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京都地方裁判所 昭和55年(わ)1515号 判決 1981年1月22日

裁判所書記官

藤原八郎

本籍

京都市中京区三条通衣棚西入衣棚町四八番地

住居

同市北区西賀茂柿ノ木町六八番地

会社役員兼漬物小売業

加勢満男

昭和七年一月一一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官鈴木和宏出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金九〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、株式会社丸漬の代表取締役としてその業務に従事するかたわら、宇治市広野西裏一〇〇番地において「丸漬大久保店」、京都市西京区松尾木ノ曽町三八番地の一において「丸漬上桂店」、同市左京区山端壱町田町八番地の五一において「丸漬修学院店」の名称でそれぞれ店舗を構え、漬物小売業を個人事業として経営しているものであるが、自己の事業に関し、所得税を免れようと企て

第一  昭和五二年分の総所得金額は四、六三九万八、〇三〇円で、これに対する所得税額は二、〇〇四万三、四〇〇円であったにもかかわらず、小売三店舗の営業名義を母加勢トヨノにして自己の事業でないように仮装するほか、売上金の一部を除外し、これによって得た資金を架空名義の定期預金等にするなどして所得を秘匿した上、昭和五三年三月一四日、京都市中京区柳馬場通二条下ル等持寺町一五番地所在の所轄中京税務署において、同税務署長に対し、昭和五二年分の総所得金額(不動産、配当、給与所得)は一、〇一〇万二、九五〇円で、これに対する所得税額は二四万三、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額二、〇〇四万三、四〇〇円と右申告にかかる総所得金額に対する所得税額三六万三、一〇〇円(加勢トヨノ名義の申告税額一二万円を加勢満男の申告税額とみなして加算した。)との差額一、九六八万三〇〇円を免れ

第二  昭和五三年分の総所得金額は四、七九二万六、九二九円で、これに対する所得税額は一、八六五万三、三〇〇円であったにもかかわらず、前同様の方法で所得を秘匿した上、昭和五四年三月一三日、前記中京税務署において、同税務署長に対し、昭和五三年分の総所得金額(不動産、配当、給与所得)は一、六四四万一、九五〇円で、これに対する所得税額は七五万七、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額一、八六五万三、三〇〇円と右申告にかかる総所得金額に対する所得税額八九万七、七〇〇円(加勢トヨノ名義の申告税額一四万四〇〇円を加勢満男の申告税額とみなして加算した。)との差額一、七七五万五、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

右公訴事実全部につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書一二通

一、加勢信子の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書二四通

一、加勢克己(三通)、田和勇(二通)、藤原正明、中村知之、平井邦彦、奥野弥三郎(二通)、林惣市、安井博、加勢騏三郎、野原文夫、大園辰夫、笠木孟(二通)、井上延栄、橋本凱臣、堀口弘子、北尾良一及び檜木明の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官作成の査察官調査書一五通(検察官申請の証拠番号第一〇ないし一八、二〇、二一、二三、二五ないし二七号、以下単に「検第何号」と表示する。)

一、大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高確認書、現金預金有価証券等現在高検査てん末書二通及びたな卸商品等在庫高確認書三通

一、狩野政弘(五通)、吉岡達雄、嵯峨岩太郎、桜井賢二郎、吉村好正、後藤伸生、西垣伊佐男、山下芳隆、山本定一、堀口弘子、田中伸明及び木戸実作成の「確認書」と題する各書面

一、中京税務署長、京都市中京区長(二通)、京都市右京区長及び京都市北区長作成の税の納付状況照会に対する各回答書

一、京都市右京区長作成の固定資産税評価額及び同課税標準額についての回答書

一、宇治電報電話局長及び賀茂電話局作成の電話料金の支払状況照会に対する各回答書

一、京都地方貯金局長作成の定額郵便貯金の払戻状況の回答書

一、押収してある手帳一冊(昭和五五年押第四三六号の1)、同一綴(同号の2)及び同二冊(同号の3)

右公訴事実第一につき

一、上田富也の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、中京税務署長作成の「証明書」と題する書面二通(検第二、三号)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第六号)及び同説明資料(検第八号)

一、大蔵事務官作成の査察官調査書(検第一九号)

一、山本重義、上田富也及び伏崎一雄作成の「確認書」と題する各書面

右公訴事実第二につき

一、川崎幸次郎、中村外二、高木一彦、池田光雄、大谷治雄、石村菊一(二通)及び井内恵美子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、中京税務署長作成の「証明書」と題する書面二通(検第四、五号)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第七号)及び同説明資料(検第九号)

一、大蔵事務官作成の査察官調査書二通(検第二二、二四号)

一、大八木定雄、藤田彰一、辻井勝三郎、池田光雄、及び大谷治雄作成の「確認書」と題する各書面

一、手塚良三及び馳平益由作成の取引内容照会に対する各回答書

(法令の適用)

一、判示各所為 所得税法二三八条(それぞれ懲役刑と罰金刑を併科)

二、併合加重 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の重い右公訴事実第一の罪の刑に法定の加重)、罰金刑につき同法四八条二項

三、労役場留置 同法一八条

四、執行猶予 同法二五条一項

(裁判官 楠井勝也)

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