大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 平成6年(わ)448号 判決 1994年6月23日

本店所在地

愛知県海部郡蟹江町大字西之森字柳原二一六番地の一

丸信製粉株式会社

(右代表者代表取締役 安井勝世)

本籍

愛知県海部郡蟹江町大字蟹江新田字上芝切二四三番地

住居

同所字下市場一三番地の四

会社役員

安井勝世

昭和四年八月二三日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官宇川春彦、弁護人岩田孝各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人丸信製粉株式会社を罰金二〇〇〇万円に、被告人安井勝世を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人安井勝世に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人丸信製粉株式会社(以下「被告会社」という。)は、肩書地に本店を置き、製粉及び製麺等を目的とする資本金五〇〇〇万円の株式会社であり、被告人安井勝世(以下単に「被告人」という。)は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空の材料仕入代金を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一六二四万一四〇八円であったにもかかわらず、平成二年二月二八日、愛知県津島市良王町二丁目三一番地の一所在の所轄津島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四一五三万四八六八円で、これに対する法人税額が一四七三万八九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四六一一万五九〇〇円と右申告税額との差額三一三七万七〇〇〇円を免れ

第二  平成二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億〇九九一万三一八二円であったにもかかわらず、平成三年二月二八日、前記津島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四八二五万二八八四円で、これに対する法人税額が一五九三万九一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四〇六〇万三五〇〇円と右申告税額との差額二四六六万四四〇〇円を免れ

第三  平成三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億八二三四万六六八六円であったにもかかわらず、平成四年二月二九日、前記津島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億二三七一万一七五〇円で、これに対する法人税額が四二六三万三一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額六四六二万一二〇〇円と右申告税額との差額二一九八万八一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

以下、括弧内の甲乙の番号は検察官の証拠請求番号を示す。

全部の事実について

一  被告人の公判供述

一  被告人の検察官調書二通(乙1、2)

一  川合すみよ(甲1)及び安井豊子(甲2)の各検察官調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書八通(材料仕入代金についてのもの、簿外経費についてのもの、公租公課についてのもの、割引債券等についてのもの、減価償却費等についてのもの、限度額超過交際費についてのもの、簿外現金についてのもの、代表者勘定についてのもの。甲9、10、12ないし15、17、18)

一  大蔵事務官作成の証明書(青色申告承認の取消通知についてのもの、甲6)

一  登記官作成の商業登記簿謄本(甲7)

第一の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(平成二年二月二八日受付の確定申告書についてのもの、甲3)

第二及び第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(諸会費についてのもの、甲11)

第二の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(平成三年二月二八日受付の確定申告書についてのもの、甲4)

第三の事実について

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(寄付金についてのもの、甲16)

一  大蔵事務官作成の証明書(平成四年二月二九日受付の確定申告書についてのもの、甲5)

(法令の適用)

被告会社

罰条 各事業年度ごとに法人税法一六四条一項、一五九条一項(いずれも罰金額につき情状により同法一五九条二項を適用)

併合罪の処理 刑法四八条二項

被告人

罰条 各事業年度ごとに法人税法一五九条一項

刑種の選択 懲役刑選択

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第一の罪の刑に加重)

刑の執行猶予 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する(求刑 被告会社に対し罰金二三〇〇万円、被告人に対し懲役一年六月)。

(裁判官 政岡克俊)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例