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仙台地方裁判所 昭和58年(わ)126号 判決 1983年5月10日

主文

被告人を懲役一〇月に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は

第一  昭和五七年一二月二六日午前二時三〇分ころ、業務として普通乗用自動車を運転し、宮城県宮城郡利府町赤沼字櫃ケ沢地内の道路を松島方面から塩釜方面に向い進行するにあたり、同所は右方に湾曲する道路で、最高速度が四〇キロメートル毎時と指定されていたのであるから右最高速度を厳守のうえ、道路の左側沿いを安全に進行すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り、漫然、対向車線に侵入して右指定最高速度を超える約六五キロメートル毎時の速度で進行した過失により、折から対向車線を対進してきた車輌を約六五メートル先に発見し、これとの衝突を避けようとして左に急転把した際、右のように高速走行していたため、自車を左前方に暴走させることとなり、道路左側のガードレールに衝突させて左下方の海中に転落させ、よつて、自車の同乗者沼田曜子(当時二一歳)に加療約四ケ月を要する第四頸椎、第一二胸椎、第一腰椎各圧迫骨折等の傷害を負わせた

第二  公安委員会の運転免許を受けないで、前記日時場所において前記普通乗用自動車を運転した

第三  前記第一記載の日時場所において、普通乗用自動車を運転中、沼田曜子に前記のごとき傷害を負わせる交通事故を起こしたのに、その事故発生の日時場所等法律の定める事項を直ちにもよりの警察署の警察官に報告しなかつた

ものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示第一の所為は刑法二一一条前段、罰金等臨時措置法三条一項一号に、判示第二の所為は道路交通法一一八条一項一号、六四条に、判示第三の所為は同法一一九条一項一〇号、七二条一項後段に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第一の罪の刑に同法四七条但書の制限にしたがい法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人を懲役一〇月に処し、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項但書により被告人に負担させないこととして、主文のとおり判決する。

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