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仙台地方裁判所 昭和48年(わ)311号 判決

本籍

宮城県名取市閑上字町一四六番地

住所

仙台市大梶一七番一号

会社役員

伊藤敬

昭和五年五月一〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官菊地貞一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月及び罰金二〇〇万円に処する。

ただし、本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納できないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は塩釜市新浜町一丁目塩釜市中央水産物仲卸市場内に店舗を設け、魚貝類の販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、仕入及び売上の一部を公表帳簿から除外するなどし、これによって得た資金を架空名義の預金とする等の行為により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの被告人の実際の所得金額は一七、〇三一、五五一円でこれに対する所得税は七、一四〇、三〇〇円であるにもかかわらず、昭和四六年三月一一日、仙台市上杉一丁目一番一号所在所轄仙台北税務署において、同税務署長に対し、昭和四五年分の所得金額は六、三八一、〇九一円で、これに対する所得税額は一、五九七、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額五、五四二、七〇〇円の所得税を免れ、

第二  昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの被告人の実際の所得金額は一三、七二一、一五七円で、これに対する所得税額は四、八八四、四〇〇円であるにもかかわらず、昭和四七年三月一四日、前記仙台北税務署において、同税務署長に対し同年分の所得金額は六、五四九、〇二〇円でこれに対する所得税額は一、四〇五、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額三、四七八、八〇〇円の所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

判事全部の事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書二〇通

一、被告人作成の上申書五通

一、伊藤あさよに対する大蔵事務官の質問てん末書三通

一、木村祥一、高松宏之、秋山守夫に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一、高橋秀雄、佐藤嘉雄の各上申書

一、佐藤栄吉作成の銀行調査書類

一、沢本徳見作成の簿外預金およびその受取利息調査書

一、佐藤栄吉作成の預金利息調査書(大洋信用金庫魚河岸支店分)

一、沢本徳見作成の家族名義預金およびその受取利息調査書

一、小沢政吉に対する大蔵事務官の質問てん末書五通

一、小沢貞夫に対する大蔵事務官の質問てん末書三通

一、小沢正夫、吉田靖夫、佐々木直蔵、斎藤正、押田利雄、葛西尚武に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一、小沢政吉、小沢貞夫共同作成の上申書

一、小沢貞夫、吉田靖夫、三谷賀四雄作成の各上申書

一、熊谷正一に対する大蔵事務官の質問てん末書

一、佐々木直蔵、平林辰蔵、岩淵ちよ子作成の各上申書

一、丹野和郎、柳田正雄作成の各上申書

一、沢本徳見作成の伊藤敬が大金運輸株式会社に支払う運賃の調査書

一、佐藤栄吉作成の簿外仕入調査書

一、稲井善夫作成の取引内容の回答についてと題する書面

一、沢本徳見作成の簿外普通預金への預入額等から推計した簿外売上金額の調査書

一、佐藤栄吉作成の簿外財産調査書

一、沢本徳見作成の脱税額計算書(昭和四五年度昭和四六年度分)

一、押収にかかる定期預金利息計算書二枚(昭和四九年押第六号の一の一、二)

一、同得意先メモ帳一冊(同号の二)

一、同定期積金計算書五枚(同号の三)

一、同普通預金通帳一冊(同号の四)

一、同売掛台帳一綴(同号の一〇)

一、同借用書八通(同号の一一、一三、一四、一五の一ないし三、一六)

一、同製氷売上帳一冊(同号の一七)

一、同保管台帳一冊(同号の二二)

一、同売上資料五枚一綴(同号の二七)

一、同売掛帳一枚(同号の二八)

判事第一の事実につき

一、伊藤傑に対する大蔵事務官の質問てん末書二通

一、佐藤栄吉作成の伊藤傑に対する簿外前払金調査書

一、小泉六之介作成の取引回答についてと題する書面

一、伊藤洋、伊藤孜作成の各借入金の回答についてと題する書面

一、沢本徳見作成の簿外仕入金額のうち公表に戻入れた仕入金額の調査書(昭和四五年分)

一、昭和四五年分の所得税の修正申告書謄本

一、押収にかかる精算書七枚(昭和四九年押第六号の五、六)

一、同請求書(控)綴一綴(同号の一八)

一、同昭和四五年度売掛金台帳一冊(同号の二〇)

一、同昭和四五年分の所得税の確定申告書一綴(同号の二三)

一、同総勘定元帳一冊(同号の二五)

一、同売上資料二枚一綴(同号の二六)

判事第二の事実につき

一、加藤直吉作成の上申書

一、村尾衛一作成の借入金の回答についてと題する書面二通

一、沢本徳見作成の簿外仕入金額のうち公表に戻し入れた仕入金類の調査書(昭和四六年分)

一、昭和四六年分の所得税の修正申告書謄本

一、押収にかかる精算書三枚(昭和四九年押第六号の七、八)

一、同積送品台帳一綴(同号の九)

一、同借用書一枚(同号の一二)

一、同請求書綴一綴(同号の一九)

一、同昭和四六年度売掛金台帳一綴(同号の二一)

一、同昭和四六年分の所得税の確定申告書一綴(同号の二四)

〔法令の適用〕

被告人の判事第一、二の各所為はいずれも所得税法第二三八条第一項、第一二〇条第一項第三号に各該当するところ、いずれも懲役と罰金を併科するのを相当と認め、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判事第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法第四八条第一項によりこれを右懲役刑と併科することと、し、同条第二項により判事第一、二の各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役四月及び罰金二〇〇万円に処し、情状により右懲役刑の執行を猶予するのを相当と認め、同法第二五条に則り、本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予し、同法第一八条を適用して右罰金を完納することができないときは、金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 杉本正雄)

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