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名古屋地方裁判所 昭和40年(ワ)1397号 判決 1966年5月07日

原告 山田明美

右法定代理人親権者父 山田英作

同親権者母 山田政子

右訴訟代理人弁護士 高木英男

右訴訟復代理人弁護士 早川淳

右同 乾てい子

被告 株式会社 丸相

右訴訟代理人弁護士 大友要助

右訴訟復代理人弁護士 山本秀師

主文

被告は原告に対し金一八万一、二〇〇円及びこれに対する昭和四〇年七月三日より以降支払済に至るまで年六分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は、原告において金三万円の担保を供するときは、仮にこれを執行することができる。

事実

<全部省略>

理由

原告がその主張の頃名古屋穀物商品取引所の仲買人である被告を通じ、右取引所において大手芒の売買取引をしたことは当事者間に争いがなく、右取引において原告が金一八万一、二〇〇円の利益計算となったことは、被告の明らかに争わないところであるから被告においてこれを自白したものとみなす。

そこで、被告の抗弁及び原告の再抗弁について考えてみる。原告が未成年者であることは当事者間に争いがなく、原告法定代理人山田英作本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、本件取引は原告の法定代理人親権者父英作が原告の法定代理人親権者母政子の同意を得て原告を代理してなしたものであることが認められるので、原告が未成年者だから本件売買取引が無効であるとの被告の抗弁は採用できない。次に、原告が本件売買取引につき被告に対し委託本証拠金を予託していないことは当事者間に争いがない。しかし、右尋問の結果によると、被告は右英作に対し証拠金は後でよいからと言って右英作が原告を代理してなす本件売買取引の委託に応じたこと、昭和四〇年二月一三日午前一一時頃右英作は被告に対し同月一五日本件売買取引の委託本証拠金を被告方へ持参する旨告げたのに対し、被告においてこれを承諾しながら、その後同月一三日中に原告より委託本証拠金の予託がないという理由で原告にことわりなく原告の建玉を手じまいしたこと、英作は右手じまいにより原告の売買取引が利益計算となっていたのであるが、同月一五日被告方に委託本証拠金を持参したが、被告の方で既に原告の建玉を手じまいしたからという理由で受領しなかったことを認めることができ、右認定を左右するに足る他の証拠がない。商品取引法第九七条は商品仲買人が商品市場における売買取引を受託する場合受託契約準則の定めるところにより委託者から委託証拠金を徴すべきことを定めているから、被告が原告より委託本証拠金を徴さないで原告の本件売買取引を受託したことは同条に違背するものである。しかし、同条の右規定は商品仲買人を保護するためのものと解されるから、商品仲買人が自ら右規定に違背して売買取引を受託したとしても、これによって右売買取引が無効となるものでないこと明らかである。しこうして前記認定のように、被告は原告が委託本証拠金の予託をなさないで本件売買取引をなすことを承諾してこれを受託したのであるから、前記法条に違背していることを理由に本件売買取引が無効であるとの被告の抗弁も理由がない。又被告は委託本証拠金の差入なき売買につき益金請求権不発生の商慣習があると主張するが、このような商慣習を認めるに足る証拠がないので、かかる商慣習の存在を前提とする被告の抗弁も採用し得ない。なお又本件売買取引は前記認定のように原告の建玉を被告において手じまいし取引としては終了しているのであるから、本件売買取引につき原告の方で被告に対し委託本証拠金を予託する義務ないこと明らかで、原告に右義務があることを前提とした被告の抗弁も理由のないものである。

そうとすると、被告は原告に対し本件売買取引においての原告の益金一八万一、二〇〇円を支払うべき義務があり、右金員及びこれに対する昭和四〇年七月三日(本件訴状送達の日の翌日であること本件記録により明らかである。)より以降支払済に至るまで商法所定の年六分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の本訴請求は正当としてこれを認容すべきである。<以下省略>。

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