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京都家庭裁判所 平成19年(少)1475号 決定

少年

A

(昭和○.○.○生)

主文

少年を京都保護観察所の保護観察に付する。

理由

(罪となるべき事実)

少年は,

第1  B,C,Dと共謀の上,平成19年5月24日午前1時ころ,電線等を窃取する目的で,○○鉄道株式会社△△鉄道事業部技術課長補佐Eが看守する滋賀県○○市○○×丁目×番×号所在の同社△△鉄道事業部□□変電所内に,西側金網を乗り越えて侵入した上,同ケーブル置き場に保管されていた上記E管理に係る被覆電線等280キログラム位を窃取した

第2  F,B,Cと共謀の上,平成19年5月25日午前1時ころ,電線等を窃取する目的で,上記変電所内に西側フェンスを乗り越えて侵入した上,同ケーブル置き場に保管されていた上記E管理に係る被覆電線等120キログラム位を窃取した

第3  F,B,Cと共謀の上,平成19年5月26日午前1時ころ,電線等を窃取する目的で,上記変電所内に西側フェンスを乗り越えて侵入した上,同ケーブル置き場に保管されていた上記E管理に係る被覆電線等540キログラム位を窃取した

第4  F,G,B,Cと共謀の上,平成19年5月28日午前1時ころ,電線等を窃取する目的で,上記変電所内に西側フェンスを乗り越えて侵入した上,同所南側ケーブル置き場に保管されていた上記E管理に係る被覆電線等720キログラム位を窃取した

第5  F,H,G,B,及びCと共謀の上,電線等を窃取する目的で,平成19年5月29日午前4時30分ころ,上記変電所内に金網フェンスを乗り越えて侵入し,そのころ,同所において,Eが管理する被覆電線38巻ほか23点(時価合計35万6237円相当)を窃取した

ものである。

(事実認定についての補足説明)

(編省略)

(法令の適用)

建造物侵入の点につき 刑法60条,130条前段

窃盗の点につき 刑法60条,235条

(処遇の理由)

本件は,5回にわたって,共犯らと変電所敷地内に侵入して,電線等を窃取したという建造物侵入・窃盗からなる事案であるが,その侵入態様は,深夜にフェンスを乗り越えて侵入するといった悪質なもので,窃取態様についても,予め用意した工具で電線等を切って窃取するといった悪質かつ計画的なものである。また,被害内容についても,5回にわたり大量の電線等が盗まれており,第1ないし第4については,少年らが既に被害品を売却処分しており,内訳が判然しないから被害額までは特定できずにいるが,その被害額は,いずれも小さくないことがうかがわれ,本件の被害は重大である。

そうすると,安易に本件に加わった少年の規範意識には相当程度の問題があるといわざるを得ない。そして,少年は,平成17年11月に,窃盗,住居侵入等の非行により中等少年院送致の決定(一般短期の処遇勧告が付されたもの)を受け,一定期間,施設で矯正教育を受け,仮退院し,保護観察中でありながら,上記内容の悪質な本件に及んだのだから,少年には,再度の矯正施設における更生に向けた教育が必要かとも思われる。

しかし,本件の首謀者はCであり,少年が中心的な役割を果たしたとまではいえない。また,本件が最初に当裁判所に係属した際,当裁判所は,平成19年7月,本件を保護不適との理由から検察官送致とする旨の決定をしたところ,大津地方検察庁検察官は,検察官送致決定後に少年及び共犯Fと被害者との間で示談が成立し,示談金が全額支払われ,それにより被害者が宥恕している状況を考慮し,送致後の状況により訴追を相当でないものと思料し,同年9月,本件の全てを大津家庭裁判所に送致し,その後,同裁判所は,本件を少年の住居地を管轄する当裁判所に移送した。

以上の本件の内容及び少年の役割,少年の前歴,本件の審理経過,被害者との間で金銭的解決が図られ被害者が宥恕していることに加え,少年は,第5の事件について検察官送致とされた日と同日に少年鑑別所における観護措置が取り消されたが,その後も,概ね安定した生活を送っていること,保護者に相当程度の監護意欲が認められることなどの諸事情も併せて検討すれば,少年に対しては,保護観察に付して,相当期間専門家によって,社会規範に従って心身共に安定した日常生活を営むことができるよう,周到な指導を加えるのを相当と認める。よって,少年法24条1項1号,少年審判規則37条1項を適用して,主文のとおり決定する。

(裁判官 角田康洋)

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