供述調書

番号45、47

一  証人C69に対する受命裁判官の尋問調書

一  C69の司法警察員に対する供述調書

番号46

一  C70の司法警察員に対する各供述調書(昭和五五年二月一〇日付は謄本)

一  B7の司法警察員に対する昭和五五年一〇月二日付供述調書(ただし、二丁裏七行目から一一行目まで、三丁裏三行目から六丁目裏三行目まで、一二丁表六行目から一二丁裏一一行目までを除く。)

一  C71の司法警察員に対する供述調書(ただし、二丁表一二行目から三丁裏一二行目まで、五丁裏七行目から六丁表一行目までを除く。)

番号48、55、74

一  C72の司法警察員に対する供述調書

番号49

一  証人C73に対する受命裁判官の尋問調書

一  C73の司法警察員に対する供述調書

番号50

一  第五九回公判調書中証人C74の供述部分

一  C74の司法警察員に対する供述調書

番号52

一  証人C75に対する受命裁判官の尋問調書

一  C75の司法警察員に対する供述調書

番号53

一  C76の司法巡査に対する供述調書

番号56

一  C77の司法警察員に対する供述調書

番号58、72、75

一  C78の司法警察員に対する供述調書

番号59

一  第五八回公判調書中証人C79の供述部分

一  C79の司法警察員に対する供述調書

番号60

一  証人C80に対する受命裁判官の尋問調書

一  C80の司法警察員に対する供述調書

番号62、78

一  証人C81に対する受命裁判官の尋問調書

一  C81の司法警察員に対する供述調書

番号63

一  第六一回公判調書中証人C82の供述部分

一  C82の司法警察員に対する供述調書

番号65

一  証人C83に対する受命裁判官の尋問調書

一  C83の司法警察員に対する供述調書

番号67

一  C84の司法巡査に対する供述調書

番号68

一  C85の司法巡査に対する供述調書

番号69、79

一  証人C86に対する受命裁判官の尋問調書

一  C86の司法警察員に対する供述調書

番号70

一  C87の司法警察員に対する供述調書

番号71

一  C88の司法警察員に対する供述調書

番号76

一  証人C89に対する受命裁判官の尋問調書

一  C89の司法警察員に対する供述調書

番号80

一  C90の司法警察員に対する供述調書

番号81

一  C91の司法巡査に対する供述調書

番号82、87、91

一  C92の司法警察員に対する供述調書

番号83、90

一  C93の司法警察員に対する供述調書

番号84、93

一  C94の司法警察員に対する供述調書

番号86、89、94

一  C95の司法警察員に対する供述調書

番号88

一  証人C96に対する受命裁判官の尋問調書

一  C96の司法巡査に対する供述調書

番号95

一  C97の司法警察員に対する供述調書

(補助説明)

第一  各被告人及びその弁護人ら(以下「弁護人ら」という。)は、a社ないしc社とその顧客との間の本件取引はそもそも延取引(繰延勘定取引または延勘定取引)であって、検察官主張のような先物取引ではない旨指摘した上被告人らには各種委託証拠金を請求する法律的根拠があるから、本件において詐欺罪は成立しない旨主張する。

第二  そこで、弁護人らの主張の主要な点について以下検討する。

一  まず、本件取引の性質についてみる。

1 商品の売買取引は、清算市場における売買取引(清算取引)と実物市場における売買取引(実物取引・現物取引)の二種に分けられる(もちろん、特定の市場で清算取引と実物取引の双方が行われることはある。)。延取引(または延渡取引)は、実物取引に属し、売買当事者双方が予め商品現物の受渡しの履行を将来の一定の時期に行う旨定めておくところに特色があるに過ぎないから、その受渡時期到来前に自由に転売、買戻しを行ってその売買差額(差金)により清算することはできず、履行期に売買物件と全代金とを受渡しして売買関係を結了させなければならない。これに対し、先物取引は清算取引であるから、売買物件の受渡期間に商品現物の受渡しにより決済することもできるが、また、受渡期間までに自由に転売、買戻しによって差金を授受して決済を行うこともできる取引である。以上の点に着目すると、延取引と先物とは明確に区別されるべきものであることは弁護人らの主張するとおりである。

もっとも、売買条件の定型化の進んだ延取引にあって、当事者双方の合意をもって、約定の履行期に売買関係を結了させず、預合等の方法で決済を相当期間にわたって順次繰り延べていくときは、時の経過に伴う相場変動により当事者に反対売買による差金授受(差金取引)の途を与え、その結果、清算取引同様の機能を果たすのであって、延取引もいわゆる決済の繰延べと結びつくと、先物取引に極めて類似する投機取引となるに至る。両取引は右のような関係にあるが、とまれ、以上に説示したとおり延取引と先物取引とは差金決済の可否の点で区別される。そうではあるが、両取引の性質の異同をもって直ちに本件取引が先物取引とは異なるという結論を導くものではない。というのは、本件で問題とすべきなのは、a社ないしc社と有罪認定をした各判示顧客を含むその当時の大多数の顧客との取引の実態如何であって、日本貴金属市場加盟当時のa社の取引内容や、a社設立以後の全顧客らとの契約内容ではない上、しかも本件取引の性質の究明に当たっては、当該取引に際し、被告人らがどういう用語でその契約を呼称したかによるべきではなく、前述の売買取引の種類を分ける概念に従って、右取引をどちらに位置づけるか実質的に判断すべきであるからである。

2 以上の観点からすると、a社ないしc社とその顧客間の契約が弁護人主張の延取引であるか、検察官主張の先物取引であるかを決するについては、両取引を区別する標準を、前述のとおり、すなわち転売・買戻しにより差金決済が自由にできるかどうかの点にあると設定しながら、関係証拠に照らして、その契約の実態を把握すべきこととなる。

そこで検討すると、弁護人らの主張のように、a社が顧客の勧誘に用いたパンフレット、顧客との間で交わした貴金属取引代行委託契約書等においては予約取引、月末決済制度との記載が、また、被告人らの捜査段階ないし公判段階における各供述調書中には延取引という用語がみられるとはいえ、コメックスの金市場の取引形態(先物取引)に加え、判示認定のようなa社の各営業所課員及び各被告人らの顧客に対する説明、顧客からの委託本証拠金の徴収、a社におけるその帳簿上の処理内容、顧客の注文に対する結果報告の内容、a社と顧客との間における決済の実情、値洗いの実施等に徴すれば、a社と顧客との間の取引は、まさに、限月前に差金決済が自由にできる取引、すなわち先物取引にほかならず、右認定を左右するに足る証拠はない。延取引を前提とする弁護人らの主張は、この点ですべて理由がない。

二  さらに、弁護人らは、a社ないしc社は商法上の問屋にあたるとして介入権の行使や商品取引所におけるバイカイ付出しの慣行を援用して本件において詐欺罪の成立しない所以を縷縷主張する。

しかしながら、a社ないしc社が問屋に該当するとしても、本件においては、前認定のとおり、委託者である顧客は、委託した売買がコメックスの金市場で執行されるべきことを意図し、その旨表明して取引に入っているのであるから、被告人らは、必ずその委託玉をコメックスの金市場において売付または買付なければならない制約をうけており、それは、とりもなおさず委託者が売付先または買付先を指定した取引に該当するから介入権の行使はそもそも許されないのみならず、a社ないしc社において該各取引につき介入権を行使した旨の通知を発した証跡はこれを見い出すことができないから、a社ないしc社の介入権の行使を理由に、被告人らの所為を詐欺罪にあたらないとするわけにはいかない。

次に、バイカイ付出しの点であるが、バイカイとは、商品取引員が同一銘柄、同一受渡期限の物件の売買同数量を、売買同一値段で売り及び買いとして、商品取引所の立会時間中に取引所に申し出て、市場での売買として取引所の帳簿に記載する手続きをとることをいい、付出しとは、商品取引員が取引所の立会時間終了後、立会時間中に成立した値段による売付又は買付として取引所に申し出てその承認を得て帳簿に記載してもらうことをいうのであり、いずれにしろ、商品取引所の帳簿へのその旨の登載が必要であり、決して商品取引員等の手元における無方式無記録の付け合わせを正当化するものでないことは明らかであって、本件において、Y1は、コメックスの会員であっても、その会員権の性質上、それだけでは、自己の売買注文をその金市場に出すことができるだけで、顧客から売買注文の委託を受けてこれを市場に出すことはできないのではあるが、その点をしばらく措くとしても、Y1ないしc社が、顧客からの売買注文を執行するに際し、コメックスの金市場の公式記録上に所定の方式に則ってこれを取引市場における取引と同視されるものとして記録させたことを窺わせるような証拠はなく、バイカイ付出しの点から詐欺罪の成立を否定することはできない。

したがって、以上の点に関する弁護人らの主張は、すべて採用の限りではない。

三  本件においては、a社が顧客に対して(認定した事実)第三の一のように説明しながら、顧客の売買注文を同二、三のように処理して判示各事実において認定したように顧客を欺罔し、言葉巧みに根拠のない増証金や委託証拠金を請求し、顧客においては、右真相を知っていれば増証金や委託証拠金の支払いには到底応じなかったのに、被告人らを含むa社従業員らの説明を誤信し錯誤に陥ったばかりに現金等を拠出したという事実関係が認められる以上、検察官主張にかかる株式会社日商の経営状況や騙取する現金の使用目的・使途等についての欺罔を検討するまでもなく、関係各被告人について判示各詐欺罪の成立することは明らかである。

第三  判示第九の三は、他の訴因と欺罔態様を異にするので、さらに若干の説明を付加する。

一  Y1、Y2、Y3は、当公判廷等において、顧客A13が買付委託注文をした金地金一五キログラムにつき、現物を引き渡す意思も能力もあったとか、一五キログラム全部を直ちに引き渡すことはできないかもしれないと思ったのでそう伝えるとともにそれほど長くない間に順次引き渡す旨説明したとか弁解する。

二  しかしながら、昭和五五年二月限月の金地金一五キログラムにつき、同年二月下旬及び既に限月到来後の同年三月七日ころの二回にわたって、Y3がA13にその現物引取を強く勧め、なかんずく、二回目の勧誘の際、代金完納後遅くとも二〇日後には現物一五キログラムを渡す旨確約したことは右両名の捜査官に対する各供述がほぼ一致していて明白であり、その数日後の同月一〇日ころ、A13が取引銀行から借金をするなどして工面した二〇〇〇万円を超える大金をa社に支払った事実はこれを裏付けるに十分であるのみならず、

三  前掲各関係証拠によれば、

1 a社は、昭和五四年五月一五日ころコメックスから金地金を購入したのを最後にそれ以降輸入は行わず、同年六月、七月に合計九〇キログラム、同年一一月に一〇キログラムの金地金を国内で購入したが、その後一部の強硬な顧客の弁済等に充当したり、資金繰りのために在庫の金地金を処分するなどした結果、昭和五五年一月下旬ころにはa社における金地金の在庫はなくなっており、しかも、同月九日の外国為替及び外国貿易管理法違反による本社の捜索差押後は、それまでにも増してa社の業績・信用は急激に悪化していて、大量の金地金を国内で調達する余地はなかったこと

2 結局、右金地金一五キログラムについては全くA13に交付されていないばかりか、同人より前に期限の到来した顧客のなかにも約定の金地金を受領していない者は多数に上っており、その後もa社においては金地金入手のための措置をなんら講じていないこと

などの事実が認められ、

四  前項認定の全事実を踏まえて、被告人らの捜査段階における右訴因関連の各供述を考察すれば、ほぼ全面的に前認定に沿う趣旨に帰するY3及びY2の各供述は、十分に措信でき、Y1においてすら、当時のa社の金地金の保有状況、その営業状態に関する限度では右認定に沿う供述をしていて、その限度ではこれも措信できるところであり、

五  以上の諸事情を総合して判断すると、昭和五五年二月下旬から同年三月七日ころには、前記被告人らにおいて、一五キログラムもの金地金をA13に確実に引き渡す意思も能力もなかったことは証拠上明らかである。

前記被告人らの弁解は、採用できない。

(法令の適用)

Y1の判示第一の一、二、第二の二、二、第三ないし第六、第七の一、二、第八、第九の一ないし三、第一〇の一、二、第一一、第一二の一ないし三、第一三別紙一覧表番号1ないし65、同番号67ないし95の各所為、Y2の判示第一の一、二、第二の一、二、第三ないし第六、第七の一、二、第八、第九の一ないし三、第一〇の一、二、第一一、第一二の一ないし三の各所為、Y3の判示第一の一、二、第二の一、二、第五、第九の一ないし三、第一〇の一、二、第一一、第一二の一ないし三の各所為、Y4の判示第一の一、二、第二の一、二、第五の各所為、Y5の判示第三、第六、第七の一、二、第八の各所為、Y6の判示第三、第七の一、二、第八の各所為は、いずれも各被害者ごとに(複数の事実に係るものは包括して)刑法六〇条、二四六条一項に、Y7の判示第四の所為は同法六〇条、二四六条一項にそれぞれ該当するところ、Y1の判示第一三別紙一覧表番号67と70、同番号68と71とは、いずれも一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、同法五四条一項前段、一〇条により一罪として、前者については重い同番号70の、後者については重い同番号71の各罪の刑で処断し、Y7を除くその余の各被告人に対する以上の各罪は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条によりY1、Y2、Y3及びY4についてはいずれも最も重い判示第二の一罪の刑に、Y5及びY6についてはいずれも最も重い判示第三の罪の刑にそれぞれ法定の加重をした刑期の範囲内で、またY7については所定刑期の範囲内で、Y1を懲役五年に、Y2及びY3をいずれも懲役三年に、Y4を懲役二年に、Y5及びY6をいずれも懲役一年六月に、Y7を懲役一年にそれぞれ処し、同法二一条を適用して未決勾留日数中、Y1に対しては二四〇日を、Y2に対しては一二〇日を、それぞれその刑に算入し、Y1及びY2を除くその余の各被告人についてはいずれも情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から、Y3については四年間、Y4、Y5、Y6及びY7についてはそれぞれ三年間その刑の執行を猶予し、訴訟費用のうち、別紙訴訟費用負担表(一)の証人欄記載の各証人に支給した分は、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により、対応する被告人欄記載の各被告人の連帯負担とし、同表(二)記載の各証人に支給した分は、刑事訴訟法一八一条一項本文により、Y1の単独負担とする。

(量刑の理由)

本件各犯行は、先物取引についての十分な知識のない被害者らから世界的市場であるコメックスでの金取引をキャッチフレーズに巧妙、かつ組織的な手口で委託証拠金名下に金員等を騙取した案件であるところ、その被害者は多数で、関東、中部から関西、中国の各地方にわたり、各被害者の受けた直接の財産的損失だけでもそれぞれ相当高額に上るばかりか、犯行後約一〇年を経過するものもあるのにその被害回復はほとんどされておらず、その被害額の合計も約四億円の巨額に達するなどその発生させた被害が甚大である上、ことにY1は、いまだに自己の商法の正当性を強弁し、反省の情が認められないことなどの事情に徴すると、各被告人それぞれの関係事実に対する刑事責任は重大であり、ことにa社の詐欺商法を案出し、その全職員を監督指揮してそれを遂行した最高責任者のY1及び同人を補助し、部下職員を率先指揮し、国内の営業活動全般を掌握してきたY2の両名については、同人らのために参酌すべき諸事情をそれぞれに十分考慮しても前記刑の実刑は免れないところである。また、その余の各被告人らについてはa社における各地位、関与した件数、騙取した金員等、有利不利な諸般の情状を総合考慮した上、Y3、Y4、Y5、Y6及びY7についてはそれぞれ主文一項の各刑に処した上、その刑の執行を猶予することとした。

(一部無罪の理由)

一  Y1に対する本件公訴事実中、別紙一覧表番号66記載のA1に対する詐欺の訴因(昭和五六年わ第六〇六号犯罪事実一覧表番号66)は、要約すれば、

「a社の代表取締役の地位にあったY1は、関連会社の株式会社日商の運営資金などに窮した結果、顧客から先物取引の取引保証金名下に金員を騙取しようと企て、昭和五四年一二月六日ころ、前記a社本社事務所において、a社従業員を介し、A1に対し、真実はa社が同女から注文を受ける金地金の先物取引の注文はこれをc社を介してコメックスに通さずこれを呑み、右先物取引をコメックスで成立させず、かつ、同女から取引保証金として受領した金員等をすべて株式会社日商の運営資金などに流用する意図であるのにこれを秘し、あたかも同女の注文にかかる金地金の先物取引をすべてコメックスにおいて成立させ、コメックスを通じて確実に決済、清算もしくは現物の引渡しを受け得る旨虚偽の事実を告知して、同女に右取引をするよう勧誘し、同女をしてその旨誤信させて金地金一〇キログラムの先物取引の注文をさせ、よって即時同所において同女からa社従業員を介し、右先物取引の取引保証金名下に現金二〇〇〇万円の交付を受けてこれを騙取した」というのである。

二  検討するに、確かに、A1の司法警察員に対する供述調書中で、同女は右公訴事実に沿う供述をし、関係証拠によれば、a社が先物取引を行う場合に通常用いる契約書等が同女の場合にも作成され、現金二〇〇万円も取引保証金として預り証が発行されいる等の事実は認められるが、他方、第五七回公判調書中の同女の供述部分では、同女は、昭和五四年一二月六日ころa社本社事務所へ金地金の現物を購入するために赴いたところ、たまたま現物がなかったため、昭和五五年三月に合計三キログラムの金地金の引渡を受ける約束のもと右二〇〇万円を金地金の一部として支払った旨及び同所でa社営業係員B6らから先物取引の説明をなされた記憶が無い旨断言しており、右供述調書の形式内容と、公判調書中の供述部分とを対比して吟味すると、前者の方が真実を述べたとは認め難く、他の関係証拠を検討しても、右公判調書中の供述を排斥して右訴因にかかる公訴事実を認定させるほど措信できる有力な証拠も見い出せないから、同女が右二〇〇万円を先物取引の委託証拠金として支払ったと認めるにはなお合理的な疑いが残るので、Y1に対する本件公訴事実中、右の点については犯罪の証明が無いことに帰する。したがって、右の点については、刑事訴訟法三三六条後段によりY1に対し無罪の言渡しをする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 土川孝二 裁判官 佐伯光信 裁判官 坪井宣幸)

<以下省略>

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