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京都地方裁判所 昭和33年(行)21号 判決

原告 大川力蔵

被告 舞鶴市固定資産評価審査委員会

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者双方の申立

原告は「被告が原告に対してなした舞鶴市字引土三三三番地所在家屋番号同字第五三三番木造瓦葺二階建居宅(延坪数四四坪七合七勺)についての昭和三三年度の固定資産評価額を金九三六、七五一円とした審査の決定はこれを取消す。」との判決を求め、

被告訴訟代理人は主文同旨の判決を求めた。

第二、当事者双方の主張

一、原告は請求の原因として次のとおり述べた。

(一)  訴外舞鶴市長は原告所有の前記家屋(以下本件家屋と称する)についての昭和三三年度の固定資産評価額を金九六五、六九〇円と決定し、これを固定資産課税台帳に登録し、昭和三三年三月一日から同年同月二〇日まで右固定資産課税台帳を縦覧に供した。そこで右評価額に不服である原告は同年三月二二日被告に対し審査の請求をしたが、被告は同年四月三〇日附で本件家屋についての固定資産評価額を金九三六、七五一円と審査決定し、同日これを原告に通知した。原告は更に同年五月二〇日京都府知事に対し訴願をしたが、京都府知事は同年六月三〇日附で右訴願を棄却する旨の決定をし、同年七月二日これを原告に通知した。

(二)  然しながら、被告のなした評価額九五六、七三一円は適正を欠き違法である。即ち、本件家屋は昭和一九年に竣工したものであるがその後十数年の歳月を経ており、殊に昭和二八年の台風のため水浸し、土台は腐り家屋は全面的に沈下して傾き建具等は全部狂つて動かなくなり、居住するのに危険な状態である。そのため改めて土台を入れ替え地上をして竣工当時と変らぬものに仕上げるには専門家の調査によれば約一、〇〇〇、〇〇〇円の経費を要する見込である。かかる事情のもとにおいては本件家屋についての損耗の程度に応ずる減価率は〇、九〇(九〇パーセント)を下らないものと認むべきである。被告の決定した評価額はこの点を無視又は軽視してなされたものであつて適正を欠くものといわねばならない。

二、被告訴訟代理人は答弁として次のとおり述べた。

(一)  請求原因(一)は認めるが、請求原因(二)は、本件家屋が昭和二八年の台風のため水浸したことを除き、これを争う。

(二)  被告の決定した本件評価額は適正である。固定資産の評価は地方税法第三四一条に明示するとおり適正な時価によるべきであり、同法第三八八条第二項に基き自治庁長官の定めた評価基準によれば右評価は「家屋については再建築価格を基準とし、家屋年令、損耗の程度、所在地域の状況、床面積の広さ等に応ずる増減価を考慮して評価する」と指示せられているのであつて、被告は右自治庁長官の定めた固定資産評価基準に従い、先ず本件家屋の坪当再建築価格を算出し、それに舞鶴市に適用せられる建築費指数〇、八八を乗じたものを基準たる再建築価額とし、これに家屋年令損耗の程度、所在地の状況、利用価値、特殊事情、建築費の昇降等を考慮して本件評価額を決定したものである。而して右は本件家屋を大体中級家屋として先に述べた固定資産評価基準を適用したものであり、特に損耗による減価考慮は充分になされているものである。

原告は昭和二八年の台風による被害を主張しているが、右は同年九月二四日のいわゆる台風一三号の被害であつて、舞鶴市としては全体として相当な被害があつたことは事実である。しかしながら、本件家屋の存在する宮前地区は大したこともなかつたのであつて、本件家屋も床上二尺前後の浸水はあつたがそれも短時間であつて、土砂等の流入もなく被害は僅少であつた。

第三、証拠〈省略〉

理由

地方税法(昭和二五年法律第二二六号)によれば、固定資産の価格とは適正な時価をいうのであり、固定資産の価格を決定するのは原則として市町村長の権限としているが、市町村長のなす固定資産の評価に関して自治庁長官(もと地方財政委員会)が市町村長に対し右評価の基準を示すこととしている。右評価基準によると、木造家屋の評価については、当該家屋の再建築価額を基準とし、家屋年令、損耗の程度、床面積の広狭、所在地域の状況その他利用価値を考慮して評価すると定められており、証人池田三郎の証言によると、訴外舞鶴市長は本件家屋についての昭和二七年度の評価額を右地方財政委員会の定めた評価基準に照して決定し昭和二八年度の評価額は昭和二七年度のそれを踏襲し、昭和二九年度は自治庁長官の示した坪当再建築価額算出の基礎となる建築工事別坪当評点が前年度に比し上昇していないのでこれと年減(家屋年令に応ずる減価考慮)とを彼此勘案し前年度の固定資産評価額に一、一を乗ずることによつて調整し、右前年度の固定資産評価額に一、一を乗じて得た額を以て昭和二九年度の評価額とし、昭和三〇年度以降昭和三三年度までの各評価額はいずれも昭和二九年度の評価額を踏襲して来たことが認められる。このようにして訴外舞鶴市長は本件家屋についての昭和三三年度の固定資産評価額を金九六五、六九〇円と決定し、これを固定資産課税台帳に登録し、原告主張の期間縦覧に供したこと、原告がその主張の日に被告に対し審査の請求をし、被告が本件家屋についての固定資産評価額を金九三六、七五一円と審査決定しこれを原告主張の日に原告に通知したこと、及び原告がその主張の日に京都府知事に訴願をし、京都府知事が右訴願を棄却する旨の決定をし、昭和三三年七月二日これを原告に通知したことはいずれも当事者間に争がない。

そこで本件係争年度たる昭和三三年度の被告の決定した固定資産評価額九三六、七五一円が適正な時価であるかどうかを検討するが、昭和三三年度の固定資産評価額の決定された経過は前認定のとおり昭和二七年度のそれを基礎としているので、先ず訴外舞鶴市長のなした本件家屋についての昭和二七年度の固定資産評価額が適正な時価であつたかどうかについて検討を加え、次いで被告のなした昭和三三年度のそれが適正な時価であるかどうかについて考察を進めることとする。

成立に争のない乙第一号証の二及び検証の結果によると、本件家屋は(一)木造瓦葺二階建居宅、一階坪二七坪五勺、二階坪八坪九合七勺、(二)木造瓦葺中二階建居宅、一階坪八坪七合五勺、二階坪約三坪よりなつていることが認められ、証人山田三郎の証言(第一回)によると本件家屋は昭和二七年一月一日当時もその構造、坪数において右と同じであることが認められる。そこで訴外舞鶴市長のなした本件家屋についての昭和二七年度の固定資産評価額の決定が前記地方財政委員会の示した評価基準に照し適正な時価の決定とみるべきであるかどうかを検討する。証人池田三郎の証言によつて舞鶴市役所保管にかゝる本件家屋についての評価調書と認むべき乙第一号証の一、証人池田三郎、同山田三郎(第一、二回)の各証言並に検証の結果を綜合すると、本件家屋中(一)の部分につき、坪当再建築価額を二七、六九〇円として、右坪当再建築価額を算出する基礎として、建築工事別坪当評点を(1)仮設工事は中級の上として八〇〇点、(2)基礎工事は普通の上の二階建として一、二〇〇点の六〇パーセント即ち七二〇点、(3)屋根工事は日本瓦中級の一部二階として三、五〇〇点の七〇パーセント即ち二、四五〇点、(4)左官工事は(A)外壁は全体の五分の一に当る腰の部分につき鉄鋼人造石洗出を使用している他いわゆる大壁造であり、大壁造の評点一、〇〇〇点、鉄鋼人造石洗出の評点二、二〇〇点を各適用して全体につき一、二四〇点(B)内壁は壁仕上漆喰と壁仕上漆喰真壁下とが半々であり、壁仕上漆喰の評点二、〇〇〇点、壁仕上漆喰真壁下の評点一、三〇〇点を各適用して全体につき一、六五〇点(5)木工事は(A)軸組及び小屋組は中級材上として一二、〇〇〇点、(B)天井は天井板中として二、〇〇〇点、(6)床工事はタタミ中として二、五〇〇点、(7)建具工事は中級として三、四〇〇点、(8)雑工事は中級として六〇〇点とし、以上合計二七、三六〇点に、更に附帯工事につき(9)電灯工事は差込を含めて一三箇あるので電灯工事下として一箇当りの評点八〇〇点に一三を乗じて得た評点は一〇、四〇〇点(10)汲取便所(小便所)内部の腰がタイル張りになつているのでその評点は二、〇〇〇点とし、右(9)(10)を加えた証点一二、四〇〇点を床面積で除して得た評点三三〇点(但しこの計算方法は簡便を期するため床面積三六坪二勺の坪未満を切上げて一二、四〇〇点を三七で除しその商は一〇未満を切捨てる方法を採つている)と右(1)乃至(8)の各評点の合計二七、三六〇点とを加えて得た評点は二七、六九〇点でありこれに更に金一円を乗じて得た金額二七、六九〇円を以て本件家屋中(一)の部分の坪当再建築価格としたこと(なお本件家屋中(一)の部分の床面積は三六坪二勺であるが合未満を切捨てる都合上床面積は三六坪となるから床面積に広ずる減価率を適用する余地はない)、又本件家屋中(二)の部分につき二階の部分の考慮をせず階下のみとして坪当再建築価額を一八、七一〇円とし、右坪当再建築価額を算出する基礎として、建築工事別坪当評点を(1)仮設工事は普通の上として四〇〇点(2)基礎工事は普通の上として一、二〇〇点(3)屋根工事は日本瓦中級として三、五〇〇点、(4)佐官工事は(A)外壁は全体の五分の一に当る腰の部分につき鉄鋼人造石洗出を使用している他いわゆる大壁造であり、大壁造の評点一、〇〇〇点、鉄鋼人造石洗出の評点二、二〇〇点を各適用して全体につき一、二四〇点(B)内壁は壁仕上漆喰真壁上として一、三〇〇点、(5)木工事は(A)軸組及び小屋組は普通の上として六、〇〇〇点、(B)天井は天井板下として一、〇〇〇点、(6)床工事は揚床下として一、一〇〇点、(7)建具工事は普通下として二、四〇〇点、(8)雑工事は普通として四〇〇点とし、以上合計一八、五四〇点に、更に附帯工事につき(9)電灯工事は差込を含めて二箇あるので電灯工事下として一箇当りの評点八〇〇点に二を乗じて得た評点一、六〇〇点を床面積で除して得た評点一七〇点(但しこの計算方法は箇便を期するため床面積八坪七合五勺の坪未満を切上げて一、六〇〇点を九で除しその商は一〇未満を切捨てる方法を採つている)と右(1)乃至(8)の各評点の合計一八、五四〇点とを加えて得た評点は一八、七一〇点であり、これに更に金一円を乗じて得た金額一八、七一〇円を以て本件家屋中(二)の部分の坪当再建築価額としたこと、そして訴外舞鶴市長が前記各評点算出の基礎とした等級及び箇数の各認定は相当であり、従つて又本件(一)(二)の家屋の坪当再建築価額の認定が相当であること、次に本件家屋中(一)の部分につき前記坪当再建築価額二七、六九〇円に舞鶴市に適用せられる建築費指数〇、八八を乗じて得た額二四、三六七円(円未満切捨)に、家屋年令に応ずる減価率及び損耗の程度に応ずる減価率の合計〇、八三を乗じ、更にこれに床面積を乗じ、よつて得た額七四五、五九六円(但しこの計算方法は簡便を期するため床面積三六坪二勺の合未満を切捨てる方法を採つている)及び風呂の価格と認定した一二、〇〇〇円の合算額七三七、五九六円を以て本件家屋中(一)の部分の評価額としたこと、又本件家屋中(二)の部分につき前記坪当再建築価額一八、七一〇円に舞鶴市に適用せられる建築費指数〇、八八を乗じて得た額一六、四六四円(円未満切捨)に、家屋年令に応ずる減価率及び損耗の程度に応ずる減価率の合計〇、八〇を乗じ、更に利用価値による増価率一、〇五円を乗じ、よつて得た額一三、八二九円(円未満切捨)に床面積を乗じて得た額一二〇、三一二円(但しこの計算方法は簡便を期するため床面積八坪七合五勺の合未満を切捨てる方法を採つている)を以て本件家屋中(二)の部分の評価額としたこと、なお以上の各評価額を決定するについて本件(一)(二)の建物の所在地域たる「引土」は地域差がプラスマイナス、零であるため所在地域の状況による増減価の考慮をしていないこと、本件(一)(二)の建物は家屋台帳上昭和二一年一月三〇日建築登録と記載されており昭和二七年一月一日より数えて五年前に建築せられたものであること(もつとも甲第五号証の一、二によると竣工期日として昭和一九年一二月一日と記載されているが、これは建築願提出の当時の竣工予定期日に過ぎず、これのみでは原告主張の如く本件家屋が昭和一九年に竣工されたと認めることは出来ない)、従つて本件家屋の家屋年令を五年と認定し、(一)の部分につき家屋年令に応ずる減価率を〇、二四、(二)の部分につき家屋年令に広ずる減価率を〇、三〇と評定し、損耗の程度による減価率を(一)の部分につき〇、〇五、(二)の部分につき〇、一〇と認定し、家屋年令に応ずる減価率及び損耗の程度に応ずる減価率の合計(右両者を加えて二で割ることによつて得た数を一より差引いて得た数)として(一)の部分につき〇、八五(計数上は〇、八三三となるが計算を簡便ならしめるために小数第二位未満を切捨てる)、(二)の部分につき〇、八〇としたのは相当であること、又風呂の価額一二、〇〇〇円の認定も相当であること、並に(二)の部分につき利用価値による増価率を一、〇五と認定したのはこの部分は中二階の建物であるが、その坪当再建築価額算出の基礎となる評点及び坪数はすべて二階を考慮せず階下のみ存在するとしてなされたものであるから、かゝる増価率の認定は相当であること、以上のような事実が認められる。以上認定の事実によると、訴外舞鶴市長が昭和二七年度の本件家屋の評価額として(一)の部分につき七五七、五九六円(二)の部分につき一二〇、三一二円と決定したことは相当であると認められる。

そこで訴外舞鶴市長が昭和二八年度の固定資産の評価に当りその前年度の評価額を踏襲したものなることは前認定のとおりであるが、昭和二九年度の固定資産の評価に当り昭和二七年度の固定資産評価額に一、一を乗ずることによつて昭和二九年度の固定資産評価額を決定したことの当否について考えてみるに、昭和二九年度の固定資産の評価に当り自治庁長官の示した坪当再建築価額算出の基礎となる建築工事別坪当評点が前年度に比し上昇していたのでこれと年減(家屋年令に応ずる減価考慮)とを彼此勘案し前年度の固定資産評価額に一、一を乗ずることによつて調整したことは前認定のとおりであるから、右の如き評価方法も必ずしも相当でないとすることはできない。そして昭和三〇年度以降昭和三三年度までの評価は昭和二九年度の評価額を踏襲したものであるが、昭和三三年度にいたり原告より審査請求があつたため被告がこれについての審査をなし、本件家屋についての国定資産評価額を金九三六、七五一円と決定したものなることも前認定のとおりである。よつて以下被告の審査決定した評価額九三六、七五一円が原告主張の如く適正な時価ではなく違法なりや否やについて考察を加える。

本件評価は訴外舞鶴市長が前認定のような経過により決定した昭和三三年度の評価額九六五、七九〇円(一〇円未満切捨)を被告において原告主張の如く金九三六、七五一円と審査決定し、右評価変更に当り考慮されたのは本件家屋中(一)の部分につき損耗の程度に応ずる減価率のみであり、他の部分即ち(一)(二)の家屋とも坪当再建築価額、建築費指数、家屋年令に応ずる減価率、所在地域の状況による増減価考慮、利用価値による増減価考慮、(二)の家屋についての損耗の程度に応ずる減価考慮、及び風呂についての評価額はいずれも訴外舞鶴市長のなした認定をそれぞれ相当としたものであることは前顕乙第一号証の一によつて明らかである。しかして訴外舞鶴市長が昭和三三年度の本件家屋についての固定資産評価額の決定に当り、坪当再建築価額、建築費指数、所在地域の状況による増減価考慮、利用価値による増減価考慮に関してなした認定は、それらがいずれも昭和二七年度の固定資産評価に際し決定されたものであるとしても、前認定のような経過よりすれば相当のものというべく、これを相当とした被告の認定は正当といわなければならない。そこで被告が本件審査決定をなすに当り(一)(二)の家屋ともに家屋年令に応ずる減価率を変更せず、又(二)の家屋について損耗の程度に応ずる減価率を変更せず、更に又風呂についての評価額を変更しなかつたことの当否について、並に(一)の家屋についての損耗の程度に応ずる減価考慮が相当のものなりや否やについて考える。家屋年令に応ずる減価率は家屋年令とともに逐次増大することは公知の事実であるが、訴外舞鶴市長が昭和二九年度においては前認定のような方法による固定資産評価をなすことにより家屋年令に応ずる減価考慮と坪当再建築価額算出の基礎となる建築工事別坪当評点の上昇とを調整したことは前説示のとおりであり、その後昭和三三年に至る間においても物価が漸次上昇の趨勢を示し、これに伴つて坪当建築価額算出の基礎となる建築工事別坪当評点も亦同様の傾向にあつたことは顕著の事実であつて、この建築工事別坪当評点の上昇と家屋年令に応ずる減価考慮とを調整する意味において建築工事別坪当評点並に家屋年令に応ずる減価率を従前どおり据置くことにより家屋年令に応ずる減価考慮は実質的にみてなされているものであり、かかる訴外舞鶴市長の措置を相当とした被告の認定は正当である。又(二)の家屋についての損耗の程度に応ずる減価率の修正を被告がしなかつたことは昭和二九年度の評価以降変更を加える程度の損耗を認め得なかつた結果であり、検証の結果によつて認め得る損耗の程度からみても、損耗の程度に応ずる減価率を〇、一〇と認定した訴外舞鶴市長の認定を相当とした被告の認定は正当である。原告は(二)の家屋についての損耗の程度に応ずる減価率は〇、九〇を下らないものと認むべきであると主張するが、その理由のないことは右説示するところに照して明らかである。風呂についてはその評価額が家屋年令に応ずる減価考慮及び損耗の程度に応ずる減価考慮をしたとしても昭和二九年度の評価額一三、二〇〇円を変更する必要はなく右評価額が適正であると認められた結果被告がこれを変更しなかつたことが証人山田三郎の証言(第二回)によつて認められた結果によるも右価額の認定が相当であると認め得るからこの点に関する被告の認定も正当である。次に(一)の家屋についての損耗の程度に応ずる減価率を従来〇、〇五であつたものを被告において原告の要請を或程度容れて〇、一二と変更したことは減価率の認定において未だ以て過少認定であるや否やについて考えてみるに、証人池田三郎の証言や検証の結果によつて認め得る損耗の程度からみて、右損耗の程度に応ずる減価考慮を〇、一二としたことはあながち過少認定とすることも出来ないから、この点に関する被告の認定も相当である。原告は(一)の家屋についての損耗の程度に応ずる減価率は〇、九〇を下らないものと認むべきであると主張するが、その理由のないことは右説示するところに照して明らかである。しからば本件家屋中(一)の部分の評価額は八〇四、四〇八円(二)の部分のそれは一三二、三四三円であることは計数上明らかであるから、本件家屋の評価額を金九三六、七五一円とした被告の審査決定に何ら違法の点はない。

以上説述したとおり、被告のなした本件審査決定に何ら違法の点はないから、これが違法としてその取消を求める原告の本訴請求は失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 増田幸次郎 川口公隆 片山欽司)

(別紙目録省略)

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