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名古屋地方裁判所 平成3年(行ウ)35号 判決 1994年11月18日

名古屋市緑区篠の風一丁目九一九番地

原告

林正弘

右訴訟代理人弁護士

中村弘

名古屋市熱田区花表七丁目一七番地

被告

熱田税務署長 北出和史

右指定代理人

加藤裕

石原金美

木村勝紀

小田嶋範幸

主文

一  本件訴え中、昭和六一年分以後の所得税の青色申告承認取消処分の取消請求に係る部分を却下する。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  被告が平成二年二月二七日付けで原告に対してした昭和六一年分以後の所得税の青色申告承認取消処分を取り消す。

二  被告が平成二年三月八日付けでした原告の昭和六一年分、昭和六二年分及び昭和六三年分の所得税の各更正及び過少申告加算税の各賦課決定を取り消す。

第二事案の概要

一  争いのない事実

1  原告は、「林屋」の商号で、酒類、たばこ等の販売業を営んでいる。

2  被告は、平成二年二月二七日付けで、原告に対して、昭和六一年分以後の所得税の青色申告承認取消処分(以下「本件取消処分」という。)を行った。

3  被告は、別表1ないし3記載のとおり、原告の昭和六一年分、昭和六二年分及び昭和六三年分の所得税の各更正(以下「本件更正処分」という。)及び各過少申告加算税賦課決定(以下「本件賦課決定」という。)を行った。

4  原告は、別表1ないし3記載のとおり、本件更正処分及び本件賦課決定に対して、異議申立て及び審査請求をしたが、その結果は、別表1ないし3記載のとおりである。

二  争点

1  本件訴え中本件取消処分の取消請求に係る部分の適法性

(一) 被告の主張

原告は、平成二年二月二七日に本件取消処分の通知を受けたにもかかわらず、同年五月八日になって右処分に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)をしたのであるから、本件異議申立ては、不服申立期間の経過後にされたことになる。したがって、本件訴え中、本件取消処分の取消請求に係る部分は、適法な異議申立てを経ておらず、不適法である。

(二) 原告の主張

(1) 原告は平成二年二月二七日には本件取消処分の通知を受けていない。原告が本件取消処分がされたことを知ったのは、平成二年三月一〇日であり、同年五月八日に右処分に対する異議申立てをしたのであるから、右異議申立ては、適法である。

(2) 仮に、平成二年二月二七日に本件取消処分の通知を受けたとしても、

<1> 原告は、同年四月一一日に、右処分に対する異議申立てをするため、熱田税務署に赴き、同税務署の担当者に、その旨告げたが、担当者は、「今用紙がないから異議申立ては受け付けられない。今度所得税の更正処分に対して異議申立てをするときに異議申立書を書けばよい。」と述べた。そこで、原告は、所得税の更正処分に対して異議申立をするときに、本件取消処分に対する異議申立てをすれば足りると考え、同日は、異議申立書を提出しなかった。

<2> 右の事実からすると、原告は、同年四月一一日に、本件取消処分に対する異議申立てをしたものと解すべきである。

<3> 仮に、そのように解することができないとしても、原告は、熱田税務署担当者の「今用紙がないから異議申立ては受け付けられない。」との誤った教示及び所得税の更正処分に対して異議申立てをすることができる期間内であれば本件取消処分に対する異議申立てをすることができるとの誤解を誘発する発言によって、同日異議申立てをせず、本件更正処分及び本件賦課決定に対する異議申立期間内である同年五月八日に、本件異議申立てをするに至ったのであるから、国税通則法七七条三項の「やむを得ない理由」があり、本件異議申立ては、適法である。

2  本件更正処分及び本件賦課決定の適法性

(一) 被告の主張

(1) 推計の必要性

<1> 被告は、被告所部の調査担当職員(以下「被告係官」という。)を、昭和六三年一一月二一日から平成二年二月一五日までの間に、一一回にわたって、原告方へ赴かせるなどして、昭和六一年分、昭和六二年分及び昭和六三年分の原告の所得について、調査をした。

原告は、被告係官が二回目に原告方へ赴いた昭和六三年一一月二九日に、昭和六二年分の簡易帳簿(収支日計式。以下、同じ。)、売上げに係るレジペーパー及び掛売上げに係る売上伝票を提示した。しかし、昭和六一年分の簡易帳簿は、被告係官が四回目に原告方へ赴いた平成元年五月二九日まで提示せず、昭和六三年分の簡易帳簿は、被告係官が九回目に原告方へ赴いた平成元年一一月一三日まで提示しなかった。

原告は、右のとおり簡易帳簿等は提示したものの、その記帳の基となる領収書、請求書などの書類は、昭和六二年分のレジペーパーを除いては提示しなかった。

<2> 原告が提示した昭和六一年分、昭和六二年分及び昭和六三年分の簡易帳簿(以下、これらを総称して「本件簡易帳簿」という。)に記載された現金残高には、長期間にわたり赤字となる箇所があるが、現金残高が長期間にわたり赤字となることは、不自然である。

本件簡易帳簿に記載された売上金額及び仕入金額は、原告が確定申告の際に提出した青色決算書に記載された売上金額及び仕入金額と一致しない。

本件簡易帳簿に記載された必要経費について、領収書等の裏付けとなる書類の提示がない。

原告が提示したレジペーパーの金額は、重複や欠落があり、正確なものではない。また、原告は、本件簡易帳簿の売上げの入金額を、右レジペッパーではなく、日々の現金残高を基に記載しているから、入金額の記載は正確ではない。

原告は、右青色決算書に記載された売上金額を算出するに当たり、名古屋市交通局乗車券(以下「市バス等回数券」という。)及びビール券に係る売上げを除外しているが、それらの除外した金額を算定することができる資料はない。

<3> 以上のとおり、原告は、被告係官の調査に協力的でなく、また、原告が提示した帳簿等は、信用性に乏しく、すべての取引を網羅的に記載したものとは認められないから、原告の事業所得を実額で認定することはできない。

(2) 本件更正処分及び本件賦課決定の根拠及び適法性

<1> 原告の酒類等(市バス等回数券を除く。以下同じ。)の売上原価

(ア) 原告の酒類等の仕入金額は、別表4記載のとおり、昭和六一年分が七八四四万一八七一円、昭和六二年分が八九九三万七〇八六円、昭和六三年分が八九九六万〇四四四円であった。

(イ) 原告の酒類等のたな卸高は、次のとおりであった。

期首たな卸高 期末たな卸高

昭和六一年分 三九五万六四六〇円 三六四万五〇〇〇円

昭和六二年分 三六四万五〇〇〇円 四一五万五〇〇〇円

昭和六三年分 四一五万五〇〇〇円 四〇八万四四〇〇円

(ウ) 各年における期首たな卸高に仕入金額を加えて期末たな卸高を差し引くと、各年分の売上原価は、昭和六一年分が七八七五万三三三一円、昭和六二年分が八九四二万七〇八六円、昭和六三年分が九〇〇三万一〇四四円となる。

<2> 酒類等の売上原価率及び一般経費率

被告は、別紙同業者の抽出基準に従って、原告の店舗がある名古屋市緑区内において、原告と事業の業種、規模等が類似する同業者を無作為に抽出し、それらの業者について、売上原価率及び一般経費率を算定したところ、別表5の1ないし3記載のとおりとなった。

<3> 原告の酒類等の売上金額

右<1>の原告の酒類等の売上原価を、右<2>の売上原価率の平均値で除して、原告の酒類等の売上金額を算出すると、昭和六一年分が九四九八万六五二八円、昭和六二年分が一億〇八一二万一二五〇円、昭和六三年分が一億〇八八五万一四六一円となる。

<4> 原告の酒類等販売の一般経費

原告の酒類等販売に係る一般経費(人件費、地代家賃、利子割引料、建物付属設備償却費、貸倒金及び事業専従者控除以外の必要経費をいう。)は、右<3>の売上金額に、右<2>の一般経費率の平均値を乗じて算出した。その額は、昭和六一年分が五七〇万八六九〇円、昭和六二年分が六一八万四五三五円、昭和六三年分が六三〇万二四九九円となる。

<5> 原告の市バス等回数券の売上原価

原告の市バス等回数券の仕入金額は、昭和六一年分が四〇七万二五四三円、昭和六二年分が五一九万五七六一円、昭和六三年分が五六八万二〇六六円(一月から三月までは一二〇万四七五一円、四月から一二月までは四四七万七三一五円)であった。原告の市バス等回数券の期首たな卸高と期末たな卸高は同額であるから、右仕入金額が、各年における市バス等回数券の売上原価となる。

<6> 原告の市バス等回数券の売上金額

市バス等回数券の原価率は、別表6の1、2記載のとおりであるので、右<5>の売上原価を右原価率で除して、原告の市バス等回数券の売上金額を求めると、昭和六一年分が四二一万八九四〇円、昭和六二年分が五三八万二五三四円、昭和六三年分が、一月から三月までは一二四万八〇五八円、四月から一二月までは四六三万九二二三円、合計五八八万七二八一円となる。

<7> 特別経費

原告の特別経費(人件費、地代家賃、利子割引料、建物付属設備償却費及び貸倒金)の額は、次のとおりである。

(ア) 昭和六一年分

人件費 七万七一五〇円

(原告は、青色申告決算書において、実母林秀子に対する支払二四万円を計上しているが、これは、必要経費とは認められない。)

地代家賃 一二万 円

利子割引料 三万八〇二九円

建物付属設備償却費 四三万二〇〇〇円

貸倒金 八〇万 円

合計 一四六万七一七九円

(イ) 昭和六二年分

人件費 五万八七五〇円

(原告は、青色申告決算書において、実母林秀子に対する支払二四万円を計上しているが、これは、必要経費とは認められない。)

地代家賃 一二万 円

利子割引料 一六万三七二四円

建物付属設備償却費 四三万二〇〇〇円

貸倒金 三〇万 円

合計 一〇七万四四七四円

(ウ) 昭和六三年分

人件費 〇円

(原告は、青色申告決算書において、戸田美千子に対する支払四三万四〇〇〇円を計上しているが、戸田美千子に対する支払は、支払の事実がない。)

地代家賃 一二万 円

利子割引料 九万一九二九円

建物付属設備償却費 四三万二〇〇〇円

貸倒金 三〇万 円

合計 九四万三九二九円

<8> 事業専従者控除額

事業専従者控除額は、昭和六一年分が九〇万円、昭和六二年分が一〇五万円、昭和六三年分が一〇五万円である。

<9> 事業所得金額

右<1>ないし<8>により、原告の事業所得金額を算出すると、別表7記載のとおり、昭和六一年分が八三〇万三七二五円、昭和六二年分が一〇五七万一九二八円、昭和六三年分が一〇七二万九二〇四円となる。

<10> 総所得金額

右<9>の事業所得金額に、別表7記載の利子所得金額及び雑所得金額を加えると、総所得金額は、昭和六一年分が八八七万七四九五円、昭和六二年分が一〇九八万八四二九円、昭和六三年分が一一〇八万二六一五円となる。

また、仮に、市バス等回数券について、酒類等と同様に売上金額から一般経費を控除すべきであるとしても、その一般経費率は酒類等の一般経費率を上回るものではない。したがって、市バス等回数券について、売上金額から一般経費を酒類等の一般経費率と同率で控除して、原告の総所得金額を算出すると、別表8記載のとおり、昭和六一年分が八六二万三九三七円、昭和六二年分が一〇六八万〇五四八円、昭和六三年分が一〇七四万一七四一円となる。

<11> 別表1ないし3記載の本件更正処分において認定した原告の所得金額は、右<10>の所得金額を下回っている。また別表1ないし3記載のとおり過少申告があった。したがって、本件更正処分及び本件賦課決定は適法である。

(二) 原告の主張

(1) 推計の必要性

<1> 被告係官が原告方へ赴いて調査をしたこと、原告が被告係官に対し、昭和六三年一一月九日ころに、昭和六二年分の簡易帳簿、売上げに係るレジペーパー及び掛売上げに係る売上伝票を、平成元年五月二九日ころに、昭和六一年分の簡易帳簿を、平成元年一一月一三日ころに、昭和六三年分の簡易帳簿を、それぞれ提示したことは、認める。原告は、被告係官から提示の要請のあった書類は、要請を受けたときにすべて提示している。右の各書類も、被告係官から提示の要請を受けたときに提示したものである。

<2> 原告が、店舗外の売上げに係る現金の入金をレジスターに打ち込むのは、多忙であること等により、入金の翌日以降となる。そのため、本件簡易帳簿においても実際の入金の翌日以降に入金したものとして記載される。ところが、現金は、現実に銀行に預金された日に出金したものとして本件簡易帳簿に記載される。このようなことから、本件簡易帳簿には、入金の記載をする前にこれに対応する出金の記載がされることがあり、この記帳のずれによって、本件簡易帳簿の現金残高がマイナスとなることがある。したがって、不自然ではない。

(2) 本件更正処分及び本件賦課決定の根拠及び適法性

<1> 被告主張の原告の酒類等の仕入金額(別表4)のうち、別表9記載のものは認め、その余は否認する。原告の酒類等の仕入金額は、昭和六一年分が七七九七万七六三八円、昭和六二年分が八九〇三万一二四三円、昭和六三年分が八九三八万五五三三円である。被告主張の原告の酒類等のたな卸高は認める。

<2> 被告は、酒類等の売上原価率及び一般経費率を推計しているが、この推計には、次のとおり合理性がない。

(ア) 酒類販売業者は、酒類を家庭用に販売する場合には、標準小売価格で販売するが、業務用に販売する場合には、標準小売価格から相当の値引きをするのが普通である。

原告も、酒類を業務用に販売する場合には値引きをしており、また、婦人会等による共同購入についても、業務用と同様に値引きをしている。原告の酒類の売上げについては、これらの業務用及び共同購入の販売が半分以上を占めており、同業者よりも、これらの売上げに占める割合が高い。

原告は、酒類を家庭用に販売する場合であっても、まとめて買う顧客には、約五パーセントの値引きをしている。このようなことは、通常同業者では見られない。

したがって、原告の酒類の売上原価率は、同業者よりも高いのであり、同業者の平均値によって売上原価率を推計することは合理性がない。

(イ) 被告は、売上原価率を推計するに当たって、「酒類等」として、酒類の販売、たばこの販売、宅配便の取次ぎ、ビール券の販売、テレホンカードの販売等を一括して推計しているが、これらは、それぞれ売上原価率が異なるので、一括して推計することはできない。

(ウ) 被告は、同業者を抽出するに当たって、市バス等回数券の販売を行っていることを条件としていないが、この点も条件としないと、正しい推計をすることはできない。

<3> 市バス等回数券について、売上金額から一般経費を控除しないのは、明らかに不合理である。なお、原告の市バス等回数券の期首たな卸高と期末たな卸高が同額であることは認める。

<4> 被告主張の原告の特別経費は過少すぎて不当である。

<5> 被告主張の原告の利子所得金額及び雑所得金額は認める。

(三) 被告の反論

(1) 推計の必要性

原告主張の記帳のずれによって、簡易帳簿の現金残高がマイナスとなることがあるとしても、現金残高のマイナスは、入金が記帳されることによって、解消されるはずである。ところが、原告の簡易帳簿は、長期間にわたって現金残高がマイナスとなることがあるほか、その額も多額になることがあり、現金残高マイナスとなる原因を原告主張の記帳のずれによって説明することはできない。

(2) 本件更正処分及び本件賦課決定の根拠及び適法性

<1> 推計の合理性

(ア) 原告について、原告が右(二)(2)<2>(イ)で主張するような事実があるとしても、このようなことは、同業者の売上原価率を平均することによって捨象されるのであり、原告固有の特殊事情ということはできない。

(イ) 酒類販売業者がビール券の販売をすることは通常のことであるから、これを酒類の販売等と一括して、売上原価率を推計することができる。

(ウ) 原告のテレホンカードの仕入金額は、被告が行った推計の基となった原告の仕入金額の総額に占める割合が極めて少ないのであるから、テレホンカードの販売を酒類の販売等と一括して、売上原価率を推計することができる。

(エ) 被告が同業者を抽出するに当たって市バス等回数券の販売を行っていることを条件としていないのは、これを条件とすると、酷似性まで要求する結果、十分な同業者の件数が選定されなくおそれがあったからである。

<2> 市バス等回数券について、売上金額から一般経費を控除しないのは、総売上金額に対する市バス等回数券の売上金額が僅少であること及び市バス等回数券の販売は集客的要素が強く、経費もほとんど不要であることによる。

第三争点に対する判断

一  本件訴え中の本件取消処分の取消請求に係る部分の適法性

1(一)  証拠(甲一、乙一、一四、証人木全眞三)によると、次の事実が認められる。

(1) 熱田税務署の職員であった木全眞三(以下「木全」という。)は、平成二年二月二七日に、本件取消処分の通知書を持って、原告が経営する酒類等販売業の店舗へ赴いたところ、原告は不在で、原告の妻がいた。

(2) そこで、木全は、原告の妻に対し、右通知書を受領するよう求めたところ、原告の妻はこれを拒んだので、木全は、右店舗内のカウンター上にあるレジスターの横に右通知書を置き、原告の妻に対し、原告に右通知書を必ず渡すようにと言って帰った。

(二)  右認定の事実によると、本件取消処分の通知書は、平成二年二月二七日に、国税通則法一二条五項二号に定める差置送達の方法によって、原告に送達されたものと認められる。

2(一)  証拠(乙四〇、四一、証人木全眞三、原告本人)及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。

(1) 原告は、平成二年四月一一日、熱田税務署へ赴き、木全に対し、本件更正処分及び本件取消処分について不服がある旨述べたので、木全は、原告に対し、異議申立手続について話し、税務署に備え付けられている異議申立書の用紙を渡そうとしたが、用紙が見つからなかった。

(2) そこで、木全は、原告に対し、異議申立書の用紙を送る旨述べたところ、原告は、「書き方がわからないので送ってもらっても困る。また寄る。」と言って帰った。

(3) 木全は、異議申立書の用紙を準備して原告の来訪に備えていたが、原告が熱田税務署を次に訪れたのは、同年五月七日であった。

(4) 原告は、同月八日に本件異議申立てをした。

(二)  右認定の事実からすると、原告が同年四月一一日に本件取消処分に対する異議申立てをしたと認めることはできない。また、右認定の事実からすると、熱田税務署の担当者が「今用紙がないから異議申立ては受け付けられない。」との誤った教示をしたと認めることもできない。さらに、右認定の面談の際に、熱田税務署の担当者が原告に対し、所得税の更正処分に対して異議申立てをすることができる期間内であれば本件取消処分に対する異議申立てをすることができるとの誤解を誘発する発言をしたと認めるに足りる証拠はない。

3  右1、2認定のとおり、原告は、平成二年二月二七日に本件取消処分に係る通知を受けたにもかかわらず、これに対する異議申立てをしたのは同年五月八日であると認められるから、原告は、国税通則法七七条一項に定める不服申立期間経過後に異議申立てをしたものである。これについて、原告は、同条三項に定める「やむを得ない理由」が存したと主張するが、原告が「やむを得ない理由」に当たると主張する事実は、右2において判示したとおり、いずれも認めることができないので、右期間徒過につき「やむを得ない理由」が存したと認めることはできない。

4  以上のとおり、本件訴え中本件取消処分の取消請求は、適法な異議申立てを経ることなく提起されたものであるから、国税通則法一一五一項により不適法である。

二  本件更正処分及び本件賦課決定の適法性

1  推計の必要性

(一) 証拠(甲一一の一ないし二四、乙四ないし六、一四、証人木全眞三、原告本人)によると、次の事実が認められる。

(1) 木全は、昭和六三年一一月二一日から平成二年二月一五日までの間に、一一回にわたって、原告方へ赴き、昭和六一年分、昭和六二年分及び昭和六三年分の原告の所得について、調査した(ただし、昭和六三年分については、木全が五回目に原告方へ赴いた平成元年六月二三日以降調査の対象とした)。

(2) 原告は、木全が一回目に原告方に赴いた昭和六三年一一月二一日には、帳簿等は物置にあって探す必要があるとして、帳簿等を全く提示せず、木全が二回目に原告方へ赴いた昭和六三年一一月二九日に、昭和六二年分の簡易帳簿、売上げに係るレジペーパー及び掛売上げに係る売上伝票を提示した。

(3) 木全は、三回目に原告方へ赴いた昭和六三年一二月九日に、原告に対し、昭和六一年分の帳簿等について提示を求めたが、原告は、物置にあって探す必要があるとして、提示せず、木全が四回目に原告方へ赴いた平成元年五月二九日に、昭和六一年分の簡易帳簿を提示した。その際、木全は、原告に対して、領収書等の原始資料をそろえるよう依頼した。

(4) 木全は、五回目に原告方へ赴いた平成元年六月二三日に、原告に対し、右原始資料及び昭和六三年分の簡易帳簿の提示を求めたが、原告は、まだ整理していないと述べ、提示しなかった。その後木全が原告方に赴いた際にも、原告は、昭和六三年分の簡易帳簿は作成中であるなどとして提示せず、木全が九回目に原告方へ赴いた同年一一月一三日に、昭和六三年分の簡易帳簿を提示した。

(5) その後、原告は、木全からの電話による依頼に応じて、貸倒損失の内訳を記載したメモを、木全に提示した。

(6) 原告は、本件更正処分及び本件賦課決定までの間に、木全ら被告係官に対し、昭和六一年分、昭和六二年分及び昭和六三年分の簡易帳簿(本件簡易帳簿)、昭和六二年分の売上げに係るレジペーパー及び掛売上げに係る売上伝票並びに貸倒損失の内訳を記載したメモ以外の書類は、提示しなかた。

(二) そこで、右本件簡易帳簿の記載の正確性について検討する。

(1) まず、証拠(乙四ないし六、一三)及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。

<1> 本件簡易帳簿には、現金残高がマイナスとなる箇所が多く見られること。

<2> 本件簡易帳簿上現金残高がマイナスとなる箇所は、昭和六一年分が一二八日、昭和六二年分が一七一日、昭和六三年分が四三日あること。

<3> 本件簡易帳簿上長期間にわたって連続して現金残高がマイナスとなる箇所があり、例えば、昭和六一年分は、昭和六一年八月二三日から一二月三一日まで連続一二七日間マイナスとなること。

(2) そして、原告本人は、本件簡易帳簿の現金残高がマイナスとなることについて、次のように供述する(甲一三、一五(原告作成の報告書)の記載を含む。)。

<1> 店頭外現金売上げに係る現金及び掛売上げの売掛金の店頭外における回収に係る現金を入金としてレジスターに打ち込むのは、受け取った日の翌日になることが多く、最も遅いときは三日後になることがある。したがって、右の現金は、受け取った日の翌日以降の入金としてレジペーパーに記載されることが多く、レジペーパーに基づいて作成している本件簡易帳簿にも、受け取った日の翌日以降の入金として記載されることが多い。

<2> これに対し、出金については、実際に銀行に預けた日に出金したものとして本件簡易帳簿に記載される。

<3> このようなことから、入金の記載をする前に、それに対応する出金の記載がされることがあり、この記帳のずれによって、本件簡易帳簿の現金残高がマイナスとなることがある。本件簡易帳簿には、収入及び支出の額を正確に記載しており、右の記帳のずれを除けば、本件簡易帳簿の記載は正確である。

(3) しかしながら、原告本人の右供述が正しいものであるとすると、店頭外現金売上げに係る現金及び掛売上げの売掛金の店頭外における回収に係る現金の入金日を正しい入金日に訂正して、本件簡易帳簿の記載を変更すれば、本件簡易帳簿における現金残高のマイナスは解消されるはずであるが、証拠(甲一〇の一ないし二四、甲一一の一ないし二四、甲一二の一ないし二七、乙四ないし六)及び弁論の全趣旨によると、原告本人の右供述が正しいものであると仮定し、本件簡易帳簿の記載にレジペーパーの記載を総合して、本件簡易帳簿の記載を合理的に解釈しても、本件簡易帳簿における現金残高のマイナスが解消されることはないと認められるから、原告本人の右供述は、信用することができない。

(4) そして、帳簿の現金残高が、マイナスとなることは、その性質上、ありえないから、本件簡易帳簿の記載は正確であると認めることはできず、これを基に原告の所得金額(特にその基礎となる売上総額)を算定することはできない。

(三) 以上のとおり、本件簡易帳簿の記載から原告の所得金額を認定することはできず、また、本件更正処分及び本件賦課決定までの間に原告が被告係官に提示した他の資料のみでは、原告の所得金額を認定することができないことは明らかであり、さらに、原告は、右(一)認定のとおり、調査に協力的でなかったのであるから、被告において、原告の昭和六一年分ないし昭和六三年分の各所得金額について実額を把握することができず、したがって、その推計の必要性が存したものと認められる。

2  本件更正処分及び本件賦課決定の根拠及び適法性

(一) 原告の酒類等の仕入金額

(1) 原告の酒類等の仕入金額のうち、別表9記載の金額は、当事者間において争いがなく、その余の金額は、証拠(甲六の一ないし一四、甲七の一ないし一一、乙四ないし六、一〇ないし一二、一五ないし二〇、乙二一の一ないし一二、乙二二ないし二四、乙二五の一、二、乙二六ないし三六)及び弁論の全趣旨によると、別表4記載のとおりであると認められる。合計総額は、昭和六一年分が七八四四万一八七一円、昭和六二年分が八九九三万七〇八六円、昭和六三年分が八九九六万〇四四四円となる。

(2) 原告の酒類等のたな卸高が次のとおりであったことは、当事者間に争いがない。

(3) 各年における期首たな卸高に仕入金額を加えて期末たな卸高を差し引くと、各年分の売上原価は、昭和六一年分が七八七五万三三三一円、昭和六二年分が八九四二万七〇八六円、昭和六三年分が九〇〇三万一〇四四円となる。

(二) 酒類等の売上原価率及び一般経費率

(1) 証拠(乙二、乙三の一ないし六、証人間瀬暢宏)によると、次の事実が認められる。

<1> 名古屋国税局長は、平成三年一一月一九日、被告に対し、別紙同業者の抽出基準に該当する業者について、売上原価率、一般経費率等を報告することを求めたところ、被告は、右抽出基準に該当する全業者(昭和六一年分及び昭和六三年分は、一〇業者、昭和六二年分は、九業者)について、報告した。

<2> その結果は、別表5の1ないし3記載のとおりであった。

(2) 右事実によると、別表5の1ないし3記載の売上原価率及び一般経費率の平均値は、原告の店舗がある名古屋市緑区内において、原告と事業の業種、規模等が類似する同業者を無作為に抽出し、それらの業者(九業者又は一〇業者)について、確定した申告等に基づいて売上原価率及び一般経費率を算定し、それらを平均した値であると認められる。したがって、右平均値は、正確性が確保されているとともに、個別性が平均化された普遍的な数値であるということができ、これに基づいて原告の所得を推計することは合理的である。

(3) ところで、原告は、同業者よりも、業務用等に値引きして販売する割合が高い上、家庭用に販売する場合であっても値引きをしているので、原告の酒類の売上原価率は同業者よりも高いと主張する。しかしながら、そのような事情が存するとしても、それは、右平均値を求める過程で包摂されると考えられるから、推計の合理性を覆す事情ということはできない。

(4) 原告は、被告は、売上原価率を推計するに当たって、「酒類等」として、酒類の販売、たばこの販売、宅配便の取次ぎ、ビール券の販売、テレホンカードの販売等を一括して推計しているが、これらは、それぞれ売上原価率が異なるので、一括して推計することはできないと主張する。しかしながら、これらはそれぞれ売上原価率が異なるとしても、原告の全売上げに占めるそれぞれの売上げの割合が平均的な業者と大きく異なるといった特段の事情を認めるに足りる証拠のない本件においては、それらを一括して推計することも許されるというべきである。

(5) 次に、原告は、同業者を抽出するに当たって、市バス等回数券の販売を行っていることを条件としていないのは不合理であると主張する。しかしながら、一般に、市バス等回数券の販売を行っているかどうかで酒類等の売上原価率及び一般経費率に大きな違いが生ずるとは考え難く、また、弁論の全趣旨によると、これを条件とすると、酷似性まで要求することになる結果、十分な同業者の件数が選定されなくなるおそれがあると認められるのであるから、これらを条件としなかったことは不合理ではない。

(6) したがって、酒類等の売上原価率及び一般経費率については、別表5の1ないし3記載の平均値によるのが相当である。

(三) 原告の酒類等の売上金額

右(一)の原告の酒類等の売上原価を、右(二)の売上原価率の平均値で除して、原告の酒類等の売上金額を算出すると、昭和六一年分が九四九八万六五二八円、昭和六二年分が一億〇八一二万一二五〇円、昭和六三年分が一億〇八八五万一四六一円となる。

(四) 原告の市バス等回数券の売上原価

証拠(乙四ないし六、一一)及び弁論の全趣旨によると、原告の市バス等回数券の仕入金額は、昭和六一年分が四〇七万二五四三円、昭和六二年分が五一九万五七六一円、昭和六三年分が五六八万二〇六六円(一月から三月までは一二〇万四七五一円、四月から一二月までは四四七万七三一五円)であったと認められる。原告の市バス等回数券の期首たな卸高と期末たな卸高が同額であることは当事者間に争いがないから、右仕入金額が、各年における市バス等回数券の売上原価となる。

(五) 原告の市バス等回数券の売上金額

証拠(乙三七)及び弁論の全趣旨によると、市バス等回数券の原価率は、別表6の1、2記載のとおりであり、原価率の平均値は、昭和六一年一月から昭和六三年三月までは〇・九六五三、同年四月から一二月までは〇・九六五一であると認められる。右(五)の売上原価を右原価率で除して、原告の市バス等回数券の売上金額を求めると、昭和六一年分が四二一万八九四〇円、昭和六二年分が五三八万二五三四円、昭和六三年分が、一月から三月までは一二四万八〇五八円、四月から一二月までは四六三万九二二三円、合計五八八万七二八一円となる。

(六) 一般経費

原告の酒類等販売に係る一般経費(人件費、地代家賃、利子割引料、建物付属設備償却費、貸倒金及び事業専従者控除以外の必要経費をいう。)は、右(三)の売上金額に右(二)の一般経費率の平均値を乗じて算出することができる。

弁論の全趣旨によると、原告が、酒類等の販売とともに市バス等回数券を販売するのは集客目的という要素が強く、その販売には酒類等の販売に係る経費以外にさほど経費を要するものではないと認められるから、原告の市バス等回数券販売の一般経費率は、右(二)の酒類等の販売に係る一般経費率を上回らないものと認めることができる。

したがって、原告の一般経費の額は、右(三)及び(五)認定の売上金額の合計額に右(二)の一般経費率の平均値を乗じて算出することができ、その額は、昭和六一年分五九六万二二四八円、昭和六二年分が六四九万二四一六円、昭和六三年分が六六四万三三七三円であると認められる。

(七) 特別経費

(1) 証拠(乙七ないし九)及び弁論の全趣旨によると、原告の特別経費(人件費、地代家賃、利子割引料、建物付属設備償却費及び貸倒金)のうち、昭和六一年分ないし昭和六三年分の人件費及び昭和六三年分の建物付属設備償却費を除く特別経費の額は、次のとおりであると認められる。

昭和六一年分

地代家賃 一二万 円

利子割引料 三万八〇二九円

建物付属設備償却費 四三万二〇〇〇円

貸倒金 八〇万 円

昭和六二年分

地代家賃 一二万 円

利子割引料 一六万三七二四円

建物付属設備償却費 四三万二〇〇〇円

貸倒金 三〇万 円

昭和六三年分

地代家賃 一二万 円

利子割引料 九万一九二九円

貸倒金 三〇万 円

(2) 証拠(乙七)及び弁論の全趣旨によると、昭和六一年分の人件費は、鬼頭陽子に対する給料三万七一五〇円及び荒川力に対する給料四万円の合計七万七一五〇円であると認められる。

原告の昭和六一年分の青色申告決算書(乙七)には、その他に、林秀子に対する給料二四万円が人件費として計上されているが、証拠(原告本人)及び弁論の全趣旨によると、林秀子は、原告の実母で、時たま原告の店舗へ来て、店番や掃除をするのみであると認められるのであるから、林秀子に対する年間二四万円の支払いがあったとしても、これを給料と認めることはできない。

(3) 証拠(乙八)及び弁論の全趣旨によると、昭和六二年分の人件費は、鬼頭陽子に対する給料一万八七五〇円及び荒川力に対する給料四万円の合計五万八七五〇円であると認められる。

原告の昭和六二年分の青色申告決算書(乙八)には、その他に、林秀子に対する給料二四万円が人件費として計上されているが、右(2)の昭和六一年分について述べたのと同じ理由によって、この支払を給料と認めることはできない。

(4) 原告の昭和六三年分の青色申告決算書(乙九)には、戸田美千子に対する給料四三万四〇〇〇円が人件費として計上されているが、同年の原告の収支日計帳(乙六)には、右支払の記載がなく、右支払の事実は認められない。

(5) 原告の昭和六三年分の青色申告決算書(乙九)には、建物付属設備償却費として四八万円が計上されているが、同決算書(乙九)の記載及び弁論の全趣旨によると、四八万円は誤記で、四三万二〇〇〇円が正しいと認められるのであるから、右建物付属設備償却費は四三万二〇〇〇円であると認められる。

(6) 以上を合計すると、原告の特別経費(人件費、地代家賃、利子割引料、建物付属設備償却費及び貸倒金)の額は、昭和六一年分が一四六万七一七九円、昭和六二年分が一〇七万四四七四円、昭和六三年分が九四万三九二九円となる。

(八) 事業専従者控除額

証拠(乙七ないし九)及び弁論の全趣旨によると、事業専従者控除額は、昭和六一年分が九〇万円、昭和六二年分が一〇五万円、昭和六三年分が一〇五万円であると認められる。

(九) 事業所得金額

右(一)ないし(八)により、原告の事業所得金額を算出すると、別表8記載のとおり、昭和六一年分が八〇五万〇一六七円、昭和六二年分が一〇二六万四〇四七円、昭和六三年分が一〇三八万八三三〇円となる。

(一〇) 総所得金額

右(九)の事業所得金額に、当事者間に争いがない別表7記載の利子所得金額及び雑所得金額を加えると、総所得金額は、別表8記載のとおり、昭和六一年分が八六二万三九三七円、昭和六二年分が一〇六八万〇五四八円、昭和六三年分が一〇七四万一七四一円となる。

(一一) そして、別表1ないし3記載の本件更正処分において認定された原告の所得金額は、右(一〇)の所得金額を下回っているので、本件更正処分は適法である。また、本件更正処分が適法であることからすると、別表1ないし3記載のとおり過少申告があったことが認められる。したがって、本件賦課決定も適法である。

第四結論

よって、本件訴え中本件取消処分の取消請求に係る部分は不適法であるので、これを却下し、その余の請求はいずれも理由がないので、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡久幸治 裁判官 森義之 裁判官 田澤剛)

(別紙)

同業者の抽出基準

熱田税務署の管内において、酒類販売業を営み、たばこの販売を併業している個人事業者のうち、所得税法一四三条(青色申告)の承認を受けて、昭和六一年分ないし昭和六三年分の所得税の確定申告について、熱田税務署長に対し、青色申告書を提出している者で、次の一ないし三の条件すべてに該当する者

ただし、次の各号に該当する者を除く。

1 昭和六一年一月一日から昭和六三年一二月三一日までの間の中途において、開業、廃業、休業又は業態を変更した者

2 更正処分又は決定処分が行われた者のうち、国税通則法又は行政事件訴訟法の規定による不服申立期間又は出訴期間を経過していない者及び不服申立て又は訴訟中の者

一 他の業種目を兼業していない者

二 事業所が名古屋市緑区にある者

三 売上原価の額が次のいずれかに該当する者

1 昭和六一年分については、三九九四万二九二八円以上一億一九八二万八七八四円以下の範囲内にある者

2 昭和六二年分については、四五〇五万八四五五円以上一億三五一七万五三六六円以下の範囲内にある者

3 昭和六三年分については、四五二二万二二九七円以上一億三五六六万六八九一円以下の範囲内にある者

別表一 昭和六一年分

<省略>

別表二 昭和六二年分

<省略>

別表三 昭和六三年分

<省略>

別表4 酒類等の仕入先別明細表

<省略>

<省略>

別表5の1 同業者の売上原価率及び一般経費率一覧表(昭和61年分)

<省略>

別表5の2 同業者の売上原価率及び一般経費率一覧表(昭和62年分)

<省略>

別表5の3 同業者の売上原価率及び一般経費率一覧表(昭和63年分)

<省略>

別表6の1

(昭和63年3月まで)

<省略>

別表6の2

(昭和63年4月以降)

<省略>

別表7 被告主張の原告の所得金額(主位的主張)

<省略>

別表8 被告主張の原告の所得金額(予備的主張)

<省略>

別表9 酒類等の仕入先別明細表

<省略>

<省略>

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