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名古屋地方裁判所 昭和44年(ヨ)182号 決定 1969年3月18日

申請人 東洋プライウッド労働組合 外五名

被申請人 東洋プライウッド株式会社

主文

一、被申請人は、申請人東洋プライウツド労働組合のため、その費用をもつて、被申請人熱田工場構内組合事務所周囲に設置した板べい北側部分に通行のための開閉装置(高さ現存板べいの高さ、幅員一メートル二〇センチ)を設置し、右熱田工場操業日の休憩時間に、右開閉装置を通路として、右熱田工場勤務の従業員たる申請人労働組合の組合員が、右工場構内から組合事務所に出入りすることを申し出でた際は、その都度右開閉装置を開放し、これらの者の通行を妨げないようにしなければならない。

二、申請人東洋プライウツド労働組合のその余の申請を却下する。

三、申請人岡田菊男、同久野金春、同小林弘治、同真野滋、同新川末蔵らの各申請はいずれも却下する。

四、申請費用は、申請人ら六名の負担とする。

第一、当事者の主張

別紙仮処分命令申請書、同申請の趣旨並びに理由等追加申立書および申請の趣旨等訂正申立書ならびに答弁書、各準備書面のとおり。

第二、当裁判所の認定した事実

当事者間に争いのない事実および疎明資料によれば次の事実が認められる。

(一)  被申請人は、昭和四四年一月三〇日、その従業員である申請人岡田菊男、同久野金春、同小林弘治、同真野滋、同新川末蔵を解雇し、これに伴ない、その頃から、申請人岡田ら五名が、申請人東洋プライウツド労働組合の集会などに出席するため被申請人熱田工場および高蔵工場の構内に立入るのを阻止している。(もつとも、被申請人は、申請人岡田ら五名が申請人組合の組合員かつ執行委員であるため、熱田工場および高蔵工場の構内にある申請人組合の事務所に出入りする必要上、その範囲で被申請人の右二工場構内に立入ることを容認している。)

(二)  被申請人会社には、熱田工場に一〇個所、高蔵工場に二個所の従業員休憩所があつて、熱田工場においては第一休憩所、高蔵工場においてはボイラー室の東側の休憩所はそれぞれ大きな休憩所である。右二つの大休憩所には従業員のために食堂が設けられ元来食事と休憩に利用せられる場所となつているが、申請人組合は時々休憩時間などに組合集会など開いてこれを利用してきた。申請人組合の右休憩所利用については、組合から被申請人に対し何らの申出もなく、また、被申請人においてもこれに対し抗議などすることもなく黙認してきた有様であつた。

申請人岡田ら五名はもとより申請人組合の組合員、執行委員としてこれらの集会に出席し、右二施設をそのために利用してきた。(もつとも右の如き申請人組合による各大休憩所に対する利用は、前判示のとおり、右場所が本来食堂であることや、その利用時間が主として非組合員を含めた一般従業員の昼食時間であるため、時により現実にいまだ非組合員が食事をなし、あるいは休憩のため右各室内に居るまま行なわれることもあつた。)

(三)  また、右二カ所の大休憩所を除く被申請人二工場構内にあるその余の休憩所(申請書添付図面各記載参照。)において、従業員たる組合員が休憩時間中、組合活動として簡単な職場単位規模の集会や打合わせ、報告などの会合をもつていた。そしてこれらの休憩所利用についても被申請人の態度は前同様であつた。

(四)  しかるところ、被申請人は前示のとおり、申請人岡田ら五名を解雇した後は、これらの者が、前示組合事務所へ出入りする範囲で熱田工場および高蔵工場構内へ立入るのを認めているものの、これらの者が、熱田工場第一休憩所や高蔵工場大休憩所で開催される申請人組合の集会へ出席し、あるいは右二工場のその余の休憩所に組合活動のため赴くため工場構内に立入ることを拒んでいる。そのため、申請人岡田ら五名の者や支援労組の組合員は、右各工場通用門では組合事務所に行くことの許諾を求め、工場構内に立入つた後、前示構内の各休憩所に被申請人の制止をふり切り出入りしたりした。また、申請人岡田らが解雇された後、被申請人の従業員でない外部支援団体の者が、たびたび被申請人に抗議のため訪れ、その際被申請人の意に反しあるいは、その制止を振り切り無断で工場内に集団的に立入つたこともあつた。そこで被申請人は、熱田工場において、組合事務所を訪問し、あるいは訪問すると称し、一旦工場構内に立入つた者が、被申請人守衛などの制止を排して同工場構内各所に行くのを阻止するため、昭和四四年二月一一日頃、右組合事務所の周囲に同建物から約一メートル乃至一メートル三〇センチ隔てて針金を張りめぐらして囲い、他方右組合事務所の専用出入口として正門前の公道沿いに通用門を設けた。その後、被申請人は右針金を約一メートル七〇センチ余の板べいに改造したが、右板べいを乗り越え無許可で会社構内に立入る者があつたため、右板べいの高さを、さらに約二メートル七〇センチに改造した。そのため、右熱田工場の従業員で申請人組合に所属する組合員は、昼の休憩時間などに、同工場構内にある右組合事務所に赴くため、一旦、右工場の正門を出てそこから数メートル離れた公道沿いの右通用門を経て、組合事務所に出入りしている状況である。

(五)  また、右組合事務所は北側に表出入り口があり、西側に窓があるが、被申請人が前示のとおり板べいを設置したため、若干通風・採光を妨げられているほか、組合事務所出入り口附近に設置した伝達文書配布用のポストを出勤時組合員が利用するのに不便を生じている。

第三、当裁判所の判断

そこで右各認定の事実を前提に申請人らの申請の当否についてさらに判断する。

一、まず、申請人らは、被申請人が会社構内へ申請人岡田ら五名および申請人組合の必要と認めた者を立入らせないのは、憲法・労働組合法に違反し、労働者に保障されている団結権その他労働基本権を侵害し、労働組合の自治を侵すものであつて、民法第九〇条の見地からして許されない。また、被申請人が熱田工場構内の組合事務所の周囲に板べいを設置したのは、不当労働行為そのものであつて、憲法・労働組合法によつて保障された労働者の団結権その他の権利に対する重大な侵害行為であるから、右各妨害の排除を求める旨主張するが、被申請人のいわゆる妨害行為が、仮に申請人ら主張のとおり違法となるとしても、特段の実定法規ないし当事者の合意をまたないで、そのことから当然には申請人らが主張するような直接被申請人に対する妨害排除を請求する具体的な被保全権利までが生ずるものとは解することができない。(申請人らの主張する被申請人の右行為が組合活動の自由に対する侵害として不当労働行為あるいは損害賠償問題として論ぜられるか否かはしばらく措く。)したがつてその主張のような理由をもつて、被申請人に対し、妨害排除請求することは許されない。

二、つぎに、申請人らの主張は、申請人らの被申請人所有施設ないし組合事務所使用に対する被申請人の妨害は、申請人らの占有の妨害として、占有権に基づく妨害排除の請求をする趣旨も含むと解せられるのでこの点について判断する。(申請趣旨第一項は、申請人組合はそれ自体の利益として、またその他の申請人らはそれぞれその立場にて妨害の排除を求める趣旨と解して判断する。)

(一)  よつて、まずこれを申請人組合の申請についてみるに、申請人組合の休憩所の使用関係については、前示認定のごとく申請人組合は使用していたが、それは組合集会などの都度被申請人において黙認―明示の承認と効果は同一―していたものであつて、被申請人の承認なくして、申請人組合が右各休憩所を使用する権原を有することは認められず、その他申請人らの全疎明によるも右休憩所に対する申請人組合の占有権を認めることはできない。申請人組合は、組合員のほかに、組合の必要と認める者一切について、自由な休憩所への立入を認むべき事由があると主張しているが、これを首肯せしむべき理由は、いまだ認め難い。

つぎに各組合事務所の使用関係については、申請人組合は被申請人から借受けてこれが使用権を有し現にこれに対し占有権を有することは明らかである。

そこで前示認定の被申請人による熱田工場の組合事務所についての板べいの設置か申請人組合主張のごとく占有の妨害に該り、かつ占有保全の必要性が存するかどうかについて判断するに、前示認定の板べいの現存することから、熱田工場構内から、同工場従業員たる組合員が操業日の休憩時間を利用し、組合事務所に出入りするについて正門を経由しなければならない限りにおいて支障が生じている事実、および組合事務所の採光・通風その他伝達文書配布用ポストの利用について若干の支障が生じている事実が各認められている。右事実は右組合事務所の申請人組合の占有権侵害たること明らかなところ、採光・通風ポストの利用の若干の支障については申請人組合に、現在回復し難い損害が生じ、あるいは生ずるおそれがあると認められないものの、組合員の出入りについては組合活動の自由を確保するうえで、現在、既に著しい損害が生じていると認められる。したがつて、前示板べいの北側部分に、熱田工場構内から同工場従業員たる組合員が、前示休憩時間を利用し、正門を経ないで組合事務所へ構内から直接出入りできるよう開閉装置(高さ現存板べいの高さ、幅員一メートル二〇センチ)を設置し、右時間内に限り、右組合員の出入りのため、申出により当然その都度これを開放せしめる措置を被申請人に講ぜしめる限度において、仮処分の必要性があるというべきである。

(二)  つぎに、申請人岡田ら五名の申請についてみるに、前示のごとく認定した事実関係から観て同人らが、現在、被申請人各工場の休憩所については勿論、右組合事務所について、申請人組合と別個に独立して固有の占有権を有するものとはとうてい認められない。(もつとも同人らは、組合事務所については、組合の占有使用について占有補助者たる地位にあると認められる。)したがつて、同人らについては、いわゆる妨害排除請求の被保全権利は認められない。

三、よつて申請人組合の申請中第一項はこれを却下し、第二項は前示仮処分の必要があると認めた右熱田工場における組合事務所北側部分の出入口設置関係の範囲において理由があるから、これを認容し、その余はこれを却下することとし、また申請人岡田菊男、同久野金春、同小林弘治、同真野滋、同新川末蔵の第一項、第二項の申請は、いずれも理由がないから、これを却下することとし、申請費用の負担につき、民事訴訟法第八九条、同法第九二条但書、第九三条を適用し、主文のとおり決定する。

(裁判官 西川力一 松本武 鬼頭史郎)

(別紙)

申請の趣旨

一、被申請人は、別紙目録記載の各休憩所に、申請人岡田菊男、同久野金春、同小林弘治、同真野滋、同新川末蔵及び申請人東洋プライウツド労働組合が必要と認めたものが、組合活動のため立入ることを妨害してはならない。

二、申請費用は被申請人の負担とする。

との裁判を求める。

申請の理由

一、当事者

(一) 被申請人(以下会社という。)は、合板、新建材、チツプ等の製造を業とし、昭和二五年創業以来、熱田工場を出発点とし、同三〇年に高蔵工場、同四三年に九州工場の各工場を建設し、同四四年操業開始予定の春日井工場を有している。従業員数は熱田工場約一、一四五名、高蔵工場約二二九名、九州工場約二〇〇名である。

(二) 申請人東洋プライウツド労働組合(以下組合という。)は、昭和二七年五月一二日結成され、現在約一、〇六九名の組合員を擁し、上部団体としては総評、全国木材産業労働組合(略称、全木労)等を有している。

又申請人岡田、同久野、同小林、同真野、同新川はいずれも会社の従業員であつて、かつ、申請人岡田は組合の執行委員長、申請人久野は同副執行委員長、申請人小林は同書記長、申請人真野は同会計長、申請人新川は同特別執行委員・全木労及び愛知県地方木材産業労働組合連合会(略称、愛木労)の執行委員長の地位にある。

二、会社は昭和四四年一月三〇日付並びに、二月一日付文書で、組合および申請人岡田、同久野、同小林、同真野、同新川に対し、申請人岡田、同久野、同小林、同真野、同新川及び外部団体員が会社熱田、高蔵両工場内にある組合事務所及び組合事務所に通ずる最短距離の通路以外の会社敷地、建物内へ立入ることを今後一切禁止する旨意思表示した。

三、右に至る経緯並びにその後の状況

(一) 昭和四二年九月、会社社長阿部広三郎から、工場新設及び移転等の合理化計画が発表され、右計画に基づき昭和四三年九州工場が設けられた。その間昭和四二年一一月一二日および同四三年二月の団体交渉において、会社は組合に対し「新工場の労働条件は従来の労使慣行を重んじ組合と話し合つて決めるが若干の地域性を考慮してほしい。労働組合については組合を唯一のものとして認める」旨回答し、確認した。なお、後の点については、以前会社組合間にはユニオンシヨツプ協定があつたが、この協定の有効期間満了後(昭和三六年以降)も実際の取り扱いにおいて、ユニオンシヨツプ制が労使慣行として存在していた。

(二) 組合は前記労使間確認および労使慣行に基いて移転後間もない九州工場における組織活動を進めていたが、他方この間会社は右確認等に反する行為をくり返し、様々な方法で九州工場において第二組合結成の策動を行なつた。そして昭和四三年一〇月に至り会社の右策動はますます顕著になり、同盟オルグ等との提携のもとに同盟系組合の結成にやつきとなり、ついには前記確認事項を公然と破棄するに至つた。次いで同年一一月七日に至り、会社社長阿部は九州工場において全従業員に対し、総評を誹謗し、同盟を礼賛し、かつ九州工場の従業員の力で本社組合の体質を変えてほしい旨の演説を行つた。そしてこれより前一一月四日に、会社は、かつて同盟系組合の委員長をしていた副島努なるものを採用し、同人を二組結成策動の中心におき、同月一一日同人を委員長とする東洋プライウツド九州工場従業員組合(同盟加盟、以下従組という)が結成されるに至つた。

(三) 一方組合は昭和四三年一〇月三一日組合九州ブロツクを結成した。当初は従組に比べ組合九州ブロツクが圧倒的に強く、同年一二月五日九州工場において行われた集会(双方とも参加)では、組合九州ブロツクに賛成する者七七名、従組に賛成する者一三名であり、九州工場従業員が、労働組合が組合九州ブロツクに一本化されることを強く望んでいることを会社としても認めざるをえなかつた。しかるに会社は従組に入る者だけを新採用するという悪らつ極まる不当労働行為を繰り返しその結果現在では従組が数的には上まわるに至つている。又、会社においては従来労使慣行として試用期間三ケ月中は組合員資格を有しない取扱いであつたが、九州工場においては試採用と同時に従組に加入が認められるという不当行為もなされている。

(四) 昭和四三年一〇月三一日、組合は、年末一時金の問題並びに、九州工場に於ける会社の組合に対する組織攻撃が公然化している状況に対応して、九州工場における会社の不当労働行為を止めさせ、前記確認を会社に実行させることを目的として、投票総数八九二中八三七票の圧倒的多数でスト権を確立した。

一一月に入り、組合は、一時金の要求とともに日増に強まる九州工場における会社の不当な組織攻撃を直ちにやめること等を要求し、再三団交申入を行なつたが、会社は一時金に関する団交には応じたが、九州工場における組織問題、同工場での労働条件等九州工場に関する団交には誠意をもつて応じようとせず、ために組合は会社に反省を求め誠実に問題の解決に当らすべく一二月九日までにわたつて九波の時間外勤務拒否を行なつた(なお、会社との間にはいわゆる三六協定は存在しない)。一方この間の一一月二八日会社は組合に対し、労使間の確認を無視して「今後九州工場に関する問題は全て九州工場でしか話し合わない」との態度を表明し、ことある毎に文書その他で「新工場新労使関係」を強調した。更に会社は、組合の右時間外勤務拒否闘争に対して、権利の乱用、違法ストライキ呼ばわりをしているが、かかる会社の言動は明らかに組合に対する不当な支配介入に当るものである。

以上のとおり会社の全く不当な態度に対し昭和四三年一二月一〇日、ついに組合は二四時間ストライキを決行し、以来本年一月一六日まで二七波にわたつて時限ストライキを行い、会社に対し強く反省を求め、団交の開催を要求し続けた。しかるに会社は全く反省の態度を示さず、九州工場における組織問題並びに労働条件については本社団交を拒み続け、そればかりでなく従来にも増して九州工場での組織介入を強め、更には熱田、高蔵両工場においても会社幹部が就業中に組合員を集め「労働争議をやめよ」等と発言し、かつ組合員の家庭に向けてビラを配布するなど支配介入を数限りなく行なつて来た。又、組合の時限スト等の争議行為に対しては、九州工場における問題がまさに会社の組合に対する不当な組織攻撃であり、会社の画策によつて従組がつくられたという事実をねじまげ、違法ストライキ呼ばわりをくり返し、ストをやめるよう警告し、ストによつて生じた損害の賠償並びに組合幹部の責任追及を強調し、果ては刑事責任の追及を持ち出し、おどしをかけるに至つている。かかる会社の一連の行為が組合に対する重大な不当労働行為であることは言うまでもない。

(五) 昭和四四年一月一七日、組合は従来の時限ストライキを一応打ち切り、愛知県地方労働委員会に対し団交斡旋を申請した(会社拒否)。そして同日以降組合ははちまき就労、早出拒否等は残したが、残業には応ずる態度を表明した。しかるに会社は、はちまきをはずし、組合旗を下し、その他すべての行動を終了させない内は、残業に付かせない旨表明した。

また会社は、同月二八日、組合を相手どつて、違法ストライキを理由とする損害賠償(一二、三一一、四九六円)請求訴訟を裁判所に提起した。

一方組合は、同月二九日、地労委に対して不当労働行為救済の申立を行つた。

そしてこの様な状況の中で、同月三〇日、会社は、申請人中組合を除く五名(以下申請人らという)に対し「組合をして違法ストライキを行なわしめ、会社に対し甚大な損害を与えた。この行為は会社就業規則第六五条七項、八項、一三項、一五項に該当する」として解雇する旨意思表示した。

(六) 右申請人らに対する解雇が、いずれも労働組合の正当な行為をしたことの故をもつてなされた不当労働行為であることは、前述した経過から十分明らかである。組合の行なつたストライキは、会社の悪質な組合分裂策動に対向し、かつ九州工場等における労働条件について会社に対し団交に応じさせることを目的としたものであつて、憲法および労働組合法によつて労働者に保障された団結権、団体交渉権を擁護するために行なわれたものである。労働者が資本家に対して自らの経済的地位を維持し、向上させるためには団結が不可欠の要素であることはいうまでもない。更に本件解雇が組合の中枢的人物に対してなされていること、又、組合がストライキ戦術を転換して、基本的には平常勤務を行うとの方針を出してから一〇日以上も経過した後になされたこと等を総合するとき、この解雇の目的が何であるかが一層明白になる。正に組合幹部を排除することによつて組合を破壊させることを目的としたものである。なお組合及び申請人らは目下解雇撤回の職場闘争を強めるとともに、解雇無効を求めて本訴並びに地位保全の仮処分申請の準備中である。

(七) 昭和四四年一月三一日、組合は右不当解雇の撤回を目指して、午後四時三〇分より熱田工場第一休憩所において組合臨時大会を開催すべく計画した。ところがこれを知つた会社は大会成立を阻止するため、組合員を午後三時頃事務所へ集め、外へ出れないようにし、また賃金をつけて早退させる等卑劣極まる手段を弄して妨害をした。これは組合運営に対する支配介入である。

(八) 昭和四四年一月三〇日付並びに二月一日付文書で会社は組合及び申請人らに対し警告書なる文書をもつて、前記第二項記載のとおり、申請人らおよび外部団体員が工場内に立入ることを禁止する旨意思表示した。組合は前述のとおりの状況の中で、熱田、高蔵両工場の大小の休憩所を利用して、工場別集会、職場別の小集会を連日のように行ない、これらの集会には従前より上部団体、友誼団体の者も参加し、特に会社が「違法スト」を主張している関係上、組合の依頼により東海労働弁護団に所属する弁護士が参加して法律的助言乃至説明を行なつたこともあつた。ところが、二月一日以降、組合が昼の休憩時間あるいは勤務時間終了後、右休憩所で集会を行なうに際し、申請人ら及び組合が集会に参加することを認めた愛労評その他の上部団体員並びに愛木労傘下の労働組合等の友誼団体員等が集会に参加すべく休憩所へ向かおうとすると、会社幹部その他の職員(非組合員)が多数出て来て実力で集会参加を妨害するという暴挙に出た。これらの妨害行為は熱田、高蔵のいずれの工場においても同様であつて、会社職員が一〇数名乃至三〇名余も出て来て、体をもつて申請人らの進路を妨げ、執拗、強硬になされている。集会の都度、組合員その他と会社職員との間にあつれきが繰り返されている。そして現実に集会参加を阻止されたものが多く出ているし更には二月四日愛労評オルグ金子信が熱田工場における集会に参加しようとした際、会社職員の阻止にあい、その折会社職員から暴行を受け、頸部捻挫傷併筋断裂の疑、両上肢運動機能障害等の安静加療約三週間を要する外傷を負うに至つた。更にまた、二月六日の夕方には愛木労青年婦人部員約三〇名が、組合青年婦人部員との交流のため、熱田工場へおもむいた際、会社は前記立入禁止後も認めていた組合事務所への立入をも拒否した。そして、会社は連日組合に対し警告書なる内容証明郵便をもつて威嚇を繰り返している。

四、会社の申請人らに対する立入禁止の意思表示は無効である。

(一) 別紙目録記載の各休憩所は従来より組合が集会等に使用して来ており、会社もそれを容認して来ていた。組合は結成以来大集会は熱田工場においては第一休憩所で、高蔵工場においては休憩所で、職場別の小集会は、その他の小休憩所で行なつてきたのである。そしてまたこれらの大小の集会には従来より上部団体の組合員が参加して組合を指導激励し、友誼団体の組合員が参加し、あいさつを述べ、訴えを行なつていたのである。

(二) 本来労働組合が上部団体その他の外部団体の指導を受けることはもとより正当な組合活動であつて、それは組合が自主的に決定すべき組合自身の範囲内の問題であり、使用者の介入を許すべき筋合のものではない。組合が組合活動の必要上、集会への参加を認めたものに対し、会社がその参加を妨害阻止するのはそれ自体組合に対する不当な介入である。まして会社は従来慣行としてこれらの外部の者の参加を容認していたのである。

(三) 被解雇者である申請人らに対する会社の立入禁止も右同様の理由で許されない。会社は申請人らを元従業員と呼び、果ては元執行委員長等と呼んでいるが、元従業員はともかく元執行委員長とは言語道断である。組合の役員は組合が自主的に選任し、解任するものであり、会社の容喙すべからざる事柄である。

組合規約によれば、組合は会社の従業員で組織するものとされている。申請人らは会社の見解によれば従業員ではないということであるが、組合は、そして組合員の圧倒的多数は申請人らに対する解雇は不当労働行為であつて不当極わまるものであり、その撤回闘争に立ち上つているのである。かつ、前述の如く解雇無効請求訴訟を準備しており、組合としては全くこれらの解雇を認めていないのである。そして勿論組合員資格―組合役員としての夫々の地位も認めて疑わないものである。従つてかかる申請人らが組合活動のため休憩所へ立入ることを禁止することは全く許されないことである。

(四) 申請人ら及び組合が認める外部の者が組合活動の必要上別紙目録記載の各休憩所へ立入ることはその施設の効用をそこなわないことは明らかであり、かつ、休憩所への立入りである以上会社業務に支障をきたさないこともいうまでもない。

(五) 以上のとおりの事情であつて、会社の本件立入り禁止の意思表示は憲法および労働組合法に違反し、労働者に保障されている団結権その他の労働基本権を侵害し、労働組合の自治を侵すものであつて、民法九〇条の見地からしても許されないものと言わざるをえない。

五、保全の必要性

現在組合および申請人らを含めた組合員の置かれている状況は、以上に詳しく述べたとおり、非常に重要である。会社はあらゆる方法で組織攻撃をかけており、損害賠償請求訴訟を提起し、組合幹部に対し解雇通告をしており、他方では不当労働行為の救済申立が係属している。この様な状況においては、組合の集会を数多くもち、詳しい経過の報告、方針の提案、検討が不可欠であり、そしてそれには執行委員長をはじめとする組合幹部の地位にある申請人らの参加がこれまた不可欠である。更にこの様な状況では、上部団体、友誼団体員等が集会に参加し、指導激励を行うことが非常に大切であるといわざるをえない。これは憲法に保障されている労働者の団結権を護るために必要不可欠であり、緊急性がある。

又、既に述べたとおり、現在連日のように休憩所へ入れろ、入れないで組合員等と会社職員との間に衝突が繰り返され、遂には傷害が発生する迄に至つており、このまま放置すれば、更に衝突が激しくなり、不幸な事態の発生も十分予想されるのである。

組合および申請人らはかかる事態を避け、当然に認められた権利の確認とそれに対する妨害の排除を求めるべく本訴を準備中であるが(更に申請人らの地位確認に関する本訴も準備中である)、右本案判決の確定に至るまでには、更にかなりの時間を要するため、このまま放置すれば組合及び申請人らに取り返しのつかぬ損害を生ぜしめるとともに憲法に保障された団結権が侵害されるという大変な事態の招来をも十分予測できるので、本申請に及ぶ次第である。

(別紙目録および図面省略)

申請の趣旨並びに理由等追加申立書

第一、申請の趣旨に次の一項を追加する。

被申請人は、被申請人が申請人東洋プライウツド労働組合の組合事務所の周りに張りめぐらした別紙目録(その二)記載の針金(鉄線)並びに木杭を直ちに撤去しなければならない。

第二、申請の理由の追加

一、会社は、昭和四四年一月三〇日付並びに二月一日付文書で、組合及び申請人らに対し、申請書中申請の理由第二項記載のとおりの立入り禁止の意思表示をなしたが、同年二月七日に至つて更に次のとおりの警告を組合に対してなした。すなわち、右会社の立入り禁止の意思表示が守られていないため、会社は組合事務所側に塀を設置し、且つ組合事務所専用門を設置する予定であるので、右塀及び門が設置された後は、組合関係用務者は会社の許可なき限り、正門から会社敷地及び建物内への出入を一切禁止するというものである。

二、同年二月一一日、会社は、祝日で組合員が手薄なのをねらつて、熱田工場内にある組合事務所の周囲に別紙目録(その二)添付の図面のとおり、木杭を打つて、針金(鉄線)を張りめぐらし、かつ、従来の同工場の塀をブチぬいていわゆる組合事務所専用門なるものを設けた。

三、右針金によるバリケードは、正に会社の組合活動妨害のためのものであつて、組合に対する重大な支配介入行為であり、絶対に許されないものである。

(一) まず第一に、このバリケードのため、組合及び組合員はその組合活動上重大な損失を受けている。組合事務所への出入が非常に不便になつたことの一事をもつても十分納得のいく処であろう。即ち、このバリケードによつて、組合事務所と一般組合員の隔離をはかる意図が明らかにあるのである。

(二) 更にこのバリケードによつて組合事務所がおりの中に隔離されているとの外観を与える。会社のこの行為は、憲法二八条、労組法の精神を全く無視した露骨な組合敵視の態度でありデタラメな組合攻撃としか言いようのないものである。

(三) 以上のとおりであつて、会社の右行為は正に労働組合活動を妨害し、組合の弱体化をねらつたものであつて、明らかに憲法及び労働組合法で労働者に保障されている団結権その他の権利を侵すものである。かかる不当な行為は直ちに排除されなければならない。

四、保全の必要性

組合及び申請人らは会社のこのような不当極まる一連の組合攻撃に対して、団結権擁護のため本訴を準備中であるが、本案判決の確定にはまだ相当の時間が必要であり、他方かかる状態を放置することは会社の不当極まる組合攻撃に長時間さらされたままの状態を保つことになり、組合及び申請人らに取り返しのつかぬ損害を生ぜしめる虞れが甚だ大である。かつ、かかる会社の挑発的行為に起因して事態が悪化する危険性も予想されるので、直ちにかかる不当な事態を排除されたい。

(別紙目録(その二)および図面省略)

申請の趣旨等訂正申立書

第一、昭和四四年二月一三日付申請の趣旨並びに理由等追加申立書第一項を次のとおり訂正する。

被申請人は、被申請人が申請人東洋プライウツド労働組合の組合事務所の周りに設置した別紙目録(その三)記載の板塀を直ちに撤去しなければならない。

第二、前記追加申立書第二項について

一、「四、保全の必要性」とあるのを「五、保全の必要性」と訂正する。

二、「四、」として次のとおり加える。

(一) 更に会社は、同年二月一六日、これまた日曜日で組合員が手薄であるのにつけこんで、右針金をとり払い、その代りほとんど同じ場所に高さ約一メートル七〇センチの板塀を設置した。

加えて、二月一九日に至り、右板塀の高さを二メートル七〇センチまでに高くした(別紙目録(その三)添付の図面朱線のとおり)。

(二) 右板塀のため、現在では組合事務所の日当り、通風が著しく妨害され、日常の組合事務の遂行に重大な支障を与えている。

さらにより大切なことは、これらの板塀設置は、会社が行なつてきた数々の不当労働行為の一環としてなされたものであつて、まさに組合活動の妨害のみを目的としたものであるということである。この板塀によつて従来の針金よりも一層組合事務所が一般組合員から隔離された感が強く、出入等にも著しく不便であつて、組合の日常活動に対して重大な支障を及ぼしている。

かかる会社の行為は正に不当労働行為そのものであつて、憲法及び労働組合法によつて保障された労働者の団結権その他の権利に対する重大な侵害行為であり、直ちに排除されねばならないものである。

以上

目録(その三)

名古屋市熱田区六野町一番地所在東洋プライウツド株式会社熱田工場内に存在する東洋プライウツド労働組合事務所の周囲に設置された別紙図面の朱線のとおりの板塀(高さ約二メートル七〇センチ)

(別紙)<省略>

答弁書

申請の趣旨に対する答弁

申請人の申請を却下する。

訴訟費用は申請人の負担とする。

との御裁判を求める。

申請の理由に対する答弁

当初申立の申請理由につき

一、の(一) 認める。

(二) 中申請人組合結成日時、組合員数、加盟上部団体及び申請人新川が全木労及び愛木労の執行委員長であることは認めるが、その余の事実は否認する。

二、認める。

三、の(一) 中昭和四二年九月に社長から合理化計画が発表され、九州工場が設けられたことのみ認め、その余の事実は全部否認する。

(二) 中昭和四三年一一月一一日副島努を委員長とする東洋プライウツド九州工場従業員組合が結成されたことは認めその余の事実は否認する。

(三) 中昭和四三年一〇月三一日組合九州ブロツクが結成された事実のみ認め、その余の事実は否認する。

(四) 中昭和四三年一〇月三一日にスト権を確立したこと、一時金に関する団交に応じたこと、組合が九波の時間外勤務拒否を行なつたこと、昭和四三年一二月一〇日以降、昭和四四年一月一六日まで二七波にわたつて時限ストライキを行なつたこと、及び違法ストライキによつて生じた損害の賠償並びに組合幹部の責任追及および刑事責任を追及する旨、言明したことは認めるが、その余の事実は否認する。

(五) 中会社は、はちまきをはずし、組合旗を下し、その他すべての行動を終了させない内は、残業にはつかせない旨言明したとの事実は否認し、その余の事実は認める。

(六) は全部否認する。

(七) 中組合が、昭和四四年一月三一日組合臨時大会を開催しようと計画したか否かは不知、その余の事実は否認する。

(八) 中会社が警告書をもつて立入禁止の意思表示をしたことは認めるが、その余の事実は全部否認する。

四、の(一) 否認する。

(二) 否認する。

(三) 中会社は申請人等を元従業員、元執行委員長等と呼んでいることは認めるが、その余の事実は否認する。

(四) 否認する。

(五) 争う。

五、否認する。

追加申立の申請の理由に対する答弁

第二、の一、認める。

二、中、木杭を打つて針金を張り、組合事務所専用門を設けた事実は認め、その余は否認。

三、(一)、(二)、(三)、否認する。

四、否認する。

準備書面

申請人 東洋プライウツド労働組合外五名

被申請人 東洋プライウツド株式会社

右事件につき被申請人(以下会社という)は左のとおり主張する。

第一、申請人らは申請書別紙目録記載の各休憩所につき、従来から組合が集会等に使用して来ており、会社もそれを容認して来ていた。又、各休憩所における集会につき、従来より上部団体の組合員が参加して申請人組合(以下組合という)を指導激励し、友誼団体の組合員が参加し挨拶を述べて来た。即ち会社が従来慣行としてこれら外部の者の集会への参加を容認して来た旨主張しているが、該主張は事実に反する。

以下その理由を述べる。

一、申請人主張の各休憩所の使用状況について

(一) 熱田工場関係

(イ) 第一休憩所

この休憩所は別紙図面(イ)のとおりで、食堂、売店を含み主たる使用目的は食堂であり、此処では組合員(約七〇〇名)のみでなく、非組合員(職員、臨時工、季節工、パートタイマー、アルバイト、訓練生等)約三五〇名も使用し、休憩時間中においては、右熱田工場従業員が食事休憩をするところであり、また売店で日用品を購入する等に使用させている。

(ロ) その他の休憩所

それぞれ従業員のロツカーがあり、休憩並びに更衣等に利用しており、それぞれ組合員及び非組合員が共同して使用している。

そして特にトヨン休憩所については、下請の中村梱包株式会社の従業員約二〇名が組合員、非組合員と共に使用している。

(二) 高蔵工場関係

休憩所は別紙図面(ロ)のとおりで、食堂、売店並びに更衣室に利用されており、組合員(約二一〇名)及び非組合員(職員、季節工、臨時工、パートタイマー、アルバイト、訓練生等約八〇名)が利用し、休憩時間中においては食事、休憩をし、売店で日用品等を購入しており、又更衣室の部分にはロツカーがあり、之を利用するものは組合員約二一〇名、非組合員約六〇名である。

二、「組合」の熱田工場第一休憩所及び高蔵工場休憩所(いずれも食堂)における「集会」について

(1) 従来、昭和二九年一一月から同三四年九月までは会社と組合との間には労働協約が存在し、右協約一四条には「組合は会社の承認をえて組合業務の為必要とする左の会社施設及び器具を使用することができる。一、組合事務所として会社が承認した建物。二、会社の承認をえた諸施設及び器具」とあり、その当時組合が休憩所で集会を開く場合には、必ず事前に所属長の承認をうけていた。

協約失効後も労働協約の各条項は、労使間において遵守されており(労働協議会と平和協定に関する条項は破棄となつている)、右一四条の会社の施設及び器具の利用に関する事前承認も遵守されて来た。

今日においても年一回の正常組合大会を高蔵工場休憩所で行なうとき、青婦委員会、斗争委員会等を会社施設である熱田工場の会議室で行なうとき組合は、必ず事前承認をえているのである。

(2) しかるに協約が失効してから休憩所を集会らしきものに利用するにつき組合は、会社の事前承認をえないようになつた。

それは一二時から一三時までの休憩時間に組合員の大多数が休憩所で食事し、休憩しているので、この時間を利用して、特に集会と名付けなくとも組合役員が組合員に対し、話をして事実上組合の意思を伝達するようになり、昼食時における休憩所の意思伝達については会社の事前承認をえないようになつた。

申請人らはこれを組合の集会と名付けているが集会と言いえないものが殆んどであり、非組合員等らも同席して組合幹部の話を聞いていることもあり、昼食時の休憩所利用は組合業務のため組合が会社施設を使用しているとは言いえないことが多いのである。

従つて、会社は組合が昼食時を利用して休憩所において組合の意思を伝達することは容認してきたとしても、組合が組合業務のため組合の正式の集会の場所として利用するときは、その使用につき会社の事前承認を得るべきものと理解しており、組合もまたさよう心得ている筈である。

(3) 仮に、会社が昼食時に休憩所を組合の集会に使用することを容認してきたとしても、それは月一回位組合の意思を組合員に伝達する程度の集会であつて、上部団体員が集会に出席し、挨拶することはあつても、それは開催毎に多人数が参加することは予想しておらず、時たま少人数の上部団体員が参加するという条件のもとに容認して来たのである。

申請人らが主張する如く、会社は労働基準法上衛生保持の要求されて食堂を喫食中無制限に組合が無届で集会に利用することを容認してきたものではない。

いわんや後に所述する通り、上部団体の者等未知の第三者が右集会に自由に参加することを容認してきた事実はない。

三、組合の前項以外の休憩所(以下小休憩所という)における集会について

申請人らは小休憩所における組合員の集りを職場集会とか、小集会と名付け、これに小休憩所を使用することを会社が容認していた如く主張するが、会社はかかる集会に小休憩所を使用することを容認した事実はない。組合が小休憩所を小集会に使用したとしても、従来会社は知らなかつたところである。

万一組合の正式集会に小休憩所を使用するならば、会社の事前承認を受くべきであり、事前承認なくして使用したとすれば、それは協約有効期間中は協約違反であり、協約失効後は会社施設利用に関する労使慣行違反である。

四、第三者が自由に会社構内に立入ることを許可したり、承認したことは全くない。それがたとえ組合活動のための上部団体、その他のものであつても同様である。

即ち、会社はその構内に出入りするものに対しては、従来から熱田工場、高蔵工場共に守衛所において住所、氏名、面会先の申出を受け、入門時間を記帳してバツヂを渡してその面会先にかぎつて立入りを許していた。

勿論、右面会については面会先の指定場所以外には会社構内をあちこち出入りするということは企業の秘密保持、秩序維持の点からいつて厳禁されており、又面会者としても右の配慮から之を慎しむべきことは当然である。

会社構内にある組合事務所への出入りについても同様の方法をとり、面会先を労組事務所と指定して、その場所のみへの出入りを許していたものである。それ故に、労組事務所への立入りは許可されるけれども、それ以外の場所への立入りを決して許してはいないのである。

五、会社は第三者である上部団体員等が訴状別紙目録記載の休憩所へ自由に立入ることを許したことはない。

(1) 上述のとおり、会社構内へは自由に立入りを許していないものであるが、第三者である上部団体員その他の労組員が、申請人ら主張のように休憩所に立入りを申込んだ事実すらない。それ故に右各休憩所に第三者である部外者が立入ることを許可したことは全くないのである。

従つて、上部団体等の第三者が労組事務所に立入ることは許可されていても、それ以外の場所に立入りを許可したことは全くありえないところである。

右各休憩所は、いづれも会社の各工場のそれぞれの生産設備のまん中にあるので、前述の企業の秘密保持、秩序維持の点からして、その場所へ行くにも当然にその生産活動を目のあたりに見られる状態にあるので、会社としてはこれを防止しなければならないことは当然なことである。

(2) 従つて昼の休憩時間中の食堂における組合の集会に上部団体員が参加した事実があつたとしてもそれは組合事務所への出入許可をえて入門した者が擅に食堂に立入り集会に参加したのであり、容認したとしても無条件ではなく、時たまごく少人数の上部団体、主として愛木労幹部が集会で挨拶する程度のことを前提としており、集会毎に多人数の上部団体それも愛木労以外の団体員、政党員が無制限に参加することまでも容認する筈がないことは当然である。

(3) 申請人らは本申請において「組合が必要と認めたるものが組合活動のため各休憩所に立入ることを妨害してはならない」との趣旨の命令を求めているが、第一に組合が必要と認めたものが昼食の休憩時間中ばかりでなく、就業時間中も組合活動のため各休憩所に立入ることを求めうる理由が何処にあるのであろうか、会社としては了解しえない申請の趣旨であると言わねばならない。

かゝる申請が許可されんか企業の秘密保持、秩序維持は破壊され、職場は組合活動の場と化してしまう虞れがある。

(4) 第二に昼食時間中であつても組合が必要と認めたものが無制限に各休憩所に立入ることがどうして許されるのであろうか。会社は前述の通り組合が必要と認めたものが会社構内に立入ることは組合事務所以外は許可していないのである。

食堂における集会に上部団体員等が参加した事実があり、これを会社が容認していたとしても、それは時たま上部団体員等が少人数参加することを容認していただけであり、組合が必要と認めたものなら無制限に容認していたものではない。

最近は、上部団体員ばかりでなく、友誼団体組合員、政党員等多数の第三者が会社構内に立入り、会社の秩序は破壊されてしまうのである。

昼食休憩時間中に食堂に外部の者が多数立入つた場合、食堂の衛生静謐は保持されない。

(5) 第三に昼食休憩時間中は、労働者の時間であつて、会社から開放された時間であるが、組合も組合員の意に反し統制しえない自由な時間であることは基準法第三四条の示すところである。

最近組合内に、組合幹部への批判勢力が現われ、正常化委員会と称して(熱田工場組合員数約七〇〇名中、正常化約四〇〇名、高蔵工場組合員約二一〇名中、正常化約一三〇名と聞いている)、昼食時の集会にも参加しない者があるようである。会社においては、昼食休憩時間中は、食堂で休憩する者が大多数であり、集会に参加しない正常化委員の者にとつては、上部団体員等外部の者が多数昼食休憩時間に食堂に立入ることは迷惑であり、著しい休憩時間の妨害行為である。

六、被解雇者を自由に会社に立入らせる労使慣行はない。

会社は、昭和二五年一〇月三〇日設立以来解雇したものは二〇数名あるが、同人等が解雇された後、自由に会社構内に立入つた事実はない。従つて昼食休憩時間中に食堂に立入つたこともない。それが組合活動のためであつても皆無であることは言うまでもない。

申請人等は地位保全の仮処分命令申請準備中と称しているが、解雇後一ケ月余を経過した今日に至るも右申請はされていない。

会社は申請人らを元従業員、元組合員、即ち組合員以外の第三者と考えざるをえないのである。

従つて、会社構内への立入りにつき、被解雇者のみ外部の第三者と区別して考えるべき根拠はない。

第二、申請人らの主張する愛労評その他上部団体、愛木労らのものの別紙休憩所への立入についての会社の態度

一、申請人らは申請書三、(ハ)において会社は各休憩所への上部団体員等の集会参加について実力で妨害した旨、又、之を暴挙であると主張しているが、かような主張は全く誤りである。

二、前述のごとく、会社は組合事務所への上部団体員等の立入りは所定の手続を経た上で許可をしているのであるが、その場合でもそれ以外の場所への立入りは許可していない。

ところで昭和四四年一月三一日熱田工場では別表同日労組支援団体の行動欄記載の如く右のような労組事務所への立入り許可をえた外部団体員も労組員に加わつて一五時四〇分頃(勤務時間中)に現場事務所(第一休憩所隣り)に乱入し、会社の備品等を破壊した。

そして右無断侵入者を制止せんとした現場事務所の熱田事業部生産課主任佐々木勇に対し、全治一〇日間にわたる左下腿挫傷を与えるという暴挙に出た。

そのため会社としては、その翌日たる二月一日から暴力をふるつたり、かような会社の企業秩序を破壊するようなことのないように立入りを止めてもらうよう昼の休憩時間に休憩所に向わんとする被解雇者、外部団体に対し、労組事務所から休憩所へ向うことを止めてもらいたい旨、平和的説得を行なわんとした。それに対し労組員以外の第三者は会社の指示以外の場所である休憩所に向わんとして之に対して説得する会社職員を無視して実力で侵入をくりかえした。

三、申請人らは愛労評金子信オルグが二月四日に会社職員から暴行をうけ、安静加療向三週間を要する外傷を負つた旨主張しているが同人はかつて昭和四一年四月二一日豊川市のタクシー労組の争議において警官に車をあて逃げせんとして公務執行妨害罪で逮捕された前歴があり、暴力的な行動が多いものであつて申請人らの主張によれば、いかにも会社が暴力をふるつたような主張であるが、事実は全く逆であると考えられる。猶、金子は入門手続を行つていない。

第三、組合事務所周囲への柵、塀設置の必要性

一、一月三一日以降の労組及び所属不明の外部団体員の行動及び会社側の行動は、別表記載のとおりであるが、二月一四日においては熱田工場、高蔵工場共に全く身許不明者多数が被解雇者たる申請人らと共にバスでのりつけ、勿論面会の手続を行なうことなく工場内に乱入し、会社の業務執行を妨害した。

又一月三一日以降は毎日のように身許不明者が多数被解雇者たる申請人らと共に侵入するような事態が続くので、会社は止むなく、二月七日このような第三者の無断侵入を止めさせなければ、組合事務所だけには自由立入りさせるため周囲に塀をつくり、専用通用門を設けざるを得ない旨予告を行つた。

それでもまだかような組合事務所への訪問と称する身許不明の第三者が会社構内へ無断侵入が強行されるので、二月一一日に組合事務所の周囲に木杭をうち、その間を細い鉄線で仕切らざるをえなくなつた。

そして組合事務所への専用門を設置した。

二、然るにその後も又組合事務所への立入りと称して右鉄線の柵をまたいで被解雇者たる申請人と外部団体員等が自由に会社構内の諸施設に無断出入するので之をやめさせるためには、かような柵では無断侵入を防止できないので、止むなく二月一六日に約一五〇糎の塀を組合事務所の周囲に設置した。

三、右一五〇糎の塀では又してもその上を乗りこえて、会社構内に侵入するものが続出したので、かようなことをされないため二月一九日に至り新らしくその外側に約二米四〇糎の高さの塀を設置した。

かくして無断侵入者が組合事務所訪問に藉口して、会社構内にその場所から侵入することはなくなつた。

四、かような次第で会社としては、高い板塀を設置して組合事務所訪問に藉口する被解雇者たる申請人及び外部団体等の第三者が会社構内への無断侵入を防止せざるをえなかつたのである。

会社としては、組合員のみ(被解雇者を除く)の組合活動に対しては、その活動について制限を加えるような意図は全くなく、又かような行為は行なつていない。

会社としては、本年二月一日以降の被解雇者たる申請人らを中心としての外部団体員の全く会社秩序を無視した無断侵入行為(言うまでもなく面会等の手続を全く経ていない)から自らの企業秩序、施設を守るための正当防衛行為ないし緊急避難的な行為として柵、塀を設置したものであつて止むに止まれぬ処置である。

五、二月二五日まで会社は昼食休憩時間中会社構内にいる従業員が所定の手続を経て会社構外へ出て組合事務所或いは診療所へ赴くことを認めていたが二月二六日よりその時間を一二時四〇分より一三時までに制限した(尤も二〇分間では診療を受けられないものもあるので診療所へ行く必要のある者は就業時間に食い込んでも差支えないこととした)

これは前述の如く上部団体員、外部団体員と称する第三者が昼食休憩時間中に会社正門に押しかけており会社構内からは組合事務所或いは診療所へ赴くと詐称して約五〇名程度の従業員が出門し組合事務所或いは診療所へ行くことなく門より数歩前進するのみで再び引返し上部団体員、外部団体員他身許不明者等の第三者を積極的に擁護誘導し突破口的役割を演じて侵入を封助せしめており、このために守衛所前における紛争が断えなかつたので乱斗や傷害等の危険を未然に防ぐために止むに止まれずとつた処置である。

しかしながら其の後会社幹部間において会社構内にいる組合員が、組合事務所に赴く時間を四〇分制限することは適当でないし最近の状態も勘案して三月三日より二月二五日以前の状態に戻している実状である。

六、申請人らは「組合事務所の囲りに設置した熱田工場の板塀の撤去を求めている」が、右板塀設置の経過は右の通りであつて、該申請も理由がない。

(1) 「板塀のため組合事務所の日当り通風が妨害され日常の組合事務の遂行に重大な支障を与えている」というが、左様な事実はない。以前に比較して通風はいさゝか悪くなつたかも知れないが、組合事務を遂行する上に支障になる程のことはない。

仮りに以前に比較し日当り通風がいさゝか悪くなつたとしても、会社がこれを設置するに至つた前記経過や必要性に比較し忍んで貰わなければならない不便である。

(2) 右板塀によつて組合活動の自由は何ら妨害されていない。組合事務所へ赴こうとする者は、一般人の通行する道路より直接組合事務所へ赴こうとする者は、一般人の通行する道路より直接組合事務所に出入できるように改造してあり、以前に比較すれば守衛所で出入の許可をえて組合事務所へ至るとの制限はなく、却つて組合活動の自由は保障されているとも言いうるのである。熱田工場の組合員が拘束時間中に組合事務所へ赴く場合は、守衛所において会社正門の出入についての手続を経なければならないが、殆んど昼食休憩時間だけのことであつて、その自由は十分に(二月二六日より三月二日の五日間はその自由を四〇分制限したことはあつたが、この制限は三月三日以降開放した)認めているのである。

元来組合事務所に立入る者は組合役員が大部分でありその他は組合事務所の売店へ軍手等を購入する者が出入する程度である。

会社は右板塀の設置によつて組合活動の自由を妨害する意図など更にない、前記の如き経過と必要により組合活動の自由を妨害しないことを充分配慮して設置したものである。

(3) 組合事務所への外部からの立入が全く自由になつている現在の状態で本件板塀が撤去された時は上部団体員ばかりでなく身許不明の第三者までも自由に組合事務所から会社構内に立入ることが可能となり他社に見られない由々しき問題を惹起する結果となる。

第四、結語

一、申請人らは会社の各休憩所に対する組合及び個々の組合員の占有を前提として、その保持を本申請において主張していると思料されるが、

(1) 会社の各休憩所は組合の集会のために設置されているのではない。従業員全部の食堂、或は休憩所、或は更衣室、或は売店として設置された会社の施設である。

(2) 組合が各休憩所を集会のために使用することを会社が許可した事実はない。

会社は、組合が昼食時を利用して休憩室において組合の意思を一般組合員に伝達することを容認してきただけである。

(3) これをあえて組合の集会と主張するならそれも認めて差支えない。しかし、それは月一回位組合員のみによつて平穏に開催されるから容認してきたのである。

(4) 仮りに上部団体である愛木労の幹部が右集会に参加していたとしても、時たま少人数が挨拶する程度であるから容認してきたのである。

愛木労の幹部ばかりでなく一般上部団体員、友誼団体員、その他の第三者が集会に参加することは容認したことはない。

いわんや、被解雇者には集会参加を容認したことはない。

(5) しかも最近の如く、連日集会と称して未知の第三者までが食堂に多数立入る気配を示しているとき、従来その参加を容認して来た愛木労幹部であつても集会参加を認めることは会社の施設管理上認めえないところである。

右が許されるときは会社の経営、秩序は破壊され企業の存続は不可能になつてしまうのである。

(6) 申請人らは被解雇者や全く身許不詳の者である第三者が自由に集会に参加しうる労使慣行があるかの如く主張するが、かかる労使慣行は未だかつて全くなく誤解も甚しいと言うべきである。

申請人らの本申請は憲法の認めた労働基本権の領域を越えた要求であり、本申請こそ民法第九〇条違反の申請と言うべきである。

二、既述の如き被解雇者たる申請人ら及び組合の必要と認める者の行動からすれば、大挙して組合事務所訪問と称して会社構内に乱入する可能性が極めて大きく、その防止、ないし予防のためには本件板塀の設置も止むをえないものであつて、もし万一之を取りはずされんか、又しても申請人らは外部団体をひきつれて会社構内に全く自由に立入りすることになることは必至であり、之は会社の企業破壊につながるものである。

三、猶、被解雇者たる申請人らは、既に東洋プライウツド労組員の過半数からは組合幹部としての地位を認められていない。

(別紙図面(イ)・(ロ)および別表省略)

準備書面

申請人 東洋プライウツド労働組合外五名

被申請人 東洋プライウツド株式会社

右事件について被申請人は左のとおり陳述する。

一、(1) 会社が被解雇者等の組合事務所以外の社内立入りを制限しているのは、同人等は以前から過激な指導を行ない、最近の事例についてみても九州工場従業員組合の解散、右組合幹部の解雇を要求してストライキに突入し、昭和四三年一二月一〇日以降、昭和四四年一月一六日迄の間違法ストライキを継続して行ない、この間に会社に与えた損害は、計金壱億弐千万円を超える膨大な金額に上つている。

右ストライキの目的とするところは、会社に対する不当労働行為の要求であり、申請外組合の団結権否認の目的をもつて決行された、所謂目的において違法な争議行為であることは明白である。

(2) ところで会社内の食堂において従来行なわれたと言われている職場集会なるものは、単なる組合員に対する連絡事項の告知であり、口頭による意思伝達の一方式に過ぎなかつたものである。従つて会社としても従来行なわれていたことが、それが平穏且つ明朗なものであつて食堂を利用する他の非組合員、職員に対する食事の妨害ないし、休憩の妨害とならない程度のものであり、更にはその回数も一ケ月に一回位のものであつたので、敢えてこれを禁止制限しなかつたものであるが、現在の事態は全く異なる。

(3) 即ち、被解雇者等は右違法争議行為について何等反省するところなく、異常な興奮状態にあり、これが暴力傾向を帯びた外部支援団体員の応援を得て社内に入り、職場集会を開くことになれば、その職場集会なるものは、従前行なわれていたと言われている職場集会とは趣旨、性格何れの点においても異なつたものとなり、右食堂を利用する非組合員、職員等の食事ないしは休憩の妨害となる危険性は甚だ大である。

(4) 然して組合は現に争議行為を中止し、会社は生産活動を正常に行なつているものであるから、会社は出来るだけ生産業務遂行の支障となる危険性のある活動が社内において行なわれることは制限ないし禁止することが必要な状態にある。

このことは敢えて就業時間中に限らず、休憩時間中においても生産業務遂行の支障となる危険性ある活動を制限しなければ、その結果、生産能率の低下を招き、或いは他の休憩者の休憩の妨害となることはみやすい道理であり、結局現在の状態下においては企業施設内における被解雇者等の活動を制限することは、企業運営上の必要に基くもので、社会通念に照しても当然肯認される合理的理由のある処置である。

又、従業員の過半数の者が、正常化委員会を結成して被解雇者等に批判的な現状においてはなお更のことである。

(5) なお、従来から組合は、組合の決議、指揮、執行等に関する会合に会社施設を使用する際は、その使用願を会社に提出して行なつて来たものであることは先に疎明したところである。

二、被保全権利の不存在について

(1) 申請人が本申請において如何なる被保全権利を有していると主張しているか明確でないが、仮りに組合活動に対する妨害排除ないし団結権侵害に対する妨害排除と考えても、現行法上、組合活動の自由とか団結権と言われるものに、所論の如き物権的な妨害排除請求権を認める根拠は全くない。

仮りに団結権侵害ありとされる場合においても、その侵害が事実行為であれば不法行為として損害賠償の対象となり、又侵害行為が法律行為であればその法律効果が無効とされ、且つ損害賠償の対象となるに留まり、それ以上のものでないことは明白であり、即ち債権的効力しか生じないことは自明のことなのである。組合活動の自由に対する侵害についてもこの理由は全く同様である。

この見解は学説においても通説であり、石井照久労働法総論三一八頁に「これを侵害する使用者の行為はとくにワイマール憲法やボン憲法における如き特別の規定をまつまでもなく、それ自体違法であり、損害賠償責任を生ぜしめる」との論述があるのは、この理を説いているものであることは明白である。

(2) 然しながら、大和製衡事件について神戸地裁昭和四一年三月二三日決定が理由を何等示すことなく、これを認めるかの如き決定を出したのに対し、労働法学者は、右決定に対し労働関係の法的性質とその特色および民事訴訟手続の一環としての仮処分手続の基本的性格との間の矛盾に目を蔽い、いたずらに仮処分の機能を留保なしに拡大することは、一方においては仮処分制度そのものの理論と体系とをみだし、他方において民事訴訟理論の側からの絶えざる批判と牽制とによつて、労働紛争の解決が不十分な形においてしか行われない結果を招く危険性をはらむばかりでなく、すでに労働仮処分の必要性についての判断や・・・・・の仮処分について経験して来たように、労働仮処分そのものの体系と理論とが永久に確立されない浮動状態におかれる危険をおかすことになるとして厳しく批判されたことが想起さるべきである。(日本労働法学会誌三二号労働争訟―その実態と法理論述、萩沢清彦二五頁参照)

三、以上の次第であるので、申請人等の本件申請は理由がなく、速やかに却下さるべきである。

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