大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都家庭裁判所 平成25年(家)3379号 審判

申立人

A

相手方

B

未成年者

C

主文

1  申立人は,相手方に対し,相手方に別紙面会交流実施要領記載の要領のとおり未成年者と面会交流させよ。

2  手続費用は各自の負担とする。

理由

第1  事案の概要

本件は,未成年者の母である申立人が,離婚した夫であり,未成年者の父である相手方に対し,相手方が申立人や未成年者の生活に支障があるような面会交流を求めて来るとして,相手方と未成年者との間の適正な面会交流の回数や内容を定めることを求める事案である。

第2  当裁判所の判断

1  認定した事実

本件記録及び当庁平成25年(家イ)××号,平成25年(家)××号事件記録(以下これらを「本件記録」という。)によれば,次の事実が認められる。

(1)申立人と相手方は,婚姻し,両名の間に平成22年×月×日,長男である未成年者が生まれた。

(2)申立人と相手方は,平成25年×月×日,未成年者の親権者を申立人として離婚した。

(3)申立人は,未成年者と同居し,これを監護養育しながら,2か所のドックサロンで稼働し(日曜日・祝日は基本的に休日),平成24年は合計105万円程度の給与収入がある。

(4)未成年者は,低出生体重児(1530グラム)として生まれ,2歳のころに,心室中隔欠損症の手術をし,徐々に回復しているが定期検診が必要な状態であり,同年代の子と比べ身長,体重共に小さめであるが,保育園に通園しており,保育園での生活にも馴染んでいる。

(5)相手方は,溶接工として稼働し,年額250万円程度の給与収入がある。

(6)申立人と相手方は,離婚するに際し,相手方と未成年者との面会交流について,「土曜日曜祝日も基本的には申立人が未成年者を見るが,相手方が逢いたければ申立人はこれに応じる(ゴールデンウィーク,お盆,年末年始は相談),その際,申立人との先約があった場合,そちらを優先する。」旨合意し,相手方と未成年者との面会交流は,離婚後平成25年×月×日頃まで行われていた。相手方は,同日頃,申立人との合意の下で,未成年者を相手方の実家に2泊させる面会交流をした後,申立人に未成年者を引き渡す際,未成年者は30分近く,ママのところに行けば,ママは仕事に行くからママは嫌いと言って泣いた。

(7)申立人は,平成25年×月×日,相手方に対し,相手方が申立人や未成年者の生活に支障が生じるような内容の面会交流を求めて来るとして,面会交流の適正な内容や方法を定める旨の調停(以下「本件調停」という。)を申し立てた。

(8)申立人と相手方は,本件調停手続の期日間である同年×月×日の午前9時から午後5時まで,相手方と未成年者との面会交流を実施し,相手方は約束どおり終了時刻に未成年者を申立人に引き渡し,引渡しの際,未成年者に変わった様子はなかった。

(9)申立人と相手方は,相手方と未成年者との面会交流の回数や付随条件についての調整が付かず,本件調停は,同年×月×日,不成立となり審判手続に移行した。

(10)相手方は,同日実施された第1回審判期日において,未成年者との面会交流における待ち合わせ場所として,○○駅を出た広場で良い旨述べ,申立人も特段の意見を述べなかった。

2  面会交流の回数や内容に関する当事者双方の主張

(1)相手方の主張

ア 面会の回数,時間及び内容について

面会交流の回数は,1か月に2回とし,そのうち1回は宿泊付きの面会交流を求める。また,大型連休の際には,別に何度か面会したい。

日帰りの面会の時間は午前9時から午後5時までとし,待ち合わせの場所は,お互いの居住地の中間付近の○○の駅とする。

面会交流の場所は制限しない。

イ その他の交流について

未成年者の保育園の運動会などの行事に参加することを希望する。

誕生日やクリスマスなどにプレゼントを渡したい。

(2)申立人の主張

ア 面会交流の回数,時間及び内容について

面会交流の回数は,基本的に3か月に1回日帰りで行うのが相当である。

その理由は次のとおりである。①申立人及び未成年者は○○に居住し,相手方は○○に居住しており,未成年者がこの間を頻繁に往復するのは年齢や健康状態から見て精神的肉体的に負担が大きい。②相手方は,婚姻中,未成年者と遊んでいるときも携帯電話を使用したり,テレビを見たりして,未成年者のことを第一に考えていなかった。③未成年者が宿泊付きの面会交流をする場合,宿泊することが予定されている相手方の実家には,相手方の両親を含む6人の兄弟等がいて,未成年者が落ち着ける環境ではない。④未成年者は,低出生体重児と心室中隔欠損症の手術経過観察中で,万が一体調を崩した時,常に心内膜炎を発症する危険があるから無理な宿泊は避けるべきである。

仮に,相手方の希望どおりの面会回数を認めた場合,未成年者の居住地である○○市内での面会交流を求める。

宿泊付き面会交流は,①宿泊期間を2泊3日までとし,宿泊付き面会交流を実施した月は日帰りの面会交流をしない,②申立人と相手方が詳しい日程をメールで協議して決める,ということであるならば,年2回,お盆,年末年始の2つの大型連休中に限り実施することを認める。

イ その他の交流について

保育園の行事への参加は,保育園側の規定により,人数が制限され,名札の着用が義務付けられており約束できない。ただし,就学後,未成年者の意思により相手方の参加を希望した場合は認める。

3  判断

(1)1で認定した事実及び本件記録によれば,相手方と未成年者との面会交流の頻度や内容及びその他の付随条件については,別紙面会交流実施要領のとおり定めるのが相当である。

(2)当事者双方の主張に鑑み,面会の頻度や内容等を上記のとおり定めたことについて補足する。

面会交流の頻度や内容等は,同居期間中の相手方と未成年者との関係,これまでの相手方と未成年者との面会交流の状況,未成年者の年齢や生活状況,申立人と相手方双方の生活状況等を考慮して決定すべきである。

1で認定した事実によれば,未成年者の年齢は未だ3歳11か月であるから,相手方と未成年者との円滑な情緒的交流を確保するためには,少なくとも1か月に1回程度の面会交流を実施することが望ましいといえるが,未成年者は,○○に居住して平日は保育園に通園しているうえ,2歳のころに心室中隔欠損症の手術を受けていることから,一般の同年代の子と比較して細菌等に対する免疫力が弱く,また一度感染症に罹患すれば重篤な結果を招く危険性が高いと推認されることからすれば,1か月に1度日帰りの面会以上の頻度の面会交流を認めることは未成年者の負担過重になる可能性が高く相当ではない。そして,未成年者の身体に配慮し,相手方と未成年者との面会交流について,当初の2回に限り,○○内で行う旨を定めるのが相当である。

なお,申立人は,未成年者の上記身体状況に照らして,頻繁な面会や遠方での面会を避けるべきであり,3か月に1回日帰りの面会に留めるべきである旨主張するが,既に認定したとおり,未成年者と相手方とは,これまで相手方の住居での宿泊付き面会交流も実施したことがあるなどに照らせば,裁判所が定めた面会交流の回数や内容が未成年者の負担過重になるとまではいえない。また,申立人は,相手方が同居期間中,携帯電話を作動させながら未成年者の世話をするなど配慮を欠いた行動をとっており,今後の面会交流の際も,未成年者に対する十分な配慮をすることが期待できない旨主張していると解されるが,仮に,相手方が同居期間中に未成年者に対する配慮を欠く言動があったとしても,それだけで,上記の面会交流の実施が未成年者の福祉を害するとまではいえない。

また,申立人と相手方は,1で認定したとおり,離婚するに際し面会交流に関して合意しているが,その内容を含め検討しても,相手方と未成年者との面会交流の頻度や内容等を上記3(1)のとおり定めるのが相当である。

4  結論

よって,主文のとおり審判する。

(裁判官 渡邊雅道)

別紙 面会交流実施要領(申立人を母,相手方を父という。)

1 面会日,面会時間

(1)毎月1回,日曜日の午前9時から午後5時まで

(2)上記(1)とは別に,毎年,①7月20日から8月31日までの間,②12月26日から1月7日までの間に,それぞれ2泊3日程度の宿泊を伴う面会交流

(3)上記(1)の面会実施日は,前月末日までに母と父が協議して定めるが,協議が調わない場合は,第3日曜日とする。

(4)上記(2)の面会日は,①では7月19日まで,②では12月25日までに父と母が協議して定めるが,協議が調わない場合には,①については8月1日から3日まで,②については,12月27日から29日までとし,待ち合わせ場所及び方法は,2項のとおりとする。

2 待ち合わせ場所及び方法

(1)待ち合わせ場所

○○駅改札口を出た広場付近

(2)待ち合わせ方法

母が,上記面会交流開始時刻に未成年者を待ち合わせ場所に連れて行き,未成年者を引き渡し,父が面会終了時刻に待ち合わせ場所まで未成年者を連れて来て引き渡す。

3 面会場所の制限

父は,上記1(1)の第1回及び第2回面会日に限り,未成年者との面会は○○市内で行うこととする。

4 父の保育園行事への参加について

(1)母は,保育園の意向に反しない限り,父が保育園の運動会,生活発表会等の保育園行事に参加することを認め,父と母は,父が参加できる学校行事について別途協議をして決める。

(2)母は,保育園から行事日程の連絡を受けたときは,すみやかに父に連絡する。

5 誕生日,クリスマスなどの未成年者へのプレゼントの渡し方

父と母が協議をして決めるが,協議が調うまでは,誕生日やクリスマスに近接する面会日に父が直接未成年者に手渡すこととする。

6 面会日等の変更

未成年者の病気,その他やむを得ない事情により,上記1項の日時に面会交流が実施できない場合には,当該事由の生じた当事者は,速やかに他方当事者に連絡し,双方協議の上代替日を定める。協議が調わないときは,1(1)の面会日は,第4日曜日の同じ時刻とする。

7 連絡方法等

父と母の連絡方法は,原則としてメールによる。

8 その他

(1)当事者双方が合意をしたときは,上記1項ないし7項の内容を変更することができる。

(2)当事者双方は,未成年者の福祉に配慮し,特に未成年者の体調の変化に注意する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例