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仙台地方裁判所 平成13年(わ)573号 判決

主文

被告人A及び被告人Bをいずれも無期懲役に,被告人Cを懲役18年に,被告人Dを懲役16年に,被告人Eを懲役10年に処する。

被告人5名に対し,未決勾留日数中各150日を,それぞれその刑に算入する。

理由

(第1及び第2の犯行に至る経緯)

被告人Aは,東京都で出生し,宮城県内の中学校,高等学校を卒業後,ガソリンスタンド,運送会社,スナックなどで働くうち,昭和59年11月,トラック運転手として稼働していたFと結婚し,それを機に仕事を辞め,被告人Aの実母と共に,宮城県内において生活をしていた。被告人Aは,結婚後間もなく,Fとの間にできた初めての子供を死産し,病院側にその責任を追及しようと考えたが,Fが病院への責任追及について積極的な態度を示さず,被告人Aの悩みを理解してくれていないように思えたことから,Fを頼りなく感じるようになった。さらに,被告人Aは,スナックのホステスとして働くことをFに反対されたことなどから,同人に行動を束縛されていると感じるようになり,それらの思いが高じて,徐々にFの存在そのものが煩わしくなり,同人との性生活をもほとんど拒否するようになっていった。また,被告人Aは,昭和61年,G生命保険相互会社に保険外交員として就職し,仕事の都合で夜遅く帰宅するようにもなった。しかし,Fは,被告人Aのこのような態度を強く非難することもせず,同被告人との間にできた子供をかわいがり,平成元年初めころには,子供達と一緒に過ごす時間を増やそうと,トラック運転手の仕事を辞めて自宅近くの会社に就職し,重機オペレーターとして稼働して,月々20万円前後の給料を家計に入れ,仕事が終わると寄り道もせずにまっすぐ家に帰って子供を風呂に入れるなど,三男一女の父親として,子煩悩で真面目な生活を送っていた。

一方,被告人Aは,保険外交員としての成績を上げるために,平成元年ころから,保険加入を勧めた人に自ら消費者金融から借り入れた金銭を貸し与えるなどしたために借金が増え,平成5年ころには,借金の総額が約500万円にも上った。借金の返済に苦慮するようになった被告人Aは,日ごろから快く思っていなかったFが死亡すれば,同人を被保険者として加入していた生命保険金が手に入り,借金を返済できるなどと考えるようになり,保険の外交を通じて知り合った知人などに対して,「おらいのハゲ死んだ方がいい。そうすれば保険金が入る。」などと話していた。

被告人Aは,平成5年6月ころ,Fの勤務先や親戚から金銭を借りて,いったんは上記借金の大部分を精算した。ところが,その後間もなく,保険の外交を通じて知り合ったHと肉体関係を持ち,以後,同人との不倫関係を続けるために,多数の消費者金融から借金をしたり,実母に無断で同人の一時払い養老保険を担保に借り入れをするなどしてまで,1か月20万円以上もの多額の金銭を生活費や遊興費としてHに貢ぐようになり,再び借金が増加していった。そのため,被告人Aは,平成6年中には,単にFの死を待つのではなく,同人を殺せば生命保険金が手に入ると考えるようになり,Hをはじめとする知人に対し,「おらいのハゲうっとうしい。おらいのハゲ死ねばいい。だれか殺してけねがや。」などと話すようになった。

このころから,被告人Aは,実行犯が見つかることを前提としてではあるが,F殺害を強く意識するようになり,Fを被保険者として契約をしていた生命保険を解約されないために,消費者金融から借金をして保険料を納め続け,さらに,同年12月には,借金のために家計が苦しいにもかかわらず,Fを殺害することができた場合に手にする生命保険金額を増額しようと考え,I生命保険相互会社との間で,Fを被保険者として加入していた定期保険特約付き普通終身保険に災害や不慮の事故で死亡したときにのみ保険金が支払われる災害特約3000万円を追加するなどして,1億円まで生命保険金を増額し,他の生命保険も合わせると,Fが災害で死亡した場合には,合計2億円以上もの生命保険金が手に入るようにするなど,F殺害の準備行為を始めていた。

被告人Aは,平成7年1月ころには,その2か月前に保険の外交を通じて知り合い,Fに対する不満などを話す間柄になっていた被告人Bが現役の暴力団構成員ではなく,F殺害を依頼しても後々までゆすられることはないだろうと考え,同被告人に対し,「うちの旦那早く死ねばいいんだ。だれか殺してけねがや。」などと繰り返し話すようになった。被告人Bは,当初,被告人Aの話を単なる夫の悪口であると考えて聞き流していたものの,被告人Aが何度も繰り返しF殺害の話題を出すことから,同被告人が本気でFを殺したいと思っているのではないかと感じるようになり,「いつも言っている旦那のこと本当なのすか。」などと言って,被告人Aの真意を確かめるような言動をした。被告人Aは,このような被告人Bの反応から,同被告人がF殺害を引き受けてくれるのではないかと考え,F殺害を被告人Bに依頼し,Fを殺害した上,同人を被保険者として加入していた生命保険により多額の保険金を手に入れることを決意した。

そして,被告人Aは,平成7年2月後半ころ,宮城県内のスーパーに被告人Bを呼び出し,同店駐車場に駐車中の自動車内において,「Bさん,うちの殺してけね。殺してくれれば,保険金の半分やっから。」などと言って,F殺害の計画を持ち掛けた。その際,被告人Aは,Fを殺害した場合に手にする保険金額は,災害死亡と認定された場合には約2億円以上になるにもかかわらず,自らの取り分を多くするために,災害死亡と認定された場合には1億円の生命保険金が下り,その中から5000万円を報酬として支払うことになり,普通死亡と認定された場合には5000万円しか下りないので,その中から3000万円を報酬として支払うことになるなどと一部虚偽の事実を話し,さらに,Fの死亡原因が自殺と認定された場合には,災害死亡の場合の半分の額しか生命保険金が支払われない旨の説明もして,災害死亡に見せかけてFを殺害してほしいと依頼した。

被告人Bは,当時,住宅ローンや信販会社等からの借り入れ等による多額の借金を負い,その返済に窮していたことから,報酬欲しさにF殺害の計画に加わることを決意し,被告人Aに対し,災害死亡を装ってFを殺害する計画を考えてみる旨話して依頼を引き受け,ここに,同被告人と被告人Bは,Fを殺害し,その殺害の事実を隠してFに掛けていた生命保険金をだまし取る旨の共謀を遂げた。

被告人Bは,被告人Aからの依頼を引き受けたものの自らの手を汚してFを殺害したくなかったため,F殺害を実行してくれる共犯者を探すことにしたが,F殺害の方法については,具体的な案が何ら思い浮かばずにいた。一方,被告人Aは,早くFの殺害を実行してほしかったことから,何度も被告人Bと連絡を取り合い,Fが実家に帰るときに必ず通る農道があることを教え,「トラックぶつけて殺せ。」「おみやげ持たせれば,夕飯食べて,6時か7時には出させられるから。」などと言って殺害方法を提案し,犯行をせかせた。

被告人Bは,被告人Aの提案する方法では,F殺害は成功しないと思ったものの代案も浮かばず,同年4月ころ,覚せい剤仲間のJなどに対して,Fの殺害を持ち掛け,Jとの会話の中から,Fが実家から帰宅する途中に同人を待ち伏せし,何らかの方法で車を止めさせ,すきを見てFにハルシオンを飲ませるなどして眠らせた上,車ごと崖などから転落させるという計画の概要を固め,同年5月後半ころ,被告人Aに,Fが実家へ向かう経路を案内させた。

ところが,最終的には,JらはF殺害には加わらなかったため,被告人Bは,親交のある知人の一人として,当初からF殺害の実行犯に加わらせることを考えていた被告人DをF殺害の計画に誘い入れることにした。そこで,被告人Bは,同年6月前半ころ,宮城県内にあるコンビニエンスストアの駐車場に駐車中の自動車内において,被告人Dに対し,保険外交員からその夫を殺してほしいと頼まれたこと,夫を殺せば下りた生命保険金の半分が手に入ることなどを話し,F殺害の話を持ち掛けたが,被告人Dは即答しなかった。

一方で,被告人Bは,被告人Dのほかにも実行犯が必要であると考えていたところ,当時入院していた茨城県にある医院において,同病院に後から入院してきた被告人Cと知り合い,病院の待合室等で話をするうちに,同被告人ならF殺害に協力してくれるのではないかと考えた。そこで,同年7月中旬ころ,被告人Cに対して,保険外交員から夫を殺してほしいと頼まれたこと,夫を殺せば間違いなく保険金が下り,報酬を山分けしても一人1000万円くらいになることなどを話し,F殺害の話を持ち掛けた。被告人Cは,コンクリート圧送業を営んでいたものの,ダンプ購入等での借金がかさんでいた上,所有していたダンプを事故で廃車にせざるを得なくなり,借金の返済やこれからの生活に不安を感じていたため,1000万円という報酬目当てに,同月下旬ころ,Fの殺害計画に加わることとし,その旨被告人Bに伝え,被告人Cは,被告人Bを介して,同被告人及び被告人Aとの間に,Fを殺害し,その殺害の事実を隠してFに掛けていた生命保険金をだまし取る旨の共謀を遂げた。

被告人Bは,このころまでには,Fの殺害方法として,ポリタンクに入れた最上川の水を使って,何らかの方法でFを溺死させた上,Fの遺体を車ごと最上川に転落させることを考え,実際に,最上川の水をポリタンクにくんできたりした。

また,同年8月初めころ,被告人Bは再び被告人Dを呼び出して,Fを車ごと転落させようと考えていた山形県内の最上川までの道のりや,Fの実家等を下見しながら,報酬は一人1000万円であることや具体的な計画の説明をした。被告人Dは,報酬が手に入れば,当時結婚を考えていた女性に金銭的に楽な暮らしをさせることができるなどと考えて,F殺害の計画に加わることとし,その旨被告人Bに伝え,ここに,被告人Dは,被告人Bを介して,同被告人,被告人A及び被告人Cとの間に,Fを殺害し,その殺害の事実を隠してFに掛けていた生命保険金をだまし取る旨の共謀を遂げた。

被告人Aと被告人Bは,平日には外出しないFも,同月13日から同月16日までのお盆休み中であれば,必ず実家に帰省することから,この間にFを殺害することに決め,被告人Bは,同月13日,被告人Cと被告人Dを自宅に呼び寄せた。その際,被告人Dは,事前に被告人Bから実行犯をもう一人連れてくるように頼まれていたため,その実行犯役として,以前仕事上の面倒を見るなどした自分より年下の被告人Eを誘い入れることに決め,被告人Eに電話をかけて呼び出し,ある男を殺してほしいと頼まれていること,依頼人はその男の妻で,男を殺して下りた保険金から被告人Dが1000万円をもらうことになっていること,被告人Eにはその中から報酬を支払うことなどを話し,F殺害に加わるよう持ち掛けた。それに対して,被告人Eは,ためらいを示したが,報酬欲しさや被告人Dらに怖くなって逃げたと思われたくなかったことなどから,F殺害の計画に加わることとし,その旨被告人Dに伝え,ここに,被告人Eは,被告人Dを介して,同被告人,被告人A,被告人B及び被告人Cとの間に,Fを殺害し,その殺害の事実を隠してFに掛けていた生命保険金をだまし取る旨の共謀を遂げた。

同日,被告人C,被告人D及び被告人Eの3名(以下「被告人Cら」ともいう。)は,Fを殺害するために被告人B宅に集まり,同被告人からFが使用している車のナンバーを教えられて暗記し,前記のとおり被告人Bが用意した最上川の水の入ったポリタンクを車に積み込んだ上,被告人B宅を出発した。そして,途中,Fを拘束する際に使用する革手袋,ロープ等を購入し,F宅周辺の下見をして,同人方付近で待機した。被告人Cと被告人Dは,Fの車の前に出て車を止め,3人で相手を殴りつけて気絶させようなどと相談しながら,被告人Bから連絡が来るのを待っていた。

同日夜,Fが夕食後に実家を訪ねることになり,被告人Aはその旨被告人Bに電話連絡し,連絡を受けた被告人Bは,これを被告人Cに電話で伝え,被告人Cらは,Fが出てくるのを車内で待っていたが,Fの車を発見することができず,結局計画を実行することはできなかった。

1回目の計画が失敗したことから,被告人Aと被告人Bは改めて同月18日にF殺害を実行することとし,被告人Cらにもその旨伝達した。被告人Bは,今度こそ失敗はできないと考え,以前から自宅に保管していたクロロホルムを使ってFの気を失わせることとし,被告人Cらが乗った普通乗用自動車(以下「被告人車」という。)をFが運転する車に故意に衝突させて,示談交渉を装ってFを被告人車に誘い込んだ上,クロロホルムを使ってFを失神させ,最上川に運び,車ごと崖から最上川に転落させて溺死させることとし,被告人Cらにその旨伝え,クロロホルムの準備をした。また,被告人Cは,Fを被告人車に乗せた後にFが逃げ出せないようにするため,助手席のドアを内側から開かないように改造した。

同日,被告人Cらは,いったん被告人B宅に集まった後,被告人車で同所を出発した。被告人Cらは,被告人Cが車を追突させた上,Fを示談交渉を装って被告人車に誘い込み,被告人Dがクロロホルムをかがせて気絶させ,Fが暴れたときには3人で押さえ付ける旨の役割分担を打ち合わせた。また,被告人Cは,Fを車ごと転落させる場所について,わざわざ車で1時間以上もかかる最上川まで行くよりは,付近の海中に落とす方が簡単だと考え,その旨被告人Dと被告人Eに提案し,両名もこれに同意した。また,車のアクセルの上に氷を乗せて海に転落させれば,氷が溶けて証拠が残らないと考えて,氷を使用することも提案した。

そして,被告人Cらは,Fを転落させる場所として,最も近場の石巻工業港へ下見に行ったところ,同所は埠頭が広く,Fを車ごと転落させる場所として適していると思われたことから,同所からFを車ごと転落させることとした。さらに,被告人Cらはアクセルに乗せる氷を購入しに行き,クロロホルムを使いやすいように小さめのペットボトルに移し替え,被告人車に千葉ナンバーのナンバープレートを付けるなどして準備を整え,Fの自宅近くで,Fが出てくるのを待った。

一方,被告人Aは,Fを再び実家に向かわせる口実として,Fが実家の父にカニを食べさせたがっていたことを利用しようと考え,自らカニを購入し,Fに,夕食後実家に持っていくように話をした。Fは,被告人Aの言葉どおり,実家へカニを持って行くことにし,同日午後8時ころ,普通乗用自動車(以下「F車」という。)に乗って実家へ向かった。

被告人Aは,Fが出掛けるとすぐに被告人Bに電話でFが出発した旨伝え,被告人Bもすぐさま被告人Cの携帯電話に電話をかけ,Fが出掛けたことを知らせた。

被告人Cらは,自宅から車で出てきたFを見つけて,その後を被告人Cが運転する被告人車で追尾し,同日午後9時30分ころ,実家にカニを届けて帰宅する途中のF車が,宮城県内の国道45号線の停止線付近に赤信号で停止したことから,同所において,計画どおり,同車の後ろから被告人車で故意に追突した。

被告人Cは,追突後直ちに降車してFの所へ行き,「すいません。ちょっとよそ見をしていたもんで。」「ここでは何ですから,左側の道路の方に入って止まっていただけませんか。」「ここで現金で払っていきますが,もしその金額で足りなかったときに問題になってはいけませんので,私の連絡先等を書きますので,とりあえずカリーナに乗っていただけませんか。」などと言って,示談交渉を装ってFを被告人車の助手席に誘い入れた。その間,被告人Dは,車外に出て,Fに気が付かれないようにしながら,用意したクロロホルムをタオルに染みこませ,Fが座った助手席の後部座席に乗り込んだ。

(罪となるべき事実)

第1被告人5名は,上記経過のとおり,F(当時38歳)を殺害する旨共謀の上,平成7年8月18日午後9時30分ころ,宮城県内の路上に停止中の被告人車内において,示談交渉をしたいとの被告人Cの言葉を信用して助手席に座ったFに対し,被告人Dが,殺意をもって,やにわに同人の背後から麻酔作用を有する薬物であるクロロホルムを浸したタオルを同人の鼻口部に押し当て,被告人CもFの腕を押さえるなどして同人の抵抗を排し,同人にクロロホルムの吸入を続けさせて同人を昏倒させた上,被告人EがF車を運転し,被告人C及び被告人DがFを乗せたままの被告人車で,共に石巻工業港中島埠頭まで移動し,被告人Cが他所で待機していた被告人Bに電話連絡して同被告人を上記中島埠頭に呼び寄せ,同被告人からF車を同所付近の海中に転落させる旨の了解を取り付け,同日午後11時30分ころ,被告人Aを除く4名の被告人で,Fを運転席に乗車させた状態にしたF車を発進させて同埠頭から同所先の海中に突入させてこれを沈め,よって,上記のとおりFが昏倒した後の経過の中で,同人をクロロホルム摂取に基づく呼吸停止,心停止,窒息,ショック若しくは肺機能不全又は溺水に基づく窒息により死亡させて殺害した。

第2被告人5名は,別表記載のFを被保険者とする生命保険契約に基づく死亡保険金をだまし取ろうと企て,共謀の上,被告人Aにおいて次の各犯行に及んだ。

1  同年11月10日ころ,同県内の被告人A方において,I生命保険相互会社保険外交員に対し,同会社との間の別表1ないし4記載の各生命保険契約につき,被告人5名がFを殺害した事実を秘し,同人が不慮の事故によって死亡したものであるかのように装い,Fが同年8月18日ころ死亡した旨の死亡証明書等を添付した支払・払込免除請求書4通を提出して別表1ないし4記載の各生命保険契約に基づく死亡保険金の支払方を請求し,同年11月28日,保険金支払決定権限を有する同会社社員をして,別表1ないし3記載の各生命保険契約につき,Fの死亡が死亡保険金受取人らの故意によるものではなく,同会社に保険金の支払義務があるものと誤信させて死亡保険金合計2050万円の支払を決定させ,よって,上記社員の指示を受けた同会社従業員をして,同年12月1日,株式会社K銀行の被告人A名義の普通預金口座に上記金額を振込入金させ,さらに,平成8年2月19日,保険金支払決定権限を有する同会社社員をして,別表4記載の生命保険契約につき,上記のとおり誤信させて死亡保険金等6070万9520円の支払を決定させ,よって,上記社員の指示を受けた同会社従業員をして,同月21日,そのうちの8万5508円を未払貸付残高等と相殺させるとともに,これを差し引いた6062万4012円を同口座に振込入金させ,もって,合計8112万4012円をだまし取り,8万5508円相当の財産上不法の利益を得た。

2  平成7年11月13日ころ,前記1記載の被告人A方において,L生命保険相互会社保険外交員に対し,同会社との間の別表5記載の生命保険契約につき,前記1記載のとおりに装い,Fが同年8月18日ころ死亡した旨の死体検案書等を添付した死亡保険金請求書兼据置申込書を提出して死亡保険金の支払方を請求し,支払決定権限を有する同会社社員をして,前記1と同様の誤信を生じさせて,死亡保険金等5005万569円の支払を決定させ,よって,同人の指示を受けた同会社従業員をして,同年12月19日,そのうちの21万1169円を未払貸付残高等と相殺させ同額相当の財産上不法の利益を得るとともに,これを差し引いた4983万9400円を上記1記載の口座に振込入金させてだまし取った。

3  同年11月17日ころ,同県石巻市内において,M生命保険会社との間の別表6記載の生命保険契約につき,前記1記載のとおりに装い,上記死体検案書等を添付した支払請求書を,同会社へあてて投函し,同月21日,同会社従業員をして,同会社担当課へ郵送させて同死亡保険金の支払方を請求し,同日,支払決定権限を有する同会社社員をして,前記1と同様の誤信を生じさせ,よって,同人の指示を受けた同会社従業員をして,同月22日,株式会社N銀行の被告人A名義の普通預金口座に死亡保険金合計50万円を振込入金させてだまし取った。

第3被告人Bは,C型肝炎及び糖尿病等の病歴を有するものであるが,これを秘匿して不正に締結した自己を被保険者とする生命保険契約を利用して,入院給付金名目で金員をだまし取ろうと企て,平成8年4月15日,O生命保険相互会社保険外交員らに対し,上記病歴を秘して,自己を被保険者とする同会社との間の定期付終身保険・医療保険の契約を申し込み,同月16日,同県内の同被告人方において,同会社から嘱託された生命保険面接士に対し,真実は,これに先立つ平成6年7月31日から同年8月17日までの間及び平成7年1月10日から同年2月5日までの間,いずれも,同県内の医院において,C型肝炎等の入院治療を受け,さらに,同年3月29日から同年8月1日までの間,茨城県内の医院において,C型肝炎及び糖尿病等の入院治療を受けた事実があり,これらの事実を告知しなければならない義務があったのに,これらの事実を告知せず,過去5年間以内に継続して7日間以上入院した事実がない旨並びに過去5年間以内に肝炎及び糖尿病によって医師の治療等を受けた事実がない旨内容虚偽の事実を告げるとともに,被保険者の告知書にその旨記載して提出し,情を知らない同人を介し,上記保険契約の締結決定権限を有する同会社社員に同告知書記載の内容虚偽の事実を了知させ,同人らをしてその旨誤信させて,平成8年5月9日,同契約を締結させた。その上で,平成11年12月6日,同会社において,同社従業員に対し,上記保険契約が上記のとおり不正に加入したものであって,同契約に基づく給付金支払請求権がないのに,これを秘して,被告人Bが同年7月19日から同年11月27日までの132日間,同県内の病院において,C型肝炎及び糖尿病の入院治療を受けた旨記載のある入院証明書及び給付金支払請求書を提出して,上記契約に基づく入院給付金を請求し,給付金支払決定権限を有する同社社員をして,上記契約が告知義務に違反することなく締結されたものであって,同契約に基づいて自社に入院給付金支払義務があるものと誤信させ,よって,同人の指示を受けた同会社従業員をして,同年12月9日,株式会社P銀行の被告人B管理に係るその実母名義の普通預金口座に入院給付金等253万円を振込入金させてだまし取った。

(証拠の標目)記載省略

(事実認定の補足説明)

1  被告人Eの弁護人は,被告人Eは,他の共犯者らと保険金詐欺の共謀をしたことはなく,判示第2の詐欺罪に関しては無罪である旨主張し,被告人Eも,当公判廷において,これに沿う供述をしているので,この点について検討する。

2  関係各証拠によれば,次の各事実が認められる。

(1)  被告人Aは,夫Fを殺害して同人に掛けていた生命保険金をだまし取ろうと企て,被告人Bに対して,だまし取った生命保険金の中から報酬を支払う旨話してF殺害を依頼し,被告人Bは,この依頼を引き受け,被告人C及び被告人Dを実行犯として誘い入れた。

(2)  被告人Bは,実行犯が2名では足りないと考え,被告人Dに対して,だれかほかに共犯者を探すように指示し,その共犯者の報酬は被告人Dが受け取った報酬の中から支払うこととした。

(3)  被告人Dは,平成7年8月13日,F殺害を実行することになったことから,以前から仕事で付き合いのあった被告人Eを誘い入れることに決め,同被告人を電話で呼び出し,「実は悪い男がいるんだ。借金ばっかりしていて,家のことも全くやらない奴で,奥さんが困り果てているんだ。そいつを殺せば保険が下りて金になるんだ。お前には俺がもらった分から何ぼでもやっから。」「計画とか全部考えてあるから大丈夫だ。仲間の素性も分からないから。」「車の運転だけで構わないから。大方のことは俺らでやるから。」などと言って,被告人EにF殺害に加わるよう求めた。被告人Eは,報酬欲しさなどから,F殺害に加わることを承諾した。

(4)  被告人Eは,被告人Cと被告人Dが,Fが使用していた車の車種やナンバーを確認し合っていることや,「氷をアクセルの上に載せて走らせる。」「事故に見せかける。」などと話しているのを聞いた。

(5)  同月18日,被告人BからFが車で出掛けた旨の連絡を受けた被告人C,被告人D及び被告人Eは,F車に後ろから故意に追突し,被告人Cが示談交渉を装ってFを被告人車に誘い入れた上,被告人DがFの背後からクロロホルムをかがせ,暴れるFを被告人Cが押さえ付けた。被告人Eは,被告人Cに,「お前も押さえろ。」と言われ押さえ付けようとしたが,クロロホルムの臭気にめまいがして座り込んでいるうちに,Fが昏倒したことから,実際にはFを押さえ付けることはなかった。

(6)  その後,被告人C及び被告人Dは,Fを被告人車の助手席に乗せたまま石巻工業港中島埠頭へ行き,被告人Eは,F車を運転してその後を追従した。その後,被告人Bも加わって,Fを乗せたF車を岸壁近くまで押して行き,海中に沈めた。

(7)  被告人Dは,(3)のとおり,被告人Eに話していた内容に従い,被告人Bから,F殺害の報酬の一部として受け取った400万円の中から,被告人Eに対して,F殺害に協力してくれた報酬として,同年12月ころ及び平成8年1月ころの2回にわたり,50万円ずつ合計100万円を支払い,被告人Eも特段その趣旨に不審の念を抱くことなくこれらを受領した。

3  以上の事実を総合すれば,被告人Eは,被告人DからF殺害の計画を持ち掛けられた際,その計画が,Fを殺害した上,その事実を秘して保険会社から生命保険金をだまし取るというものであり,詐欺を遂行する上で,Fを事故死に見せかけて殺害することが当然かつ極めて重要な前提となること,F殺害の報酬が,Fの死亡保険金から支払われることを十分に認識しつつ,Fの殺害行為に積極的に加担したものと認められ,被告人Dからの殺害依頼を承諾した時点において,判示第2の保険金詐欺についても正犯者としての意思を通じて共謀が成立したと認定できるから,被告人E及びその弁護人の主張は理由がない。

(量刑事情)

1  事案の概要

本件は,被告人Aが,夫を殺害してその死亡保険金を手に入れようと考え,被告人Bに夫の殺害を依頼し,さらに,被告人Bが被告人C及び被告人Dにその実行を依頼し,被告人Dが被告人Eにも実行への関与を依頼することで順次共謀を遂げた上,被害者に対し,クロロホルムをかがせて意識を失わせ,車ごと海中に転落させるなどして殺害し(判示第1),一億三千万円余りの死亡保険金をだまし取った(判示第2)という事案及び被告人Bが,生命保険会社から入院給付金をだまし取った事案(判示第3)である。

2  各被告人に共通する情状

判示第1及び第2の犯行(以下「本件各犯行」という。)に至る経緯は,判示のとおりであるが,要するに,被告人Aが,不倫相手に多額の金員を貢ぐなどしてできた借金の返済に窮したために,日ごろから毛嫌いしていた夫を殺害して多額の生命保険金を手に入れようと考えて本件各犯行を企図し,他の共犯者らも,報酬欲しさから本件各犯行に加担したものであって,金を得るために他人の生命を奪うことを標的とするこの種犯罪は,誠に非人間的で醜悪の極みといわなければならない。

また,本件は,この種事犯特有の計画性を伴うものであるが,被告人Aにおいて,総額2億円以上もの生命保険を掛け,被告人Bが殺害を引き受けるや,同被告人と共に,事故死に見せかける方法等を話し合い,被告人Bが,具体的な殺害計画を立てて実行犯を集め明確な役割分担を決め,殺害場所の下見をするなどした上,あらかじめ,犯行に使用するクロロホルムや手袋等を用意するなど,周到な準備の下に敢行されており,その間,一度実行に失敗するや,直ちに計画を修正するなどして,ついに殺害の目的を遂げたものであって,特に計画性の程度が高く,かつ,その犯意は極めて強固であったというべきである。

殺害態様をみても,被告人Aが計画どおり被害者を車で実家へ向かわせ,被告人Cらがその後を追跡して,故意に被害者が運転する車の後部に追突し,示談交渉を装って被害者を被告人らの車の助手席に誘い込み,車内という抵抗しにくい場所で,被告人Dが突然背後から襲いかかって,クロロホルムを染みこませたタオルでその鼻口部を塞ぎ,被告人Cが被害者を押さえ付けて抵抗できないようにして意識を失わせた後,事故死に見せかけるために被害者とその車を近くの港湾まで運んだ上,何らちゅうちょすることなく,車ごと被害者を海中に転落させているのであって,確実に殺害し,犯行の発覚を防ぐ手段を講じており,極めて悪質で違法性が高い。

本件により,被害者は,愛する4人の子供を残して非業の落命をし,38歳の若さでその生涯を終えざるを得なかったものであり,しかも,本来ならば最も信頼できるはずの妻の発案によって殺害されたもので,その無念のほどは想像を絶するものがある。被害者は,子煩悩な父親であり,また,実父の健康に気を遣うなど優しい性格を有し,勤務態度もまじめで,周囲のだれからも好かれていたのであり,それだけに,被害者を失った遺族らの悲しみもまたひととおりではなく,遺族らが被告人ら(5名。以下同じ。)の極刑を望むなど,その処罰感情が極めて厳しいのも当然である。これに対し,被告人らは,何ら慰謝の措置を採り得ておらず,今後もその見込みはない。

加えて,被告人らは,被害者殺害に使用した車やタオル等を直ちに投棄するなどの罪証隠滅行為を行っており,また,被害者の遺体が容易に発見されない状況下で,あくまでも早期の保険金取得に執着し,何度も潜水業者を使うなどして遺体の捜索をし,それでも発見できないと見るや,警察あてに匿名の投書までして,被害者の遺体を発見させたものであり,被害者殺害後の犯情も悪質である。

さらに,被告人らは合計一億三千万円余りという極めて多額の保険金をだまし取るなどしており,判示第2の各犯行の被害結果も誠に重大である。本件が生命保険制度を根底から揺るがしかねないものである上,保険金目当てに夫を殺害し,多額の保険金を手に入れたという事案の性質に照らせば,本件各犯行が社会に与えた衝撃も大きかったと認められる。

以上によれば,被告人らの刑責は極めて重大である。

3  個別的情状

(1)  被告人Aについて

被告人Aは,不倫相手に多額の金銭を貢ぐなど,自らの一方的な不行跡により,多数の消費者金融等から借金を重ねるようになり,その返済のために,独り善がりの感情から日ごろ快く思っていなかった夫を殺害して多額の保険金を手に入れたものであって,その身勝手さ,冷酷さは,被告人らの中でも一際顕著である。被害者の妻である被告人Aがこのような常軌,人倫を踏みはずした考えをもたなければ本件各犯行がおよそ企図されなかったことは明らかであり,その意味で,同被告人は本件各犯行の首謀者というべきであり,最も重い刑責を負うものであることは疑いの余地がない。

また,被告人Aは,直接殺害の実行行為にかかわっていないとはいえ,その実現に強い意欲を示して被告人Bにその実行をせかし,同被告人に被害者が実家へ行くときに通る道を教えたり,被害者の善意を利用し同人を実家へ向かわせる口実を作ったりしているのであって,被害者殺害の実現に向けても積極的な役割を担っていたといえる。さらに,詐欺に関しては,被害者殺害を被告人Bに正式に依頼する直前に,被害者が災害や不慮の事故で死亡したときにのみ保険金が支払われる災害特約を追加するなどして,災害死亡時に受け取る保険金額を増額し(この点,被告人Aは,知り合いの保険外交員に見直しを勧められて増額しただけであると供述するが,同被告人方の当時の家計状況や災害特約の付加が保険外交員の成績にはつながらないことなどの事情に照らせば,同被告人の供述は信用することができない。),また,前記のとおり被害者の遺体発見に異常な執着をみせ,遺体が発見されるや,良心のためらいもなく,驚くほどの早さで保険金請求に必要な書類を整え,他の遺族の悲しみに目もくれず,葬儀の日取りも意に介さず喜々として保険金請求手続をしているのであって,このような点にも,犯意の強固さと人間性の欠如が如実に見て取れる。

そして,被告人Aは,本件犯行によって約一億円にも上る保険金を手にし,しかも,その全額をわずか2年半ほどの間に不倫相手に貢ぐなどして使い果たしているのであって,幾度となくあった自らへの呵責と内省の機会にことごとく背を向け続けたもので,その利得額の多さと生活ぶりの乱れにも,一層の責任の重さを認めざるを得ない。

以上のような諸事情にかんがみると,被告人Aの刑責は極めて重大であり,むしろ極刑に近いものがあるというべきであって,同被告人が現在では本件各犯行に対する反省を深めつつあること,交通事犯の罰金前科以外前科がないこと,両親の離婚等幼少時の家庭環境には必ずしも恵まれないところがあったこと,実母が書面中で同被告人の更生を願う旨の心情を表していることなど同被告人にとって酌むべき事情を最大限有利に考慮しても,なお同被告人の刑責に,その生涯をかけて償うべきほどの重さがあることは明らかである。そこで,同被告人を無期懲役に処するのが相当であると判断した。

(2)  被告人Bについて

被告人Bは,被害者との面識はなく,個人的な恨みがあるわけでもなく,被告人Aから支払われる保険金欲しさという極めて身勝手な動機から,それなりの打算も働かせて同被告人からの被害者殺害の依頼を引き受け,これにより,本件各犯行を飛躍的に現実化に向かわせたものであって,それだけ犯行に対する責任も重いというべきである。

さらに,その後本件各犯行が敢行されるに至る間に,被告人Bが果たした役割についてみても,依頼者である被告人Aと連絡をとりながら,種々計画の具体化に腐心する一方で,実行犯の選別,確保も手掛け,被告人Aと他の被告人との間の意思統一を図るなど,本件犯行に向け常に中心的な企画立案者として主導的な役割を果たした上,自らも被害者の車を海中に転落させるなどの実行行為に加担しているのであって,この点でもその刑責は,被告人Aと同様極めて重いといわなければならない。

また,被害者殺害後も,犯行に使用した車の投棄や,警察への投書に関与しているほか,被告人Aを除く他の共犯者中最も多額の千数百万円にも上る利益を得,その全額を短期間のうちに借金の返済や遊興費等に使い切っているのであって,その利得額や犯行後の行状の面でも,かなりの刑責の重さを肯定せざるを得ない。

加えて,被告人Bは,仕事をせずに入院給付金で生活をしようという安易,怠惰な考えから,自己の病歴を隠して多数の生命保険会社と保険契約を結び,その一環として,本件起訴に係る二百数十万円もの入院給付金の詐欺に及んでいるのであって(判示第3),同被告人の規範意識の欠落は甚だしいといわざるを得ない。

以上によれば,被告人Bの刑責もまた被告人Aに準じて著しく重いといわざるを得ず,被告人Bが現在は本件各犯行を十分に反省していること,前科がないこと,元の妻が同被告人の社会復帰を待つ旨述べていること,養育すべき子や年老いた両親がいることなど同被告人にとって酌むべき事情を最大限有利に考慮しても,その刑責は有期懲役刑にとどまるものではなく,同被告人に対しても無期懲役刑を選択することはやむを得ないと判断した。

(3)  被告人Cについて

被告人Cは,借金返済のための金欲しさから,被告人Bから持ち掛けられた被害者殺害の計画に安易に参加し,しかも,その後,同被告人に積極的に殺害方法を提案し,実行行為の際には,率先して偽装用のナンバープレートや氷を用意し,実行犯のまとめ役となり,具体的な行動につき指示,提案するなど実行行為の中心的な役割を果たしたものであり,その刑責は,被告人A及び被告人Bを除く実行犯中では最も重いというべきである。

また,被告人Bと同様,犯行後車の投棄などの罪証隠滅行為を行ったほか,同被告人から四百数十万円もの報酬を受け取った後にも,更に報酬を支払うようしつように要求するなどしており,犯行後の行状も問題性が高い。

他方,被告人Cについては,本件各犯行を十分に反省していること,交通事犯の罰金前科以外前科がなく,妻とその子が同被告人の更生を願っていることなど酌むべき事情も認められるけれども,同被告人の本来の刑責の重さが上記のとおりであることからすると,同被告人を主文掲記の刑に処するのはやむを得ないと判断した。

(4)  被告人Dについて

被告人Dは,本件犯行時において,特段借金を負っていたという事情もないにもかかわらず,被害者を殺害して保険金が手に入れば,当時,結婚を考えていた妻に経済的に楽な生活をさせられるのではないかという極めて自己中心的で身勝手な動機によって,殺害の実行行為に加担している点がまず責められるべきである。

また,被告人Dは,被告人Bから実行犯の確保を指示されるや,年下の被告人Eを言葉巧みに本件犯行に引き入れ,また,実行行為に際しては,クロロホルムを被害者にかがせて被害者の気を失わせるなどの,重要な役割を果たし,さらに,殺害行為によって四百数十万円もの多額の報酬を手にしているのであって,被告人Dの刑責も被告人Cに準ずる程度の重さがあるというべきである。

他方,被告人Dには前科がなく,勤務先の代表者が同被告人の社会復帰後の雇用を約束し,実父共々同被告人の監督を誓っており,同被告人自身も十分に反省を示していることなど同被告人にとって酌むべき事情も認められるけれども,やはりその本来の刑責の重さにかんがみると,同被告人を主文掲記の刑に処するのはやむを得ないと判断した。

(5)  被告人Eについて

被告人Eは,被告人Dから被害者殺害への関与を持ち掛けられた際,特に脅迫等までされたわけでもないのに,メンツへのこだわりなどもあって,結局これを承諾し,他の実行犯に同行し,被害者を車ごと海に落とすなどの実行行為にも加担しているのであって,その刑責が実行犯の中で著しく軽いということはできない。

また,被告人Eは,本件各犯行後にも,覚せい剤取締法違反の罪によって2度も有罪判決を受け,服役していることなどを併せ考慮すると,その規範意識には相当の問題があるといわざるを得ない。

他方,被告人Eは,本件各犯行において終始従属的な立場にあったことは否定できず,犯行による報酬についても,もともと他の共犯者のような執着はなく,実際に得た額も,共犯者中では格段に少ないものにとどまったこと,本件各犯行を十分に反省していること,本件と併合罪関係にある上記覚せい剤取締法違反の罪ですでに服役をしていることなど,同被告人にとって酌むべき事情も認められる。

以上の諸事情を総合的に考慮し,被告人Eを主文掲記の刑に処するのが相当であると判断した。

4  結論

よって,主文のとおり判決する。

(求刑 被告人A及び被告人Bにつき無期懲役,被告人Cにつき懲役20年,被告人Dにつき懲役18年,被告人Eにつき懲役13年)

(裁判長裁判官 畑中英明 裁判官 佐々木直人 裁判官 大塚さや子)

(別表添付省略)

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