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京都家庭裁判所 昭和29年(家イ)319号 審判 1954年6月01日

本籍 京都市○○区○○町○番地

住所 京都市○○区○町○○番地

申立人 高田由子(仮名)

代理人弁護士 西本頴

本籍 アメリカ合衆国ウイスコンシン州

住所 申立人に同じ

相手方 ウイリアム・ピカツト〔仮名〕

主文

申立人と相手方との昭和二八年一月二三日神戸市○○区長受附にかかる婚姻届出による婚姻は無効であることを確認する。

理由

申立人は主文掲記のような調停を求める旨申立て、その事由の要旨は申立人と相手方とは昭和二八年○月○○日神戸市において婚姻を挙行した旨同市○○区長に届出で同区長は即日これを受理した。しかし、相手方の本国法であるアメリカ合衆国ウイスコンシン州法によれば婚姻の当事者が離婚の判決を受けたときはその判決言渡の時から満一ヶ年を経過するまで次の婚姻をすることができないところ、相手方は前婚につき本国であるウイスコンシン州において、一九五二年○月○日離婚の判決言渡を受けたのでその後満一ヶ年を経過しないうちにした上記婚姻は無効であるというのである。

本件につき昭和二九年六月八日当裁判所に開かれた調停委員会の調停において当事者間に合意が成立し申立人と相手方との昭和二八年○月○○日神戸市○○区長受付にかかる婚姻届出による婚姻は無効であることにつき争がないので当裁判所は必要な事実の調査をした結果、申立人と相手方とは日本国内において婚姻したとして昭和二八年○月○○日神戸市○○区長に届出で同区長は即日これを受付けたが、相手方はそれよりさきにその本国であるアメリカ合衆国ウイスコンシン州において前の妻であるフエアーリン・ピカツトとの間で一九五二年(昭和二七年)○月○日離婚の判決言渡を受けたところ相手方の本国法であるウイスコンンン州法によれば該判決はその言渡の日から満一ヶ年を経過するまでその効力を発生しない。すなわち判決言渡の日から満一ヶ年間は離婚の効力を発生しないことが明かであつて、又上記州法によれば、その離婚の当事者の一方が判決言渡後一ヶ年以内に次の婚姻を締結したときはたといそれがウイスコンシン州外で締結された場合においても該婚姻は無効であることが認められる。そうすると申立人と相手方との本件婚姻は相手方の上記離婚判決言渡後一年以内に締結されたものであるから結局無効であるといわなければならない。よつて上記のような当事者間の合意を正当と認め家事審判法第二三条にもとづいて主文のとおり審判する。

(家事審判官 窪田武丕)

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