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名古屋地方裁判所 昭和44年(わ)559号 判決

本店所在地

豊橋市神野新田町字オの割四〇番地

合資会社

曲の養魚場

右代表者無限責任社員

野寄彰

本籍と住所

浜松市馬郡町二、〇〇二番地の二

養鰻業

野寄彰

大正四年一二月一五日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件について当裁判所は検察官小梛和美出席の上審理をして左のとおり判決する。

主文

被告人合資会社曲の養魚場を罰金六〇〇万円に、被告人野寄彰を懲役八月に各処する。

本裁判確定の日から三年間被告人野寄彰の右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となる事実)

被告人合資会社曲の養魚場は、豊橋市神野新田町字オの割四〇番地に本店を設け養鰻並に販売等の営業目的とする会社で、被告人野寄彰は同会社の代表社員として、会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人野寄彰は同会社の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一、昭和四〇年三月一日から昭和四一年二月二八日までの事業年度における同会社の実際の所得額が三、一二五万八、六八三円で、その法人税額は一、一〇六万一、二〇〇円であつたのに、売上の一部を除外するなどして架空名義の預金を設定するなどの不正な方法によつて、その所得の一部を秘匿し、昭和四一年四月三〇日所轄豊橋税務署長に対して所得額を一、五四七万七、六六八円、その法人税額を五二二万八、三四〇である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度における正規の法人税額一、一〇六万一、二〇〇円と右申告税額との差額五八三万二、八〇〇円をほ脱し

第二、昭和四一年三月一日から昭和四二年二月二八日までの事業年度における同会社の実際の所得額が四、三七五万〇、〇二〇円で、その法人税額は一、四七三万五、八〇〇円であつたのに、前同様の不正な方法によつてその所得の一部を秘匿し、昭和四二年五月一日所轄豊橋税務署長に対して所得金額は一、七九八万三、五九七円で、その法人税額は五七二万九、三六〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度における正規の法人税額一、四七三万五、八〇〇円と右申告税額との差額九〇〇万六、四〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人野寄彰の当公廷における供述

二、被告人野寄彰の検察官に対する供述調書

三、被告人野寄彰提出の上申書並に同人の大蔵事務官に対する質問てんまつ書

四、大蔵事務官作成の告発書、脱税額計算書説明資料、証明書調査報告書

五、登記官作成の被告人合資会社曲の養魚場の商業登記簿謄本

六、坂田八重治、山田敏雄、大津広昭、鈴木勇、北裏重治、中嶋信夫、海野勇、鈴木利治、伏木初恵、多賀徳郎、中尾孝嗣、伊藤利幸、中村勝、竹本芦根治、伊藤弘、岩越七郎、鮫島宗光、小林幸雄作成の各証明書

七、夏目英之、吉永宗也、佐藤茂、井上信一、野寄りつ、中村三夫、中村妙子、牧野守、牧野まさよ、中村幸、中村治子、西谷睦二、西谷よし乃、袴田静雄、西谷稔、山田種吉、石橋新次、石橋実、石橋一郎、岩本トミ、柴田礼次、小塩辰郎、田中猛、原田芳昭、鵜沢清十、菱田邦彦、八木勇、小林幸雄、牧豊彦、各提出の各上申書

八、夏目英之、中村とし江、竹内録次、中村孝、中村敏恵、鈴木実、加茂仙蔵、内田道雄の大蔵事務官に対する質問てん末書

九、野寄圭三、野寄清の検察官に対する各供述調書

一〇、押収した昭和四四年押第一四四号証第一号(ポケツトプツク手帖一冊)、証第二号(売上及仕入帳一冊)証第三号(元帳一冊)証第四号(仕入帳一冊)証第五号(仕入補助簿一冊)証第六、七号(総勘定元帳二冊)証第八号(売上帳一冊)証第九号(総勘定元帳一冊)、証第一〇号(仕入種子売上帳一冊)証第一一号(決算書控綴一冊)証第一二号(元帳一冊)証第一三号(経費明細帳一冊)証第一四号(総勘定元帳一冊)証第一五号(仕入帳一冊)証第一六号(ノート一冊)証第一七号(売上帳一冊)証第一八号(手帳一冊)証第一九号(損益計算書綴一冊)証第二〇号(現金出納帳、総勘定元帳一冊)証第二一号(仕入帳売上帳一冊)証第二二、二三、二四号(総勘定元帳三冊)証第二五号(決算書控綴一冊)証第二六号(仕入帳一冊)証第二七号(ノート一冊)証第二八号(総勘定元帳一冊)証第二九号(元帳一冊)

(法令の適用)

被告人野寄彰の判示各所為は法人税法第一五九条第一項第二項、第七四条第一項に該当するので所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条第一〇条によつて重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役八月に処する。

又被告人合資会社曲の養魚場はその代表者である被告人野寄彰が同会社の業務に関し法人税法第一五九条の違反行為をしたので、同法第一六四条第一項によつて処断すべきであるから同法第一五九条第一項第二項の罰金を科すべきであるところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四八条によつて罰金の合算額の範囲内で被告人会社を罰金六〇〇万円に処する。

なお被告人野寄彰には禁錮以上の前科がなく、昭和三九年九月の一三号颱風によつて被害を受けた経験から不測の災害に対処するため、本件脱税を犯したものであるが、前非を悔い逋脱税を既に完納し今後かかる違反行為をしないことを誓い改悛の情も認められるので刑法第二五条によつて本裁判確定の日から三年間被告人野寄彰の右懲役刑の執行を猶予することとする。

訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条によつて全部被告人両名の連帯負担とする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 村本晃)

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