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京都地方裁判所 昭和59年(ワ)917号 判決 1984年10月30日

原告 新井勇三

右訴訟代理人弁護士 猪野愈

被告 深見勝美

右訴訟代理人弁護士 酒見哲郎

同 石川良一

主文

一、原告の請求を棄却する。

二、訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、請求の趣旨

1. 京都地方裁判所昭和五七年(ケ)第四五号不動産任意競売事件につき同裁判所が作成した別紙配当表のうち、順位2及び3の利息損害金をそれぞれ金四七万五九六九円及び金二一七万二八〇〇円と変更し、順位4の利息損害金を民法第三七四条所定の額を超える部分を取り消す。

2. 訴訟費用は被告の負担とする。

二、請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二、当事者の主張

一、請求原因

1. 別紙物件目録記載の各不動産(以下「本件土地建物」という)に対する京都地方裁判所昭和五七年(ケ)第四五号不動産任意競売事件(以下「本件任意競売事件」という)につき、同裁判所は競売手続を実施して昭和五九年五月一一日、別紙配当表(以下「本件配当表」という)を作成した。

2. 原告は、以下3、4により、昭和五九年五月一一日の本件競売事件の配当期日において、本件配当表中順位2、3の利息損害金をそれぞれ金四七万五九六九円、金二一七万二八〇〇円に変更すべきこと及び同表中順位4の利息損害金につき民法第三七四条所定の額を超える部分を取り消すことを主張して異議を述べた。

3. 本件配当表順位2、3の各求償金は、原告が伏見信用金庫及び京都信用保証協会にそれぞれ代位弁済したものであるが、右各被代位債権においていずれも損害金の約定は年一四パーセントの割合であるのに、本件配当表では年六パーセントの割合で計上しているので、いずれもこれを右約定利率年一四パーセントの割合による損害金とすべきである。

4. また、本件配当表順位4の損害金は、民法第三七四条所定の二か年を超える損害金を計上しているので、これを二か年分に是正すべきである。

5. よって、原告は、本件配当表につき請求の趣旨第一項掲記のとおり変更及び取消しを求める。

二、請求原因に対する認否

1. 請求原因1の事実は認める。

2. 同2の事実は不知。

3. 同3及び4の主張は争い、その余の事実はすべて認める。

第三、証拠<省略>

理由

一、請求原因1の事実は当事者間に争いがない。

二、同2の事実は弁論の全趣旨によりこれを認めることができ、右認定に反する証拠はない。

三、そこで、同3につき検討する。

原告が、山口産業株式会社(以下「山口産業」という)の京都信用保証協会に対する債務及び有限会社ワラヨネ(以下「ワラヨネ」という)の伏見信用金庫に対する債務をいずれも代位弁済し、これによって各求償債権を取得したことは、当事者間に争いがない。

ところで、求償債権の範囲は、代位弁済における弁済者と求償債務者との関係によってその内容が確定し、その限りにおいて弁済によって消滅する債権を代位し得るにすぎないところ、本件においては原告と右各債務者との関係について何らの主張、立証もない。そうすると、原告は、山口産業及びワラヨネとの関係では義務なくして各債務を弁済したというほかなく、原告の各弁済は事務管理に該当し、右各弁済によって原告が取得する各求償債権の範囲は、事務管理における費用償還請求権の内容と一致するというべきであるから、原告が出捐した費用に対する遅延賠償の利率は、いずれも年六パーセントの割合とするのが相当である。

従って、原告の請求原因3の主張は理由がない。

四、次に、請求原因4につき検討する。

一般に民法第三七四条の法意は、一般債権者、後順位抵当権者との関係において、抵当権者の優先弁済権を制約し、後順位抵当権者等の第三者を保護することにあると解され、従って担保不動産の第三取得者は、被担保債権全額の負担を伴うものとして不動産を取得するものであるから、同法によって保護すべきいわれはないと解すべきである。これを本件についてみるに、いずれも成立に争いのない甲第一ないし第三号証によれば原告は本件土地建物すなわち担保不動産の第三取得者であることが認められるのであって、原告は民法第三七四条によって保護されるべき地位に該当しないといわなければならない。

なお、原告は本件土地所有者であるとともに債権者の地位も兼ねているとしても、原、被告の順位は本件配当表のとおり被告が後順位であるうえに、本件配当表を変更しても原告が配当にあずかることにはならないというべきである。

従って、原告のこの点の主張も失当である。

五、以上のとおり、原告の請求は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 羽田弘)

<以下省略>

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