大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和54年(行ウ)10号 判決

京都市下京区東洞院通高辻上ル高橋町六一九番地

原告

株式会社 社八清

右代表者代表取締役

西村由蔵

京都市下京区間ノ町五条下ル

被告

下京税務署長

近藤弘

右指定代理人

高須要子

小林修爾

片岡克己

信田尚志

石黒宏昭

則岡信吾

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告が昭和五二年一一月三〇日付けでなした

(一) 原告の昭和四九年七月一日から昭和五〇年六月三〇日までの事業年度分の法人税に関する更正処分のうち、課税土地譲渡利益金額につき金一二八七万三〇〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分

(二) 原告の昭和五〇年七月一日から昭和五一年六月三〇日までの事業年度分の法人税に関する更正処分のうち、課税土地譲渡利益金額につき金六六一万一〇〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原告は建売住宅の売買等を業とする法人である。

2  原告は被告に対し原告の昭和四九年七月一日から昭和五〇年六月三〇日まで(以下「昭和五〇年六月期」という。)及び昭和五〇年七月一日から昭和五一年六月三〇日まで(以下「昭和五一年六月期」という。)の各事業年度分の法人税につき別表一の1及び2の各(一)のとおり申告したところ、被告は昭和五二年一一月三〇日付で別表一の1及び2の各(二)のとおり更正及び過少申告加算税の賦課決定(以下「本件各課税処分」という。)をした。原告は右処分につき昭和五三年一月三一日被告に異議の申立をしたが、被告は同年三月二日付で昭和五〇年六月期分につき棄却、昭和五一年六月期分につき別表一の2の(三)のとおり一部を取消したので、さらに原告は昭和五三年三月三一日国税不服審判所長に対し審査請求したが、昭和五四年四月一六日付でいずれも棄却された。

3  しかしながら、本件各課税処分は原告の課税土地譲渡利益金額を過大認定した違法なものであるから、同金額につき原告の申告額超過部分及び賦課決定処分の取消しを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1、2は認める。

2  同3は争う。

三  被告の主張

本件各課税処分は、原告が過大認定した違法がある旨主張する課税土地譲渡利益金額につき次のとおりなされたもので、いずれも適法である。

1  昭和五〇年六月期分について

(一) 原告は、別表二の1(一)記載のとおり昭和四七年一〇月一〇から昭和四九年六月二八日までの間に別表二の1譲渡物件番号1ないし5の各物件を取得し、それらを別表二の1(二)記載のとおり昭和四九年九月一七日から同年一一月二一日までの間に譲渡したにもかかわらず、右各物件の譲渡につき祖税特別措置法(以下「措置法」という。)六三条一項の規定による譲渡利益金額の確定申告をしなかった。しかし、これらの各物件は措置法六三条三項七号ロの括弧書の「その新築が優良な住宅の供給に寄与するものであることについて」市町村長の認定を受けておらず、法人税申告書にその旨証明された書類が添付されていない(措置法施行規則二二条二項七号ロ)ので、課税土地譲渡利益金額の対象となる。

(二) 右各物件の課税土地譲渡利益金額算出の根拠は次のとおりである(別表二の1参照)。

(1) 土地の譲渡による収益の額(別表二の1〈5〉)

法人が建物及び土地を一括して譲渡した場合の土地の譲渡による収益の額は、措置法通達六三(6)-一(昭和五一年三月四日改正前のもの)または昭和四九年七月一六日付直法二-四九により計算される。すなわち一括譲渡した対価の額に対し土地の対価の額が合理的に区分されているときは、右通達六三(6)-一によることになるが、原告は右のような合理的な対価の区分の計算をしていないので、右通達直法二-四九の1項(1)号イによって土地の譲渡による収益の額を計算した。すなわち次により計算した建物の譲渡対価の額を土地・建物の額から控除した金額が土地の譲渡による収益の額となる。

建物の譲渡対価の計算方法は

(イ) 土地・建物の譲渡対価の額が土地と建物の原価の合計額に一四二パーセントを乗じて計算した金額を超える場合

建物の原価×14.2%

(ロ) (イ)以外の場合

〈省略〉

である。

そこで、右計算方法によって譲渡物件番号1ないし5の各物件の土地の譲渡による収益の額を計算すると次のとおりである。

〈1〉 譲渡物件番号1 一六二七万六一〇九円

(右(イ)の計算方法による。)

〈2〉 譲渡物件番号2 一六二一万八五四八円

(右(イ)の計算方法による。)

〈3〉 譲渡物件番号3 六四〇万八七二七円

(右(ロ)の計算方法による。)

〈4〉 譲渡物件番号4 六一三万〇二〇八円

(右(ロ)の計算方法による。)

〈5〉 譲渡物件番号5 六一七万一八九三円

(右(ロ)の計算方法による。)

(2) 土地の譲渡に対応する原価(以下「原価」という。)の額(別表二の1〈1〉)

〈1〉 譲渡物件番号1 一〇二四万四九九四円

原告は昭和五〇年六月期期首現在において京都市伏見区深草所在の土地三六六・八七平方メートルを所有していたものであるが、右土地の原価総額は三二九三万三三三四円(一平方メートル当り八万九二八一円)である。譲渡物件番号1の土地は右深草所在の土地の一部であり、その面積は一一四・七五平方メートルであるから、一平方メートル当り八万九二八一円で計算すると本物件の原価は一〇二四万四九九四円となる。

〈2〉 譲渡物件番号2 一一二四万五五八九円

原告は昭和五〇年六月期期首現在において京都市上京区今出川七本松所在の土地二七〇・五七平方メートルを所有していたもので、右土地の原価総額は三四四三万一三六二円である。そのうち当期中に譲渡した物件は三筆であり、その合計面積は二一二・〇一平方メートルで原価総額は二六九七万九三六八円である。譲渡物件番号2の土地は当期中に譲渡した物件三筆のうちの一筆であり、本物件以外の二筆の譲渡面積一二三・六四平方メートルの原価が一五七三万三七七九円であるので、本物件の原価は一一二四万五五八九円となる。

〈3〉 譲渡物件番号3 五二九万一一八七円

同 4 五二八万〇五〇七円

同 5 五四四万九五六九円

本物件は昭和四九年六月二八日に取得したもので、面積一六五・〇二平方メートル原価総額一六〇二万一二六三円である。譲渡物件番号3及び4については一平方メートル当りの金額九万七〇八六円に各物件の面積(番号3は五四・五〇平方メートル、番号4は五四・三九平方メートル)を乗じて各譲渡物件の原価を計算し、譲渡物件番号5については原価総額一六〇二万一二六三円から番号3及び4の原価を差引いてその原価を算出した。

(3) 土地の譲渡のために直接又は間接に要した経費の額(別表二の1〈6〉)

措置法施行令三八条の四第六項及び七項の計算方法(法人税法施行規則別表三(二))によって、各譲渡物件につき別表三〈3〉「譲渡した土地の帳簿価額の累計額」に対し6/100を乗じて法定の負債利子(別表二の1〈a〉)を、同じく4/100を乗じて法定の販売費及び一般管理費(別表二の1〈b〉)を算出し、これらの金額の合計額を「直接又は間接に要した経費の額」とした。

〈1〉 譲渡物件番号1 二〇九万二五二〇円

〈a〉 20,925,204円×6%=1,255,512円

〈b〉 20,925,204円×4%=837,008円

合計 2,092,520円

〈2〉 譲渡物件番号2 一八二万七二一三円

〈a〉 18,272,140円×6%=1,096,328円

〈b〉 18,272,140円×4%=730,885円

合計 1,827,213円

〈3〉 譲渡物件番号3 一七万五三一三円

〈a〉 1,753,142円×6%=105,188円

〈b〉 1,753,142円×4%=70,125円

合計 175,313円

〈4〉 譲渡物件番号4 二一万八九四五円

〈a〉 2,189,466円×6%=131,367円

〈b〉 2,189,466円×4%=87,578円

合計 218,945円

〈5〉 譲渡物件番号5 二七万一三六〇円

〈a〉 2,713,605円×6%=162,816円

〈b〉 2,713,605円×4%=108,544円

合計 271,360円

(4) 土地の譲渡に係る譲渡利益金額(課税土地譲渡利益金額、別表二の1〈7〉)

各譲渡物件につき土地の譲渡による収益の額(前記(1)の各譲渡物件番号の金額)から原価の額(前記(2)の各譲渡物件番号の金額)及び土地の譲渡のために直接又は間接に要した経費の額(前記(3)の各譲渡物件番号の金額)を差引くと各譲渡物件の土地の譲渡に係る譲渡利益金額となり、これら各物件の合計金額九一〇万八〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨)を原告申告の課税土地譲渡利益金額に加算した。

2  昭和五一年六月期分について

(一) 原告は、昭和四七年一〇月一〇日別表(二)の2譲渡番号6の物件を取得し、昭和五〇年七月一四日これを譲渡したが、右物件の譲渡につき措置法六三条一項の規定による譲渡利益金額の確定申告をしなかった。しかし、右物件は措置法六三条三項七号ロの括弧書の「その新築が優良な住宅の供給に寄与するものであることについて」市町村長の認定を受けておらず、法人税申告書にその旨証明された書類が添付されていない(措置法施行規則二二条二項七号ロ)ので、課税土地譲渡利益金額の対象となる。

(二) 右物件の課税土地譲渡利益金額算出の根拠は次のとおりである(別表二の2参照)。

(1) 土地の譲渡による収益の額(別表二の2〈5〉)

前記1(二)(1)の譲渡物件番号1と同様の計算方法により算出した(但し、当期は通達改正(昭和五一年三月四日)後であるので措置法通達六三(2)-四によった。)。

譲渡物件番号6 一四二二万四六八八円

(一四二二万四六六八円とあるのは計算の誤りと認める。)

(2) 原価の額(別表二の2〈1〉)

本物件の取得は前記譲渡物件番号1と同一であるので、これと同様の方法により算出した一平方メートル当りの金額八万九二八一円に譲渡面積九八・五七平方メートルを乗じた金額八八〇万〇四二八円を算出し、さらに当期中の造成費一六万〇四七三円を加算した金額八九六万〇九〇一円を原価の額とした。

(3) 土地の譲渡のために直接又は間接に要した経費の額(別表二の2〈6〉)

措置法施行令三八条の四第六項及び七項の計算方法(法人税法施行規則別表三(二))によって、本物件につき別表三〈3〉「譲渡した土地の帳簿価額の累計額」に対し6/100を乗じて法定の負債利子(別表二の2〈a〉)を、同じく4/100を乗じて法定の販売費及び一般管理費(別表二の2〈b〉)を算出し、これらの金額の合計額を「直接又は間接に要した経費の額」とした。

譲渡物件番号6 二四五万八八三八円

〈a〉 24,588,397円×6%=1,475,303円

〈b〉 24,588,397円×4%=983,535円

合計 2,458,838円

(4) 土地の譲渡に係る譲渡利益金額(課税土地譲渡利益金額、別表二の2〈7〉)

土地の譲渡による収益の額(前記(1)の金額)から原価の額(前記(2)の金額)及ば土地の譲渡のために直接又は間接に要した経費の額(前記(3)の金額)を差引くと土地の譲渡に係る譲渡利益金額二八〇万四九四九円となる(二八〇万四九二九円とあるのは計算の誤りと認める。)。

(三) 原告の昭和五一年六月期分の申告において別表二の2譲渡物件番号7の物件の譲渡について課税土地譲渡利益金額の計算に誤りがあったので、原告の本物件の申告額二九万八〇〇〇円を超える金額五二万四五七三円を課税土地譲渡利益金額に加算した。

原告は昭和五〇年一〇月一八日本物件土地・建物を一括して一五五〇万円で譲渡しており、その時の売買契約書に物件の種類ごとの譲渡価額は土地九七五万円、建物五七五万円としていたが、本物件は昭和四九年四月一日土地八一六万円、建物四一五万円の合計一二三一万円で取得しており、譲渡直前まで同金額で資産として経理されていた。ところで、右土地上の家屋は新築ではないので、一括譲渡の対価の額の区分の計算は措置法通達六三(2)-三によりそれぞれについて相当と認められる金額によるべきであるところ、原告が売買契約書記載の金額により土地の譲渡価額九七五万円、建物の譲渡価額五七五万円としたことについて、その計算方法は合理的な方法とは認められないので、対価の区分の計算は原告がその帳簿に記載した物件ごとの取得額を基にその譲渡価額を比例按分して計算するのが相当である。従って一括譲渡価額一五五〇万円に取得時の取得価額一二三一万円に占める土地の取得価額八一六万円の割合を乗じて計算した金額一〇二七万四五七三円が本件土地の適正な譲渡価額である。

よって別表二の2譲渡物件番号7のとおり再計算した(なお、原価の額及び直接又は間接に要した経費の額は取得時の取得価額を基にしたものであり、原告の申告額と同一である。)。

(四) 昭和五一年六月期において原告申告の課税土地譲渡利益金額に加算した金額は前記(二)及び(三)の合計額三三二万九〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨)となる。

四  被告の主張に対する認否及び反論

1  被告の主張1(一)につき、譲渡物件番号1ないし5の各物件の譲渡が課税土地譲渡利益金額の対象となるとの点は争い、その余はいずれも認める。

譲渡物件番号1及び2の各物件は、いずれも原告がその土地の上に新築した住宅とともに売渡したものであるが、顧客が住宅金融公庫の資金を利用して住宅を購入しようとするものであったため、その融資を受ける必要上、建築確認申請は建築主である原告でなく顧客の名義で行ない、さらに売買代金の授受がない段階で顧客の名義で保存登記及び抵当権設定登記手続を了した。このため、右両物件は実質的に優良住宅の認定条件を具備しているにもかかわらず、優良住宅認定基準に定める「認定の申請は住宅の新築を行ない、この住宅の販売とあわせて土地の譲渡を行なおうとする者が行なうものとする。」との条項に反することとなって、京都市長の認定を受けられなかったもので、これは行政の矛盾に基因するものであり、土地譲渡益重課の適用を除外すべきである。

譲渡物件番号3ないし5の各物件はいずれも水洗便所の点を除き優良住宅の認定条件を具備していたが、これは当地区に下水道の設備がなく、京都市の広報においても水洗化は昭和五五年度完了予定とされていたため、原告は地区住民に対し浄化槽設置について了解を求め再三説得したが了解を得ることができず、また大阪市や亀岡市ではアワ式汲取トイレを水洗便所とみなして認定していることから、原告においてもこれらの住宅にアワ式汲取トイレを取付け京都市長に優良住宅の認定申請をしたが、結局認定を得ることができなかった。このように水洗便所を設置できなかったのは京都市の下水施設行政の立ち遅れと地区住民の浄化槽設置反対によるものであり、しかも、他市ではアワ式汲取トイレも水洗便所とみなしている事情にかんがみ、優良住宅の認定条件を具備しているものとして土地譲渡益重課の適用を除外すべきである。

2  被告の主張1(二)は認める。

3  同2(一)につき、譲渡物件番号6の物件の譲渡が課税土地譲渡利益金額の対象となるとの点は争い、その余はいずれも認める。

右物件は優良宅地の認定を受けた宅地と同一の団地内にあり、優良宅地の認定条件を備えるものであるから、土地譲渡益重課の適用を除外しないのは不平等である。

4  被告の主張2(二)は認める。

5  同2(三)につき、譲渡物件番号7の土地の譲渡価額を九七五万円とした計算方法は合理的でないとの点は争い、その余は認める。

6  同2(四)は争う。

第三証拠

一  原告

1  原告代表者

2  乙号各証の成立はすべて認める。

二  被告

1  乙第一ないし第四号証

理由

一  請求原因1、2の事実は当事者間に争いがない。

二  昭和五〇年六月期分について

1  原告が別表二の1(一)のとおり譲渡物件番号1ないし5の各物件を取得し、これらを別表二の1(二)のとおり譲渡したこと、原告はこれらの譲渡につき譲渡利益金額の確定申告をしなかったこと、原告は右各物件につき市町村長の優良住宅の認定を受けていないこと、原告の法人税申告書には右認定を受けた旨証明された書類が添付されていないことは当事者間に争いがない。

ところで、措置法六三条三項七号の規定によると、同号イ又はロに規定する土地の譲渡につき土地譲渡益重課の適用が除外されるためには、同法施行令三八条の四第一六項ならびに同法施行規則二二条二項七号イ又はロの規定により、宅地の造成を行なった法人又は住宅を新築した法人の申請に基づづき、当該宅地又は住宅が建設大臣の定める基準に適合しているものとして、市町村長又は特別区の区長の認定を受けたことを証する書類を法人税申告書に添付することにより証明されることを要するものとされている。しかして、原告が右各物件の譲渡につき市町村長の優良住宅の認定を受けた旨証明された書類を法人税申告書に添付しなかったことは右のとおりであるから、原告は右各物件につき土地譲渡益重課の適用除外を求めることができず、被告が右重課の対象として課税処分をしたことは適法であるといわなければならない。

原告は、右各物件は実質的には優良住宅認定条件を具備している旨主張するが、京都市長の認定をを受けたことを証する書類の添付なくして適用除外を認めることは、土地譲渡益重課に関する法令がその適用除外につき何等宥恕規定を設けていない以上不可能といわなければならず、被告が適用除外を認めなかったことはけだしやむを得ないところである。

2  被告の主張一(二)の算定根拠について当事者間に争いがない。

3  よって、当期における被告の更正及び過少申告加算税の賦課決定は適法である。

三  昭和五一年六月期分について

1  原告が昭和四七年一〇月一〇日譲渡物件番号6の物件を取得し、これを昭和五〇年七月一四日譲渡したこと、原告はこの譲渡につき譲渡利益金額の確定申告をしなかったこと、原告は右物件につき市町村長の優良住宅の認定を受けていないこと、原告の法人税申告書には右認定を受けた旨証明された書類が添付されていないことは当事者間に争いがない。

従って、二1に述べた同様に、右物件について土地譲渡益重課の除外を認めることはできず、被告が右重課の対象としたことは適法である。

2  被告の主張二(二)の算定根拠について当事者間に争いがない。

3  原告が昭和四九年四月一日譲渡物件番号7の物件を土地八一六万円、建物四一五万円の計一二三一万円で取得し、これを昭和五〇年一〇月一八日譲渡する直前まで資産として同金額で経理していたこと、右譲渡に際し売買契約書に譲渡価額を土地九七五万円、建物五七五万円とし、土地・建物一括して一五五〇万円で譲渡したことは当事者間に争いがない。

原告は譲渡価額を土地九七五万円、建物五七五万円であると主張するが、これによれば原告が右土地・建物を取得後一年半の期間で土地が一一九パーセント、建物が一三八パーセント上昇したことになり、建物の価額の上昇割合は土地の価額の上昇割合の約二倍となるものであるが、建物は通常時日の経過に伴い減価するものであることを考慮すれば、原告主張の譲渡価額の計算方法は到底合理的であるとはいえない。

ところで、原告は右土地を八一六万円、建物を四一五万円で取得し、譲渡直前まで資産として同金額で経理してきたことは右に述べたとおりであり、右金額が適正でないとの立証が特になされていない本件においては、原告がその帳簿に記載した物件ごとの取得額を基にその譲渡価額を比例按分して計算することは一応の合理性があるものといわざるを得ず、これによって一括譲渡価額一五五〇万円に取得時の取得価額一二三一万円に占める土地の取得価額八一六万円の割合を乗じて計算すれば本件土地の適正な譲渡価額は一〇二七万四五七三円となり、被告主張のとおりであって、これを基に右土地の譲渡利益金額を再計算すれば別表二の2譲渡物件番号7のとおりとなる。よって、原告の右物件の申告額二九万八〇〇〇円を超える金額五二万四五七三円を課税土地譲渡利益金額に加算したことは適法である。

4  以上のとおり、当期における被告の更正及び過少申告加算税の賦課決定は適法である。

四  以上の次第で、本件各課税処分は適法であって、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田坂友男 裁判官 東畑良雄 裁判官 森高重久)

別表一の1 (昭和50年6月期事業年度分法人税課税経過表)

〈省略〉

別表一の2 (昭和51年6月期事業年度分法人税課税経過表)

〈省略〉

別表二の1 (昭和50年6月期事業年度分課税土地譲渡利益金額の算出根拠)

〈省略〉

別表三 (譲渡した土地の帳簿価額累計額一覧表)

〈省略〉

別表二の2 (昭和51年6月期事業年度分課税土地譲渡利益金額の算出根拠)

〈省略〉

譲渡物件番号7の括弧内の金額は原告の申告額

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例