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仙台地方裁判所 平成11年(行ウ)5号 判決

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告が原告に対し平成一〇年一二月二五日付けでした別紙文書目録番号一ないし五,四三,四四,四五(ただし,部分開示されたものを除く。),五三,五五ないし五七及び七〇の文書を開示しないとの処分を取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

(一) 原告は,平成五年六月二四日,地方行財政の不正を監視・是正すること等を目的として結成された権利能力なき社団である。

(二) 被告は,宮城県情報公開条例(平成二年宮城県条例第一八号。以下「県条例」という。)二条一項の実施機関である。

2  本件処分の存在

原告は,被告に対し,平成一〇年一一月一六日付けで,県条例五条一項二号に基づき,「文部省の委嘱事業費の不正支出の調査に関する一切の資料」(以下,この不正支出を「本件不正支出」という。)の開示を請求したところ,被告は,平成一〇年一二月二五日,別紙文書目録番号一ないし七八の文書を特定した上,このうち番号一ないし五,四三,四四,四五(ただし,部分開示されたものを除く),五三,五五ないし五七,七〇の各文書(以下「本件公文書」という。)につき,県条例九条五号及び七号に該当するとの理由で,開示しない旨の決定(以下「本件処分」という。)をした。

3  本件処分の違法性

本件処分は,県条例九条五号及び七号の非開示事由が存在しないにもかかわらず,本件公文書を非開示としたものであり,違法である。

4  よって,原告は,本件処分の取消しを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1及び2は認める。

2  請求原因3は争う。

三  被告の主張

1  会計検査制度等

(一) 会計検査院は,国の収入支出の決算や法律で定められた機関等の会計を常時検査し,会計処理が適正に行われるように客観的で公平な立場から検査する憲法上の機関・国家財政監督機関であり,その検査は,国等の機関において,予算・法令に違反するなどの不当な経理又はその他の不適切な事態を指摘するだけではなく,その原因を究明して当該不適切な事態の是正改善を図ることも目的としている(会計検査院法二〇条二項,二九条三号,七号,八号,三四条,三六条)。

(二) 会計検査院は,国の会計はもとより,国が補助金その他の財政援助を与えている都道府県などの会計も対象として実地検査を行っているが,この実地検査において違法・不当な経理を発見した場合は,更に詳細な事実関係を把握するとともに,同種の事案・他年度分などについても対象範囲を拡大するなどの目的で検査を継続する場合がある。この場合,受検者(以下「受検庁」という。)に協力を求め,調査の方法とその調書の様式及び添付資料等を示すなどして,一定の調査の実施とその調査結果に関する報告書の作成を依頼し,その提出を受けて実地検査の内容を補完している。

このような特別の目的で検査するため,会計検査院が受検庁に作成・提出を依頼し,その協力を得て取得するものを「特別調書」という。

特別調書には,会計検査という目的達成のために,一般には公表されていない情報(個人情報を含む。)が記載される場合も多い。

そして,特別調書は,会計検査院法二六条に基づく質問書を発する際の最重要の基礎資料とされるものである。

(三) 会計検査院では,このような特別調書及びそれに基づいて発せられる質問書に対する受検庁の回答より得た資料等を重要な資料として,各局の検査報告委員会で審議した後,官房に設けられている検査報告調整委員会で再度審議して問題点の検討,各局間の総合調整等が行われる。そして,右検査報告調整委員会の審議結果を基に,事務総長の審議に付され,さらに,検査官会議における最終的検討が加えられる。そこで可決されたものだけが,「決算検査報告」に掲記されることになる。

決算検査報告は,会計検査院が一年間にわたって実施した検査の成果を明らかにした文書で,決算とともに内閣に送付され,内閣から国会に提出される(憲法九〇条一項)。決算検査報告は,国民が予算執行の現状及び検査結果について知ることができる重要な報告文書であり,その掲記事項については,会計検査院における記者会見等を通じ,マスコミ等により広く報道されている。

(四) 会計検査院においては,会計検査院の正式な指摘事項ないし検査結果として決算検査報告に掲記し,外部に公表することが検査官会議で最終的に議決されたもの以外の検査結果については,公表しない取扱いとし,また,最終的な会計検査院の見解として整理されるまでの審理過程についても公表しない取扱いをしている。

その理由は,憲法上の独立機関・国家財政の監督機関として,公正な審理を尽くした上で最終的な判断を行う必要があることから,外部の圧力・干渉等を排除する必要があるからである。

2  本件公文書の性質・内容

(一)(1) 本件公文書は,会計検査院が被告に対し,平成一〇年四月実施の宮城県会計実地検査(文部省所管歳出予算関係)の結果を踏まえ,その作成・提出を指示・依頼したことに基づき作成・提出されたものであり,会計検査院が,宮城県知事に対し,本件不正支出に関し,会計検査院法二六条に基づく質問書を発する際に最重要の基礎資料とされたものである。

(2) 本件公文書は,特別調書である不正支出額調書(別紙文書目録一ないし四の文書)並びにその添付資料としての各種集計表(別紙文書目録五の文書)及び各種関係資料等(別紙文書目録四三ないし四五,五三,五五ないし五七,七〇の各文書)で構成されている。

(二)(1) 不正支出額調書は,本件不正支出の全容等について,会計検査院の検査の着眼点に基づいて,これらに関する主要な情報を整理し直し,その不正支出の有無・内容等についての整理・判断を書面上一覧できるものとして作成されているものであり,また,実地検査等において担当調査官により作成される事情説明書の要点が記載されるような形での作成が指示されているものである。そこには,多数の関係者の人名等とともに,本件不正支出の全容が,一定の分類に従って記述されている。また,ク欄,ケ欄には,それぞれ会計検査院としての事実認定の内容・方法と,当該事実認定の基礎資料である関係書類が記載されている。

(2) 各種集計表は,不正支出額調書の記載内容について,一定の観点から整理し直した上,精緻な分析を行うための資料として作成が指示されたものであり,不正支出額調書の記載と内容的に同一性ないし密接な関連性を有する検査結果の分析資料である。

(3) 各種関係資料等は,不正支出額調書の記載内容を基礎付ける各種の関係資料又はその記載内容を補完するための各種の補充資料として,会計検査院が,被告に対し,その収集・整備を指示・依頼し,又はそれを新たに作成の上,提出するよう指示・依頼したものであり,会計検査院による不正な経理操作に係る事実認定を支える個別具体的な基礎資料となっている。

(4) このように,本件公文書は,全体として有機的な関連性を持った一個の検査資料というべきものとして成立しているものであって,本件不正支出の事態に対する会計検査院の検査結果の全容(会計検査等における事情説明者等の官職氏名等個人情報を含む。)が記載されており,会計検査院の本件不正支出の事態の解明に至る検査過程,検査の着眼点,検査手法,検査のノウハウ(以下「本件検査手法」という。)を含む会計検査院の検査活動の全容が,ある程度の具体性と明瞭さをもって読み取ることが可能な状態で記載されている。

3  本件処分の適法性

本件公文書は,県条例九条五号及び七号に該当するものであるから,本件処分は適法である。

(一) 県条例九条五号該当性

(1) 県条例九条五号は,「国又は地方公共団体その他の公共団体(以下「国等」という。)の機関からの協議,依頼等に基づいて作成され,又は取得された情報であって,公開することにより,国等との協力関係又は信頼関係が損なわれると認められるもの」に該当する情報が記録されている公文書については,実施機関はこれを開示しないことができる旨規定している。

これは,県民の公文書の開示を請求する権利と公益との調和を図る規定の一つである。すなわち,県の行政は,国等との密接な関係の下に執行されていることから,右規定は,県と国等との間における現在又は将来にわたる継続的で包括的な協力関係又は信頼関係を維持することによって,行政の適正かつ円滑な執行を図るという公益上の要請から,公開することによりこれらの関係を損なうと認められる情報が記録されている公文書は,非開示とすることができる旨を定めたものである。

そして,「公開することにより,国等との協力関係又は信頼関係が損なわれると認められるもの」とは,国等において,その情報を公表することが客観的ないし制度的に想定されていない場合をいうものと解される。

(2) 前段該当性

前記1のとおり,会計検査院と受検庁との関係は,単に検査者と受検者という相対立する関係にとどまるものではなく,受検庁が,会計検査院に積極的に協力することにより,適切な事実の確認及び評価が初めて可能となり,それに基づいて,受検庁が必要な是正措置を講じ,事務事業の適正かつ有効な執行を図ることができるという意味で,協力関係にある。

本件公文書は,このような協力関係の下で,被告が会計検査院の依頼により,実地検査の内容を補完するために特別調書及びその添付資料として作成した文書である。

(3) 後段該当性

ア 前記1(四)のとおり,会計検査院においては,会計検査院の正式な指摘事項ないし検査結果として決算検査報告に掲記し,外部に公表することが検査官会議で最終的に議決されたもの以外の検査結果及び最終的な会計検査院の見解として整理されるまでの審理過程については,公表しない取扱いをしている。

そして,前記2のとおり,本件公文書は,会計検査院の実地検査の過程で作成された特別調書であり,会計検査院が,宮城県知事に対し,本件不正支出に関し,質問書を発する際の最重要の基礎資料となったものである。

したがって,本件公文書を公表することは,会計検査院における公正な審理・判断の確保に支障を来すおそれがあり,現行の会計検査制度上全く想定されていないものである。

イ また,前記2(二)(4)のとおり,本件公文書には,本件不正支出の事態に対する会計検査院の検査結果の全容が記載されているのであり,本件検査手法を示すものとなっている上,新たな検査の着眼点の提供,これに基づく新たな検査手法の開発等,今後の検査の実施のための有力な情報・資料となるものをも含んでいる。

このような文書を開示した場合,会計検査院の検査業務に支障を来す現実的かつ具体的なおそれがある。

ウ このような事情から,会計検査院は,本件公文書に対する開示請求に対しては,非開示として対処するよう被告に要請した。

エ 以上のとおり,本件公文書を開示することは,現行の会計検査制度並びに本件公文書の性格及び内容にかんがみると,客観的ないし制度的に想定されていないことであり,被告が本件公文書を開示することは,被告と会計検査院との協力関係,信頼関係を損なうこととなるものである。

(二) 県条例九条七号該当性

(1) 県条例九条七号は,「県の機関又は国等の機関が行う検査,監査,取締り,争訟,交渉,渉外,入札,試験その他の事務事業に関する情報であって,当該事務事業の性質上,公開することにより,当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなり,又はこれらの事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれのあるもの」に該当する情報が記録されている公文書については,実施機関はこれを開示しないことができる旨規定している。

(2) 前段該当性

「検査,監査,取締り」とは,県又は国等の機関が権限に基づいて行う検査,指導監査,取締り等をいうところ,会計検査院が行う検査活動は,当然この「検査」に含まれるのである。

そして,本件公文書は,会計検査院の検査の過程においてされた指示・依頼に基づき,被告が作成・提出したものであるから,「国等の機関が行う検査に関する情報」が記録されているものである。

(3) 後段該当性

ア 「目的が達成できなくなり,又はこれらの事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれのあるもの」とは,①公開することにより,事務事業を実施しても,予想どおりの成果が得られなくなるおそれのあるもの,②公開することにより,特定の者に不当な利益又は不利益を与えるおそれのあるもの,③公開することにより経費が著しく増大したり,事務事業の実施が大幅に遅れるなど,行政の質の低下を来すおそれのあるもの,④公開することにより,事務事業の実施のために必要な情報や関係者の理解・協力が得られなくなり,又は経済的,財政的利益を失うおそれのあるもの,⑤その他公開することにより,その地方自治体又は国等の事務事業の公正かつ円滑な執行に支障が生じるおそれのあるものをいい,「支障が生ずるおそれ」とは,その情報を公開することにより,支障が生じる抽象的危険,すなわちその可能性があれば足り,一般に,そのような危険性が具体的に存在することまでは必要ないものと解される。

イ 本件公文書を開示した場合,次のような支障が生じるおそれがある。

(ア) 本件公文書は,会計検査という目的達成のため,一般にはその記載内容をそのまま開示することはないとの前提で,関係者及び受検庁である被告の理解と協力を得て作成され,会計検査院に提出されたものである。

すなわち,本件公文書には,会計実地検査において,担当調査官が関係職員に直接面会し,事情聴取を行った場合における当該関係者等(以下「事情説明者等」という。)の官職氏名及びその聴取結果,並びに会計実地検査終了後に会計検査院の依頼を受けて宮城県の担当者が関係者に同様の事情聴取を行った場合における事情説明者等の官職氏名及びその聴取結果等が記載されている。そして,この場合,事情説明者等は,会計検査の目的を理解し,その目的達成に協力する意思で,このような事情聴取を中心とする調査に応ずるなどしているものであり,その官職氏名及び具体的な説明内容等,さらには,これらを記載した本件公文書の内容がそのまま開示されることはないとの前提で調査に協力しているものである。

そして,前記1(四)のとおり,このような前提に対する信頼は,単なる各事情説明者又は受検庁における主観的な期待に止まるものではなく,事情説明者等,受検庁及び会計検査院のいずれにおいても当然の前提としている会計検査院の検査過程・審理過程の不公表の取扱いに対する制度的・客観的な信頼である。

本件公文書の記載内容がすべて開示されるとなれば,今後,会計検査院が,会計検査上の必要から一定内容の調査の実施を企図し,担当調査官が自ら又は受検庁の協力を得て事情聴取を中心とした必要な調査を行う場合に,受検庁から十分な理解と協力を得られなくなるという重大な結果を招来するおそれがある。

(イ) 国の予算の執行に関して行われる不正経理は,組織的かつ全国的な規模で,長年にわたって慣行的に行われていることが多い。外部からの指摘による発覚を免れ得るよう巧妙な隠蔽工作が施されている場合が少なくなく,会計検査院の検査に対する受検庁の抵抗も悪質で巧妙な形をとる。会計検査院の調査官は,それをかいくぐるようにして検査の端緒をつかみ,真相を解明していくのであるが,その過程で駆使される本件検査手法は,会計検査院の特別なノウハウである。

そして,組織的な不正経理の事態を指摘する上で最も重要なことは,不正に行われていた経理操作に関する事実認定であり,より具体的には,不正な経理操作を基礎付ける証拠資料(書面証拠及び供述証拠)を十分に収集・整備することにより,不正経理に係る事実関係を確定させることである。強制処分の権限を背景としていない会計検査院の検査にとって,このような検査手法に関する内部情報・資料の蓄積は極めて重要な意味を持つ。

本件公文書には,本件不正支出の事態の全容のみならず,事態の解明に至る本件検査手法を含む会計検査院の検査活動の内容それ自体について,ある程度の具体性と明瞭さをもって読みとることが可能な情報が記載されているのである。したがって,本件公文書が開示された場合,その後に会計検査院が公表する検査結果と併せて,会計検査院の行う本件検査手法が公表されて外部に流出することになるばかりか,強制捜査ができない会計検査院にとって内部に保持,秘匿すべき新たな検査の着眼点,検査手法開発等,今後における同種の検査の実施に際しての重要な内部情報・資料までもが流出することになってしまう。かかる事態になれば,受検庁に対し,会計検査院の組織的な不正経理の全容解明に至る検査活動内容の詳細を知らしめることになるのみならず,結果的に事実上の検査妨害を含む周到な会計実地検査対策を行う術をも知らせてしまうことになる。

(ウ) このように,関係者の協力が得られず,会計検査のノウハウが流出する事態は,検査費用が著しく増大したり,予算及び会計法令が予定する事務事業の適正な実施が実現されないなど,国等が経済的,財産的な利益を失うおそれを生じさせるものである。

四  被告の主張に対する原告の認否及び反論

1  被告の主張1のうち,(一)は認め,その余は不知。

2  同2のうち,(一),(二)(1)ないし(3)は不知,(二)(4)は否認する。

3  同3は争う。

4  原告の反論

(一) 県条例九条五号該当性について

(1) 県条例九条五号の趣旨は,情報公開制度が,公正で開かれた行政の確保と促進を目的としていることにかんがみれば,国等の機関からの依頼に基づいて作成され,又は取得された情報も積極的に公開すべきではあるが,中には,公開することによって県と国等との間における協力関係・信頼関係を損ない,あるいは将来にわたる継続的で包括的な協力関係・信頼関係を損ない,その結果,県民全体の利益が損なわれる場合があることから,そのような協力関係・信頼関係が損なわれると具体的に認められる情報については,その開示義務を免除したものと解される。

この趣旨からすれば,「国等との協力関係又は信頼関係が損なわれると認められる」とは,国等との協力関係又は信頼関係が損なわれる客観的可能性が認められることを意味し,抽象的一般的可能性や実施機関の主観的危惧では足りないというべきである。

そして,本件公文書の開示によって会計検査院との「協力関係又は信頼関係が損なわれる」か否かは,開示されることが想定されていないことそれ自体ではなく,開示されることが想定されていない理由いかんによって決せられるべきである。

(2) 本件では,県条例九条五号後段に該当する事情は存在しない。

ア 本件公文書が開示され,広く県民の知るところとなったとしても,それが会計検査院の確定した事実であるとか,会計検査院の意見表示であるとか,会計検査院の処置要求であると受け取られる可能性は皆無であるし,そもそも被告の作成した本件公文書を被告が開示したからといって,会計検査院の被告に対する信頼が損なわれることにはならない。

イ 本件公文書が開示されたからといって,会計検査院における公正な審理と判断の確保を困難にする結果を生ずるとは,到底考えられない。

確かに,会計検査の途中で検査資料が開示されれば,公正な審理と判断の確保を困難にする事態が発生するおそれがないとはいえないが,調査の完了後に検査資料が開示されたからといって,公正な審理と判断の確保を困難にする事態が発生することはない。

また,本件公文書は,会計検査院が会計検査院法二六条に基づく質問の前段階として被告に作成・提出を依頼した文書であるとしても,本件公文書には会計検査院の検査結果は一切記載されていないのであるから,それの公開によって会計検査の結果が公開されることは,あり得ないことである。

ウ 本件では,会計検査院の主張する本件検査手法の流出等の懸念が合理的な理由に基づくものであることについての具体的主張立証は,何らされていないから,本件検査手法の流出等の点を理由として本件処分を正当化することは許されない。

(二) 県条例九条七号該当性について

(1) 県条例九条七号は,情報公開制度が,公正で開かれた行政の確保と促進を目的としていることにかんがみれば,行政執行に関する情報も積極的に公開すべきではあるが,中には公開することによって県民全体の利益を損なったり悪用されるなど,かえって行政の公正ないし適正な執行を妨げる場合があること,具体的には,県が行う事務事業の中には,入札や試験に関する事項のように,その性質や目的から見て執行前あるいは執行過程で情報を公開した場合,当該事務事業の実施の目的を失い,又は公正かつ適正な執行を害するものがあること,交渉や争訟のように,その性質上,最終的な合意の成立あるいは紛争の解決に向けて関係者間で継続的な折衝と調整が必要とされ,その過程で出された意見などを公開することにより,自由な発言や意見交換が妨げられるおそれや同種事案の処理に支障を来す可能性のあるものも存することから,そのような情報について開示義務を免除したものと解される。

この趣旨にかんがみれば,同条七号にいう「当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなり,又はこれらの事務事業の公正若しくは円滑な遂行に支障が生ずるおそれ」とは,単に抽象的な可能性を意味するのではなく,当該事務事業の性質や目的から見て,かかる可能性が具体的に存する場合を意味すると解すべきである。

(2)ア 被告は,本件公文書には事情説明者等の官職氏名その聴取結果などが記載されており,かつ,事情説明者等はこれらの内容がそのまま公開されることはないとの前提で調査に協力しているのであるから,本件公文書の記載内容がすべて公開されると,今後会計検査院が特別調書の作成・提出を受けようとする場合に,受検庁から十分な理解と協力を得られなくなるおそれがある旨主張する。

しかし,会計検査院が行う国の収入支出の決算の検査に対し,積極的に協力することは公務員としての当然の責務である。本件での事情説明者等は,宮城県の職員であり,上司の職務命令に基づき,勤務時間中に,自らがかつて職務として行った事項について職務として事情を説明する以上,「公開しないことを条件にする」などという自由は存在しない。この点は,他の自治体の公務員においても同様である。したがって,被告の右主張は,単に会計検査院の杞憂に基づくものである。

仮に,本件公文書が公開されることを理由として会計検査への協力を拒否するといった事態に配慮するとしても,事情説明者等の官職氏名のみを非開示とすれば十分であり,本件公文書全部を非開示と主張する必要は全くない。

さらに,不正経理の事態は,会計検査院の決算検査報告書に掲記されるのであり,それを読めば,誰が,どのようなことを説明したかは,おおよそ推知することができ,そうだとすれば,不正支出額調書の公開による支障をことさら問題とする必要はないといえる。

また,会計検査院に強制捜査権がないとしても,会計検査院法上,受検庁の計算書及び証拠書類提出義務(会計検査院法二四条),会計検査院の帳簿等の提出を要求する権利及び質問若しくは出頭を要求する権利(同法二六条)が明記されており,受検庁が,そのような明文の規定に違反して検査を拒否するような事態は,通常ではあり得ないことである。

さらに,仮に特別調書の作成・提出という手法を採ることができなくなったとしても,それによって,会計検査院法二六条に基づく質問書を発することに支障を来すことになるとは考えられない。

イ 被告は,本件公文書には本件検査手法が記載されており,本件公文書が公開されると,受検者に検査を逃れる術を知らせることになるなどして検査の目的が達せられなくなる旨主張する。

しかし,会計検査院の行う検査は,要するに会計監査であり,その検査について,通常の会計監査と異なる特別なノウハウがあるとは考えられない。また,本件公文書が外部へ流出することを防止するための措置が何ら採られていないことからすれば,本件公文書に本件検査手法が記載されているとは到底考えられない。

仮に,本件検査手法が存在し,特別調書及びそれに密接に関連する文書が実地検査と同様の手法で作成されるとしても,論理必然的に,特別調書及びそれに密接に関連する文書の内容から,本件検査手法が自ずと推知されるということにはならない。

理由

一  請求原因1(当事者)及び2(本件処分の存在)は,当事者間に争いがない。

二  証拠(乙八,九,証人A,証人B,調査嘱託の結果)及び弁論 の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

1  会計検査院制度等について

(一)  会計検査院は,国の収入支出の決算や法律で定められた機関等の会計を常時検査し,会計処理が適正に行われるように客観的で公平な立場から検査する憲法上の機関・国家財政監督機関であり,その検査は,国等の機関において,予算・法令に違反するなどの不当な経理又はその他の不適切な事態を指摘するだけではなく,その原因を究明して当該不適切な事態の是正改善を図ることも目的としている(会計検査院法二〇条二項,二九条三号,七号,八号,三四条,三六条。以上の事実は,当事者間に争いがない。)。会計検査院の職員数は,約一二〇〇名である。

(二)  会計検査院は,国の会計はもとより,国が補助金その他の財政援助を与えている都道府県などの会計も対象として実地検査を行っているが,この実地検査において違法・不当な経理を発見した場合は,更に詳細な事実関係を把握するとともに,同種の事案・他年度分などについても対象範囲を拡大するなどの目的で検査を継続する場合がある。この場合,受検庁に協力を求め,調査の方法とその調書の様式及び添付資料等を示すなどして,一定の調査の実施とその調査結果に関する報告書の作成を依頼し,その提出を受けて,実地検査の内容を補完している。

(三)  右(二)のように,会計検査院では,受検庁に特別調書の作成・提出を依頼することがあるが,特別調書の作成は,まず,受検庁が,会計検査院が自ら行った実地検査の結果を踏まえた同院の指示・依頼に基づき,関係者からの不正経理の内容等の事情を聴取し,裏付け資料の収集等を行い,さらに,会計検査院が右調査結果を精査・確認して記載内容の補充,訂正等を求めて作成されるものである。したがって,特別調書には,会計検査院による実地検査及びそれに引き続いて行われた受検庁による調査内容の全容が記載されているものであり,事情説明者等の名前等が記載されることも多い。

このように特別調書の方式が採用されるのは,次の理由による。すなわち,会計検査院が,実地検査において不正経理等を発見・指摘し,不正経理等の全容を解明するためには,過去数年分にさかのぼり,支出負担行為決議書を中心とする会計書類及び外形上の矛盾を生じないよう細工されたものを含む膨大な関係書類等をすべて検証・突合し,また,不正経理に関与した多数の関係者に対し網羅的な事情聴取を実施するなどして,これらの関係書類の成立ないし記載内容の真偽等及び架空経理等の実態等について,多数の関係者の理解と協力を得つつ,確認を行うことなどが必要であるが,この作業には膨大な時間と労力を要する。このことは,組織的に大規模な不正経理が行われてきたような場合に特に顕著である。ところが,会計検査院の人員は前記のとおり約一二〇〇名にすぎないところ,右程度の人員で,地方公共団体を含む多くの機関を検査対象として多岐にわたる検査事項を抱える会計検査院が,自ら全部の関係者から事情を聴取し,必要な裏付け資料を収集することは,実際上不可能であり,必然的に,検査対象である事務事業を担当している受検庁に対し,このような事情聴取,裏付け資料の収集等を行う等の協力を求めることが必要となるものである。

そして,会計検査院は,この特別調書を重要な基礎資料として,受検庁に対し,質問書を発し(会計検査院法二六条),受検庁に事実の確認とその是正についての公式見解の表明を求めるが,受検庁は,特別調書の提出までの間の協議によって会計検査院と共通の認識に立っていることが多いため,会計検査院の質問書をそのまま認める例が多い。

(四)  会計検査院では,会計検査院法二六条の質問書に対する右のような回答を得た後,当該事項を決算検査報告に掲記して国会に報告する案件として相当か否かの審議に入るが,会計検査院の検査結果については,すべて公表されるという取扱いにはなっておらず,院内部の各段階における審理を受け,そこで可決されたものだけが,「決算検査報告」に掲記されることになる。

具体的には,各検査結果は,担当課内で審理・決裁を受けた後,各局に置かれる検査報告委員会において一読会から三読会までの審理を受け,これを通ると,官房の検査報告調整委員会,さらには事務総長審議を経た後,検査官会議において一読会から三読会までの審理を受け,可決されることによって,初めて検査報告掲記事項として外部に公表されることになっている。このような審理の過程で,様々な問題点の指摘や否定的な評価を含む意見が出されたことなどにより決算検査報告に掲記されない検査結果は,毎年相当数に上る。

そして,会計検査院においては,会計検査院の正式な指摘事項ないし検査結果として決算検査報告に掲記し,外部に公表することが検査官会議で最終的に議決されたもの以外の検査結果については,公表しない取扱いをし,また,最終的な会計検査院の見解として整理されるまでの審理過程についても,公表しない取扱いをしている。

その理由は,憲法上の独立機関・国家財政の監督機関として,公正な審理を尽くした上で最終的な判断を行う必要があることから,外部の圧力・干渉等を排除する必要があると考えられていることにある。

(五)  そして,決算検査報告は,決算とともに内閣に送付され,内閣から国会に提出される(憲法九〇条一項)。決算検査報告は,国民が予算執行の現状及び検査結果について知ることができる重要な報告文書であり,その掲記事項については,会計検査院における記者会見などを通じ,マスコミ等により広く報道されている。

2  本件検査手法について

国の予算の執行に関して行われる不正経理のうち,組織的かつ全国的な規模で,長年慣行的に行われているものは,外部からの指摘による発覚を免れ得るよう巧妙な隠蔽工作が施されている場合が少なくなく,会計検査院の検査に対する受検庁の抵抗も悪質で巧妙な形をとる。会計検査院の調査官は,それをかいくぐるようにして検査の端緒をつかみ,真相を解明していくが,その過程で駆使される検査の着眼点,検査手法,分析方法等(本件検査手法)は,会計検査院の特別なノウハウとして蓄積されてきたものであり,新たな不正経理の解明に当たっても,過去の同種事例において採用された手法を参考にして,当該事例に適合するように更に改良,工夫された検査手法が生み出されている。

そして,組織的な不正経理の事態を指摘する上で最も重要なことは,不正に行われていた経理操作に関する事実認定であり,より具体的には,関係者から不正な経理操作を行われたこと及びその具体的方法について十分事情を聴取してそれを証拠化し,それを裏付ける書面証拠,特に隠蔽工作により細工のされていない書類を多方面から収集することにより,不正経理に係る事実関係を確定させることである。そして,強制捜査の権限を背景としていない会計検査院の検査にとっては,本件検査手法が極めて重要であり,これが外部に漏れる事態となれば,不正経理を行う者に対し,会計検査院がどのような書類に着目するかを知り,どの範囲でつじつま合わせを行えばよいかを考える糸口を与えることになり,更に周到な隠蔽工作がされる事態を招くことになる。

3  本件公文書の作成・提出の経緯等

(一)  平成一〇年三月上旬,会計検査院は,宮城県に対し,実地検査を行う旨の通告をした。これを受けた宮城県の担当者は,同月一八日,会計検査院を訪問し,実地検査のための事務的な打合せを行った。会計検査院は,同月一九日付けで,実地検査調書の作成依頼(会計検査院第四局長名)を,同年四月三日付けで出張通知(同事務総長名)をそれぞれ文書で行い,実地検査は,同年四月二〇日から二四日にかけて行われた。

そして,会計検査院は,被告に対し,文部省所管歳出予算関係について行われた右実地検査の結果を踏まえ,本件公文書の作成・提出を依頼し,前記1(三)に述べたと同様の方法で,本件公文書が作成・提出された。

4  本件公文書の内容等

(一)  本件公文書は,特別調書として作成・提出された不正支出額調書(別紙文書目録一ないし四の文書)並びにその添付資料としての各種集計表(別紙文書目録五の文書)及び各種関係資料等(別紙文書目録四三ないし四五,五三,五五ないし五七,七〇の各文書)で構成されている。

本件公文書の作成主体は被告であり,本件公文書は,会計検査院に提出した正本の控えである。

(二)  本件公文書のうち不正支出額調書は,本件不正支出の有無・内容等について,会計検査院の担当調査官及び会計検査院の指示に基づき宮城県の担当者が関係者の事情聴取を行った結果等が一定の分類に従って記載されている。また,右事情聴取に答えた者の官職氏名等も記載されている。さらに,右事情聴取の結果を裏付ける資料として,会計検査院の担当調査官が調査を指示した関係書類名が記載されている。

(三)  同じく各種集計表は,不正支出額調書の内容を一定の観点から整理し直して集計したものであるが,それぞれの集計表を作成する際の基礎資料が異なっており,全部の関係書類を改ざんしない限り,集計表間の数値が異なってしまう結果となる。

(四)  同じく各種関係資料等は,不正支出額調書の記載内容を基礎付ける各種の関係資料又はその記載内容を補完するための各種の補充資料として,会計検査院が,被告に対し,その収集・整備を指示・依頼し,又はそれを新たに作成の上,提出するよう指示・依頼したものであり,会計検査院による不正な経理操作に係る事実認定を支える個別具体的な基礎資料となっている。

(五)  このように,本件公文書は,全体として有機的な関連性を持った一個の検査資料として成立し,本件不正支出の事態に対する会計検査院の検査結果の全容が記載されている。これを読めば,本件不正支出についての会計検査院の検査経過をだれが事情説明を行ったかを含めて知ることができるだけでなく,国等の会計についてある程度知識を有する者であれば,会計検査院がその会計検査に当たり,どのような書類を隠蔽工作の及んでいない書類として重視し,それらに基づきどのような手法で不正経理の端緒をつかんでいくか等をある程度の具体性と明瞭さをもって読み取ることが可能である。

(六)  原告は,会計検査院の行う検査に通常の会計監査と異なる特別なノウハウがあるとは考えられない旨主張するが,国等の機関の会計検査を専門的に行う調査官として,本来あってはならない不正経理がこれまで組織的に行われた例が多々あり,その解明等のために本件検査手法を含め多くの工夫が行われてきたことを述べる証人Bの証言(乙八,九を含む。)は,十分信用できるものであり,事柄の性質上,本件検査手法の内容を詳しく証言していないことをもって,右証言を信用することができないということはできないから,原告の右主張は採用することができない。

5  会計検査院の意向

(一)  本件の公文書開示請求は,前記のとおり,平成一〇年一一月一六日付けでされたところ,被告指導課のA係長は,同月下旬ころ,会計検査院文部検査第一課の担当調査官に対し,本件公文書について情報公開請求が出ているが,その公開の適否についてどのように考えるべきかとの問い合わせをしたところ,担当調査官は,直ちに,「従来から本院の検査調書は公開しない取扱いとなっている。特に,本件のような特別調書は,本院の業務に差し支えるため,一切公開していないはずである。この件については本院と協議してほしい。」旨を回答した。

(二)  同年一二月,宮城県教育委員会のC総務課長ほか二名が,会計検査院において,会計検査院の担当者と協議をしたが,その中で,会計検査院の担当者は,「従来から本院の検査調書は公開しない取扱いとなっている。特に,本件のような特別調書は本院の業務に差し支えるため一切公開していない。情報公開請求については,非開示として対応してほしい。」旨を要請した。

(三)  そして,このような要請は,会計検査院としての正式の立場に基づくものである(調査嘱託の結果参照)。

三1  県条例九条五号の趣旨

県条例九条は,公文書の公開請求があった場合に,実施機関が公開をしないことができる公文書の範囲について,具体的に規定したものであるが,これは,県条例は,公正で開かれた県政を推進するという観点から公文書を原則として開示することとするものである(県条例一条)が,一方で,県が保有する情報の中には,開示することによって,個人のプライバシー若しくは法人の正当な利益を侵害し,又は行政の目的を失わせ,若しくはその公正で円滑な執行が妨げられるものなどがあることから,県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重しながら,個人のプライバシーに最大限配慮し,併せて第三者の権利及び利益並びに公益との調和を図る趣旨であると解される(県条例三条参照)。

県条例九条五号の趣旨は,県の行政は,国等との密接な関係のもとに執行されていることから,県と国等との間における現在又は将来にわたる協力関係又は信頼関係を維持することによって,行政の適正かつ円滑な執行を図るという公益上の要請から,公開されると県と国等との間の右のような協力関係又は信頼関係を損なうと認められる情報が記録されている公文書は非開示とすることができる旨を定めたものと解される。

2  前段該当性について

(一)  前記二1のとおり,会計検査院は,憲法九〇条及び会計検査院法に基づいて設置されている国の機関であるから,同号の「国等」に含まれることは明らかである。

(二)  本件公文書の作成経緯は,前記二1(三),3のとおりであるから,本件公文書に記録されている情報は,「国等の機関からの協議,依頼等に基づいて作成され,又は取得された情報」に該当するものと認められる。

(三)  以上のとおり,本件公文書に記録されている情報は,県条例九条五号前段の要件を充たしているということができる。

3  後段該当性について

(一)  前記二4のとおり,本件公文書には,会計検査等における事情説明者等の官職氏名等を含む本件不正支出の事態に対する会計検査院の検査の全容が記載されているものである。

そして,前記二1(四)のとおり,会計検査院においては,従来から,会計検査院の正式な指摘事項ないし検査結果として決算検査報告に掲記し,外部に公表することが検査官会議で最終的に議決されたもの以外の検査結果については,公表しない取扱いとし,また,最終的な会計検査院の見解として整理されるまでの審理過程についても,本件で問題となる特別調書を含め,公表しない取扱いをしているものであるが,そのような取扱いをする理由は,憲法上の独立機関・国家財政の監督機関として,公正な審理を尽くした上で最終的な判断を行う必要があることから,外部の圧力・干渉等を排除する必要があると考えられていることにある。

会計検査院のこのような取扱いは,国等の機関の会計検査を担当する専門機関としての判断であり,これを不当する根拠も見いだせないから,会計検査院の右判断は尊重されるべきものである。

(二)  また,前記二2,4のとおり,本件公文書には,会計検査院の本件不正支出の事態の解明に至る本件検査手法が,ある程度の具体性と明瞭さをもって読み取ることが可能な状態で記載されているところ,これが外部に漏れれば,不正経理を行おうとする者に対し,会計検査院がどのような書類に着目するかを知り,どの範囲でつじつま合わせを行えばよいかを知らせ,更に周到な隠蔽工作を行われる事態を招くことにつながるものである。

(三)  さらに,前記二5のとおり,会計検査院は,これらの点に基づき,本件公文書の開示に反対の意向を表明しているものである。

(四)  以上によれば,本件公文書を公開することにより,「国等との協力関係又は信頼関係が損なわれる」ものと認められる。

これに反する原告の主張は,採用することができない。

4  以上のとおり,本件公文書に記録された情報は,県条例九条五号の前段及び後段の要件をいずれも充たすものであり,本件処分に違法な点はない。

5  なお,非開示事由に該当する情報とそれ以外の情報とを公文書の開示の請求の趣旨を損なわない程度に分離できる場合には当たらないと認められるから,本件公文書につき部分開示をしなかった点についても,本件処分に違法な点はない。

四  よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

〈編注:原文に裁判官名の記載なし。〉

別紙文書目録(抜粋)

1 不正支出額調書(様式1)

2 不正支出額調書(様式2)

3 不正支出額調書(様式3)

4 指定校(地域指定事業等)調書(様式4)

5 各種集計表等

6 支出負担行為並びに支出決議書

7 旅行命令依頼簿   ※国費

旅行命令(依頼)票 ※県費

8 国費支出内訳書

9 委任状

11 諸謝金支給調書

12 旅費概算(精算)請求書

13 見積書

14 請求書

15 文部省指定校に要する経費について(報告,通知,通達等)

16 研究事業委嘱謝金前金払請求書

17 口座振替依頼書

18 推進校経費決算報告書

19 研究事業報告書

20 研究集録,報告書,紀要,指導案,資料等の写

21 国庫金振込通知書(写)

22 国庫支出関係書類について(提出)

23 指定に係る計画書について(提出)

23 指定書

24 通帳(写)

25 職員派遣依頼文書

26 参加助成金の交付申請文書

27 現地研修のビデオ撮影依頼文書

28 実施報告書執筆監修依頼文書

29 会議の開催通知文書

30 研修会講師依頼文書

31 各種実施要綱

32 各種委員名簿

33 派遣事業指導記録簿

34 旅費精算請求書

35 会議出欠表

36 公開研究会の案内文書

37 各種会議の記録

38 各種委員会の規約等

39 流動性預金取引明細一覧表

40 出勤簿

41 学校日誌

42 旅行伺文書

43 各種出納簿

44 補充資料

45 領収書(書)

46 各種参加者名簿

47 出張承認願兼復命書

48 個人の名刺の写

49 法人関係提供資料

50 年次休暇届

51 町費の支出票

52 経費立替申立書

53 経費の流れ

54 各種決算報告書

55 (調書様式3の明細)

56 別紙 支出内訳

57 公開研究会に係わる文書等の処理経過について(報告)

58 文書収発簿

59 返納決議書

60 納入通知書兼領収書

61 同窓会会計支出伺書及び添付書類

62 PTA会計支出伺書及び添付書類

63 電話ヒアリング記録

64 ペーパーテスト調査関係通知文書

65 令達通知書

66 戻入票

67 支出負担行為兼旅費支出命令決議書

68 旅行命令(依頼)票(特例計算用)

69 自家用自動車使用簿(兼出張特殊業務・合宿従事)伺票

70 副申書

71 経費伺

72 精算通知票

73 施行確認書

74 平成6年度 歳入歳出事項別明細書実質収支に関する調書財産に関する調書

75 国費(示達)不正経理による別途経理資金からの委員等旅費支給計算内訳書

76 出張伺い及び旅行入力票

77 一般日額旅行命令(依頼)票

78 研修事業一覧 不正支出額調書(様式1)

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