大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所秋田支部 昭和42年(ネ)79号 判決 1970年2月16日

主文

一、原判決を次のとおり変更する。

控訴人は被控訴人に対し金八〇万四、六〇七円及びこれに対する昭和三六年五月五日から完済にいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

被控訴人のその余の請求を棄却する。

二、訴訟費用は第一、二審を通じて三分し、その一を被控訴人の負担、その余を控訴人の負担とする。

三、この判決は被控訴人勝訴部分にかぎり仮に執行することができる。

事実

控訴代理人は、「原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠関係は、被控訴代理人において「控訴人が昭和三六年五月四日及び五日訴外石見敬作に対し無電で帰港を指示した事実は認める。」と述べ、控訴代理人において、当審証人浅山正大の証言を援用したほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(但し原判決七枚目表九行目に「三号証の一乃至五」とあるのは「三号証の一の一、二、同号証の二乃至五」の誤記につきその旨訂正する)。

理由

一、当裁判所は主文第一項記載の限度において被控訴人の請求を正当と判断するものであり、その理由は左記(一)ないし(五)のとおり補正するほか原判決の理由と同一であるから、これを引用する。

(一)  原判決八枚目表九行目の「三号証の一」とあるのを「三号証の一の一」と改め、同一二行目の「四号証の一」とあるのを削除する。

(二)  同九枚目裏七行目の「被告本人尋問の結果」から九行目の「認めることができるが」までの部分を「当事者間に争いがないが」と改める。

(三)  同一一枚目表一二行目の「証人小玉一郎の証言」の前に「成立に争いのない甲四号証の二」を加える。

(四)  同一二枚目裏五行目以下の慰藉料についての判断を次のとおり改める。

「被控訴人は、本件被害により多大の精神的苦痛を蒙つたと主張するが、財産権の侵害の場合には、特別の事情のないかぎり、それによつて生じた財産的損害が賠償されれば精神的損害も回復されたものとみるべきところ、本件においては、上記各財産的損害の賠償をもつてしてもなお償いえない特別の精神的苦痛があつたとまで認めうる証拠はない、したがつて、被控訴人の慰藉料の請求は失当である。」

(五)  同一三枚目表六行目以下の損害額の総計についての判断を次のとおり改める。

「以上によれば、被控訴人の損害額は合計九〇万四、六〇七円となるが、その賠償として訴外石見敬作から一〇万円の支払いを受けたことは被控訴人の自認するところであるから、これを控除した八〇万四、六〇七円が控訴人の賠償すべき損害額となる。」

二、よつて、被控訴人の本訴請求は右八〇万四、六〇七円とこれに対する本件不法行為後である昭和三六年五月五日以降完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度において認容すべきであるが、その余は失当として棄却すべきであるから、これと異なる原判決を右のとおり変更することとし、民事訴訟法九六条、九二条、一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例