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京都家庭裁判所舞鶴支部 平成3年(少)641号 決定 1991年11月22日

少年 S・J(昭52.3.26生)

主文

少年を初等少年院に送致する。

(非行事実)

司法警察員作成の平成3年10月18日付、同年10月28日付、同年11月19日付少年事件送致書及び同日付追送致書の犯罪事実を引用する。

(法令の適用)

窃盗につき 刑法235条

同未遂につき 同法243条、235条

無免許運転につき 道路交通法118条1項1号、64条

(処遇の理由)

少年の本件各非行は、平成3年4月から5月にかけての窃盗・同未遂7件と同年9月から10月にかけての窃盗・同未遂8件及び無免許運転1件で、その被害金額だけでも合計130万円を超える。そしてその非行態様も車上狙いから被害者宅における窃盗へと次第に悪質化している。その間少年は、警察での検挙や取調べ、児童相談所での指導を受けながらも、それを再非行の歯止めとすることができず、特に本件4月からの非行について8月末に警察での取調べをうけたのにもかかわらず、9月からの本件各非行を重ね、その得た金員をカラオケやパチンコなどの遊びに浪費していたものであり、盗癖を身に付けつつあるともいえないことはなく、鑑別及び調査の結果、少年には未熟で自主性や主体性に欠け、受動的な頼りなさが目立ち、楽しいこと面白いことが行動基準であってもっぱら外界からの刺激に影響された状況依存的な軽佻さがあるといった問題点があることが指摘されていることなどを併せ考慮すると、現時点において少年を初等少年院における矯正教育に委ねるのが少年の保護にとって最も適切であると判断する。

そこで、少年院における処遇過程について検討する。

少年は若年で、家庭裁判所係属は初回であり、鑑別の結果、前記の問題点があることが指摘されてはいるものの、少年の資質的な偏りは少なく、柔軟性もあり、その問題性は比較的単純であることも指摘されているおり、学校においては中学2年生半ばから不登校を続けていたものの、最近では登校するようになり、校内で暴力を振るったり所謂不良グループとの関わりも少なく、校内不適応は起こしておらず、来春から仕事をしつつ定時制高校に進学することを希望しており、この希望を叶えるのが少年の保護にとって有用であること、中学校も院外委嘱教育に協力することを約していることなどを総合すると、少年には特修短期過程における短期間の継続的・集中的な指導と訓練を施すのが適切であると判断する。

よって、少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項を適用して少年を初等少年院に送致することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 河村潤治)

平成3年10月18日付送致書記載の犯罪事実

第一被疑少年S・Jは、単独、又はA、B、Cと共謀の上、平成3年4月9日午前8時30分頃から平成3年5月27日、午前11時52分までの間、前後6回に亘り、別紙犯罪行為一覧表(編略)記載の番号1、2、3、4、5、7の通り京都府舞鶴市○○××番地○○株式会社○○営業所東側駐車場外5ヶ所において、D外5名の所有及び管理にかかる現金58、015円位小切手1枚(額面12、000円)並びにセカンドバック等雑品37点(時価合計115、000円位相当)を窃取し

第二被疑少年S・Jは、A、Bと共謀の上、平成3年5月27日、午前11時14分から同24分までの間別紙犯罪行為一覧表(編略)の番号6の通り、京都市舞鶴市○○××××番地、○○信用金庫○○支店キャッシュコーナーにおいて、現金を窃取する目的で同所に設置された同支店長、E管理にかかる現金自動支払機の差込口に、同庫に普通預金口座を開設しているF名義の口座番号、銀行コード等を記録した被疑者等、窃取のキャッシュカードを差し入れ、暗証番号を入力したが、Fが設定している暗証番号と一致しなかったためその目的を遂げなかったものである。

平成3年10月28日付送致書記載の犯罪事実

被疑少年は、金員を窃取しようと企て、平成3年10月12日、午前8時45分ごろ京都府舞鶴市○○××番地、○○商店のクリーニング取次店において、同所、カウンターの下に置いてあった、手提金庫内から、同店経営者、K(66歳)所有にかかる、現金をわしづかみにして、窃取しようとしたところを、たまたま、右被害者に、その犯行を現認されて捕まったため、その目的を遂げなかったものである。

平成3年11月19日付追送致書記載の犯罪事実

被疑者は、単独又は、L、Aと共謀の上、平成三年九月八日ごろから、同年10月27日、午前11時40分ごろまでの間、前後7回に亘り、別紙犯罪行為一覧表(編略)記載のとおり、京都府舞鶴市○○××番地、M方外六個所において、同人外5名の所有する現金合計1、280、044円及び、セカンドバック等16点(時価合計45、400円位相当)を窃取したものである。

平成3年11月19日付送致書記載の犯罪事実

1.被疑少年、S・J、同・Aは共謀のうえ、平成3年9月22日午後3時ごろ、京都府舞鶴市○○××番地、T方、玄関内(ガレージ)において同所にエンジンキ一付で、とめてあった、同人所有にかかる、原動機付自転車(ヤマハジョグ紺色)1台並びに、ヘルメット1個、(時価合計、10万円相当)を窃取し

2.被疑少年、S・Jは、公安委員会の運転免許を受けないで、平成3年10月8日午後3時30分ごろ、京都府舞鶴市○○×番地先市道○○線道路において、右、原動機付自転車(○○○××××号)を運転し

3.被疑少年、○○ことUは、平成3年9月22日午後3時10分ごろ、京都府舞鶴市○○××番地、○○ふとん店、駐車場において、同所にエンジンキ一付でとめてあったV子所有にかかる、原動機付自転車(ホンダディオ、濃紺色)1台並びに、シートボックスに入れてあった、右、同人所有の、現金約4万4、500円および眼鏡、セカンドバック他13点在中の白色ナイロン製、シヨルダーバック1個(時価合計4万8千円相当)を窃取したものである。

処遇勧告書<省略>

播少分発第×××-××号

平成4年1月20日

京都家庭裁判所舞鶴支部 殿

播磨少年院

院外委嘱教育実施通知書

特修短期処遇の処遇勧告を受け、当院に送致された少年の院外委嘱教育の実施結果を下記のとおり通知します。

少年氏名

S・J

事件番号

平成3年少第577号

担当裁判官

河村 潤治

担当調査官

○ ○

委嘱内容

院外委嘱教科教育

委嘱方法

帰省先から通わせる方法

委嘱期間

自 平成4年1月7日

至 〃 1月18日

成績

参考事項

自己洞察力に乏しく、周囲の影響を受け易く、授業中の私語や友人の誘いに安易に乗るところが散見されたが、大きな遵守事項違反はなかった。家庭では、以前に増して学習や手伝いが進んだようで家族を喜ばせた。特に、実父は少年の保護指導に熱心になり、週末帰院の送迎途中父子間の会話が十分にされたようである。総じて、所期の目的は達成できた。

成績経過記録表<省略>

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